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外国人労働政策

2026年8月25日 (火)

マシナリさんの拙著評

Chukogaikoku_20260825132801 以前から拙著を丁寧に書評してきていただいているマシナリさんが、ひさしぶりにブログを大幅に更新されています。

新たに4件エントリを書かれていて、うち3件は海老原嗣生さんの本ですが(『静かな退職』『就職氷河期世代論のウソ』『外国人急増、日本はどうなる』)、残りの1本は拙著『外国人労働政策』でした。

日本型雇用システムとの葛藤によって説明するという試み

まさしく拙著の狙いである「日本型雇用システムとの葛藤によって」外国人雇用政策の混迷の30年を「説明する」という試みを真正面から論じてくださっています。

そして、労働者本人ではなく労働者を雇用する企業への助成ばかり志向する考え方は今日においても厚労省では変わっていないのではないかという深刻な問いかけもされています。

私が東日本大震災後の雇用対策に奔走していた15年前の話ですが、某省から被災地の自治体に出向していた中央省庁(厚労省ではない)の官僚から「厚労省に被災者の雇用支援をお願いに行ったら、直接労働者に支援することはできないが雇用した企業への支援なら可能だと言われたので、ふざけるなとけんかしてきた」という話を聞いたことがあります。

が、マシナリさんが読みながら思わずニヤリとしたのは、一見枝葉末節に見えるこの一節だったようです。

官邸主導が確立して久しい今日の霞が関とは異なり、当時の霞が関は省庁間の権限争いが日常茶飯事でした。とりわけ、当時の通商産業省(現経済産業省)に典型的ですが、他省庁の所管分野に口出しをし、あわよくば権限を奪ってしまおうという行動様式が他の省庁にも広まりつつありました。長年入管行政に携わってきた法務省の官僚たちにとって、外国人労働問題が急に話題になったからといって、新参者の労働省がしゃしゃり出てきて権限を奪おうとしているように見えたのは当然のことかもしれません。
濱口『同』p.36

権限争いの筆頭格として突然の通産省disが繰り出されていて、それが「熱い風評被害」とか「なんでや!阪神関係ないやろ!」ではないところに微笑みを禁じ得ません。

ここは、20世紀の霞が関を経験した中高年齢者だけが分るニヤリの素が振りかけてありますので。

 

 

 

 

2026年8月 9日 (日)

「外国人労働政策と日本型雇用システム」及び古賀玖美さんの書評@『季刊労働者の権利』366号

20260725_rensai4724x1024 日本労働弁護団の『季刊労働者の権利』366号が「排外主義と外国人労働」という特集を組んでおり、そこにわたくしも「外国人労働政策と日本型雇用システム」を寄稿しております。

https://roudou-bengodan.com/quarterly_newspaper/365%e5%8f%b7%ef%bc%882026%e5%b9%b47%e6%9c%88%e7%99%ba%e8%a1%8c%ef%bc%89/

特集1  排外主義と外国人労働

2 ILO専門委員会の育成就労制度における募集・斡旋手数料を移民労働者に課すことを撤廃する提言 香川 孝三
11 外国人労働政策と日本型雇用システム 濱口 桂一郞
19 三重県職員国籍要件事件 金 銘愛

わたくしの論は、『外国人労働政策』のダイジェストですが、ちょうどこの号に古賀玖美さんによるこの拙著の書評が載っているので、その参考にも使えるかと思います。

1 はじめに
 日本の外国人労働政策は長らくフロントドア型ではなくサイドドア型であった。本音では人手不足を補うために外国人労働力を導入したいのに、建前上はそうではなく、労働者ではなく身分として在留を認める日系人が、入国後は労働者として自由に働けるという仕組みと、労働者ではなく学生のような立場である研修生として在留を認め、実際には労働者と同じ作業をさせるという仕組みが、1989年の出入国管理及び難民認定法(入管法)改正で設けられた。前者はほぼそのまま維持されたが、後者は後述のような経緯で少しずつ労働者性を認め、労働者として在留を認める方向にシフトしてきた。

2 霞が関の権限争いと日本型雇用イデオロギーの影響
3 日系南米人というサイドドア
4 非就労在留資格としての研修
5 研修と技能実習の無原則的結合
6 技能実習の確立
7 特定技能というフロントドア
8 特定技能の前段階としての育成就労へ
9 労働力需給調整システムの問題
10 技人国と日本型雇用システムの矛盾
11 高度専門職の虚実
12 留学生のアルバイト

Chukogaikoku_20260809141401 そして、この号の後ろの方の書評コーナーでは、古賀玖美さんによるこの本の書評が載っています。

濱口桂一郞 著 中央公論新社
『外国人労働政策-霞が関の権限争いと日本型雇用慣行が招いた混迷の30年史』 古賀 玖美

丁寧な紹介で、「新鮮かつ刺激的な一冊」と評価いただいております。

・・・・・政策の形成過程に焦点を当て、客観的な史料とともにその根本的なねじれの原因を解き明かす。歴史書でありながら外国人労働政策を巡る議論に新たなアプローチを試みるもので、新鮮かつ刺激的な一冊である。

 本書は、外国人労働者政策が政治主導で行われ、労働政策からの観点を欠落させてしまっていたことを「混迷の30年」の教訓とする。育成就労制度の開始も控え、外国人労働者政策がなにかと注目を浴びる昨今、混迷の歴史と教訓を伝える本書の果たす役割はますます重要であると思われる。 

 

 

 

 

 

 

 

2026年6月29日 (月)

橘大樹さんの拙著書評@『経営法曹』

Chukogaikoku_20260629093301 経営法曹会議の機関誌『経営法曹』の2026年6月20日号(第228号)に、橘大樹さんによる拙著『外国人労働政策』への書評が載っています。3ページにわたって、詳細かつ丁寧に拙著を論じていただいております。

とりわけ、その最後の「本書から得られる学び」の項では、このように望外の言葉までいただいていります。

……今回、本書を読むことで気づかされたのは、我々が日本型雇用システムの価値観を無意識のうちに内面化しているおそれがあるということである。先述のように、外国人労働政策を巡る立法資料等を見ても、「日本型雇用慣行がこうなっているからサイドドアの仕組みを設計しました」という話が出てくるわけではない。「人材の受入れや育成、教育はこうあるべきである」という無意識が、かくも歪な制度につながったとのではないかという話である。  このように、明示された日本型雇用慣行との関係性(戦術の解雇権濫用法理)だけでなく、我々が知らず知らずのうちに内面化している「雇用システムはこうあるべき」という思い込みが、歪んだプロダクトを生み出してしまうかもしれないという「視座」を、本書を通じて感じた次第である。依頼者からの相談内容、個々のケースに登場する人事セ策やその運用、当事者・関係者の言動や言い分、あるいは自分自身の理解・分析には、システムの内側に組み込まれていることで気が付けない歪みがどこか作用しているのかもしれない。そうした労働法実務における視座獲得のトレーニングにもなる一冊である。

 

2026年6月 3日 (水)

大内伸哉さんが『外国人労働政策』を書評

Chukogaikoku_20260603234001 大内伸哉さんがそのブログ「アモリスタ・ウモリスタ」で、拙著『外国人労働政策』に懇切な書評を書いていただいています。

https://lavoroeamore.cocolog-nifty.com/amoristaumorista/2026/06/post-313d1b.html

面白い企画の本です。外国人労働政策の歴史を扱ったものですが,日本の外国人労働政策が30年も停滞してしまったのはなぜなのかという謎解きの書でもあります。・・・

拙著の意図を的確にとらえていただいておりまして、こういう書評に出会うととても嬉しくなります。

もちろん,一般国民からみれば,いつもの役所間の権限争いかというように思えますが,法務省と労働省の必死の戦いが見事に描かれており,ぐいぐいと引き込まれていきます。しかも,そこにとどまらないところが秀逸でした。日本型雇用システムと結びつけるところがなるほどと思わされました。両省では,「研修」というものの捉え方が違っていたのです。・・・

そう、労働省と法務省の仁義なき争いはとても分かりやすいし、本書も意図的にそれを前面に出してはいるんですが、それがこういう方向になったのは、労働省がメンバーシップ型にどっぷり漬かっていた時期に、法務省はジョブ型を堅持していて、その認識のずれはまさに「研修」に集約されていたという雇用システム論的な絵解きであって、そこがどれだけ読者に伝わるだろうかというのが、書きながら悩んだところでした。

その先のところで、規制改革会議が登場するあたりについて、本書を先日書評していただいた八代尚宏さんが大内さんにこう言ったそうです。

実は,制度・規制制度改革学会の雇用分科会(分科会の名称は不確定)で,毎月,オンラインで顔を合わせている八代尚宏先生から,1月のミーティングのとき,濱口さんのこの本を読みましたか,と早速聞かれました。役所が,いろんな業界のしがらみから本来の政策を展開できないときに,正論を述べて政策を論じるというのが,この学会の主たる役割だと思いますが,濱口さんのこの本は,八代先生たちが,この学会の精神をはるか昔に実現していた会議の意義を再確認させられたような気がします。・・・

この規制改革会議の(意外な)役割の指摘も、本書に込めたメッセージの一つでした。

 外国人労働政策そのものに関心がある人はもちろんですが,政策はどのように形成され,なぜ歪み,ときに長い時間をかけて迷走するのかという問題に関心がある人にも,ぜひ読んでもらいたい一冊です。私のような労働法屋の立場からも楽しめますし,同時に,優れた政策史・行政史としても読むことができます。

有難い言葉です。「政策はどのように形成され,なぜ歪み,ときに長い時間をかけて迷走するのか」のケーススタディとして読んでいただければ幸いです。

 

 

 

 

2026年5月 7日 (木)

『改革者』5月号で、神林龍さんが拙著を書評

H11 旧民社系のシンクタンク政策研究フォーラムの『改革者』5月号に、神林龍さんが拙著『外国人労働政策』の書評を寄稿されています。1ページを充てて拙著の意のある所をくまなくくみ取っていただいており、ありがたい限りです。

https://www.seiken-forum.jp/publications-top/reformer/

濱口桂一郎著『外国人労働政策』
評者 神林 龍

……本書は、日本の外国人政策がいかに労働(雇用)政策として形成されてき(こなかっ)たのかを、政策形成過程と雇用慣行の関係から体系的に描いた点で、意外に類例の少ない書籍である。とりわけ制度の表層的な記述にとどまらず、その背後にある政策主体の力学と制度的制約に光を当てている点に特色がある。
 内容は大きく二点に整理できる。第一に、外国人政策が省庁間の綱引きの中でどのように形成されてきたのかという点である。著者の官僚経験を背景に、法務省と旧労働省の間の権限争いが具体的に描かれ、政策決定過程のケーススタディとしても読み応えがある。第二に、日本的雇用慣行との整合性という観点から外国人政策を読み解いている点である。……
外国人政策を労働政策として捉え直すことの重要性と同時に、その内実をいかに構想すべきか、本書はこの難問を鋭く提起する。外国人問題に関心を持つ読者にとって、研究的にも政策的にも示唆に富む一冊である。 

 

2026年4月10日 (金)

八代尚宏さんの拙著レビュー@『ビジネスガイド』2026年5月号

Cover_bg202605001_big 『ビジネスガイド』は見るからに実務誌ですが、大内伸哉さんの「キーワードから見た労働法」と八代尚宏さんの「経済学で考える人事労務・社会保険」とは、それぞれ法律と経済のアカデミックな観点からの論説が永年にわたって連載されています。

https://www.horei.co.jp/bg/

その2026年5月号に載った八代さんの連載が「第75回 外国人労働政策の論点」ですが、中身はほぼ拙著『外国人労働政策』(中央公論新社)へのレビューになっています。

・・・この問題について、初めて歴史的に詳細に分析したものが、26年1月に刊行された濱口桂一郎氏の『外国人労働政策-霞が関の権限争いと日本型雇用慣行が招いた混迷の30年史』(中央公論新社)です。これは過去30年間にわたって繰り広げられた「外国人」を所管する法務省と、「労働者」を所管する厚生労働省(旧労働省を含む)との間での激しい対立の歴史を展望したものです。本稿は、濱口氏の著作のレビューを挟みながら、この問題を深掘りしていきます。・・・

この本を読まれた方は気づいていると思いますが、本来労働者の権利を守る立場のはずの労働組合がきちんと切り込めなかった研修・技能実習制度の問題点に対して、切り込んだのがちょうど八代さんが活躍していた頃の規制改革会議や労働市場改革専門調査会であったわけで、その辺の皮肉を感じてもらえたらと思って書いたところもあります。

 

 

2026年4月 4日 (土)

日経新聞に拙著短評

Chukogaikoku_20260404102201 本日の日経新聞読書欄に、拙著『外国人労働政策』の短評が載っています。1段半のベタ記事ですが、拙著の中身を要領よく伝えてくれています。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO95430170T00C26A4MY6000/

 労働政策研究の第一人者が日本の外国人労働政策の歴史を振り返り、知られざる事実を解き明かした。 例えば諸外国から「現代の奴隷契約」と批判された技能実習制度。この仕組みが30年以上も続いた拝啓について、移民に対する拒否反応への配慮や開国論者と鎖国論者の綱引きがあると一般には整理されがちだ。  これに対し、本書では制度がゆがんだのは排外主義の政治家や狭量な国民のせいではないと分析。法務省と旧労働省の縄張り争いが真因だと喝破している。  入国管理の権限を旧労働省に侵されることを恐れた法務省が、外国人を労働力として正面から受け入れることを拒絶した構図だ 。・・・・・

2026年3月29日 (日)

谷口功一さんがYoutubeで拙著を書評

谷口功一さんがYoutubeの「とっとり研究所」で拙著を書評されています、それも、なんと30分近くかけて、丁寧に拙著の言わんとするところを解説していただいておりまして、恐縮千万であります。

https://www.youtube.com/watch?v=cDpUKfU4Xog

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動画の冒頭で谷口さんも語っていますが、実はわたくしは谷口さんとは、今から20年近く前に日本学術会議立法学シンポジウム報告「労働法学の観点から」で共演させていただいたことがあります。

https://www.scj.go.jp/ja/event/pdf/39-s-1-1.pdf

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そういう縁のある方に、こうして動画で書評していただいたというのは、大変嬉しくまた有り難く感じております。

本書は、新聞記事を史料として使った歴史書であるということ、をちゃんと伝えていただいたことにも、感謝しております。

2026年3月23日 (月)

月刊Hanadaプラスで梶原麻衣子さんが拙著書評

Chukogaikoku_20260323201601 月刊Hanadaプラスの「読書亡羊」というコーナーで、梶原麻衣子さんに拙著『外国人労働政策』を書評していただいております。

https://hanada-plus.jp/articles/1865

この月刊Hanadaプラスというのは、月刊WILLと並ぶあの「右翼雑誌」の月刊HanadaのWEB版で、書評されている梶原麻衣子さんというのは、まさにそのWILLやHanadaで編集者を務め、その舞台裏を『右翼雑誌の舞台裏』という本に赤裸々に描き出したその梶原さんであります。

というわけで、どんな風に書評されているのか恐る恐る覗いてみましたが、おおむね本書の趣旨を好意的に読んでいただいたようでほっとしております。

なぜ外国人労働者を受け入れる制度が「研修」を前面に出し、当人たちを「実習生」などと呼んできたのか。右に「事実上の『移民』であることをごまかすためではないか」という人がいれば、左には「『研修』名目、『実習生』であるという建前で外国人を安く使い倒し、搾取するためだろう」という人もいる。

実際のところ、なぜこんな制度になってしまったのか。

その謎を解き明かすのが濱口桂一郎『外国人労働政策――霞が関の権限争いと日本型雇用慣行が招いた混迷の30年史』(中央公論新社)だ。

「なぜ」の答えは、この副題にある。

つまるところ、外国人労働政策の迷走の理由は二つあり、一つは労働政策を担う労働省(後に厚生労働省)と、外国人の入管業務を担う法務省の間での縄張り争い。もう一つは、「真っ白な新人を採用して一から育てる」という雇用慣行と外国人受け入れ時のミスマッチにあったという。

著者の濱口氏は労働省出身の元霞が関官僚。となると「労働省びいきで、縄張り争いを展開した法務省を悪玉にしているのではないか」と心配されるところだが、そんなことはないフェアな筆致で、当時の経緯を謎解きのように紐解いている。

そして最後のところもわたくしの問題意識を的確にとらえていただいており、嬉しく思いました。

だが本書は〈混迷の三〇年は終わりを告げました、とこの話を終えるわけには行きません。実はまだ問題が残っていました〉と述べる。

それは、省益争いに端を発して「サイドドア」的な仕組みから始まってしまった外国人労働政策が、それゆえに「労働ではない」から始まって「あくまでも研修」「国際貢献の一環」などとされてきた問題を払拭しきれていなかったことである。

このズレは省益争いのみならず、本書が指摘する「日本型雇用環境と外国人労働・在留資格のミスマッチ」から生じたものでもある。

詳しくは本書をお読みいただきたいが、つまるところ「労働市場では、ある程度の技能を持っている人間を能力に応じて雇用する」という海外で主流のジョブ型と、「大学卒業時点では真っ白な白紙で、丁稚宜しく雑巾がけから始める」という日本型雇用のミスマッチにより、外国人を雇用する際に「その技能に合わせて相応の待遇で迎え入れる」という発想が抜けていたことに帰結するのだ。

移民や外国人労働者の問題はこうした議論から実に40年近く経った現在に至って、ようやく多くの国民が関心を抱くイシューになってきた面もある。結論ありきの賛否を唱える前に、まずは本書で議論の過程を抑えておきたい。

 

 

 

 

2026年3月14日 (土)

毎日新聞で『外国人労働政策』の書評

Chukogaikoku_20260314082101 本日の毎日新聞の書評欄に、松原隆一郎さんによる拙著『外国人労働政策』の書評が載っています。

https://mainichi.jp/articles/20260314/ddm/015/070/011000c

高市早苗首相が2月末の参議院本会議で外国人労働者の在留資格である「特定技能2号」につき、「受け入れ人数の上限を設定していない」と答弁した。在留更新無制限、家族同伴可であるこの枠の「上限を首相が撤廃した」と早とちりした一部保守層が、「移民開始宣言」だと批判している。・・・

という昨今の話から始まり、

 ・・・外国人労働者の在留資格はなぜかくも複雑なのか。本書はその経緯を詳述、とりわけ1980年代以降、「使用者、労働者、公益を代表する三者構成」や「労働者への許可」といった労働政策の原則抜きで在留資格が設定された点に注目する。働きに来た人々に「労働者ではない」資格を与え、矛盾を取り繕うために複雑化したのである。

 なぜ労働政策の原則は骨抜きにされたのか。その解明が本書の主題で、第一には「法務省と労働省の権限争い」がある。1989年の入管法改正で「日系人」、もしくは原則として就労が認められない「研修生」に在留資格が認められた。2016年の「技能実習法」で技能実習生として就労資格と正当な報酬が与えられるまで、法務省の入国管理局が外国人労働者を管理する権限を握り、労働省の職業安定局は外された。両省の暗闘は公文書には記されないものの新聞には断片的に報じられており、丹念に再構成している。・・・

と、本書の内容を説明していきます。

ただ、正直言ってやや思い込みで細かなところを飛ばしながら読まれてしまったようで、本書には書いていないし、事実にも反することがいくつも出てきます。これだけの分量で全国紙に書評をしていただいたのは有り難いことではあるのですが、この書評「だけ」を見て、この本ではこんなことを主張しているのかなどと思わないようにしていただければと思います。