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EUの労働法政策

2023年1月25日 (水)

欧州労連が職場のアルゴリズム指令を要求

欧州労連が昨日付で、職場のアルゴリズムを規制する指令を求める決議を公表しました。

https://www.etuc.org/en/document/etuc-resolution-calling-eu-directive-algorithmic-systems-work

Algorithmic systems, especially AI (Artificial Intelligence), have a great influence on the work of the future. To improve working conditions and avoid negative effects, the use of such systems in the workplace must be better and effective regulated;
The AI Act is not suitable for regulating use of AI in the workplace. An EU directive on algorithmic systems in the workplace, based on Article 153 TFEU, should define European minimum standards for the design and use of algorithmic systems in the employment context;
Key element of the new directive is the strengthening and enforcement of collective bargaining rights of trade unions as well as information, consultation and participation rights of workers' representatives;
Algorithmic systems at work need to be transparent and explainable. Workers and their representatives shall have the right to receive information about the used applications in plain and understandable language;
Trade unions and workers’ representatives shall have the right to gain external expertise;
An algorithmic impact assessment for changes in working conditions, including a fundamental rights and equality impact assessment, must be carried out by the employer, with the full involvement of trade unions and workers' representatives before any system is implemented and should be repeated regularly after implementation.
Intrusive applications should be banned in the context of work. Applications to monitor workers shall only be allowed if their use is negotiated and agreed with trade unions and/or workers’ representatives;
Algorithmic systems and AI should assist workers in the employment context. The human-in-command principle has to be defined and the rights of human decision makers have to be protected;
Workers shall have the right to check and revise algorithmic decisions.

欧州委員会は既にAI規則案を提案していますが、欧州労連によると、職場のAI利用については同規則案では不十分であり、雇用に関わる特定の指令の制定が必要だと言っています。

この中で最も重要なのは、職場にAIを実装する際には、人権や平等を含む労働条件に対する影響のアセスメントを労働組合や労働者代表を入れてやれという点でしょう。

 

2022年12月15日 (木)

EUの男女賃金格差の透明性指令案の成立が目前

今年は日本でも女活法の省令改正で男女賃金格差の公表が義務化されましたが、EUでは男女賃金格差の透明性指令案について、閣僚理事会と欧州議会が暫定的合意に達したということです。

https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2022/12/15/council-and-european-parliament-reach-provisional-deal-to-close-gender-pay-gap/

The Czech presidency and the European Parliament reached a provisional deal on pay transparency rules. The new EU law will empower women to enforce the principle of equal pay for equal work through a set of binding measures on pay transparency.

(理事会の)議長国チェコと欧州議会は賃金透明性規則に関する暫定的合意に達した。この新たなEU法は、賃金の透明性に関する拘束力ある措置を通じて女性が同一労働同一賃金原則を実施できるようにするであろう。

現時点ではまだ合意した条文案はアップされていないようですが、大体の中身は上のリンク先に書いてあります。

最低賃金指令と併せて、この賃金透明性指令も、『労働六法』に新規収録する必要があるでしょうね。

 

 

 

2022年10月 8日 (土)

一人自営業者の団体交渉権ガイドライン

去る9月29日に、EUの競争当局(日本の公正取引委員会に相当)が、正式に「一人自営業者の労働条件に関しEU競争法の労働協約への適用ガイドライン」を策定しました。

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_5796

昨年12月に、プラットフォーム労働条件指令案と一緒にガイドライン案が提案されたときに紹介しており、拙著『新・EUの労働法政策』でもその概要を解説しているので、それほど目新しいわけではありませんが、例のFNV事件EU司法裁判決で沸き起こった問題に、一応の決着が付けられたということになります。

The European Commission has adopted today its Guidelines on the application of EU competition law to collective agreements (‘Guidelines') regarding the working conditions of solo self-employed people. The Guidelines clarify when certain self-employed people can get together to negotiate collectively better working conditions without breaching EU competition rules.

欧州委員会は本日、一人自営業者の労働条件に関しEU競争法の労働協約への適用に関するガイドラインを採択した。ガイドラインは一定の自営業者がEU競争ルールに抵触することなくより良い労働条件を集団的に交渉することができる場合を明確化している。

Executive Vice-President for a Europe Fit for the Digital Age and Commissioner for Competition, Margrethe Vestager, said: “Solo self-employed people in the digital economy and beyond may not be able to individually negotiate good working terms and therefore may face difficult working conditions. Getting together to collectively negotiate can be a powerful tool to improve such conditions. The new Guidelines aim to provide legal certainty to the solo self-employed people by clarifying when competition law does not stand in the way of their efforts to negotiate collectively for a better deal." 

デジタル担当副委員長兼競争担当委員のマルグレーテ・ヴェスティガーは、「デジタル時代の一人自営業者は個別に良い労働条件のために交渉することはできず、それゆえ困難な労働条件に直面している。集団的に交渉することはかかる条件を改善するうえで強力なツールである。新たなガイドラインは、競争法がより良いディールに向けて集団的に交渉する努力を邪魔しない場合を明確化することによって、一人自営業者の法的確実性を提供することを目指している」と述べた。

 

2022年10月 4日 (火)

EU最低賃金指令本日採択

本日の閣僚理事会で、EUの最低賃金指令が最終的に採択されたようです。

https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2022/10/04/council-adopts-eu-law-on-adequate-minimum-wages/

The Council of the EU today gave its final green light to a directive that will promote the adequacy of statutory minimum wages and thus help to achieve decent working and living conditions for employees in Europe.

数日後にEU官報に掲載されると思われます。私の私訳:

EU最低賃金指令

欧州連合における十分な最低賃金に関する欧州議会と理事会の指令(2022/ )

第1章 総則

第1条 主題
1 欧州連合における労働生活条件、とりわけ上方への社会的収斂に貢献し、賃金の不平等を縮小するため、労働者にとっての最低賃金の十分性を改善する観点で、本指令は次の枠組みを設定する。
(a) まっとうな生活労働条件を達成する目的で法定最低賃金の十分性、
(b) 賃金決定における団体交渉の促進、
(c) 国内法及び/又は労働協約により規定される最低賃金保護の権利へ労働者の有効なアクセスの向上。
2 本指令は労使団体の自治を全面的に尊重するとともに、その団体交渉し労働協約を締結する権利を妨げない。
3 条約第153条第5項に従い、本指令は最低賃金の水準を設定する加盟国の権限、労働協約に規定する最低賃金保護へのアクセスを促進するために法定最低賃金を設ける加盟国の選択を妨げない。
4 本指令の適用は、団体交渉の権利を全面的に遵守するものとする。本指令のいかなる部分も、次のことを義務付けるものと解釈されてはならない。
(a) 賃金決定がもっぱら労働協約を通じて確保されている加盟国に対して、法定最低賃金を導入すること、
(b) いかなる加盟国に対しても、労働協約の一般的拘束力を付与すること。
5 国際労働機構の理事会によって承認された合同海事委員会又は他の機関が定期的に設定する船員最低賃金に関する措置を実施する加盟国の立法には第2章は適用しない。かかる立法は団体交渉の権利及びより高い最低賃金水準を採択する可能性を妨げない。

第2条 適用範囲
 本指令は、欧州連合司法裁判所の判例法を考慮しつつ、各加盟国で効力を有する法律、労働協約又は慣行で定義される雇用契約又は雇用関係を有する欧州連合内の労働者に適用される。

第3条 定義
 本指令においては、次の定義が適用される。
(1) 「最低賃金」とは、公的部門も含めた使用者が、所与の期間中に、遂行された労働に対して、労働者に支払うよう求められる、法律又は労働協約によって決定された最低報酬をいう。
(2) 「法定最低賃金」とは、適用される規定の内容について当局にいかなる裁量の余地もない一般的拘束力を付与された労働協約によって決定された最低賃金を除き、法律又はその他の拘束力ある法的規定によって決定された最低賃金をいう。
(3) 「団体交渉」とは、加盟国の国内法及び慣行に従って、一方において使用者、使用者の集団又は一若しくはそれ以上の使用者団体、他方において一又はそれ以上の労働組合との間で、労働条件及び雇用条件を決定するために発生するすべての交渉をいう。
(4) 「労働協約」とは、一般的拘束力を有するものも含め、国内法及び慣行に従いそれぞれ労働者と使用者のために交渉する能力を有する労使団体によって締結される労働条件及び雇用条件に関する規定に関する書面による合意をいう。
(5) 「団体交渉の適用範囲」とは、次の比率で算定されるところの国レベルの労働者に占める労働協約が適用される者の割合をいう。
(a) 労働協約が適用される労働者の数、
(b) その労働条件が、国内法及び慣行に従い労働協約によって規制される労働者の数。

第4条 賃金決定に関する団体交渉の促進
1 団体交渉の適用範囲を拡大し、賃金決定に関する団体交渉権の行使を容易にする目的で、加盟国は労使団体を関与させつつ、国内法と慣行に従って、次の措置をとるものとする。
(a) とりわけ産業別又は産業横断レベルにおいて、賃金決定に関する団体交渉に関与する労使団体の能力の構築及び強化を促進すること、
(b) 労使団体が賃金決定に関する団体交渉に関してその機能を遂行するために適当な情報にアクセスできるという対等の立場で、両者間における賃金に関する建設的、有意味で情報に基づく交渉を奨励すること、
(c) 適当であれば、賃金決定に関する団体交渉権の行使を保護し、労働者や労働組合代表に対して賃金決定に関する団体交渉に参加し又は参加しようとしたことを理由とするその雇用に関する差別から保護ための措置をとること、
(d) 賃金決定に関する団体交渉を促進する目的で、適当であれば、団体交渉に参加し又は参加しようとする労働組合及び使用者団体に対して、その設立、運営又は管理において互いに又は互いの代理人若しくは構成員によるいかなる干渉行為からも保護する措置をとること。
2 これに加えて加盟国は、団体交渉の適用率が80%未満である場合には、労使団体に協議して又は労使団体との合意により、団体交渉の条件を容易にする枠組みを導入するものとする。これら加盟国はまた、労使団体に協議した後に、労使団体との合意により又は労使団体の共同要請に基づき労使団体間の協定により、団体交渉を促進する行動計画を策定するものとする。この行動計画は、労使団体の自治を最大限に尊重しつつ、団体交渉の適用率を段階的に引き上げる明確な日程表と具体的な措置を規定するものとする。この行動計画は定期的に再検討され、必要があれば労使団体に協議した後に、労使団体との合意により又は労使団体の共同要請に基づき労使団体間の協定により更新するものとする。いかなる場合でも少なくとも5年に1回は再検討するものとする。この行動計画及びそのすべての更新版は公表され、欧州委員会に通知されるものとする。

第2章 法定最低賃金

第5条 十分な法定最低賃金の決定手続き
1 法定最低賃金を有する加盟国は、法定最低賃金の決定及び改定の必要な手続きを設けるものとする。かかる決定及び改定は、まっとうな生活条件を達成し、在職貧困を縮減するとともに、社会的結束と上方への収斂を促進し、男女賃金格差を縮小する目的で、その十分性に貢献するような基準に導かれるものとする。加盟国はこれらの基準を国内法によるか権限ある機関の決定によるか又は三者合意により定めるものとする。この基準は明確なやり方で定められるものとする。加盟国は、各国の社会経済状況を考慮して、第2項にいう要素も含め、これら基準の相対的な重要度について決定することができる。
2 第1項にいう国内基準は、少なくとも以下の要素を含むものとする。
(a) 生計費を考慮に入れて、法定最低賃金の購買力、
(b) 賃金の一般水準及びその分布、
(c) 賃金の成長率、
(d) 長期的な国内生産性水準及びその進展。
3 本条に規定する義務に抵触しない限り、加盟国は追加的に、適当な基準に基づきかつ国内法と慣行に従って、その適用が法定最低賃金の減額につながらない限り、法定最低賃金の自動的な物価スライド制を用いることができる。
4 加盟国は法定最低賃金の十分性の評価を導く指標となる基準値を用いるものとする。このため加盟国は、賃金の総中央値の60%、賃金の総平均値の50%のような国際的に共通して用いられる指標となる基準値や、国内レベルで用いられる指標となる基準値を用いることができる。
5 加盟国は、法定最低賃金の定期的かつ時宜に適した改定を少なくとも2年に1回は実施するものとする。第3項にいう自動的な物価スライド制を用いる場合には少なくとも4年に1回とする。
6 各加盟国は法定最低賃金に関する問題について権限ある機関に助言する一またはそれ以上の諮問機関を指名又は設置し、その機能的な運営を確保するものとする。

害6条 変異及び減額
1 加盟国が特定の労働者集団に対して異なる法定最低賃金率又は法定最低賃金を下回る水準にまで支払われる賃金を減少させる減額を認める場合には、加盟国はこれら変異及び減額が非差別と比例性(合法的な目的の追求を含む)の原則を尊重するよう確保するものとする。
2 本指令のいかなる部分も、加盟国に法定最低賃金の変異や減額を導入する義務を課すものと解釈されてはならない。

第7条 法定最低賃金の決定及び改定における労使団体の関与
 加盟国は、法定最低賃金の決定及び改正において、第5条第6項にいう諮問機関への参加及びとりわけ次の事項を含め、意思決定過程を通じた審議への自発的参加を提供する適時かつ効果的な方法で、労使団体の関与に必要な措置をとるものとする。
(a) 第5条第1項、第2項及び第3項にいう法定最低賃金の水準の決定と、自動物価スライド制がある場合にはその確立と修正のための基準の選択及び適用、
(b) 法定最低賃金の十分性の評価のための第5条第4項にいう指標となる基準値の選択及び適用、
(c) 第5条第5項にいう法定最低賃金の改定、
(d) 第6条にいう法定最低賃金の変異及び減額の確立、
(e) 法定最低賃金の決定に関与する機関及び他の関係当事者に情報を提供するためのデータの収集及び調査と分析の遂行の双方に関する決定。

第8条 法定最低賃金への労働者の効果的なアクセス
 加盟国は、労使団体の関与により、労働者が適切に効果的な法定最低賃金保護(適当であればその強化と執行を含め)にアクセスすることを促進するために、次の措置をとるものとする。
(1) 労働監督機関又は法定最低賃金の施行に責任を有する機関によって行われる効果的、比例的で非差別的な管理及び現地監督の提供、
(2) 法定最低賃金を遵守しない使用者に狙いを定め追及するための訓練と指導によるガイダンスによる施行機関の能力向上。

第3章 通則

第9条 公共調達
 EU公共調達指令(2014/24/EU、2014/25/EU、2014/23/EU)に従い、加盟国は公共調達又は営業権の授与及び遂行において、事業者及びその下請事業者が、賃金に関して適用される義務、EU法、国内法、労働協約又はILOの結社の自由と団結権条約(第87号)及び団結権と団体交渉権条約(第98号)を含む国際的な社会労働法規定によって確立した社会労働法分野における団結権及び賃金決定に関する団体交渉権を遵守するよう確保する適切な措置をとるものとする。

第10条 監視とデータ収集
1 加盟国は、最低賃金保護を監視するために効果的なデータ収集用具を確保する適切な措置をとるものとする。
2 加盟国は次のデータおよび情報を2年ごとに、報告年の10月1日までに、欧州委員会に報告するものとする。
(a) 団体交渉の適用範囲の比率と進展、
(b) 法定最低賃金については、
(i) 法定最低賃金の水準及びその適用される労働者の比率、
(ii) 既存の変異と減額の説明及びその導入の理由とデータが入手可能であれば変異の適用される労働者の比率。
(c) 労働協約によってのみ規定される最低賃金保護については、
(i) 低賃金労働者に適用される労働協約によって設定される最低賃金率又は正確なデータが責任ある国内機関に入手可能でなければその推計、及びそれが適用される労働者の比率又は正確なデータが責任ある国内機関に入手可能でなければその推計、
(ii) 労働協約が適用されない労働者に支払われる賃金水準及びその労働協約が適用される労働者に支払われる賃金水準との関係。
 一般的拘束力宣言を受けたものも含め、産業別、地域別及び他の複数使用者労働協約については、加盟国は第10条第2項第(c)号(i)にいうデータを報告するものとする。
 加盟国は、本項にいう統計及び情報を、できる限り性別、年齢、障害、企業規模及び業種によって区分集計して提供するものとする。
 最初の報告は国内法転換年に先立つ3年間を対象とするものとする。加盟国は国内法転換日以前に入手可能でなかった統計及び情報を除外することができる。
3 欧州委員会は第2項にいう報告及び第4条第2項にいう行動計画において加盟国から送付されたデータと情報を分析するものとする。同委員会はそれを2年ごとに欧州議会と理事会に報告し、同時に加盟国から送付されたデータと情報を公表するものとする。

第11条 最低賃金保護に関する情報
 加盟国は、法定最低賃金保護とともに一般的拘束力を有する労働協約の定める最低賃金に関する情報(救済制度に関する情報を含む)が、必要であれば加盟国が決定する最も関連する言語によって、包括的かつ障害者を含め容易にアクセス可能な仕方で一般に入手可能とするように確保するものとする。

第12条 不利益取扱い又はその帰結に対する救済と保護の権利
1 加盟国は、適用される労働協約で規定される特別の救済及び紛争解決制度に抵触しない限り、雇用契約が終了した者も含む労働者が、法定最低賃金に関する権利又は国内法若しくは労働協約でその権利が規定されている最低賃金保護に関する権利の侵害の場合において、効果的で適時かつ中立的な紛争解決及び救済の権利にアクセスすることを確保するものとする。
2 加盟国は、労働組合員又はその代表者を含む労働者及び労働者代表が、使用者からのいかなる不利益取扱いからも、また使用者に提起した苦情又は国内法若しくは労働協約でその権利が規定されている最低賃金に関する権利の侵害の場合に法令遵守を求める目的で提起したいかなる手続から生じる不利益な帰結からも保護するに必要な措置をとるものとする。

第13条 罰則
 加盟国は、本指令の適用範囲内の権利及び義務が国内法又は労働協約に規定されている場合、当該権利及び義務の侵害に適用される罰則に関する規則を規定するものとする。法定最低賃金のない加盟国においては、これら規則は労働協約の執行に関する規則に規定される補償又は契約上の制裁への言及を含むか又はそれに限定することができる。規定される罰則は効果的で比例的かつ抑止的であるものとする。

第4章 最終規定(略) 

2022年9月14日 (水)

EUの強制労働生産物の流通禁止規則案

本日、欧州委員会は強制労働による生産物がEU市場で流通することを禁止する規則案を提案しました。

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_5415

The Commission has today proposed to prohibit products made with forced labour on the EU market. The proposal covers all products, namely those made in the EU for domestic consumption and exports, and imported goods, without targeting specific companies or industries. This comprehensive approach is important because an estimated 27.6 million people are in forced labour, in many industries and in every continent. The majority of forced labour takes place in the private economy, while some is imposed by States. 

欧州委員会は本日、EU市場における強制労働による生産物の流通を禁止する提案を行った。本提案はすべての生産物、すなわちEUの域内消費用、輸出用、及び輸入品に、特定企業や産業に限ることなく適用される。この包括的アプローチは、多くの産業や大陸において2760万人もの人々が強制労働させられていると推計されるが故に重要である。強制労働の多くは民間経済で生じているが、国家により課せられているものもある。・・・

日本でも人権デューディリジェンスの動きがひっそりと始まったばかりですが、EUではかなり強硬な政策が続々ととられ始めています。

 

 

 

本日、欧州議会が最低賃金指令案を可決

20220909pht40127cl 6月に欧州議会と閣僚理事会の間で合意されていた最低賃金指令案が、本日欧州議会の総会で、賛成505、反対92、棄権44で可決されたようです。

https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20220909IPR40138/parliament-adopts-new-rules-on-adequate-minimum-wages-for-all-workers-in-the-eu

Parliament adopts new rules on adequate minimum wages for all workers in the EU
遠からずEU官報に掲載されて、正式に公布されることになると思われます。

 

2022年6月28日 (火)

EU労使が「つながらない権利」協約に向けた作業計画に合意

誤解のないようにあらかじめ言っておきますと、明日調印されるのは欧州経団連、欧州労連などEU労使団体間の作業計画であって、そこに将来の作業予定が並んでいるにすぎません。ただ、その一つとして、「テレワークとつながらない権利」というのが入っているようなので、やや将来のはなしではありますが、労働法の観点から興味を惹かれます。

https://www.etuc.org/en/pressrelease/european-unions-and-employers-sign-historic-deal

European trade unions and employers will tomorrow sign a work programme, including to negotiate a legally binding agreement on ‘Telework and right to disconnect’.  

欧州の労働組合と使用者団体は明日(ってのは今日ですが)法的拘束力のある「テレワークとつながらない権利」に関する協約を交渉することを含む、作業計画に調印する。

Telework and right to disconnect

Review and update the 2002 Autonomous Agreement on Telework to be put forward for adoption as a legally binding agreement implemented via a Directive.

This is a key signal that the European social partners are committed to be key actors to shape the future labour markets functioning, and the first time such an agreement would be implemented as a Directive since 2010.

こちらが法的拘束力ある指令を目指しているのに対し、近年AIとの関係で注目されている「プライバシーと監視」については、労使合同セミナーの開催とガイドラインという目標になっています。

Work related privacy and surveillance

Joint seminar and guidelines on workplace monitoring and surveillance technologies to exchange views on the trends and their relevance for social partners and collective bargaining at all appropriate levels across Europe.

(追記)

日本時間の29日14時、欧州時間ではまだ早朝なので、欧州労連のHPにはまだ出ていませんが、欧州経団連のHPには既に載っています。

https://www.businesseurope.eu/sites/buseur/files/media/reports_and_studies/2022-06-28_european_social_dialogue_programme_22-24_0.pdf

Telework and right to disconnect 

In 2002, the European Social Partners reached their forward-looking agreement on telework, defining telework, which was then a new form of organising and/or performing work in the context of an employment relationship. This agreement addressed issues such as, provision of equipment and health and safety, as well as establishing that teleworkers have the same employment conditions as workers who work in the employers’ premises.
One of the key challenges going forward is for the social partners to take stock of the digitalisation developments and the learnings from the sanitary crisis on telework, in light of their existing agreement of 2002 which laid the foundation for social dialogue and collective bargaining on voluntary telework solutions. This includes the issues such as hybrid work, the right to disconnect, organisation of work in particular the management of online workers and the link with working-time, health and safety, work life balance, surveillance, privacy, and data protection. 

INSTRUMENT:
Review and update of the 2002 Autonomous Agreement on Telework to be put forward for adoption in the form of a legally binding agreement implemented via a Directive1 

というわけで、「つながらない権利」はハイブリッドワークからデータ保護に至るさまざまな論点の一つという位置づけです。ただ、明確に「指令によって実施される法的拘束力ある協約」といっているので、現在の自律協約から指令に移行することは確かなようです。

 

2022年6月 8日 (水)

EU最低賃金指令に理事会と欧州議会が合意

昨日、EUの閣僚理事会と欧州議会が最低賃金指令案について政治的合意に達したというプレスリリースが両機関のサイトに同時にアップされています。

https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2022/06/07/minimum-wages-council-and-european-parliament-reach-provisional-agreement-on-new-eu-law/

https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20220603IPR32188/deal-reached-on-new-rules-for-adequate-minimum-wages-in-the-eu

Eulabourlaw2022_20220608082001 この指令案の内容については、4月に刊行したばかりの『新・EUの労働法政策』でも詳しく解説していますが、欧州議会のサイトでは

  • The minimum wage should be adequate to ensure a decent standard of living
  • Right to redress for workers, their representatives and trade union members if rules are violated
  • EU rules to respect the powers of national authorities and social partners to determine wages
  • Collective bargaining to be strengthened in countries where it covers fewer than 80% of workers

とまとめられています。

まだ具体的な条文の形では出ていないので、それが出てきたらまた取り上げます。

 

 

 

 

2022年5月22日 (日)

『新・EUの労働法政策』は絶対にAmazonでは買わないように!

Eulabourlaw2022_20220522100901 またぞろ、Amazonを覗いてみたら、『新・EUの労働法政策』にとんでもない値段がついていました。

https://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E3%83%BBEU%E3%81%AE%E5%8A%B4%E5%83%8D%E6%B3%95%E6%94%BF%E7%AD%96-%E6%BF%B1%E5%8F%A3%E6%A1%82%E4%B8%80%E9%83%8E/dp/4538411671/ref=sr_1_1

単行本
¥7,743 より
¥7,743 より 1 中古品
¥7,743 より 1 新品

いうまでもなく、この目次を含めれば900ページを超えるやたら分厚い本は、しかしながら本体3,800円+税=税込み定価4,180円なんですから、こんな中間搾取は信じられませんね。

新品未読品です。通常、1週間以内にお届けします。希少本としての扱いの場合は、定価より高額に設定している場合がありますので御注意下さい。万一在庫切れの場合には、速やかにキャンセルさせて頂きますので予め御了承ください。
出荷元プルート書店 

などと言っていますが、です。希少品でも何でもありません。他のインターネット書店では(e-honでも、Honyaでも、 楽天でも、セブンネットでも)みんな当たり前に定価販売していますし、JILPTには在庫が積まれています。足りなくなれば増刷します(したい)。

どういう仕掛けでこういう得体のしれない事態になっているのかよくわかりませんが、なんにせよこの本は、絶対にAmazonでは買わないようにしてください。

 

 

 

 

2022年5月18日 (水)

欧州議会のプラットフォーム労働指令案への修正案

昨年12月に欧州委員会がプラットフォーム労働指令案を提案したことは御承知の通りですが、それに対する欧州議会の雇用社会問題委員会の修正案がアップされていました。

https://www.europarl.europa.eu/meetdocs/2014_2019/plmrep/COMMITTEES/EMPL/PR/2022/05-19/1253717EN.pdf

100ページを超える膨大な修正案ですが、見ていくと、雇用関係の法的推定(第4条)の5つの要件のうち2つ充たせば推定するよという部分がざっくりと削除されていて、どういうことかと考えたら、結局プラットフォームを通じて働いていたらまずは全て雇用関係だと推定し、その上で反証したかったら反証してごらん、という仕組みなんですね。

これはさすがに、現実に存在するプラットフォームの多様性を考えればあまりにも乱暴な気がします。

 

より以前の記事一覧