若者と労働

2018年8月 9日 (木)

『若者と労働』第7刷決定

Chuko 中央公論新社から、拙著『若者と労働』(中公新書ラクレ)の第7刷が決定したと連絡をいただきました。

これも、拙著を熱心に読んでいただいた読者の皆様のおかげと心より感謝申し上げます。

http://hamachan.on.coocan.jp/chukobookreview.html

なお、amazonレビューにも昨日、koheinet608さんによる『若者と労働』に対する大変熱のこもった長大な書評が載ったようです。電子版でお読みいただいたようで、やはり電子版を出すと新たな読者が広がるのでしょうか。

https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R2ZX69WDSOKYKD/ref=cm_cr_getr_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4121504658

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2018年5月27日 (日)

雇用システムと教育システムの問題

読売教育ネットワークの「異論交論」に、経済同友会代表幹事で、三菱ケミカルホールディングの代表取締役社長の小林喜光さんが登場しています。

http://kyoiku.yomiuri.co.jp/torikumi/jitsuryoku/iken/contents/46.php (国立大学よ、時代感覚を磨け)

ある種の人々にカチンとくる発言がてんこ盛りなのですが、まあそこは別として、私が興味をそそられたのは、そこまで大学を批判するんなら、企業側はどうなんだと問われたのに対するこのやり取りです。

――大学に変われと言うのなら、企業はどう変わるのか。大学にきちんと学生を育てよと言うが、その教育期間を短くしているのは企業だ。一括採用システムのために、学生は2年生後半にはそわそわしていて学業どころではない。
 
小林 4月に入社する定期採用をやめざるを得ないだろう。こんな仕掛けを持っているのは日本だけだから。同時に、新卒入社で3年ぐらいは別の会社に移れるようなバッファゾーン(緩衝地帯)をつくっておくことも必要だろう。僕自身も途中入社だ。1974年12月2日入社だ。長男が生まれてイタリアから帰国して、とっくに人事なんか終わっていると言われた。一応、来てみたらと言われ、論文を持って研究所の担当の常務に会って入社した。あの時代だって、本人が入ろうと思えば入れた。なんでこんなに日本はリジッド(厳格、固定されていて動かない様子)になっちゃったのかな。学生もなんで変えようとしないのか。
 
――学生が企業を変える? 自分たちの所属する大学の改革の議論にもかかわっていない。だが、そういう学生が突然、発生したわけではない。育てた世代がいる。
 
小林 そう、その世代が誹謗(ひぼう)されるべきだ。人々が疲れている、リスクをとらない、大人がリスクを拒んでいることが問題だ。
 
――リスクをとらない企業人の傾向が端的に現れているのが、採用だろう。大学教育が大切だと企業人はよく口にするが、重視しているのはいまだに大学入学時の偏差値と大学名だ。
 
小林 会社で一番保守的なのは人事と総務。最悪だ。体験的に、そして今でも実感している。彼らは体質上、仕掛けを守るようにできている。だが、それは社長が悪い。社長が本気で変えようとすれば変わるはずだ。
 
――大学と同じか。では、それを壊すことができるか。小林さんは「ぶっ壊す」という言葉をよく使っているようだ。
 
小林 壊さなきゃ、新しいものは生まれないからね。壊せそうなエネルギーのある人を社長にするしかない。大学も同じだ。

いやいや、評論家の言葉なら、なるほどですむけれども、それしゃべっているのは現役の経営者、三菱ケミカルホールディングス取締役社長ですよね。

では、三菱ケミカルの人事部はどういう採用をやっているかといえばもちろん新卒一括採用をしているわけだし、社長はそれを認めている。

ではそれを一社だけ止めたらどうなるかといえば火を見るより明らかで、いい人材を三井化学や住友化学にとられて終わるだけでしょう。それは、日本の労働社会がそういう(六法全書には書いていないけれども、社会学的に拘束している)ルールで動いているからで、それがまさに雇用システムの問題であるわけです。

その雇用システムを前提に、教育システムが構築されてしまっており、その教育システムがまた雇用システムを規定する。

そのように相互に拘束されている中で個々のアクターはそのルールに従って行動しない限り、そこから排除されるというペナルティを受ける。

三菱ケミカルという会社の人事部も、三菱ケミカルを受ける就活生もルールテイカーであって、ルールメイカーではないという点で何の変りもありません。

「学生もなんで変えようとしないのか」と学生を責めてみたり、「会社で一番保守的なのは人事と総務。最悪だ」と人事部をけなしてみても、事態は変わりません。

最後は「社長が本気で変えようとすれば変わるはずだ」というブーメランが飛んでくるだけです。

システムこそが問題であることを個人や集団の問題にしてはいけないということのもっとも典型的な実例が、ややカリカチュア的な形で示されているわけです。

(参考)

Chuko 拙著『若者と労働』より、「教育と職業の密接な無関係の行方」

 このように日本型雇用システムと日本の教育システムとは、お互いが原因となり結果となりながら、極めて相互補完的なシステムを形作ってきたといえます。それは、一言で言えば「教育と職業の密接な無関係」とでもいうべきものでした。
 受けた学校教育が卒業後の職業キャリアに大きな影響を与えるという意味では、両者の関係は極めて密接です。しかしながら、学校で受けた教育の中身と卒業後に実際に従事する仕事の中身とは、多くの場合あまり(普通科高校や文科系大学の場合、ほとんど)関係がありません。これを再三引用している本田由紀氏は「赤ちゃん受け渡しモデル」と呼んでいます。職業能力は未熟でも、学力等で示される潜在能力の保証に基づき、新規学卒一括採用された若者を企業が企業に合う形に、とりわけ職場のOJTを通じて、教育訓練していくという回路が回転している限り、極めて効率的なシステムでした。
 しかし、次章以降で詳しくみていきますが、その回路からこぼれ落ちる若者が大量に発生するという事態の中で、単なる弥縫策ではなく、雇用システムと教育システムの双方で本質的な解決を図る必要が浮き彫りになってきました。
 雇用システムの側における議論は次章以降で行いますが、それは必然的に教育システムの側に跳ね返ってきます。具体的には、現在の大学、とりわけ量的に大部分を占める文科系大学の在り方に対し、抜本的な見直しを要求するはずです。大学の教育内容が就職後の仕事と無関係な形で膨れあがってきたことが、学生が大学で学んだ中身ではなく「ヒト」としての潜在能力で評価する仕組みを助長してきた面があることは明らかだからです。今までの「素材はいいはずですから是非採用してやってください」という受験成績による質保証主義ではなく、「これだけきちんと勉強してきた学生ですから、それは保証しますから、是非採用してやってください」というあるべき姿に移行するためには、大学教育の中身自体を職業的意義の高いものに大幅にシフトしていく必要があるでしょう。
 とはいえ、その過程においては、非実学系の大学教師の労働市場問題が発生し、大騒ぎになる可能性が高いと思われます。ある意味では、企業が職業的意義のある教育を求めていなかったがために、そして生活給制度の下で、職業的意義のない教育に対しても親が教育費をまかなうことができていたがゆえに、本来であれば存続し得ないほど大量の非実学系大学教師のポストが確保されていたといえなくもありません。しかし、学生の職業展望に何の利益ももたらさないような大学教師を、総量としてどの程度社会的に維持しなければならないかについては、社会全体で改めて考える必要があるはずです。これこそ、日本的な教育と職業の密接な無関係の上に成り立っていた「不都合な真実」なのでしょう。

 

 

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2018年5月26日 (土)

社会人になる前にこの本を読めて本当に助かった。。。

Books918521_1920 「ふぁらんちゅぷれぜんつ」というブログで、「大学生におすすめな本を徹底厳選!理系・文系問わず読んで欲しい!」というタイトルで、約20冊の本が紹介推薦されています。

https://faraspice.com/book/1111/

僕が読んだ本の中で、自信を持ってオススメできる本を厳選してを紹介いたします!

どんな本が挙がっているかというと、藤原帰一の『戦争の条件』、西内啓の『統計学が最強の学問である』、中室牧子の『「学力」の経済学」と、いかにもいかにもという本が並んでいます。

Chuko で、その次にこんな本が:

お次は『若者と労働』です。

拙著が出てきました。

どこがお勧めなのか?

僕は『大学ってなんのため?』という素朴な疑問に悩んだ時期がありました。この疑問に対し、労働の観点から深く考えることができるようになったのは、ひとえにこの本のおかげです。学術的な内容でハウツー本ではないですが、是非大学生のみなさんに読んでほしいと思っています!

素朴な疑問に、深く考える素材を提供できたというのは、この上ない褒め言葉だと思います。ありがとうございます。

「若者と労働」で得ることができた知識は僕の考え方を大きく変えました。社会人になる前にこの本を読めて本当に助かった。。。

とのことです。

 

 

 

 

 

 

 

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2017年11月29日 (水)

ここら辺が一挙に胸に落ちた感じがある

Chuko_2久しぶりに『若者と労働』への書評。「本のアプリStand」というサイトで、評者は「天パ太郎」さん。

https://standbk.co/b/%E8%8B%A5%E8%80%85%E3%81%A8%E5%8A%B4%E5%83%8D%20%E3%80%8C%E5%85%A5%E7%A4%BE%E3%80%8D%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF%E3%81%8B%E3%82%89%E8%A7%A3%E3%81%8D%E3%81%BB%E3%81%90%E3%81%99-%E6%BF%B1%E5%8F%A3%E6%A1%82%E4%B8%80%E9%83%8E/82859

ずっと積まれていたのを今更読了。
就活に悩まされた一個人として、「なるほど!」と思わず唸る良書。

筆者は厚生労働省の役人から労働政策研究の専門家になった人。

労働のあり方を、
欧米は特定の仕事に人を割り当てるジョブ型社会、
日本は特定の人に仕事を割り当てるメンバーシップ型社会
と二つに大別した上で分析。

入社というものがどういうものかを分析。
何故、就活に苦しむのか?
どうしてブラック企業が日本にはびこるのか?
といったことを歴史、判例や研究を元に綺麗に説明。

誰しも就活で思ってしまうであろう、
・何故、新卒採用の時に、大学で学んだことではなく、テニスサークルの副幹事長の話をするのか?
・禅問答に近しい自己分析と就活の関係性
・大学の学びの空虚さ
ここら辺が一挙に胸に落ちた感じがある。

ブラック企業の分析に多少言葉が足りなかったり、
いわゆる一般職をもう少し広げた限定正社員の導入による労働政策の見直しが少し楽観的ではないか?と思う部分もあるが、
概ね頷くことばかり。

就活のテクニック本に疑問符をつける人には、是非読んで欲しい一冊。

「ここら辺が一挙に胸に落ちた感じがある」という言葉が嬉しいです。

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2017年10月22日 (日)

日本の雇用の常識を知ることは、自社の雇用の思い込みを知ること@ヒトフレ

Chuko 「人事や採用担当をフレーフレーと応援するメディア」の「ヒトフレ」というブログで、拙著『若者と労働』が取り上げられていたことに気がつきました。

http://www.hitofure.jp/posts/3116186

題して「日本の雇用の常識を知ることは、自社の雇用の思い込みを知ること「若者と労働」人事の代わりに読みました。」

今回の人事の代わりに読みましたは、「若者と労働」。

少し古い本ですが、ビッシリ貼られた付箋を見てわかるように、HR系のビジネスをしている私には非常に勉強なった本でした。

と言うことで、リンク先にブログ主のお持ちの本の写真が載っていますが、びっしりと付箋が付いていますね。

・・・本書は、当時、社会的な問題としてヒートアップしていた、若者雇用の問題を日本の「メンバーシップ型雇用」と欧米の「ジョブ型雇用」を比較しながら日本の雇用システムの特殊性をあぶり出しつつ、歴史的な経緯とともに、その日本独自の雇用システムが誕生し袋小路に陥った理由と、それを解決しようとした労働政策がうまく機能しなかった背景と、その結果としての若者雇用問題を、分かりやすく冷静な議論で解き明かしてくれます。

もちろん欧米の雇用システムの方が、優れているわけではありませんが、比較対象が生まれることで、客観性が生まれ、その特殊性が、よりクリアに理解することができます。

日本の採用市場の特殊性や構造を知ることは、そこで優秀な人事を獲得するための戦い方のヒントをもらうこと。

さらに日本の雇用の常識を知ることは、私たちが無意識で前提にしてしまっている自社の雇用の常識を、意識することにつながります。

気づいていなかった固定観念が外れれば、自社の採用や人事制度に関しても、新しい発想がでやすくなるのではないでしょうか。

「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」と言いますが、その両方が、一冊でできるのがこの「若者と労働」。おすすめです。

「彼を知り、己を知」るが両方できる本というのは身に余るお褒めの言葉で痛み入ります。

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2017年10月 4日 (水)

就活生による拙著書評

Chuko

拙著『若者と労働』に対して、大学4年の就活生の方がこういう書評を書かれていました。夏休みに読んだ30冊の中で、特にお奨めの3冊の一つということです。

http://timeleft-blog.hatenablog.com/entry/2017/10/04/001340

「は?なんで私が面接で落とされるの?能力の面で見れば他の就活生と比べて劣ってるわけでもないし、むしろ優れてるほうでしょ?なんで?は?これが人柄採用ってやつ?糞だね!!」と思っている方におススメの一冊。日本式就職活動の基盤となっているものが良く分かります。これを読んだからといって、内定獲得のテクニックを得ることは決してできません。しかしこの本は、就職活動でこれまで当たり前だと考え、問題にさえしなかったことを可視化させます。読者によっては多くの盲目的な就活生が持ってしまう既存の価値観を捨て去ることができるでしょう。私のように就活に失敗した人。特に、それにより自信を無くした人は是非一読してみてください。

まさに「これを読んだからといって、内定獲得のテクニックを得ることは決してでき」ない本ですが、ある構造が可視化されることは確かだと思います。

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2017年9月 5日 (火)

『若者と労働』への書評

Chuko「ともだちがいない人の日常」というブログで、拙著『若者と労働』への大変丁寧な読み解きとコメントをしていただいています。

http://blog.livedoor.jp/friendless_tomoe/archives/18411885.html

東大の労働法の荒木先生が推薦していた新書。荒木先生は「判例百選」という法学部生にポピュラーな判例評釈の本のなかでも本書を用いている。荒木先生が推薦するからには読まなければならない一冊だろうと思っていたが、まさにそのとおりだった。・・・

ありがとうございます。ただ、実は『労働判例百選(第9版)』のブルームバーグ・エル・ピー事件の評釈の中で引用されているのは、『若者と労働』ではなくて、『日本の雇用と労働法』の方なんですが、いやまあでも、それを契機に本書をここまで深く読んでいただいたとすれば、大変有り難いことです。

・・・非常にすばらしい本で、日本がいかに特殊な雇用慣行をとっているのか、その問題、今後の方向性まで示している。やや冗長な部分があったが、それでもこの本で得られた知見は日本の労働環境を考える上で必要不可欠なものだった。・・・

と述べて、本書のエスキスを見事に解説していただいております。

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2017年6月30日 (金)

『若者と労働』第6刷

Chuko拙著『若者と労働』に第6刷がかかることになりました。2013年に刊行して以来ほぼ4年ですが、この間着実にロングセラーとして読み継がれていることになり、改めて読者の皆様に感謝申し上げます。

改めてそのまえがきから

 若者の労働問題は何重にもねじれた議論の中でもみくちゃになっています。
 一方には、日本の労働社会では中高年が既得権にしがみついているために若者が失業や非正規労働を強いられ、不利益を被っていると糾弾する議論があります。他方には、近頃の若者は正社員として就職しようとせず、いつまでもフリーターとしてぶらぶらしているのがけしからんと非難する議論があります。現実社会の有り様をきちんと分析することなく情緒的な議論で世の中を斬りたがる人々が多いことの現れなのでしょうが、いつまでもそのような感情論でのみ若者の労働が語られ続けること自体が、この問題をきちんと位置づけ、正しい政策対応を試みる上での障害となる危険性があります。
 本書は、今日の若者労働問題を的確に分析するために、日本型雇用システムやそれと密接に結びついた教育システムの本質についてかなり詳細な議論を展開し、それを踏まえて若者雇用問題とそれに対する政策の推移を概観し、今後に向けた処方箋の提示を行います。
 そのポイントをごくかいつまんで述べれば、まず第一に、仕事に人をはりつける欧米のジョブ型労働社会ではスキルの乏しい若者に雇用問題が集中するのに対して、人に仕事をはりつける日本のメンバーシップ型労働社会では若者雇用問題はほとんど存在しなかったこと、第二にしかし、一九九〇年代以降「正社員」の枠が縮小する中でそこから排除された若者に矛盾が集中し、彼らが年長フリーターとなりつつあった二〇〇〇年代半ばになってようやく若者雇用政策が始まったこと、第三に、近年には正社員になれた若者にもブラック企業現象という形で矛盾が拡大しつつあること、となります。これらは、メンバーシップ型社会の感覚を色濃く残しながら都合よく局部的にジョブ型社会の論理を持ち込むことによって、かつてのメンバーシップ型社会でも欧米のジョブ型社会でもあり得ないような矛盾が生じているものと見ることができるでしょう。
 これに対して本書が提示する処方箋は、中長期的にはジョブ型労働社会への移行を展望しつつ、当面の政策としては正社員と非正規労働者の間に「ジョブ型正社員」という第三の雇用類型を確立していくことにあります。
 分かりやすく攻撃対象を指し示すようなたぐいの議論に慣れた方には、いかにも迂遠で持って回った議論の展開に見えるかも知れませんが、今日の日本に必要なのは何よりもまず落ち着いて雇用システムや教育システムの実態をきちんと認識し、一歩一歩漸進的にシステムを改革していくことであるとすれば、本書のような議論にもそれなりの意味があるのではないかと思われます。

これまでにいただいた各種書評はこちらにまとめてあります。

http://hamachan.on.coocan.jp/chukobookreview.html

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2017年3月 3日 (金)

むかしの銀行員・・・

昨日の日経夕刊の「あすへの話題」というコラムに、元内閣府事務次官の松崇さんが「サラリーマン川柳」というエッセイを寄稿していて、その中に拙著のある部分が引用されておりました。

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO13570750S7A300C1MM0000/

第一生命保険が毎年行っているサラリーマン川柳の入選作が発表された。今年は、政府が働き方改革の旗を振っていることもあって長時間労働是正などに関する句が目立つ。「効率化 提案するため 日々残業」「生産性 部長の異動で 急上昇」など思わず苦笑する句が多く選ばれている。
 それにしても、こんなに余裕のない働き方になってしまったのはいつ頃からだろうか。・・・

Chuko「いつ頃からだろうか」ということは、そのむかしはそうでもなかった、ということで、その一つのエピソードとして、拙著『若者と労働』のこの部分が引用されています。

・・・濱口桂一郎氏の「若者と労働」という本は、30年くらい前に銀行を定年退職した人の話として「俺たちの頃は、だいたい3時にシャッターを閉めたらある程度仕事をし、その後、近所の子供たちの野球のコーチをしていた」というエピソードを紹介している。・・・

で、その後には、私も講演なんかではよく引っ張り出す例の「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」が出てきます。

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2017年1月 3日 (火)

釣り上げられた『若者と労働』

Chuko 「Fish On The Boat」という書評ブログで拙著『若者と労働』が取り上げられました。このブログ、「記事、それはまるで、釣り上げた魚たち」とのことで、拙著も釣り上げられたというわけです。

http://blog.goo.ne.jp/mask555/e/5019531aa11a280596522ee80e59c715

とてもおもしろかったです。

現代の日本の労働状況をときほぐして説明してくれる本でした。

というところから、拙著の内容を大変丁寧に解きほぐしつつ解説していただいています。

そして最後に、

長くなりましたが、中身の濃い良書です。

善良な経営者に読んでもらって、雇い方に着いて見識を深めてほしいです。

ふつうのいろいろなタイプの労働者のひとたちも

読んで知っておくと、

自分の気もちや態度に自信が持てるようになると思います。

社会よ、少しずつ良いほうへ変わってゆけ。

そのきっかけになる可能性を秘めた本です。

とまとめていただいています。

(追記)

なお、ツイート上でも、「ますく555」さんに新年早々

https://twitter.com/Heartacheman/status/815961307040124928

濱口桂一郎『若者と労働』おもしろかった。しりすぼみにならない良書。日本の労働状況をじょうずにときほぐして伝えてくれています。

と評していただいています。

(再追記)

その、「ますく555」さんがブクログにもう少し長い感想を書かれていました。

http://booklog.jp/users/mask555/archives/1/4121504658

とてもおもしろかったです。現代の日本の労働状況をときほぐして説明してくれる本でした。日本の、職業に直結しない教育の度合いというか、卒業して就職へ臨む若いひとたちの「これまでの教育が職業に役立つかどうか」の意識というかは、先進国で最下位だったそうです。義務教育を受けても、それがその後の就職にはつながらないと日本人は考えているし、実際そうなのでした。そんな日本の労働システム。本書では、メンバーシップ型と読んでいます。年功序列だとか、新卒一斉就職だとか、そしてそれらとマッチングした企業内のシステムだとか、特殊なんですね。欧米に限らず、中国を含むアジアの先進国にも、日本のようなメンバーシップ労働システムはないそうです。日本では、仕事のスキルのない新卒者をいっせいに採用して、社内で少しずつ教育して使いものになる労働者に育てていきます。一方で、欧米型では、スキルのない若者は採用されません。欠員がでたときに、その仕事ができる人を公募して、若者にしろ中年にしろそこは構わず、持っているスキルで採用の有無を判断するそうです。その結果、若者たちが就職できないという問題を生みますが、公的な職業教育制度があったりして、その問題に対処しているそうです。もともと「人」を大事にする思想ではじまったメンバーシップ型労働システムなんだそうだけれど、法律など建前としては欧米的なジョブ型労働システムをよしとしているようです。ハローワークでの職探し、職業訓練、などは「仕事」に「人」をはりつけるジョブ型の考え。日本的なのは、「人」に「仕事」をはりつけるメンバーシップ型の考え。そして、いまや学生たちは就活と職探しを別々に考えているらしい。職探しは就活より下とみていて、なんとしても新卒で就職しようと躍起になる。給料もそんなに違わなくて、長い時間かけて取り組んだとしてどこがブラックかもわからなくても、既卒で職探しはしたくないみたいなんですよね。

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