EUの労働法政策

2018年9月19日 (水)

ウェビナール

ウェビナール(webinar)って何?

いや、私も今初めて知った言葉ですが、ウェブ(web)とゼミナール(seminar)をくっつけた言葉のようですね。

https://www.eurofound.europa.eu/events/webinar-platform-work(Making the platform economy work well for workers - Webinar)

On 8 November 2018 from 14:00 to 16:00 CET, Eurofound will host a webinar: Making the platform economy work well for workers. Platform workers are one of the new forms of employment making a global impact. Eurofound’s 2-hour webinar will provide a forum to go beyond the debate about the challenges inherent to this new form of employment and focus on possible solutions to tackle the various work and employment-related implications of platform work.

During the webinar, Eurofound will present its fresh research on platform work. Moderated by Financial Times columnist Simon Kuper, a panel discussion will bring together business, government and social partners to illustrate experiences and share new, innovative approaches aimed at addressing the downsides of this employment form.
Examples will include the first collective trade union agreement on platform work in Europe, a national tax regime beneficial to platform workers, and a platform worker.

This webinar is aimed at platform workers, social partners, EU and national policy makers as well as academics and representatives from civil society.

中身は今世界中の労働関係者のホットな話題になっているプラットフォーム経済で、オンラインでパネルディスカッションをするようです。

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2018年8月22日 (水)

Risak氏のEUプラットフォーム労働指令構想@『労基旬報』2018年8月25日号

『労基旬報』2018年8月25日号に「Risak氏のEUプラットフォーム労働指令構想」を寄稿しました。最近関心を持って追いかけている新たな就業形態に対する労働法政策の一つの参照点になると思います。

 急速に進展する第4次産業革命の中で、現在世界同時的にシェアリング経済、プラットフォーム経済への関心が高まっていますが、とりわけプラットフォームを利用して働く人々の保護の問題は、労働政策方面からも産業市場政策方面からも注目を集めています。EUにおいては、昨年から今年にかけてプラットフォーム労働者をターゲットにした立法提案が相次いで出されており、今後の日本における議論にも参照点となっていくはずです。
 このうち、雇用社会総局が立案した指令案「EUにおける透明で予見可能な労働条件に関する欧州議会と閣僚理事会の指令案」(Proposal for a Directive of the European Parliament and of the Council on transparent and predictable working conditions in the European Union)については、『季刊労働法』2018年春号において、「EUの透明で予見可能な労働条件指令案」 と題してかなり詳しく解説しましたし、デジタル単一市場担当総局が立案した「オンライン仲介サービスのビジネスユーザーのための公正性と透明性の促進に関する規則案」(Proposal for a Regulation of the European Parliament and of the Council on promoting fairness and transparency for business users of online intermediation services)については、本誌6月25日号で概略を紹介したところです。プラットフォーム労働をめぐって労働者概念に含めて規制をかけていく方向性と、労働者ではない者の取引の公正さを追求していく方向がせめぎ合っていることが分かります。
 ただ、前者の指令案は、その前文の第7文に「これらの基準を満たす限り、家事労働者、オンデマンド労働者、間歇的労働者、バウチャーベースの労働者、プラットフォーム労働者、トレーニー及びアプレンティスは本指令の適用範囲に含まれる」と書かれているだけで、プラットフォーム労働者自体に向けた労働法規制を打ち出しているわけではありません。おそらくこの点を補完する目的で、EUレベルで制定されるべき「プラットフォーム労働指令」の具体的内容を提起している論文があります。ドイツのフリードリッヒ・エーベルト財団から出されたMartin Risak氏の『プラットフォーム労働者のための公正労働条件-EUレベルにおけるあり得べき規制のアプローチ』です。Risak氏はプラットフォーム労働の現状と法的課題を論じた上で、まずプラットフォーム労働者についてプラットフォームとの間の雇用関係を(反証可能な形で)推定するという法的規定を置くことを主張し、その上で、具体的に次のような規定を盛り込んだプラットフォーム労働指令案を求めています。
・書面通知指令と同様の通知義務:プラットフォームに労働者のアカウントが設けられればすぐに契約期間にかかわらず契約パートナーとその住所を通知する義務。
・とりわけウェブ上のクラウドワークの場合、労働の場所はプラットフォーム労働者がその作業を物理的に遂行する場所であることの確立。
・企業ユーザーの既存労働力との均等待遇の確保:最低賃金等を免れるためにプラットフォーム労働者にクラウドソースされないため。
・ウェブ上のクラウドワークに関連する探索時間(タスクを探す時間及び返事待ちの待機時間)が労働時間であり、賃金支払対象であることの明確化。
・最低賃金を下回るサービスの募集の禁止。
・以下のような条項の禁止
 ・プラットフォームに登録中及び登録後の競業避止条項、とりわけプラットフォーム労働者にユーザーとの直接契約を禁止する専属条項。
 ・ビットコインやバウチャーのような現金以外による報酬の支払。
 ・正当な理由なくプラットフォーム労働者にタスクを提供せず、又はそのアカウントを凍結する可能性。
 ・プラットフォームとユーザーが、理由を示さずに完成したタスクの受領を拒否したり、広告した報酬の支払を拒否したり、作業結果を保留したりする権限。
・プラットフォーム労働者やユーザーに対し、デジタル評判(レーティング)の仕組みとその影響を通知する義務。
・おそらく間違ったレーティングを再検討し、修正される可能性。
・デジタル評判のあるプラットフォームから別のプラットフォームへの移転可能性。
・プラットフォーム労働者のための無料の苦情処理手続を設置する義務。
・職場の安全衛生、最低賃金、租税と社会保険料の支払に責任を持つ者の明示。
 これはあくまでも一民間研究者の提案に過ぎませんが、上述の欧州委員会の指令案や規則案に比べると、労働者保護の問題意識がフルに出ており、ヨーロッパの労働関係者がこの問題にどのような懸念と関心を持っているかがよく分かります。
 日本でもこれから、こういった具体的な立法提案が各方面から出てくることが期待されます。

 

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2018年8月21日 (火)

EUでは労働時間は通算しているのか?@WEB労政時報

WEB労政時報に「EUでは労働時間は通算しているのか?」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=783

2017年3月の「働き方改革実行計画」は、時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金など、去る6月に成立した働き方改革推進法に結実した多くの項目のほかに、現時点ではまだ立法につながっていない「柔軟な働き方がしやすい環境整備」という項目があり、そこに雇用型テレワーク、自営型テレワークと並んで、副業・兼業の推進が含まれています。昨年末に厚生労働省の「柔軟な働き方に関する検討会」が報告を出し、これを受けて今年1月に「副業・兼業ガイドライン」と改訂版「モデル就業規則」が公表され、原則として副業・兼業を認めるべきという大方針は明確になりましたが、労働時間の通算問題、労働社会保険の扱いといった具体的な法政策課題は先送りで、ようやく去る7月に「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」が始まったところです。

 この問題については、本連載でも、2016年7月25日に「副業・兼業と労働法上の問題」で概観し、2017年2月27日には「労働時間通算規定の起源」で、工場法にさかのぼって日本におけるこの問題の展開を追いかけました。今回は、世界各国で労働時間の通算がどうなっているかをざっと見てみましょう。EUは1993年に労働時間指令を制定し、近年その改正をめぐってさまざまな動きがありましたが、その中にはこの労働時間の通算問題も含まれていたのです。・・・・

 

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2018年6月21日 (木)

EUのプラットフォーム就業者保護規則案@『労基旬報』2018年6月25日号

『労基旬報』2018年6月25日号に「EUのプラットフォーム就業者保護規則案」を寄稿しました。

 ここ数年、世界的にAIやIoT、プラットフォームやクラウドといった新技術による新たな産業構造の到来(第4次産業革命)がホットなテーマになっています。その中で、労働のあり方も激変するのではないか、それに対してどう対応すべきかということが、法学、経済学、社会学など分野横断的に熱っぽく議論されています。これに対して日本では、事態の進展もそれに関する議論の展開もやや遅れ気味の嫌いがありましたが、昨年来ようやく本格的な議論がなされるようになったようです。私も、総論的な解説をするとともに、とりわけEUレベルにおける政策対応の状況を解説してきました。
 その中でも、EUの行政府である欧州委員会が昨年末に提案した透明で予見可能な労働条件指令案については、『季刊労働法』2018年春号(260号)でかなり詳細に紹介しました。この指令案は主としてオンコール労働者の保護が狙いですが、指令案前文にはプラットフォーム労働者も適用対象に含まれると明記しており、いわば労働者性をプラットフォームを利用して働く人々にも広げる形で対応しようという方向性が窺われます。その後今年3月には自営業者も含めた社会保護アクセスに関する勧告案も提案され、その中には自営業者の失業保険という項目もあります。しかしここまでは労働社会政策、日本でいえば厚生労働省に当たる総局の政策イニシアティブです。
 しかし、こうした新たな就業形態は経済産業政策や競争政策の対象でもあります。日本でもここ数年間、経済産業省や公正取引委員会がこの問題に関する研究会を設け、報告書を公表してきています。同じような動きはEUでもあります。いや、日本の微温的な動きを遥かに超え、プラットフォームを利用して働く人々の保護を目指した立法提案が打ち出されるに至っているのです。今回はこの提案、「オンライン仲介サービスのビジネスユーザーのための公正性と透明性の促進に関する規則案」(Proposal for a Regulation of the European Parliament and of the Council on promoting fairness and transparency for business users of online intermediation services)を紹介したいと思います。これは2018年4月26日に公表されたばかりのホットな話題です。
 その前にEU法について一言。私が主として紹介してきた労働法分野では、EUの立法手段としてはほとんどもっぱら「指令」が使われてきました。指令は加盟国にこういう内容の法律を作れと命ずるものですが、加盟国が立法化をサボっていれば民間企業の労働者が直接EU指令のみを根拠に訴えを起こすことはできません。それに対して「規則」は国内法に転換することを要せず、規則が施行されれば直ちにEU域内の全企業、全市民に適用されます。経済法分野では規則が用いられることが普通です。
 さて、今回の規則案の中身を見ていきましょう。いうまでもなく、本規則案には「労働者」という言葉は出てきません。オンライン仲介サービスを利用する両側の当事者のうち、消費者ではない方、つまり様々な材やサービスを提供する側のことを「ビジネスユーザー」とか「職業的ユーザー」と呼んでいます。あくまでも労働法とは別の、請負や委任といった民法や商法に基づく取引関係に入る人々について、その(「労働条件」ではない)「取引条件」の公正性、透明性を確保するための規制をかけようとしているのです。しかしその具体的な項目を見ていくと、まさに労働者の労働条件の保護のために労働契約にさまざまな規制をかけようとする労働法の発想と見事に対応していることがわかります。
 まず、透明性の向上として、オンライン仲介サービスのプロバイダーは、職業的ユーザーの就労条件が取引関係の全段階で(契約以前の段階も含め)容易に理解可能でアクセス可能なようにしなければなりません。これには事前に職業的ユーザーがプラットフォームから除名されたり資格停止される理由を設定することが含まれます。最近のプラットフォームの急拡大の中で、就業者からプラットフォームへの苦情として提起されているのがこの問題であることを考えれば、規則案の冒頭にこれが出てくるのも頷けます。プロバイダーはまた、就労条件の変更への合理的な最低告知期間を尊重しなければなりません。このあたり、労働法であれば解雇等の雇用終了や労働条件の不利益変更として議論される領域ですが、それを労働者ならざる「ビジネスユーザー」にいわば類推適用のように持ち込んでいるわけです。
 さらに、一般労働者の場合ではあまり見られない、プラットフォーム就業者特有のいくつかの問題にも本規則案は対応しようとしています。すなわち、オンライン仲介サービスのプロバイダーがビジネスユーザーの提供物の全部または一部を保留したり終了したりすれば、このプロバイダーはその理由を述べる必要があります。さらに、これらサービスのプロバイダーは(イ)そのサービスを通じて生み出されたいかなるデータが誰によっていかなる条件下でアクセスされるか、(ロ)職業ユーザーによって提供されたものと比べてプロバイダーの財やサービスをいかに取り扱うか、(ハ)職業ユーザーによって提供された生産物やサービスのもっとも望ましいレンジや価格を求める契約条項を用いるか、に関する一般方針を定式化し公表しなければなりません。最後に、オンライン仲介サービスとオンライン検索エンジンは検索結果において財やサービスがいかにランク付けされるかを決定する一般基準を設定しなければなりません。これらは直接労働者の場合に対応するものではないように見えますが、やや広く捉えれば、労働者の成果の評価や処遇の公正性といった諸問題に対応すると見ることもできます。近年急速に発達したアルゴリズムを用いた評価システムの問題はこれから労働者の評価や処遇にも大いに関わってくる可能性がありますが、プラットフォーム就業者はいわば一足先にその世界に入り込んでいるわけです。
 労働者についても紛争処理システムの整備が重要課題であるように、これらプラットフォーム就業者についても効果的な紛争解決が図られる必要があります。本規則案は、オンライン仲介サービスのプロバイダーが社内に苦情処理制度を設置しなければならないと定めるとともに、裁判外紛争解決を促進するため、すべてのオンライン仲介サービスのプロバイダーは、その就労条件において紛争解決に信義をもってあたろうとする独立かつ資格を有する仲裁人のリストを示さなければならないとしています。さらに話を広げ、業界としての対応策を求めています。すなわち、オンライン仲介サービスの業界にそのサービスから生じる紛争を取り扱う専門の独立仲裁人を設置することを求めているのです。最後に、EUレベルにこの問題を担当する機関を設置するとも述べています。
 確認しますが、これは労働政策としてではなく、経済産業政策として打ち出されたものです。しかしその問題意識は、弱い立場の労働者を保護するために労働法が試みてきた様々な手段と相似的な手法を、プラットフォーム就業者というこれまた経済的に弱い立場の人々を保護するために講じようとするものとなっており、今後世界的にますますプラットフォーム経済、シェアリング経済が発達していく中で、一つの参考資料として注目に値するものと思われます。

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2018年6月14日 (木)

『賃金事情』6/20号のクラウドワーカー記事に登場

Chinginjijo_2018_06_20 産労総合研究所の『賃金事情』6月20日号に、溝上憲文さんが「クラウドワーカーの法的保護と救済はどうあるべきか」という記事を書いていて、その中に、北浦正行さん、浜村彰さんとともに私もちょびっと登場しています。

https://www.e-sanro.net/magazine_jinji/chinginjijo/a20180620.html

『季刊労働法』260号に書いた透明で予見可能な労働条件指令案に加えて、先日本ブログでも紹介したオンライン仲介サービスのビジネスユーザーの公正と透明性規則案にも触れています。

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2018年5月29日 (火)

プラットフォーム就業者保護へのEUの新規則案@WEB労政時報

WEB労政時報に「プラットフォーム就業者保護へのEUの新規則案」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=759

 ここ数年、世界的にAIやIoT、プラットフォームやクラウドといった新技術による新たな産業構造の到来(第4次産業革命)がホットなテーマになっています。その中で、労働のあり方も激変するのではないか、それに対してどう対応すべきかということが、法学、経済学、社会学など分野横断的に熱っぽく議論されています。これに対して日本では、事態の進展もそれに関する議論の展開もやや遅れ気味の嫌いがありましたが、昨年来ようやく本格的な議論がなされるようになったようです。私も、総論的な解説をするとともに、とりわけEUレベルにおける政策対応の状況を解説してきました。
 その中でも、EUの行政府である欧州委員会が昨年末に提案した透明で予見可能な労働条件指令案については、『季刊労働法』2018年春号(260号)でかなり詳細に紹介しました。この指令案は主としてオンコール労働者の保護が狙いですが、・・・・・

この規則案、労働法とは全く違う方面から、しかし労働法の労働者保護的問題意識とよく似た観点で立法介入を試みているという意味において、日本の関係者は必読です。

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2018年5月17日 (木)

EUの公益通報者保護指令案

大内伸哉さんのアモーレブログが公益通報についてあれこれ論じているので、

http://lavoroeamore.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/post-c938.html(公益通報とは)

せっかくなので、先月(4月23日)公表されたばかりのEUの公益通報者保護指令案を紹介しておきます。

https://ec.europa.eu/info/sites/info/files/placeholder_8.pdf

Proposal for a DIRECTIVE OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL on the protection of persons reporting on breaches of Union law

いうまでもなく、EUが権限を有するのはEU法に関わることなので、EU法の違反を通報した人を保護するという指令案になるわけですが、実は、これ、人的適用範囲がかなり広くて、そこが興味深いのです。

いやまずその前に、物的適用範囲は狭くて、第1条に羅列している分野の中に労働法関係は含まれていません。まあ、逆に普通労働法は労働法の紛争処理システムがあるべきなので、消費者保護のコロラリーとしての公益通報に労働者保護法まで含まれている日本の法が不思議なのかもしれません。

それより、人的適用範囲です。

Article 2
Personal scope
1. This Directive shall apply to reporting persons working in the private or public sector who acquired information on breaches in a work-related context including, at least, the following:
a) persons having the status of worker, with the meaning of Article 45 TFEU;
b) persons having the status of self-employed, with the meaning of Article 49 TFEU;
c) shareholders and persons belonging to the management body of an undertaking, including non-executive members, as well as volunteers and unpaid trainees;
d) any persons working under the supervision and direction of contractors, subcontractors and suppliers.
2. This Directive shall also apply to reporting persons whose work-based relationship is yet to begin in cases where information concerning a breach has been acquired during the recruitment process or other pre-contractual negotiation.

今、消費者庁で検討している公益通報者保護法の改正では、労働者以外にも拡大しようかという話になっていますが、EUの指令案はそもそも労働者だけではなく、自営業者、株主や経営者、ボランティアや無報酬の訓練生なども含まれています。

思わずのけぞったのは、第d号の「請負業者、下請業者及びサプライヤーの指揮命令の下で就労するすべての者」というのまで入っていて、うむ、こちらの方では、労働法上の議論がかなりできそうです。

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2018年5月 1日 (火)

EUのオンラインプラットフォーム規則案

去る4月26日、欧州委員会(デジタル経済担当)は、「オンライン仲介サービスのビジネスユーザーのための公正と透明性を促進する規則案」を提案しました。

http://europa.eu/rapid/press-release_IP-18-3372_en.htm

ここでいう「ビジネスユーザー」というのが、まさに労働者性が常に問題となるプラットフォーム就労者のことです。

Increasing transparency: Providers of online intermediation services must ensure that their terms and conditions for professional users are easily understandable and easily available. This includes setting out in advance the possible reasons why a professional user may be delisted or suspended from a platform. Providers also have to respect a reasonable minimum notice period for implementing changes to the terms and conditions. If a provider of online intermediation services suspends or terminates all or part of what a business user offers, this provider will need to state the reasons for this. In addition, the providers of these services must formulate and publish general policies on (i) what data generated through their services can be accessed, by whom and under what conditions; (ii) how they treat their own goods or services compared to those offered by their professional users; and (iii) how they use contract clauses to demand the most favourable range or price of products and services offered by their professional users (so-called Most-Favoured-Nation (MFN) clauses). Finally, both online intermediation services as well as online search engines must set out the general criteria that determine how goods and services are ranked in search results.

透明性の向上:オンライン仲介サービスのプロバイダーは、職業的ユーザーの就労条件が容易に理解可能でアクセス可能なようにしなければならない。これには事前に職業的ユーザーがプラットフォームから除名されたり資格停止される理由を設定することが含まれる。プロバイダーはまた、就労条件の変更への合理的な最低告知期間を尊重しなければならない。オンライン仲介サービスのプロバイダーがビジネスユーザーの提供物の全部または一部を保留したり終了したりすれば、このプロバイダーはその理由を述べる必要がある。さらに、これらサービスのプロバイダーは(イ)そのサービスを通じて生み出されたいかなるデータが誰によっていかなる条件下でアクセスされるか、(ロ)職業ユーザーによって提供されたものと比べてプロバイダーの財やサービスをいかに取り扱うか、(ハ)職業ユーザーによって提供された生産物やサービスのもっとも望ましいレンジや価格を求める契約条項を用いるか、に関する一般方針を定式化し公表しなければならない。最後に、オンライン仲介サービスとオンライン検索エンジンは検索結果において財やサービスがいかにランク付けされるかを決定する一般基準を設定しなければならない。

Resolving disputes more effectively: Providers ofonline intermediation services are required to set up an internal complaint-handling system. To facilitate out-of-court dispute resolution, all providers of online intermediation services will have to list in their terms and conditions the independent and qualified mediators they are willing to work with in good faith to resolve disputes. The industry will also be encouraged to voluntarily set up specific independent mediators capable of dealing with disputes arising in the context of online intermediation services. Finally, associations representing businesses will be granted the right to bring court proceedings on behalf of businesses to enforce the new transparency and dispute settlement rules.

より効果的な紛争解決:オンライン仲介サービスのプロバイダーは、社内に苦情処理制度を設置しなければならない。裁判外紛争解決を促進するため、すべてのオンライン仲介サービスのプロバイダーは、その就労条件において紛争解決に信義をもってあたろうとする独立かつ資格を有する仲裁人のリストを示さなければならない。当該産業はまた、オンライン仲介サービスから生じる紛争を取り扱う専門の独立仲裁人を設置することが求められる。・・・

Setting up an EU Observatory to monitor the impact of the new rules: The Observatory would monitor currentas well as emerging issues and opportunities in the digital economy, with a view to enabling the Commission to follow up on today's legislative proposal if appropriate. Particular attention will be paid to developments in policy and regulatory approaches all over Europe.

そしてEUにこの問題を担当する機関を設置するということです。

この問題は今や世界的に注目を集めていますが、とにかくEUは一歩足を踏み出したようですね。

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2018年1月 8日 (月)

EU透明で予見可能な労働条件指令案に兼業容認規定が・・・

これは久しぶりに、ガチにEU労働法政策ネタです。だって、欧州委員会がが昨年末に公表した「EUにおける透明で予見可能な労働条件に関する指令案」の話ですから。

これについては、その直前までの状況、つまり労使への第1次、第2次協議の内容を、『労基旬報』1月5日号にやや長めに紹介しておいたところですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/12/eu201815-c128.html (EUにおける新たな就業形態に対する政策の試み@『労基旬報』2018年1月5日号)

そこでは触れられていなかったトピックが、今回指令案ではわざわざ1条をとって取り上げられています。それは、日本でも昨年の『働き方改革実行計画』で盛り込まれ、つい先日の検討会報告でガイドライン案が示された兼業副業の容認にかかわるトピックです。

関係の指令案その他の文書はここにアップされていますが、

http://ec.europa.eu/social/main.jsp?langId=en&catId=157&newsId=9028&furtherNews=yes

大部分は上記労基旬報に書いた中身ですが、そこになかったこんな条文が入り込んでいたのです。

Article 8
Employment in parallel
1. Member States shall ensure that an employer shall not prohibit workers from taking up employment with other employers, outside the work schedule established with that employer.
2. Employers may however lay down conditions of incompatibility where such restrictions are justified by legitimate reasons such as the protection of business secrets or the avoidance of conflicts of interests.

「Employment in parallel」って、ある雇用と並行して別の雇用が存在するというイメージの言葉なんでしょうか。まさに兼業副業ですね。

第8条
兼業副業
1 加盟国は、労働者が使用者との間で確立した労働スケジュール以外の時間において、他の使用者との間で雇用されることを、当該使用者が禁止することのないよう確保するものとする。
2 ただし、使用者はかかる制限が営業秘密の保護または利益相反の回避のような合法的な理由によって正当化される場合には不適合の条件を定めることができる。

ふむむ、なんだか、昨年末に例の検討会が示したモデル就業規則案と妙に符合していますね。もちろん、欧州委員会と日本の厚生労働省が示し合わせているなどという陰謀説みたいな話はないので、似た話がタイミングよくかち合ったということなんでしょうけど、いろいろと興味深いです。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000189518.html

  (副業・兼業)
第65条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行う  ものとする。
3 第1項の業務が次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は  制限することができる。  ① 労務提供上の支障がある場合  ② 企業秘密が漏洩する場合  ③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合  ④ 競業により、会社の利益を害する場合

 

 

 

 

 

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2017年10月10日 (火)

EU労働局の創設?

先月、EU委員会のユンケル委員長による所信表明演説(State of the Union Address 2017)があり、その中にちらりとですが、こんな一節がありました。

http://europa.eu/rapid/press-release_SPEECH-17-3165_en.htm

・・・In a Union of equals, there can be no second class workers. Workers should earn the same pay for the same work in the same place. This is why the Commission proposed new rules on posting of workers. We should make sure that all EU rules on labour mobility are enforced in a fair, simple and effective way by a new European inspection and enforcement body. It is absurd to have a Banking Authority to police banking standards, but no common Labour Authority for ensuring fairness in our single market. We will create such an Authority.・・・

・・・平等な者の欧州連合においては、セカンドクラスの労働者はありえない。労働者は同じ場所での同じ仕事には同じ賃金を受け取るべきだ。それゆえ、EU委員会は労働者海外派遣の新たなルールを提案した。我々は、労働移動に関する全てのEUのルールが、新たな欧州の監督・執行機関によって、公正で、簡素で有効なやり方で実行されるよう確保すべきだ。銀行の基準を監督するためには銀行当局を設けているのに、我々の単一市場において公正さを確保するための共通労働当局が存在しないのはばかげている。われわれはそのような当局を創設するつもりだ。・・・

銀行云々のところがよくわからないのを除けば、要はEU域内をあちこち異動する労働者の労働基準監督のために、各国の労働当局とは別に、いわばEU労働局とでもいうべき機関を創設すると、この部分は間違いなく言っているように見えます。

これは結構重大なことを言っているように思われますが、雇用社会総局の方には全然出てきません。これも官邸主導かな?

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