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日本の雇用と中高年

2023年8月19日 (土)

『日本の雇用と中高年』に久しぶりの読書メーター書評

4480067736_20230819131801 『日本の雇用と中高年』(ちくま新書)を出したのは2014年ですから、今からもう9年前になりますが、それでも細々と読み継ぐ方がおられるようで、最近も読書メーターにアナクマさんのこんな書評が投稿されていました。

https://bookmeter.com/reviews/115422945

アナクマ雇用問題を雇用システム改革の問題として論じる。例えば、ライフサイクルに応じて労働者にかかるコストは「社会が健全に再生産していくために必要不可欠なコストですが、労働者の提供する労務の対価とは直接関係がありません」そこで、さまざまな社会保障や雇用上の対応策が採られるが、それらの保障システムは互いに関わり合っているので、一部をいじれば済むという話ではない。◉「表層的な損得論をもてあそんでいるような人々の手に負え」ないのだと断じる彼の著作は、雇用問題全般の基礎構造を知るためには必読だと思います。

2018年7月 5日 (木)

『働くおっさんの運命』にすればよかった・・・かな?

なんだか、「おっさん」論が盛んなようです。

http://bunshun.jp/articles/-/8051(おっさんは差別されてもいいのか この時代の新しい被差別階級について)

いやまあ、元のNewsPicksもネタなら、この斬込隊長の記事もネタなので、マジレスするのはカコワルイというものなのかも知れませんが、いやマジレスというよりも、こんなに「おっさん」が受けるのであれば、あの本のタイトルも『働くおっさんの運命』とかにしておけばも少し売れたかも知れない、などと感じたもので。

http://hamachan.on.coocan.jp/chikumabookreview.htm

41mvhocvl労働問題の責任ある唯一の答えは「長く生き、長く働く」を目指すことしかない。けれど社会環境が激変しつつあるなか、雇用と働き方をめぐる問題が噴出している。ひとたびレールを外れると、年齢が足枷になって再挑戦もままならない。損か得か……などといった不毛な議論では、この状況の大転換を見失ってしまう。感情論では雇用は増えないし、不公平も解決できないのだ。では、矛盾だらけの建前と本音のどこが問題か。どのような制度設計が可能なのか。第一人者が労働問題の本質を平易に解き明かす。

2017年11月29日 (水)

読書メーターで拙著3つに短評

書評サイトの読書メーターに、ここ数日間に拙著3つへの短評がアップされています。

41mvhocvlまず、若者本や女子本に比べて一番売れ行きの悪い『日本の雇用と中高年』(ちくま新書)に、Nobu Asaokaさんが、

https://bookmeter.com/reviews/68104120

購入本読了。インターネットやAIの出現で社会環境が激変している中、直面する労働問題の唯一の答えは筆者曰く「長く生き、長く働く」。ぐうの音も出ない正論。日本と欧米諸国との雇用システムの違いを「メンバーシップ型社会」と「ジョブ型社会」と別け、その理由を歴史的な変遷と事例を挙げながら解りやすく解説。複雑怪奇な労働システムの全貌が見えてくる。知的熟練を前提に確立した年功賃金や終身雇用が不安定な今、システム改革を提唱。しかし、医療や年金等の福利厚生も一緒に考えなければならず、一筋縄ではいかない。

「複雑怪奇な労働システムの全貌が見えてくる」との評価、有り難いです。売れ行きが悪いのは、標的にされている当の中高年男性たちが、自分の置かれた状況を正面から直視したくないから読みたがらないからかも。

Chuko若者本の方は、kastroさんが

https://bookmeter.com/reviews/68022677

日本は世界でも稀なメンバーシップ制=特にスキルがなくても人間力で採用する新卒採用制によって主に雇用を維持している。それは欧米のジョブ型=欠員補充制とは違い、若年層の失業率の低く抑える一方で転職のしにくさや企業のブラック化などを招いている。ジョブ型にシフトするにあたり、学生の経験不足、スキル不足が起きることが予想されるが、ドイツのようにデュアルシステムを採用することにより、解決できるはずである。/日本の労働問題を解決するにはまだまだ時間が必要だなぁと思った。

こっちも、今なお同じような議論が繰り返されているようです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23614550X11C17A1000000/(新卒一括採用の見直しを MIT教授の日本復活論)

https://twitter.com/mohno/status/934926591934599168

メンバーシップ型からジョブ型にすれば、企業は即戦力を求めて新人研修をしなくなり、見込みのない部署は切り捨てられ、格差が拡大し、社会は一層不安定化する可能性が高いわけで、日本にそんな選択ができると思う?

Img_752f5d874047328e26f434ce08fbda5一方、女子本にはSAYAさんが、

https://bookmeter.com/reviews/68134614

働く女性を取り巻く難しさを、過去から現代にいたるまで論じて頂けて、ようやくわかった気になっています。理解できたとは言えませんが。日本の社会、根付いている人々の意識、西洋の思想の部分輸入、それらを発端とする給与や労働制度……さらには少子化と高齢化も絡んできて、ひどく複雑な問題になっているのだろうと思います。もう性別の観点で対策を考えるのは難しい気が。近代の変化が激しいので、上司および男性同僚、後輩それぞれとの意識差に気を付けて、また、今後の制度変化を見据えて、自衛はしておかないとと思わされました。

やはり当事者意識が本の売れ行きに影響しているようです。

2016年8月13日 (土)

ラスカルさんの拙著書評

26184472_1 ラスカルさんの「備忘録」で、拙著『日本の雇用と中高年』(ちくま新書)を書評いただいております。ありがとうございます。

http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20160813/1471052174

実は一瞬、あれ?既に書評されてなかったっけ?と思ってしまいました。今まで、かなり突っ込んだ書評を書いていただいていたので、本書も既にされていると勝手に思い込んでいたのですが、初めてでした。

・・・著者はこれまで『新しい労働社会』、『日本の雇用と労働法』、『若者と労働』という3つの新書で、それぞれ違った切り口から、避け難く進行する少子・高齢社会の中での欧米の議論とも平仄の取れた労働政策の在り方や、多様化する雇用契約と働き方が広がる中での「ジョブ型」労働社会を提唱している。本書もまたその意味では同様であるが、特に「メンバーシップ型」雇用システムの中での中高年の問題に焦点を当てている。

で、労働経済の専門家であるラスカルさんの視点は、当然のことながらここに向けられます。

・・・知的熟練論では、不況期に中高年を標的として行われるリストラは技能を浪費しており大きな損失だと指摘されるが、これに対し著者は、日本企業が知的熟練論に従って人事管理をしているのであればこのような事態は生じないはずで、「小池(和男)氏よりも日本企業の方が冷静に労働者の価値を判断しているからこそ、中高年リストラが絶えず、高齢者雇用が問題になり続けるのではないでしょうか」と手厳しい。加えて、内部労働市場論が一般化したことの功罪として、雇用政策の中から中高年の視点が消え、高齢者対策は定年延長と継続雇用に焦点が絞られ、年齢差別禁止法制の試みはほとんど議論されず消え失せたことを上げる。こうした指摘から、著者自身の、これまでの(雇用維持を主眼とする)労働政策が前提としてきた雇用システム論からの決別を読み取るとすれば、少々大袈裟であろうか。

この点について、ラスカルさんはやや違う観点からコメントされます。

・・・ところで、知的熟練論が指摘する日本的雇用慣行の合理性が正しいものであるかどうかは、日本的雇用慣行の維持可能性の如何に直接的につながるものではない。中高年の仕事のパフォーマンスが仮に賃金に見合うものでなかったとしても、長期的な契約の仕組みとして合理的なものだとする説明は、生命保険の仕組みとの類推から可能である。・・・

またマクロ政治的コストという観点からのコメントも、

一方で、少子・高齢化や高学歴化、経済の低成長が続く現在においては、日本的雇用慣行の維持可能性に疑義が生じており、非正規雇用問題などもその延長線上にある。そうした文脈の中において、本書が最後に提唱するような「ジョブ型労働社会」という社会制度も説得力を持つものとなる。しかしそれは同時に、これまでは顕在化することのなかった「労働力の再生産」のための費用(家計の生計費や育児・教育費等)を誰が負担するのかという問題も招来することになる。これを欧米型社会システムがそうであるように国家が担うとしても、その結論を導くまでには多くの政治的資源を費やすことになる。このことは昨今の消費税をめぐる喧騒をみていても明らかであろう。むしろ、より安定的なマクロ経済のもと、現在の日本的雇用慣行を維持することの方がよりコストが少ないのではないか、との見方ももう一方の考え方としてあり得るものである。

たかが消費税増税ごときであれだけ大騒ぎになって何もできないような日本なんだから、じっとしていた方がまだましではないかという、なかなかにシニカルな意見です。

(追記)

下記コメントに基づき、引用文を正文に修正しました。

2016年6月 9日 (木)

当たり前のことばかり書いてあるように感じるかもしれないが

41mvhocvl「松宮慎治の憂鬱」というブログで、拙著『日本の雇用と中高年』がさらりと短評されています。

http://shinnji28.hatenablog.com/entry/2016/05/28/050000

本書を執筆しているのは労働政策研究・研修機構の首席統括研究員である。
その意味で,アカデミズムを背景とした新書になってるため,特定の価値観を煽るものではなかった。

読む人によっては,当たり前のことばかり書いてあるように感じるかもしれないが,自明のことを正確な論拠をもって示されている好著である。

はい、仰るとおりです。「当たり前のことばかり書いてあ」ります。「特定の価値観を煽るもの」ではありません。

でもそれを「自明のことを正確な論拠をもって示されている好著」という風に、評していただけることに感謝の言葉もありません。

2016年5月26日 (木)

『日本の雇用と中高年』に力作amazonレビュー

41mvhocvl一昨年刊行の『日本の雇用と中高年』(ちくま新書)に対して、海上周也さんによる長大で突っ込んだamazonレビューがアップされています。

http://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R1QDAF73YQ8TR3/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4480067736

「Hamachan」の名で知られる労働政策研究者、濱口桂一郎氏。わが国の雇用労働問題が象徴的かつ端的に現れる「中高年」というテーマに焦点をあてることで、本書は「若者と中高年の雇用問題」「日本型雇用と高齢者政策」「定年」「年齢差別禁止」等の中高年に関連するトピックスを縦横無尽に論じています。

その中で、わたくしのスタンスについてこういう評価をしていただいていることには、感動いたしました。

・・・そこで、日本の現状をわかりやすい言葉で説明するためには、いったんわが国の雇用システムの「外」(アウェイ)に立ち、日本の社会経済の歴史的事実も踏まえて冷静かつ愛着をもって記述していく必要があります。ただ、そこで自分自身の立ち位置を完全にアウェイにしてしまうと「日本は特殊でガラパゴス、だからダメだ」という単純な現状批判(日本を非とし、世界を是とする姿勢)におちいってしまいます。

おそらく濱口氏の著作が大勢の読者から支持されている最大の理由は、元厚労省官僚かつ研究者という正統派のキャリア経験から滲み出るキレ味のよい分析力に加えて、日本人インサイダーとしての「愛のムチ」がほどよくブレンドされている点にあると思います。だからこそ、どの本を読んでも良識的な「語り」に安心して身を任せることができるのです。ただ、ときには厳しいスパイスの効いた警句をちらりと挿入するあたりなどは一種の職人芸を見ているかのようです。・・・

2016年3月14日 (月)

balthazarさんの拙著評

26184472_1 balthazarさんが読書メーターで拙著『日本の雇用と中高年』に端的な評をされています。ありがたい言葉です。

http://bookmeter.com/cmt/54772234

日本型雇用の問題点を語らせたら恐らく一番の濱口桂一郎さんによる中高年の雇用問題についての著書。「職務の定めがない雇用契約を最大の特徴とする日本型雇用」がどのようにして生まれ、なぜ日本で広く受け入れられていったのか、そしてその日本型雇用が中高年のリストラや追い出し部屋などの日本独特の中高年の雇用問題をどのようにして発生させているのかが分かりやすく述べられている。濱口さんの問題意識はこの本でも全くぶれがなく漸進的にジョブ型雇用に移行するなどの濱口流の解決策の提示もさすがだと思う。

2015年10月21日 (水)

まなびやマニーさんの拙著評

41mvhocvlまなびやマニーさんのブログで、拙著『日本の雇用と中高年』(ちくま新書)が取り上げられています。

http://manniee.blog.fc2.com/blog-entry-63.html

日本の終身雇用制と海外のジョブ型雇用との違いの説明などによって日本の企業が若者よりも中高年をリストラの対象とする理由をわかりやすく説明しています。中高年の雇用について理解を深めたい方にお勧めします。

なお、同エントリでは私のことを、

著者:厚生労働省在職時に政党や学識者が進めてきた労働政策に直接かかわったこともある行政側の知識人。

と紹介されていますが、いや確かに在職中はまさに行政官として政策作りにかかわりましたが、現在はあくまでも一研究者なのであって、別段「行政側」でも「経営側」でも「労働側」でもないつもりです。どこに呼ばれても行ってお話しすることは同じですし。


2015年10月16日 (金)

日本の雇用と中高年』への書評

26184472_1 ひさしぶりに、日本の雇用と中高年』への書評が出ました。「山あり谷あり書物あり」というブログのkapiさんです。

http://thinkthinkdifferent.blogspot.jp/2015/10/blog-post_11.html

日本の雇用体系は海外とは違うらしいと気づいたのは、就職してからずいぶんたってからだった。それらは、雇用の期限が無い(=通常はずっと勤める形態)とか、職務内容に関する規定が無い(=やることが規定されていない)、あるいは年功序列的な形態である。しかし、これらの特徴的な雇用形態が生まれたのは、日本国内での経済発展の歴史のなかで生み出されてきたものであることが、この本を読むとわかる。・・・

最後に、

戦後の国内の雇用環境の変遷が学術的に丁寧に振り返られている。

と評していただいております。

2015年8月24日 (月)

『日本の雇用と中高年』短評

26184472_1 拙著『日本の雇用と中高年』(ちくま新書)に、ツイートで短評がありました。「 コパさんアートブック」さんです。

https://twitter.com/co8_/status/635798153820659712

濱口桂一郎「日本の雇用と中高年」読む。若者に比べて問題にされることのない、中高年の雇用問題について。求人の年齢制限、名ばかり管理職、定年制など、いろんなトピックの「ねじれ方」がわかる。各種政策委員会や判例の歴史的言質とその知識社会学的な背景もふまえた、とても実直な筆致でした。

https://twitter.com/co8_/status/635798512882479104

「日本の雇用と中高年」職務も勤務地も労働時間も限定されない、世にも珍しいメンバーシップ型の日本雇用から、それらを限定するジョブ型の正規雇用を増やすことの提言。是々非々はあるだろうけど、そもそも毎日肩までつかっている日本の雇用のあり方を相対化するにはよい本。辞めるけど!辞めるけど!

「とても実直な筆致」という評言は、大変ありがたいものです。

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