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外国人労働政策

2026年6月 3日 (水)

大内伸哉さんが『外国人労働政策』を書評

Chukogaikoku_20260603234001 大内伸哉さんがそのブログ「アモリスタ・ウモリスタ」で、拙著『外国人労働政策』に懇切な書評を書いていただいています。

https://lavoroeamore.cocolog-nifty.com/amoristaumorista/2026/06/post-313d1b.html

面白い企画の本です。外国人労働政策の歴史を扱ったものですが,日本の外国人労働政策が30年も停滞してしまったのはなぜなのかという謎解きの書でもあります。・・・

拙著の意図を的確にとらえていただいておりまして、こういう書評に出会うととても嬉しくなります。

もちろん,一般国民からみれば,いつもの役所間の権限争いかというように思えますが,法務省と労働省の必死の戦いが見事に描かれており,ぐいぐいと引き込まれていきます。しかも,そこにとどまらないところが秀逸でした。日本型雇用システムと結びつけるところがなるほどと思わされました。両省では,「研修」というものの捉え方が違っていたのです。・・・

そう、労働省と法務省の仁義なき争いはとても分かりやすいし、本書も意図的にそれを前面に出してはいるんですが、それがこういう方向になったのは、労働省がメンバーシップ型にどっぷり漬かっていた時期に、法務省はジョブ型を堅持していて、その認識のずれはまさに「研修」に集約されていたという雇用システム論的な絵解きであって、そこがどれだけ読者に伝わるだろうかというのが、書きながら悩んだところでした。

その先のところで、規制改革会議が登場するあたりについて、本書を先日書評していただいた八代尚宏さんが大内さんにこう言ったそうです。

実は,制度・規制制度改革学会の雇用分科会(分科会の名称は不確定)で,毎月,オンラインで顔を合わせている八代尚宏先生から,1月のミーティングのとき,濱口さんのこの本を読みましたか,と早速聞かれました。役所が,いろんな業界のしがらみから本来の政策を展開できないときに,正論を述べて政策を論じるというのが,この学会の主たる役割だと思いますが,濱口さんのこの本は,八代先生たちが,この学会の精神をはるか昔に実現していた会議の意義を再確認させられたような気がします。・・・

この規制改革会議の(意外な)役割の指摘も、本書に込めたメッセージの一つでした。

 外国人労働政策そのものに関心がある人はもちろんですが,政策はどのように形成され,なぜ歪み,ときに長い時間をかけて迷走するのかという問題に関心がある人にも,ぜひ読んでもらいたい一冊です。私のような労働法屋の立場からも楽しめますし,同時に,優れた政策史・行政史としても読むことができます。

有難い言葉です。「政策はどのように形成され,なぜ歪み,ときに長い時間をかけて迷走するのか」のケーススタディとして読んでいただければ幸いです。

 

 

 

 

2026年5月 7日 (木)

『改革者』5月号で、神林龍さんが拙著を書評

H11 旧民社系のシンクタンク政策研究フォーラムの『改革者』5月号に、神林龍さんが拙著『外国人労働政策』の書評を寄稿されています。1ページを充てて拙著の意のある所をくまなくくみ取っていただいており、ありがたい限りです。

https://www.seiken-forum.jp/publications-top/reformer/

濱口桂一郎著『外国人労働政策』
評者 神林 龍

……本書は、日本の外国人政策がいかに労働(雇用)政策として形成されてき(こなかっ)たのかを、政策形成過程と雇用慣行の関係から体系的に描いた点で、意外に類例の少ない書籍である。とりわけ制度の表層的な記述にとどまらず、その背後にある政策主体の力学と制度的制約に光を当てている点に特色がある。
 内容は大きく二点に整理できる。第一に、外国人政策が省庁間の綱引きの中でどのように形成されてきたのかという点である。著者の官僚経験を背景に、法務省と旧労働省の間の権限争いが具体的に描かれ、政策決定過程のケーススタディとしても読み応えがある。第二に、日本的雇用慣行との整合性という観点から外国人政策を読み解いている点である。……
外国人政策を労働政策として捉え直すことの重要性と同時に、その内実をいかに構想すべきか、本書はこの難問を鋭く提起する。外国人問題に関心を持つ読者にとって、研究的にも政策的にも示唆に富む一冊である。 

 

2026年4月10日 (金)

八代尚宏さんの拙著レビュー@『ビジネスガイド』2026年5月号

Cover_bg202605001_big 『ビジネスガイド』は見るからに実務誌ですが、大内伸哉さんの「キーワードから見た労働法」と八代尚宏さんの「経済学で考える人事労務・社会保険」とは、それぞれ法律と経済のアカデミックな観点からの論説が永年にわたって連載されています。

https://www.horei.co.jp/bg/

その2026年5月号に載った八代さんの連載が「第75回 外国人労働政策の論点」ですが、中身はほぼ拙著『外国人労働政策』(中央公論新社)へのレビューになっています。

・・・この問題について、初めて歴史的に詳細に分析したものが、26年1月に刊行された濱口桂一郎氏の『外国人労働政策-霞が関の権限争いと日本型雇用慣行が招いた混迷の30年史』(中央公論新社)です。これは過去30年間にわたって繰り広げられた「外国人」を所管する法務省と、「労働者」を所管する厚生労働省(旧労働省を含む)との間での激しい対立の歴史を展望したものです。本稿は、濱口氏の著作のレビューを挟みながら、この問題を深掘りしていきます。・・・

この本を読まれた方は気づいていると思いますが、本来労働者の権利を守る立場のはずの労働組合がきちんと切り込めなかった研修・技能実習制度の問題点に対して、切り込んだのがちょうど八代さんが活躍していた頃の規制改革会議や労働市場改革専門調査会であったわけで、その辺の皮肉を感じてもらえたらと思って書いたところもあります。

 

 

2026年4月 4日 (土)

日経新聞に拙著短評

Chukogaikoku_20260404102201 本日の日経新聞読書欄に、拙著『外国人労働政策』の短評が載っています。1段半のベタ記事ですが、拙著の中身を要領よく伝えてくれています。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO95430170T00C26A4MY6000/

 労働政策研究の第一人者が日本の外国人労働政策の歴史を振り返り、知られざる事実を解き明かした。 例えば諸外国から「現代の奴隷契約」と批判された技能実習制度。この仕組みが30年以上も続いた拝啓について、移民に対する拒否反応への配慮や開国論者と鎖国論者の綱引きがあると一般には整理されがちだ。  これに対し、本書では制度がゆがんだのは排外主義の政治家や狭量な国民のせいではないと分析。法務省と旧労働省の縄張り争いが真因だと喝破している。  入国管理の権限を旧労働省に侵されることを恐れた法務省が、外国人を労働力として正面から受け入れることを拒絶した構図だ 。・・・・・

2026年3月29日 (日)

谷口功一さんがYoutubeで拙著を書評

谷口功一さんがYoutubeの「とっとり研究所」で拙著を書評されています、それも、なんと30分近くかけて、丁寧に拙著の言わんとするところを解説していただいておりまして、恐縮千万であります。

https://www.youtube.com/watch?v=cDpUKfU4Xog

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動画の冒頭で谷口さんも語っていますが、実はわたくしは谷口さんとは、今から20年近く前に日本学術会議立法学シンポジウム報告「労働法学の観点から」で共演させていただいたことがあります。

https://www.scj.go.jp/ja/event/pdf/39-s-1-1.pdf

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そういう縁のある方に、こうして動画で書評していただいたというのは、大変嬉しくまた有り難く感じております。

本書は、新聞記事を史料として使った歴史書であるということ、をちゃんと伝えていただいたことにも、感謝しております。

2026年3月23日 (月)

月刊Hanadaプラスで梶原麻衣子さんが拙著書評

Chukogaikoku_20260323201601 月刊Hanadaプラスの「読書亡羊」というコーナーで、梶原麻衣子さんに拙著『外国人労働政策』を書評していただいております。

https://hanada-plus.jp/articles/1865

この月刊Hanadaプラスというのは、月刊WILLと並ぶあの「右翼雑誌」の月刊HanadaのWEB版で、書評されている梶原麻衣子さんというのは、まさにそのWILLやHanadaで編集者を務め、その舞台裏を『右翼雑誌の舞台裏』という本に赤裸々に描き出したその梶原さんであります。

というわけで、どんな風に書評されているのか恐る恐る覗いてみましたが、おおむね本書の趣旨を好意的に読んでいただいたようでほっとしております。

なぜ外国人労働者を受け入れる制度が「研修」を前面に出し、当人たちを「実習生」などと呼んできたのか。右に「事実上の『移民』であることをごまかすためではないか」という人がいれば、左には「『研修』名目、『実習生』であるという建前で外国人を安く使い倒し、搾取するためだろう」という人もいる。

実際のところ、なぜこんな制度になってしまったのか。

その謎を解き明かすのが濱口桂一郎『外国人労働政策――霞が関の権限争いと日本型雇用慣行が招いた混迷の30年史』(中央公論新社)だ。

「なぜ」の答えは、この副題にある。

つまるところ、外国人労働政策の迷走の理由は二つあり、一つは労働政策を担う労働省(後に厚生労働省)と、外国人の入管業務を担う法務省の間での縄張り争い。もう一つは、「真っ白な新人を採用して一から育てる」という雇用慣行と外国人受け入れ時のミスマッチにあったという。

著者の濱口氏は労働省出身の元霞が関官僚。となると「労働省びいきで、縄張り争いを展開した法務省を悪玉にしているのではないか」と心配されるところだが、そんなことはないフェアな筆致で、当時の経緯を謎解きのように紐解いている。

そして最後のところもわたくしの問題意識を的確にとらえていただいており、嬉しく思いました。

だが本書は〈混迷の三〇年は終わりを告げました、とこの話を終えるわけには行きません。実はまだ問題が残っていました〉と述べる。

それは、省益争いに端を発して「サイドドア」的な仕組みから始まってしまった外国人労働政策が、それゆえに「労働ではない」から始まって「あくまでも研修」「国際貢献の一環」などとされてきた問題を払拭しきれていなかったことである。

このズレは省益争いのみならず、本書が指摘する「日本型雇用環境と外国人労働・在留資格のミスマッチ」から生じたものでもある。

詳しくは本書をお読みいただきたいが、つまるところ「労働市場では、ある程度の技能を持っている人間を能力に応じて雇用する」という海外で主流のジョブ型と、「大学卒業時点では真っ白な白紙で、丁稚宜しく雑巾がけから始める」という日本型雇用のミスマッチにより、外国人を雇用する際に「その技能に合わせて相応の待遇で迎え入れる」という発想が抜けていたことに帰結するのだ。

移民や外国人労働者の問題はこうした議論から実に40年近く経った現在に至って、ようやく多くの国民が関心を抱くイシューになってきた面もある。結論ありきの賛否を唱える前に、まずは本書で議論の過程を抑えておきたい。

 

 

 

 

2026年3月14日 (土)

毎日新聞で『外国人労働政策』の書評

Chukogaikoku_20260314082101 本日の毎日新聞の書評欄に、松原隆一郎さんによる拙著『外国人労働政策』の書評が載っています。

https://mainichi.jp/articles/20260314/ddm/015/070/011000c

高市早苗首相が2月末の参議院本会議で外国人労働者の在留資格である「特定技能2号」につき、「受け入れ人数の上限を設定していない」と答弁した。在留更新無制限、家族同伴可であるこの枠の「上限を首相が撤廃した」と早とちりした一部保守層が、「移民開始宣言」だと批判している。・・・

という昨今の話から始まり、

 ・・・外国人労働者の在留資格はなぜかくも複雑なのか。本書はその経緯を詳述、とりわけ1980年代以降、「使用者、労働者、公益を代表する三者構成」や「労働者への許可」といった労働政策の原則抜きで在留資格が設定された点に注目する。働きに来た人々に「労働者ではない」資格を与え、矛盾を取り繕うために複雑化したのである。

 なぜ労働政策の原則は骨抜きにされたのか。その解明が本書の主題で、第一には「法務省と労働省の権限争い」がある。1989年の入管法改正で「日系人」、もしくは原則として就労が認められない「研修生」に在留資格が認められた。2016年の「技能実習法」で技能実習生として就労資格と正当な報酬が与えられるまで、法務省の入国管理局が外国人労働者を管理する権限を握り、労働省の職業安定局は外された。両省の暗闘は公文書には記されないものの新聞には断片的に報じられており、丹念に再構成している。・・・

と、本書の内容を説明していきます。

ただ、正直言ってやや思い込みで細かなところを飛ばしながら読まれてしまったようで、本書には書いていないし、事実にも反することがいくつも出てきます。これだけの分量で全国紙に書評をしていただいたのは有り難いことではあるのですが、この書評「だけ」を見て、この本ではこんなことを主張しているのかなどと思わないようにしていただければと思います。

 

 

 

 

 

 

 

2026年3月10日 (火)

『月刊公明』4月号に拙著書評

G112604500  『月刊公明』4月号に、是川夕さんが拙著『外国人労働政策』の書評を寄稿されています。

https://komeiss.jp/products/detail.php?product_id=431

是川さんは云うまでもなく『ニッポンの移民』(ちくま新書)で知られる外国人問題の専門家ですが、その目に拙著はどのように映ったのでしょうか。

 技能実習制度がなぜできたのか。この極めてシンプルな問に正面から答えると同時に、その理由を企業や政治家、政府など特定のアクター(主体)の意図に還元せず、当時の行政内部での政策過程、および勢いを増していた日本型雇用への評価の高まりから説明したのが本書である。・・・

その説明は概ね妥当だと判断していただきました。

 私も外国人労働者政策を専門としており、同時期の制度形成については近著『ニッポンの移民』(ちくま新書)で扱ったが、濱口氏の「意図せざる結果」としての技能実習制度の創設、その背景にある行政官のセクショナリズム、日本型雇用の影響という見方は妥当であり、その学術的意義は大きいと考える。
 さらに本書は戦後日本の労働政策上にこれらを位置づけ、今後の外国人労働者政策を具体的な制度論として示した点が類書に例を見ない画期的な点だ。
 最後に80年代後半の労働省と法務省の対立の最終局面において、在日韓国民団が労働省案による在日コリアンへの就職差別悪化の恐れを主張したことで、この対立が法務省側の勝利に終わったことは興味深い。当時の政府を含めた世論が在日韓国民団の側に近かったことを示すものであり、現代の私たちにとっても教訓に満ちたものといえるだろう。

最後のところについては、そもそも当時の労働官僚が外国人という問題を取り上げる際に在日韓国人の問題を全く考えておらず、民団の抗議を受けて初めて気がついたという状況であったことが大きかったのではないかと思います。

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2026年3月 6日 (金)

丸善ジュンク堂書店のPR誌『書標』に拙著の書評

Honnoshirube202603 丸善ジュンク堂書店のPR誌『書標』に拙著『外国人労働政策』の書評が載りました。

https://cdn.shopify.com/s/files/1/0858/8266/7312/files/2026honnoshirube.03.pdf

Chukogaikoku_20260306203901 最近の選挙でも争点に上がってくる外国人政策。しかし、日本が今まで移民に対しどう対応してきたのか、何ともわかりにくく感じることはないだろうか。三〇年以上前から労働力として外国人が求められる状況がありながら、法的に受け入れるのは定住者としての日系人と表向きは労働力ではない研修生という枠組みが続き、そのひずみにより多くの人権問題が起こってきた。ここ数年でだいぶ整理されてきたとはいえ、まだ矛盾を抱えている。なぜこのような奇妙な状態になってしまったのか。当時の報道などを引きながら、元労働省に属し、労働政策の第一人者である著者が解き明かす。見えてくるのが当時の法務省と労働省の権限争いと、実情を鑑みずに作られた制度設計。自分の立ち位置から見えることを全てとし、立場の違う提言は排除する… …人権も国力も関わるこの問題、当時の愚を繰り返さぬようにしたい。

本屋さんのオススメに入れていただいたというのは、とてもうれしいことです。

 

 

2026年3月 5日 (木)

沖縄タイムズに拙著の書評が

Chukogaikoku_20260305142301 沖縄タイムズの2月28日号に、拙著『外国人労働政策』の本格的な書評が載っていました。評者は、『移民の経済学』(中公新書)を書かれている青山学院大学の友原章典さんです。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1783970

 本書は、日本における近年の外国人受け入れ制度の変遷を整理した労作だ。とりわけ多くのページが「外国人労働問題の中心を占め続けてきた」とする「ブルーカラー外国人労働者」の考察に割かれている。

 ブルーカラー労働者である外国人を、就労ではないというゆがんだ形で受け入れてきた問題点。本書ではその制度的問題は、(旧)労働省対法務省という霞が関の権限闘争に起因すると分析する。その上で、日本型雇用システムに基づいた思想もそうした制度設計に影響したという。・・・

歴史書として謎解きを試みた本書の趣旨をきちんと受け止めていただいていますが、おそらく移民問題研究者としての関心の在処の違いもあり、問題はそこじゃない、と感じられたのでしょう。

・・・最近議論となっている生活者としての外国人の側面には踏み込まない本書。生活者という視点の欠如が現在の混乱をもたらしているという議論に興味のある読者には期待外れの内容かも知れない。・・・

という批判(この「読者」は友原さんご自身でしょう)も書かれています。