拙著書評いくつか
さて、この間、いくつかの書評サイトで拙著への書評がいくつか続々とアップされていたことに気づきました。
まずは「読書メーター」で、『若者と労働』に対する書評が連投されています。
https://bookmeter.com/books/7002043
10/20 : はるたろうQQ 著者のセミナーに参加するためにまず最初の一冊として読む。著者の考え方はそのブログを愛読しているので理解しているつもりだが、勉強になった。ジョブ型正社員の漸進策として、特に、新書の書評で有名な「山下ゆ」氏が言うように公務員、地方公務員から始めてはどうなのか。標準化できるのでは。地方公務員の職種毎に資格制度みたいなものを作って大学で養成するのはどうだろうか。これほど災害が多発するのでは、各地で一時的な地方公務員の需要は高まると思う。その時に資格を持っている人がその地域や近隣の都道府県にいるといいのではないか。
10/31 : 帯長襷 人事関連本2冊目。雇用の形態にはジョブ型とメンバーシップ型があり、日本は様々な経緯によりメンバーシップ型の組織づくりに、国を挙げてなってしまっている、ということがわかる。すると、今ホットな話題の働き方改革や就活・採用の議論のニュースや書籍が読みやすくなった。この概念を知ってる前提で書かれていたからよくわからなかったのね。ていうか、このジョブ型やらってそんなに常識なのか…?これ知らなかったらあのニュースや東洋経済の記事、意味わからんで?
11/2 : GAKU ジョブ型労働社会とメンバーシップ型労働社会に関して、よく理解することが出来た。そしてブラック企業、ニート、就活、終身雇用制崩壊等、現在の労働に関する諸問題の背景というか根源というのも、そのような事だったのかと。私個人としては欧米のような、ジョブ型労働社会の方が馴染めたな。中々興味深い内容だったので、この方の著書もう少し何冊か読んでみようと思います。
11/3 : くたくた 欧米型労働類型であるジョブ型労働社会と、日本型労働社会類型であるメンバーシップ型労働社会の対比とその異質性に関して詳細に述べられている。メンバーシップ型(言い換えれば終身雇用・年功序列賃金体系)は、仕事に最適な能力を持つ人を採用してその仕事に貼り付けるジョブ型に対し、まず人を確保してからその人に社内で仕事を貼り付ける。一方が職から職に人材が移行する、横流れの構造であるのに対し、一方は「入社」から「定年」まで縦に流れる構造。不況時に、ジョブ型では若年者失業者が社会問題となるのに対し、かつての日本では中高年の失業者対策が、労働施策の中心となっていた。それが変化してきたのは1990年代の不況に労働市場が急激に縮小し、企業に収納されきれない新卒者が出現してきたから。それでもフリーターと呼ばれた彼らは「(会社という)束縛を嫌う自由で気ままな若者」というレッテルのもと問題が矮小化されて、実際に社会問題=労働問題として意識されるようになったのは、彼ら就職氷河期に出現したフリーターが不安定な身分のまま年長となり、その後の景気回復によって新卒就職できるようになった後から来た新卒との格差が無視できなくなってきた2000年代。 一方、労働法制は、戦後米国ベースで制定された流れもあり、基本ジョブ型類型を踏襲。法体制と労働実態の乖離があるなか、実効的な労働施策も施さねばならず、その処方箋として、著者が提唱するのは、正規雇用であるメンバーシップ型雇用と、拡大する非正規雇用の間に、ジョブ型正社員を置くこと。うーん、まとめきれないが、日本の労働市場が特異だということは良く分かった。その中にどっぷり浸かっているのは一方で安穏だが、無制限の(会社への)奉仕を要求される過酷さも、また実感として良く分かる。 個人的事情としては、長年、ワークシェアリングが制度化されて、業務量の分散と人間的生活の回復を図ることを願って来たにもかかわらず、不況と聞こえの良い労働力流動化政策によって低賃金の非正規雇用が急速に広まり、短時間労働者である非正規職員との賃金格差が拡大する一方、正規職員の労働強化という波に巻き込まれて過労死寸前。この日本、いやこの会社、どうしたものだか。多分筆者の提案が実現すりゃあいいんだけど。
11/4 : Richard Thornburg 日本でも設計事務所等では、20年くらい前からジョブ型雇用を採用しているところが多いです。 私も働き始めてからほとんどの期間をジョブ型雇用の条件下で働いていますが、束縛のないことや報酬を約束されていることで楽に働ける制度だと思います。
同じ「読書メーター」で、上記『若者と労働』の書評も書かれているGAKUさんが、『日本の雇用と労働法』も評されています。
https://bookmeter.com/books/8075732
2018/11/04 : GAKU 日本で何故メンバーシップ型労働が根付き、それに伴い中高年労働者はどのように扱われ、そして現在は?日本の雇用問題、人事政策、労基法の変遷、現状とコンパクトに、分かり易く纏められており、参考になった。これからの日本、メンバーシップ型労働から、ジョブ型労働へ上手く移行出来れば良いと私は思うのですが。中々、難しいでしょうね。最後の方で、やっと女性労働者に関しても触れられていた。引き続き同著者の「働く女子の運命」を読み、働く女性の活躍を阻害する要因を、より深く考察していきたい。
この方の『働く女子の運命』評はまだですが、ブクログという書評サイトでは、ここ数日間に同書の書評が連投されていました。
https://booklog.jp/item/1/4166610627?perpage=10&rating=0&is_read_more=1&sort=2
10/24 : bqdqp016, 労働問題の専門家による、女性の労働環境を中心に日本の雇用システムについて論じた本。精緻な調査に基づく学術的な内容となっている。特に、女性の雇用のあり方について、明治から現代に到るまでの経緯についての記述が興味深かった。
10/29 : akiney, 女性労働問題の本質は総合職正社員の実質残業無制限と転勤無制限制にあるということ。 だからこれに対応しにくくなる子持ち女性は疎外される。 女性の権利保護よりも労働時間規制が大事 組合が派遣社員の権利保護に消極的なように歴史的には女性労働者の権利保護にも消極的だったということも知りえた。 雇用問題の議論にも流行り廃りがあり、自分がどのような制度的文脈のもとで仕事をしてきたのか改めて認識できた。女子社員に対する自分の考え方もこの文脈の影響を無自覚的に受けてきたのだということに気付けたのも良かった。(人は皆、過去の理論の奴隷) 関連法案の紹介。過去の判例など無味乾燥にならぬように引用されていて参考になる
11/3 : oaktree0426, 著者の新しい労働社会を読んだ際も思ったが、現在問題となっている様々な労働関係の問題を考えるに際して、メンバーシップ型雇用システムという概念は、補助線として抜群の切れ味を有している。本書は、その概念をもとに、働く女子について考察が加えられている。ただ、メンバーシップ型雇用システムという観点から考えると、女性労働の問題は、必ずしも女性労働に原因があるのではなく、雇用システムの問題が女性にしわ寄せされているということがよくわかる。これは、東京医大の入試不正操作の際に起こった議論でも感じたことと相似形であった。さて、切れ味鋭い女性労働問題の解説の後、では果たして、どのような道を今後女性の労働は、また、日本の労働社会は、進んでいくべきなのか、そこに至って初めて、この問題は解きほぐしがたい、錯綜したものであると気づかされたのだった。
11/4 :inu, 難しい。どうすれば良いのか悩ましい。
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