日本の雇用紛争

拙著からハーシュマンへ

Koyoufunsou 去る1月にひっそりと刊行した『日本の雇用紛争』を読まれた方が、それをきっかけにハーシュマンの名著を読み出したというツイート。

https://twitter.com/skybeagle_SB58/status/709757442683379712

hamachan先生の「日本の雇用紛争」で引用されていた「離脱・発言・忠誠-企業・組織・国家における衰退への反応-」を読み始めたけど、かなり興味深い議論が展開されそう。じっくりと読み進めたい。

なんとなんと、私の本があのハーシュマンの名著への導きになったとは嬉しい限りです。

・・・・・まず、もっとも客観的合理性に欠ける可能性が高い類型の「行為」に係る解雇型雇用終了事案として、権利行使や社会正義といった労働者の「発言」への制裁としての解雇型雇用終了事案がある。

ここで「発言」(voice)とは、アメリカの経済学者アルバート・ハーシュマンが提示した概念で、組織や集団の成員がその組織や集団の運営に対して不満や問題意識を抱いた際に、組織や集団の内部でその不満を述べたり、問題を提起したり、改善策を訴えたりするといった内部解決型の行動を指す。それに対し、不満や問題意識を抱いた成員がそれを内部で発言するのではなく、組織や集団を脱退して、別のルートで解決を探ろうとすることを「退出」(exit)という*1。この「発言-退出」モデルは、政治から経済まで社会のさまざまな局面に応用されることが可能な概念枠組みであるが、職場における労働者の行動様式にも応用することが可能であり、とりわけ個別労働紛争の原因となる労働者の行為を概念化する上で有用であると考えられる。

475 この本の説明としては、「ラスカルの備忘録」ブログのこのエントリが簡にして要を得ています。

http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20061101/1162393932

本ブログにおけるハーシュマンに関するエントリとしては、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_3c8e.htmlフリードマンとハーシュマンと離脱と発言

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_1a4b.html離脱と発言再び

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-2d75.html意地悪な質問?

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/voiceexit-fb62.htmlvoiceなきexitの世界

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『日本の雇用紛争』はamazon以外でお買い求め下さい

Koyoufunsou先月末に刊行した『日本の雇用紛争』ですが、圧倒的に多くの人が利用しているとおぼしきamazonで見ると、

http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%9B%87%E7%94%A8%E7%B4%9B%E4%BA%89-%E6%BF%B1%E5%8F%A3-%E6%A1%82%E4%B8%80%E9%83%8E/dp/4538411582/ref=zg_bs_505404_9

なぜか新刊書は売られていなくて、中古(まだ「古」くねえだろ)本がなぜか8,260円という信じがたい値段で売られているという状況です。

お願いだから、定価2,500円(税別)の本で3倍以上の暴利をむさぼらないでよ。

どうしてamazonで新刊書が買えないのか分かりませんが、同書はJILPTのホームページその他のネット書店で購入可能ですので、間違ってもこんな古本に手を出さないで下さい。

http://www.jil.go.jp/publication/ippan/koyoufunsou.html

http://www.bookservice.jp/bs/ItemDetail?cmId=6524134

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784538411583

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033399230&Action_id=121&Sza_id=GG

http://www.honyaclub.com/shop/g/g17635609/

http://shop.tsutaya.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%9B%87%E7%94%A8%E7%B4%9B%E4%BA%89-%E6%BF%B1%E5%8F%A3%E6%A1%82%E4%B8%80%E9%83%8E/product-book-9784538411583/

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現実は研究よりも奇なり

大原社会問題研究所で、岩田正美さんを呼んで「現実は研究よりも奇なり」という講演会をされるそうですが、

http://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/topics/1453356074/1453356074_0.pdf

このタイトルに心を惹かれました。岩田さんの場合、彼女の若き日の学界が貧困なんてもう昔の話だという感じで全然相手にもしなかったのを、一人このテーマに取り組んできた有為転変を語られるのでしょう。

でも私は、このタイトルに解雇規制をめぐる学界の議論と現実との落差をも感じてしまいます。

過去十数年にわたって一見熱心になされてきたように見える解雇規制をめぐる議論は、しかしながら日本の解雇規制は厳しいという(現実に即していない)大前提に賛成派反対派双方がどっしりと腰を落ち着けたままで、その厳しい解雇規制をけしからんと批判する側と、断固守れと主張する側との間で闘わされてきました。

双方とも、現実社会で起きている解雇のごく一部に過ぎない弁護士をつけて裁判に訴えて場合によっては何年も裁判闘争を継続した挙げ句に勝ち取った判例雑誌や判例集に載る判決分だけであれこれ論ずるという状態だったわけです。

もちろん、現実社会はそんなものじゃないよ、という声は、分かっている人々の口からは常にささやかれていましたが、それをきちんと示す研究成果というのはなかなか存在しませんでした。

そこで、労働局あっせん事案について調査分析し、報告書にまとめたほか、2012年には『日本の雇用終了』という本にしたところです。

Koyoufunsou今回、その全面改訂版として『日本の雇用紛争』という本を上梓しました。

http://www.jil.go.jp/publication/ippan/koyoufunsou.html

お読み頂ければ、改めて「現実は研究よりも奇なり」ということが良くお分かり頂けるものと思います。

第3部 日本の雇用紛争の内容分析(労働局あっせん事案から)
 
はじめに
一 解雇型雇用終了
Ⅰ 労働者の行為
1 労働者の発言への制裁
(1) 年次有給休暇等の取得
(2) その他労働法上の権利行使
(3) 労働法上以外の正当な権利行使
(4) 社会正義の主張
(5) 前勤務社での権利行使
2 労働条件変更拒否
(1) 配置転換・出向拒否
(i) 配置転換(勤務場所)拒否
(a) 配置転換(勤務場所)に係る変更解約告知
(ii) 配置転換(職務)拒否
(a) 配置転換(職務)拒否による解雇等
(b) 配置転換(職務)に係る変更解約告知
(iii) 出向・転籍拒否
(a) 出向・転籍拒否による解雇等
(2) 雇用上の地位変更拒否
(i) 雇用上の地位変更拒否による解雇等
(ii) 雇用上の地位変更拒否に係る変更解約告知
(3) 降格拒否
(i) 降格拒否による解雇等
(4) 労働条件引下げ拒否
(i) 労働条件引下げ拒否による解雇等
(ii) 労働条件引下げに係る変更解約告知
3 労働条件変更の要求
4 労働者の態度
(1) 業務命令拒否
(2) 業務遂行態度不良
(3) 職場のトラブル
(4) 顧客とのトラブル
(5) 欠勤・休み
(6) 遅刻・早退
(7) 不平不満の発言
(8) 相性
5 非行
(1) 不正行為
(i) 情報漏洩
(ii) 顧客奪取
(iii) 不正経理
(iv) その他
(2) 業務上の事故
(3) 職場の窃盗
(4) 職場におけるいじめ・セクハラ
(5) 素行不良
(6) その他
6 私的な事故
7 私生活上の問題
(1) 結婚
(2) 男女関係
8 副業
Ⅱ 労働者の能力・属性
1 労働者の能力
(1) 具体的な職務能力不足
(2) 職業資格
(3) 成果未達成
(4) 仕事上のミス
(5) 一般的能力不足
(6) 不向き
2 労働者の傷病
(1) 労働災害・通勤災害
(2) 私傷病
(3) 慢性疾患
(4) 精神疾患
(5) 体調不良
3 労働者の障害
(1) 身体障害
(2) 知的障害
(3) 精神障害
4 労働者の年齢・定年
5 労働者の性的志向
6 家族の属性
Ⅲ 経営上の理由
1 正社員
2 直用非正規
(1) 期間途中解雇
(2) 雇止め
3 派遣
(1) 期間途中解雇
(2) 雇止め
4 内定取消等
(1) 内定取消
(2) 待機
5 表見的整理解雇
6 コマからの外し
7 仕事の無発注
Ⅴ 理由不明
二 非解雇型雇用終了
Ⅰ 労働条件に起因する非解雇型雇用終了
1 労働条件変更
(1) 配置転換・出向
(i) 配置転換(勤務場所)
(ii) 配置転換(職務)
(2) 雇用上の地位変更
(3) 労働条件引下げ
(i) 賃金引下げ
(ii) 労働時間短縮に伴う賃金引下げ
(iii) 労働時間の延長
(iv) 年休取得拒否
(v) 社宅退去
(vi) 通勤手段変更
(4) 休職・自宅待機等
(i) 休職
(ii) 自宅待機
(iii) 労働者からの内定取消
2 労働条件の水準
(1) 雇用上の地位
(2) 労働時間
(i) 労働時間
(ii) 休日
(iii) 夜勤
(iv) 時間外訓練
(3) その他
(i) 配置転換希望拒否
(ii) 交通事故
(iii) 盗難
Ⅱ 職場環境に起因する非解雇型雇用終了
(1) 直接的な身体的攻撃
(i) 経営者、上司、同僚等
(ii) 顧客等第三者
(2) 物理的脅し
2 精神的な攻撃
(1) 主に業務に関連した発言
(2) 主に業務に関連しない発言
3 人間関係からの切り離し
(1) 能動的な切り離し
(2) 受動的な切り離し
4 過大な要求
(1) 事実上遂行不可能な要求
(2) 心情的に抵抗のある要求・行為
5 過小な要求
(1) 仕事を与えないこと
(2) 程度の低い仕事を命じること
6 個の侵害
(1) 私的なことに関わる不適切な発言
(2) 過剰な管理
7 経済的な攻撃
(1) 経済的不利益を与えること
(2) 労働者の権利を行使させないこと
8 行為不明
Ⅲ 懲戒処分
Ⅳ 傷病・障害等
1 精神疾患
2 精神障害
3 外国人差別
Ⅴ コミュニケーション不全
三 雇用終了以外の事案
Ⅰ 労働条件
1 労働条件変更
(1) 配置転換・出向
(i) 配置転換(勤務場所)
(ii) 配置転換(職務)
(iii) 出向・転籍
(2) 雇用上の地位変更
(3) 降格
(4) 労働条件引下げ
(i) 賃金引下げ
(ii) 労働時間短縮に伴う賃金引下げ
(iii) 賃金の精算
(5) 休職・自宅待機等
2 労働条件の水準
(1) 賃金
(2) 労働時間
(i) 労働時間
(ii) 休憩時間
(iii) 年次有給休暇
(3) 安全衛生
3 その他
(1) 健康診断
(2) 交通費
(3) 転居
(4) 労働者からの借金
(5) 求人の虚偽表示
(6) 紹介予定派遣
(7) 盗難
(8) 教育訓練
(9) 食事代
(10) 交通事故費用
Ⅱ 職場環境
1 身体的攻撃
(1) 直接的な身体的攻撃
(i) 経営者、上司、同僚等
(ii) 顧客等第三者
(2) 物理的脅し
2 精神的な攻撃
(1) 主に業務に関連した発言
(2) 主に業務に関連しない発言
3 人間関係からの切り離し
(1) 能動的な切り離し
4 その他の嫌がらせ
5 行為不明
Ⅲ 懲戒処分
Ⅳ 賠償
四 退職をめぐるトラブル
(1) 使用者側の退職拒否・希望退職拒否
(2) 退職撤回の拒否
(3) 退職時期
(4) 賞与
(5) 退職金等
(6) 退職時の精算
(7) 教育訓練費用
(8) 住宅費
(9) 雇用保険
(10) 社会保険
○ 制度対象外事案
(1) 賃金不払い
(2) 労働時間性

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本日より『日本の雇用紛争』発売

Koyoufunsou_2先日ご案内した『日本の雇用紛争』が本日より発売されます。

http://www.jil.go.jp/publication/ippan/koyoufunsou.html

上記リンク先より注文できます。

本書の内容を「はじめに」から紹介しておきますと、

 本書は、2015年5月に公表した労働政策研究報告書No.174『労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析』をそのまま第2部として収録するとともに、その研究で用いた労働局あっせん事案の内容分析を第3部とし、併せて法政策の推移を第1部として一冊の書物にしたものである。

 第2部の研究は、2014年6月24日に閣議決定された『「日本再興戦略」改訂2014-未来への挑戦-』において「労働紛争解決手段として活用されている「あっせん」「労働審判」「和解」事例の分析・整理については、本年度中に、労働者の雇用上の属性、賃金水準、企業規模などの各要素と解決金額との関係を可能な限り明らかにする」とされたことを受け、労働政策研究・研修機構において厚生労働省及び裁判所の協力を得て実施した調査研究である。その対象は、労働局あっせんについては、2012年度に4労働局で受理した個別労働関係紛争事案853件であり、労働審判については2013年(暦年)に4地方裁判所で調停または審判で終局した労働審判事案452件であり、裁判上の和解については2013年(暦年)に4地方裁判所で和解で終局した労働関係民事訴訟事案193件である。この研究担当者は、本書の著者である濱口桂一郎(主席統括研究員)と高橋陽子(研究員)の二人であった。

 この研究に当たり、労働審判と裁判上の和解については、上記二人の研究員が裁判所内で、労働関係民事訴訟及び労働審判記録を閲覧の上、持参したパソコンに収集すべきデータを入力するという手法で資料収集を行ったため、第2部で用いている数値化されうるデータ以外に質的データは収集されていない。これに対し、労働局あっせんについては、労働局で受理したあっせん事案の記録(「あっせん申請書」、「あっせん処理票」、「事情聴取票(あっせん)」、「あっせん概要記録票」及び添付書類)について、当事者の個人情報を抹消処理した上で、その提供を受けているため、紛争事案の内容を分類分析するために必要な質的データが得られている。そこで、本書第3部において、紛争の類型化に有用な限りで、できるだけ事案の特徴を明らかにするような形で分析を進めていくこととした。

 この部分は、2012年にJILPT第2期プロジェクト研究シリーズNo.4として刊行された『日本の雇用終了-労働局あっせん事例から』の全面改訂版と位置づけられる。ただし前回は、2008年度における4労働局のあっせん事案1,144件のうち、過半数の66.1%を占める雇用終了事案(解雇、雇止め、退職勧奨、自己都合退職など756件)を取り上げ、雇用終了理由類型ごとに詳しくその内容を分析したものであったが、今回は雇用終了事案に限らず、全事案853件を対象として分析を行っている。

 本書が、雇用紛争をめぐる諸課題に関心を寄せる多くの方々によって活用されることを期待する。

目次は以下の通りです。

第1部 雇用紛争の法政策の推移
 
1 労働基準法における紛争解決援助
(1) 労働基準法研究会報告
(2) 1998年労働基準法改正
2 男女雇用機会均等法等における調停
(1) 労働基準法研究会報告から婦人少年問題審議会建議まで
(2) 1985年男女雇用機会均等法における調停委員会
(3) その後の男女雇用機会均等法等における調停
3 個別労働関係紛争解決促進法
(1) 労使関係法研究会中間報告
(2) 労使関係法研究会報告
(3) 労使団体の提言
(4) 全国労働委員会連絡協議会の提言
(5) 個別的労使紛争処理問題検討会議報告
(6) 個別労働関係紛争解決促進法の成立
4 人権擁護法案における調停・仲裁
5 障害者雇用促進法における調停
6 労働審判制度
(1) 司法制度改革審議会
(2) 司法制度改革推進本部労働検討会
(3) 労働審判制度
7 仲裁
 
第2部 労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析(労働政策研究報告書No.174)
 
第1章 調査研究の目的・方法と制度の概要
第1節 調査研究の目的と方法
1 調査研究の目的
2 調査研究の方法
3 調査研究対象事案の範囲
第2節 各労働紛争解決システムの概要
1 労働局あっせん
2 労働審判
3 裁判上の和解
第2章 労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較統計分析
1 労働者の属性
(1) 労働者の性別
(2) 労働者の雇用形態
(3) 労働者の勤続年数
(4) 労働者の役職
(5) 労働者の賃金月額
2 企業の属性
(1) 企業規模(従業員数)
(2) 労働組合の有無
3 終了区分
(1) 労働局あっせん
(2) 労働審判
4 時間的コスト
(1) 制度利用に係る期間
(2) 解決に要した期間
5 弁護士又は社会保険労務士の利用
6 事案内容
7 請求金額
(1) 請求実額
(2) 月収表示
8 解決内容
9 解決金額
(1) 解決金額
(2) 性別に見た解決金額
(3) 雇用形態別に見た解決金額
(4) 勤続年数別に見た解決金額
(5) 役職別に見た解決金額
(6) 賃金月額別に見た解決金額
(7) 企業規模別に見た解決金額
(8) 解決期間別に見た解決金額
(9) 労働審判終了区分と解決金額
(10) 弁護士又は社会保険労務士の利用と解決金額
(11) 事案内容別に見た解決金額
10 月収表示の解決金額
(1) 月収表示の解決金額
(2) 性別に見た月収表示の解決金額
(3) 雇用形態別に見た月収表示の解決金額
(4) 勤続年数別に見た月収表示の解決金額
(5) 役職別に見た月収表示の解決金額
(6) 賃金月額別に見た月収表示の解決金額
(7) 企業規模別に見た月収表示の解決金額
(8) 解決期間別に見た月収表示の解決金額
(9) 弁護士又は社会保険労務士の利用と月収表示の解決金額
(10) 事案内容別に見た月収表示の解決金額
第3章 若干の考察
 
第3部 日本の雇用紛争の内容分析(労働局あっせん事案から)
 
はじめに
一 解雇型雇用終了
Ⅰ 労働者の行為
1 労働者の発言への制裁
(1) 年次有給休暇等の取得
(2) その他労働法上の権利行使
(3) 労働法上以外の正当な権利行使
(4) 社会正義の主張
(5) 前勤務社での権利行使
2 労働条件変更拒否
(1) 配置転換・出向拒否
(i) 配置転換(勤務場所)拒否
(a) 配置転換(勤務場所)に係る変更解約告知
(ii) 配置転換(職務)拒否
(a) 配置転換(職務)拒否による解雇等
(b) 配置転換(職務)に係る変更解約告知
(iii) 出向・転籍拒否
(a) 出向・転籍拒否による解雇等
(2) 雇用上の地位変更拒否
(i) 雇用上の地位変更拒否による解雇等
(ii) 雇用上の地位変更拒否に係る変更解約告知
(3) 降格拒否
(i) 降格拒否による解雇等
(4) 労働条件引下げ拒否
(i) 労働条件引下げ拒否による解雇等
(ii) 労働条件引下げに係る変更解約告知
3 労働条件変更の要求
4 労働者の態度
(1) 業務命令拒否
(2) 業務遂行態度不良
(3) 職場のトラブル
(4) 顧客とのトラブル
(5) 欠勤・休み
(6) 遅刻・早退
(7) 不平不満の発言
(8) 相性
5 非行
(1) 不正行為
(i) 情報漏洩
(ii) 顧客奪取
(iii) 不正経理
(iv) その他
(2) 業務上の事故
(3) 職場の窃盗
(4) 職場におけるいじめ・セクハラ
(5) 素行不良
(6) その他
6 私的な事故
7 私生活上の問題
(1) 結婚
(2) 男女関係
8 副業
Ⅱ 労働者の能力・属性
1 労働者の能力
(1) 具体的な職務能力不足
(2) 職業資格
(3) 成果未達成
(4) 仕事上のミス
(5) 一般的能力不足
(6) 不向き
2 労働者の傷病
(1) 労働災害・通勤災害
(2) 私傷病
(3) 慢性疾患
(4) 精神疾患
(5) 体調不良
3 労働者の障害
(1) 身体障害
(2) 知的障害
(3) 精神障害
4 労働者の年齢・定年
5 労働者の性的志向
6 家族の属性
Ⅲ 経営上の理由
1 正社員
2 直用非正規
(1) 期間途中解雇
(2) 雇止め
3 派遣
(1) 期間途中解雇
(2) 雇止め
4 内定取消等
(1) 内定取消
(2) 待機
5 表見的整理解雇
6 コマからの外し
7 仕事の無発注
Ⅴ 理由不明
二 非解雇型雇用終了
Ⅰ 労働条件に起因する非解雇型雇用終了
1 労働条件変更
(1) 配置転換・出向
(i) 配置転換(勤務場所)
(ii) 配置転換(職務)
(2) 雇用上の地位変更
(3) 労働条件引下げ
(i) 賃金引下げ
(ii) 労働時間短縮に伴う賃金引下げ
(iii) 労働時間の延長
(iv) 年休取得拒否
(v) 社宅退去
(vi) 通勤手段変更
(4) 休職・自宅待機等
(i) 休職
(ii) 自宅待機
(iii) 労働者からの内定取消
2 労働条件の水準
(1) 雇用上の地位
(2) 労働時間
(i) 労働時間
(ii) 休日
(iii) 夜勤
(iv) 時間外訓練
(3) その他
(i) 配置転換希望拒否
(ii) 交通事故
(iii) 盗難
Ⅱ 職場環境に起因する非解雇型雇用終了
(1) 直接的な身体的攻撃
(i) 経営者、上司、同僚等
(ii) 顧客等第三者
(2) 物理的脅し
2 精神的な攻撃
(1) 主に業務に関連した発言
(2) 主に業務に関連しない発言
3 人間関係からの切り離し
(1) 能動的な切り離し
(2) 受動的な切り離し
4 過大な要求
(1) 事実上遂行不可能な要求
(2) 心情的に抵抗のある要求・行為
5 過小な要求
(1) 仕事を与えないこと
(2) 程度の低い仕事を命じること
6 個の侵害
(1) 私的なことに関わる不適切な発言
(2) 過剰な管理
7 経済的な攻撃
(1) 経済的不利益を与えること
(2) 労働者の権利を行使させないこと
8 行為不明
Ⅲ 懲戒処分
Ⅳ 傷病・障害等
1 精神疾患
2 精神障害
3 外国人差別
Ⅴ コミュニケーション不全
三 雇用終了以外の事案
Ⅰ 労働条件
1 労働条件変更
(1) 配置転換・出向
(i) 配置転換(勤務場所)
(ii) 配置転換(職務)
(iii) 出向・転籍
(2) 雇用上の地位変更
(3) 降格
(4) 労働条件引下げ
(i) 賃金引下げ
(ii) 労働時間短縮に伴う賃金引下げ
(iii) 賃金の精算
(5) 休職・自宅待機等
2 労働条件の水準
(1) 賃金
(2) 労働時間
(i) 労働時間
(ii) 休憩時間
(iii) 年次有給休暇
(3) 安全衛生
3 その他
(1) 健康診断
(2) 交通費
(3) 転居
(4) 労働者からの借金
(5) 求人の虚偽表示
(6) 紹介予定派遣
(7) 盗難
(8) 教育訓練
(9) 食事代
(10) 交通事故費用
Ⅱ 職場環境
1 身体的攻撃
(1) 直接的な身体的攻撃
(i) 経営者、上司、同僚等
(ii) 顧客等第三者
(2) 物理的脅し
2 精神的な攻撃
(1) 主に業務に関連した発言
(2) 主に業務に関連しない発言
3 人間関係からの切り離し
(1) 能動的な切り離し
4 その他の嫌がらせ
5 行為不明
Ⅲ 懲戒処分
Ⅳ 賠償
四 退職をめぐるトラブル
(1) 使用者側の退職拒否・希望退職拒否
(2) 退職撤回の拒否
(3) 退職時期
(4) 賞与
(5) 退職金等
(6) 退職時の精算
(7) 教育訓練費用
(8) 住宅費
(9) 雇用保険
(10) 社会保険
○ 制度対象外事案
(1) 賃金不払い
(2) 労働時間性

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『日本の雇用紛争』1月29日発行予定

Koyoufunsou今週末の1月29日(金)に、『日本の雇用紛争』(労働政策研究・研修機構)を発行します。

http://www.jil.go.jp/publication/ippan/koyoufunsou.html

『日本の雇用終了─労働局あっせん事例から』の全面改訂版!

2012年刊行の『日本の雇用終了─労働局あっせん事例から』を全面改訂。労働局あっせんに加え、労働審判及び裁判上の和解事案も統計分析し労働紛争の実態を示す。さらに労働局あっせんは雇用終了事案に限らず、すべての事案を詳細に内容分析。

ということで、上のリンク先より注文できます(金曜日から)。

第1部は雇用紛争の法政策の推移、第2部は昨年報告書として取りまとめた労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析、そして第3部が本邦初公開の日本の雇用紛争の内容分析(労働局あっせん事案から)です。

細目次は以下の通りです。

第1部 雇用紛争の法政策の推移
 
1 労働基準法における紛争解決援助
(1) 労働基準法研究会報告
(2) 1998年労働基準法改正
2 男女雇用機会均等法等における調停
(1) 労働基準法研究会報告から婦人少年問題審議会建議まで
(2) 1985年男女雇用機会均等法における調停委員会
(3) その後の男女雇用機会均等法等における調停
3 個別労働関係紛争解決促進法
(1) 労使関係法研究会中間報告
(2) 労使関係法研究会報告
(3) 労使団体の提言
(4) 全国労働委員会連絡協議会の提言
(5) 個別的労使紛争処理問題検討会議報告
(6) 個別労働関係紛争解決促進法の成立
4 人権擁護法案における調停・仲裁
5 障害者雇用促進法における調停
6 労働審判制度
(1) 司法制度改革審議会
(2) 司法制度改革推進本部労働検討会
(3) 労働審判制度
7 仲裁
 
第2部 労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析(労働政策研究報告書No.174)
 
第1章 調査研究の目的・方法と制度の概要
第1節 調査研究の目的と方法
1 調査研究の目的
2 調査研究の方法
3 調査研究対象事案の範囲
第2節 各労働紛争解決システムの概要
1 労働局あっせん
2 労働審判
3 裁判上の和解
第2章 労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較統計分析
1 労働者の属性
(1) 労働者の性別
(2) 労働者の雇用形態
(3) 労働者の勤続年数
(4) 労働者の役職
(5) 労働者の賃金月額
2 企業の属性
(1) 企業規模(従業員数)
(2) 労働組合の有無
3 終了区分
(1) 労働局あっせん
(2) 労働審判
4 時間的コスト
(1) 制度利用に係る期間
(2) 解決に要した期間
5 弁護士又は社会保険労務士の利用
6 事案内容
7 請求金額
(1) 請求実額
(2) 月収表示
8 解決内容
9 解決金額
(1) 解決金額
(2) 性別に見た解決金額
(3) 雇用形態別に見た解決金額
(4) 勤続年数別に見た解決金額
(5) 役職別に見た解決金額
(6) 賃金月額別に見た解決金額
(7) 企業規模別に見た解決金額
(8) 解決期間別に見た解決金額
(9) 労働審判終了区分と解決金額
(10) 弁護士又は社会保険労務士の利用と解決金額
(11) 事案内容別に見た解決金額
10 月収表示の解決金額
(1) 月収表示の解決金額
(2) 性別に見た月収表示の解決金額
(3) 雇用形態別に見た月収表示の解決金額
(4) 勤続年数別に見た月収表示の解決金額
(5) 役職別に見た月収表示の解決金額
(6) 賃金月額別に見た月収表示の解決金額
(7) 企業規模別に見た月収表示の解決金額
(8) 解決期間別に見た月収表示の解決金額
(9) 弁護士又は社会保険労務士の利用と月収表示の解決金額
(10) 事案内容別に見た月収表示の解決金額
第3章 若干の考察
 
第3部 日本の雇用紛争の内容分析(労働局あっせん事案から)
 
はじめに
一 解雇型雇用終了
Ⅰ 労働者の行為
1 労働者の発言への制裁
(1) 年次有給休暇等の取得
(2) その他労働法上の権利行使
(3) 労働法上以外の正当な権利行使
(4) 社会正義の主張
(5) 前勤務社での権利行使
2 労働条件変更拒否
(1) 配置転換・出向拒否
(i) 配置転換(勤務場所)拒否
(a) 配置転換(勤務場所)に係る変更解約告知
(ii) 配置転換(職務)拒否
(a) 配置転換(職務)拒否による解雇等
(b) 配置転換(職務)に係る変更解約告知
(iii) 出向・転籍拒否
(a) 出向・転籍拒否による解雇等
(2) 雇用上の地位変更拒否
(i) 雇用上の地位変更拒否による解雇等
(ii) 雇用上の地位変更拒否に係る変更解約告知
(3) 降格拒否
(i) 降格拒否による解雇等
(4) 労働条件引下げ拒否
(i) 労働条件引下げ拒否による解雇等
(ii) 労働条件引下げに係る変更解約告知
3 労働条件変更の要求
4 労働者の態度
(1) 業務命令拒否
(2) 業務遂行態度不良
(3) 職場のトラブル
(4) 顧客とのトラブル
(5) 欠勤・休み
(6) 遅刻・早退
(7) 不平不満の発言
(8) 相性
5 非行
(1) 不正行為
(i) 情報漏洩
(ii) 顧客奪取
(iii) 不正経理
(iv) その他
(2) 業務上の事故
(3) 職場の窃盗
(4) 職場におけるいじめ・セクハラ
(5) 素行不良
(6) その他
6 私的な事故
7 私生活上の問題
(1) 結婚
(2) 男女関係
8 副業
Ⅱ 労働者の能力・属性
1 労働者の能力
(1) 具体的な職務能力不足
(2) 職業資格
(3) 成果未達成
(4) 仕事上のミス
(5) 一般的能力不足
(6) 不向き
2 労働者の傷病
(1) 労働災害・通勤災害
(2) 私傷病
(3) 慢性疾患
(4) 精神疾患
(5) 体調不良
3 労働者の障害
(1) 身体障害
(2) 知的障害
(3) 精神障害
4 労働者の年齢・定年
5 労働者の性的志向
6 家族の属性
Ⅲ 経営上の理由
1 正社員
2 直用非正規
(1) 期間途中解雇
(2) 雇止め
3 派遣
(1) 期間途中解雇
(2) 雇止め
4 内定取消等
(1) 内定取消
(2) 待機
5 表見的整理解雇
6 コマからの外し
7 仕事の無発注
Ⅴ 理由不明
二 非解雇型雇用終了
Ⅰ 労働条件に起因する非解雇型雇用終了
1 労働条件変更
(1) 配置転換・出向
(i) 配置転換(勤務場所)
(ii) 配置転換(職務)
(2) 雇用上の地位変更
(3) 労働条件引下げ
(i) 賃金引下げ
(ii) 労働時間短縮に伴う賃金引下げ
(iii) 労働時間の延長
(iv) 年休取得拒否
(v) 社宅退去
(vi) 通勤手段変更
(4) 休職・自宅待機等
(i) 休職
(ii) 自宅待機
(iii) 労働者からの内定取消
2 労働条件の水準
(1) 雇用上の地位
(2) 労働時間
(i) 労働時間
(ii) 休日
(iii) 夜勤
(iv) 時間外訓練
(3) その他
(i) 配置転換希望拒否
(ii) 交通事故
(iii) 盗難
Ⅱ 職場環境に起因する非解雇型雇用終了
(1) 直接的な身体的攻撃
(i) 経営者、上司、同僚等
(ii) 顧客等第三者
(2) 物理的脅し
2 精神的な攻撃
(1) 主に業務に関連した発言
(2) 主に業務に関連しない発言
3 人間関係からの切り離し
(1) 能動的な切り離し
(2) 受動的な切り離し
4 過大な要求
(1) 事実上遂行不可能な要求
(2) 心情的に抵抗のある要求・行為
5 過小な要求
(1) 仕事を与えないこと
(2) 程度の低い仕事を命じること
6 個の侵害
(1) 私的なことに関わる不適切な発言
(2) 過剰な管理
7 経済的な攻撃
(1) 経済的不利益を与えること
(2) 労働者の権利を行使させないこと
8 行為不明
Ⅲ 懲戒処分
Ⅳ 傷病・障害等
1 精神疾患
2 精神障害
3 外国人差別
Ⅴ コミュニケーション不全
三 雇用終了以外の事案
Ⅰ 労働条件
1 労働条件変更
(1) 配置転換・出向
(i) 配置転換(勤務場所)
(ii) 配置転換(職務)
(iii) 出向・転籍
(2) 雇用上の地位変更
(3) 降格
(4) 労働条件引下げ
(i) 賃金引下げ
(ii) 労働時間短縮に伴う賃金引下げ
(iii) 賃金の精算
(5) 休職・自宅待機等
2 労働条件の水準
(1) 賃金
(2) 労働時間
(i) 労働時間
(ii) 休憩時間
(iii) 年次有給休暇
(3) 安全衛生
3 その他
(1) 健康診断
(2) 交通費
(3) 転居
(4) 労働者からの借金
(5) 求人の虚偽表示
(6) 紹介予定派遣
(7) 盗難
(8) 教育訓練
(9) 食事代
(10) 交通事故費用
Ⅱ 職場環境
1 身体的攻撃
(1) 直接的な身体的攻撃
(i) 経営者、上司、同僚等
(ii) 顧客等第三者
(2) 物理的脅し
2 精神的な攻撃
(1) 主に業務に関連した発言
(2) 主に業務に関連しない発言
3 人間関係からの切り離し
(1) 能動的な切り離し
4 その他の嫌がらせ
5 行為不明
Ⅲ 懲戒処分
Ⅳ 賠償
四 退職をめぐるトラブル
(1) 使用者側の退職拒否・希望退職拒否
(2) 退職撤回の拒否
(3) 退職時期
(4) 賞与
(5) 退職金等
(6) 退職時の精算
(7) 教育訓練費用
(8) 住宅費
(9) 雇用保険
(10) 社会保険
○ 制度対象外事案
(1) 賃金不払い
(2) 労働時間性

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毎日新聞の質問なるほドリでさらりと

本日の毎日新聞の「質問なるほドリ」で、「「金銭補償し解雇」可能に?=回答・東海林智」という記事が載っていますが、

http://mainichi.jp/articles/20160123/ddm/003/070/130000c

そのなかでさらりと、

 Q 解雇については日本の規制は厳しいと聞くけど。

 A 会社の事情による整理解雇には4要件がありますが、一般的なルールは解雇に客観的、合理的理由がなく社会通念(つうねん)上相当と認められない場合、解雇権の乱用で無効になります。ところが、研究者の調査では有給休暇を申請しただけで解雇された例があるなど、実際には規制が守られていないとみられています。こうした労働者をどう救済するかの議論も必要です。(東京社会部)

という記述が。

この「研究者の調査」ってのは、間違いなくこれですね。

http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%9B%87%E7%94%A8%E7%B5%82%E4%BA%86%E2%80%95%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%B1%80%E3%81%82%E3%81%A3%E3%81%9B%E3%82%93%E4%BA%8B%E4%BE%8B%E3%81%8B%E3%82%89-JILPT%E7%AC%AC2%E6%9C%9F%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E5%8A%B4%E5%83%8D%E6%94%BF%E7%AD%96%E7%A0%94%E7%A9%B6%E7%A0%94%E4%BF%AE%E6%A9%9F%E6%A7%8B/dp/4538500046/ref=cm_rdp_product (濱口桂一郎著『日本の雇用終了』(労働政策研究・研修機構))

112050118

(1) 年次有給休暇、育児休業の取得を理由とする雇用終了

 労働者としての権利行使に係る雇用終了のうち最も典型的なものは、法律で認められた年次有給休暇や育児休業の権利を行使した(あるいはしようとした)ことを理由とする雇用終了であり、6件ある。

・10185(非女)普通解雇(25万円で解決)(不明、不明)

 会社側は「個性が強く、店のスタッフとの関係も不仲で、口論が絶えない」こと、他のパート従業員から「このままではここで働けない、やめる」との話が再燃したため、「店舗の運営を第一と考え」「不協和音を理由に」解雇を通告したと主張。本人側は「私が・・・労働基準監督署に対して申告したこと等を理由に解雇されたと判断」している。

 本人の申立によると、「有休は付与されるはずですけどもと聞いたら、次長がパートには有休はありませんとはっきり言われた」、「時間外労働手当のことを聞いたら言ってる意味が分からないといわれた」、「本部に問い合わせしたところ、雇用契約書および労働契約書は社員にはありますが、パートさんにはありませんといわれた」ため、監督署に相談し、次長が呼び出され、指導してもらった。

 これは、日常の「態度」と「発言」が交錯するケースであるが、むしろ労働法上の権利を主張するような「個性の強さ」が同僚との関係を悪化させる「態度」の悪さとして捉えられ、権利を主張しないことが「職場の和」となるという職場の姿が現れている。

・10220(正男)普通解雇(不参加)(不明、無)

 身内の不幸で有休を申し出たら、店長が「うちには有休はない。今まで使った人もいない。いきなり言われても困る。自分に聞かれても分からない」等と不明瞭な回答をし、そののち有休を取得したが、そののち解雇通告されたもの。

 会社側は「有休の取得と解雇は関係ない」、「労働意欲がなく、何度注意しても改善せず、就業に適さない。他の子に悪影響を及ぼす」のが解雇理由だとしている。なお、「店長は経験が浅く、労働法について詳しく理解していなかったのでこじれた」と説明している。

 会社側不参加のため詳細不明だが、有休と解雇がまったく無関係とも思われず、「有休=労働意欲の欠如」という認識があるようにも見える。

・30017(正女)普通解雇(打切り)(3名、無)

 社長に有休を願い出、了解を取ったにもかかわらず、その初日に「会長が大変怒っておられる。2週間も有休を取るような無責任な人は、うちには要らない」と連絡され、有休後出勤すると、会長から「要らないとは解雇の意味である」と通告。

 会社側は「通常の勤務態度や得意先の態度に当社の信用を失墜させるような行動が多々あり、その都度注意したものの一向に改善が見られないことによるもの」と説明。有休はきっかけで、本質はむしろ本人の勤務態度への認識にあるようで、「我々と社長の仕事上の指示も選り好みでものによると『こんなん私いやや社長やってえなあ』と馴れ馴れしく拒否するようになった」といった態度が許し難かったらしい。

 態度を理由とする解雇が権利行使をきっかけに噴出したケースといえよう。

・30204(非女)普通解雇(12万円で解決)(40名、無)

 会社側によれば、当日の朝「子どもが病気なので休む」と連絡があったが、当日パチンコ店にはいるのを目撃したため、勤務態度不良として解雇したもの。そもそも事前に休暇届を出しておらず、「有休とは認め難い」「単なる欠勤」との認識である。

 本来有休の利用目的は自由であり、パチンコに費やしたからといって不利益取扱いが許されるわけではないが、使用者には時季変更権があり、それが行使不可能な申請には問題がある。実際には、本当に子どもが病気であれば看護休暇の代替として認容するのが普通であろうが、実はパチンコに興じていたことで、「態度」への怒りが噴出したとみられる。

・30264(非女)普通解雇(6万円で解決)(25名、無)

 有休の権利を主張したら、社長から「うちにはない。パートにはない」と30分口論になり、実際に休んだのち、社長の叔父から「これ何や。景気が悪いから有休は出せない」と1時間説教され、さらにそののち有休を取ったら、社長から「今から仕事しなくてもよい」「首ということか?」「そうだ」「有休のことを言ったからか」「違う、休むからだ、困るからだ」とやりとり。会社側は、「零細企業においては、現実には有給休暇なんてないよねという暗黙の了解があって、これまではあまり請求もされなかったのは事実ではあるが、拒否したことはない」と述べている。

 これも権利行使が「態度」の問題となるケースだが、会社側が「零細企業の現実」を率直に語っている点が興味深い。

・30327(非女)雇止め、育児・介護休業等(30万円で解決)(16名、無)

 産休後、育休を取得したいと申し出たが、「パートに育児休業はない」と言われ、均等室に相談した結果、1年間の取得が認められた。ところが契約更新について確認すると、「園児の人数が分からないので更新の約束はできない」といわれた。ところがそののち、園児が予定より増えたためとして、申請人以外の2人については契約の継続を決定、申請人は雇止めとなった。

 保育園側は、「育児休業を取得したことが雇止めの理由ではなく、申請人は他のパートと比較すると、笑顔がない、子どもに心から接することができない等、力量が劣るため」と主張している。

 もし育休取得が雇止めの理由なら不利益取扱いの禁止に該当するが、一応「能力」を主張しており、判定手続ではないので金銭解決となっている。

 以上6件を通観して窺われるのは、「パートには有休はありません」「うちには有休はない」「2週間も有休を取るような無責任な人は、うちには要らない」「うちにはない。パートにはない」「パートに育児休業はない」等々と、労働法上に明記されているはずの労働者の権利が、中小企業の使用者の目には存在しないものと映っているらしいことである。こういった企業においては、使用者側にそもそも基本的な労働法上の権利行使に対する正しい認識が欠乏していることを窺わせる。こういった事態に対しては、一般的な労働法知識の普及啓発活動が必要であることはいうを待たない。

 近年、労働者、とりわけ若い労働者が労働法の知識を十分持たないまま就労し、不当な労働条件をそれと気づくことなく受け入れてしまっているといったことが指摘され、若者を中心とする労働法教育の必要性が唱道されている。例えば、厚生労働省に設置された「今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会」が2009年2月にとりまとめた報告書においても、「あらゆる層の労働者が必要な知識を習得できる機会を設けることこそが、働く上で必要不可欠な要素である」と適切に述べている。

 しかし、それと同時に重要なのは使用者自身に対する適切な労働法教育であり、しかもそれは(「パートには有休はありません」といった誤った思い込みを是正させなければならないという点において)労働者に対する労働法教育よりもさらに困難性がある。これはまた、伝統的な企業の規模別多重構造の下で、大企業では人事労務管理が確立し、正しい労働法の知識が管理者側に共有されているのに対して、中小零細企業になればなるほどそのような体制が乏しいことや、大企業は経営者協会などに参加して人事労務関係の知識を入手する機会が豊富にあるが、中小零細企業になればなるほどそのようなアウトリーチから外れがちであるといったことによっても増幅される傾向にあろう。その意味で、上記事例に垣間見える中小零細企業における労働法認識の欠乏に対しては、何らかの公共政策的な措置を講じていくべき課題として捉えることも必要と思われる。

 その一つの考え方として、こういうあっせん申請という形で労働行政のアンテナにかかってきたことを捉えて、あっせんを実施するかどうかとは別に、使用者に対する正しい知識の啓発の機会とすることも考えられてよいように思われる。もっとも、それは大海の一滴程度の効果に過ぎないという面も否定しがたいが。

 一方で、日本的な職場の意識からすれば、有休を取ってパチンコに興じるといった行動は眉をひそめられるものであることも事実であり、また、正当な権利行使であっても当該労働者の日頃の「態度」が使用者側から低く判断されているような場合には、当該権利行使自体が「態度」の悪さの一徴表として捉えられ、悪い「態度」に対する制裁という使用者側の主観的意識のもとに、当該(それ自体としては正当な)権利行使に対する制裁として雇用終了といった事態が引き起こされる可能性が高いことも、法的な価値判断は別として、事実認識として受け止める必要のあることであると思われる。

 この点については、上記今後の労働関係法制度を巡る教育の在り方に関する研究会」報告書においても、「社会生活のルールおよび基本的生活態度を身につけ、他者との良好な人間関係を構築するための『社会性・コミュニケーション能力』を高めることが、実際の職場における紛争の防止や解決に資する」と述べているところであり、いわば正当な権利行使をミクロな職場において正当なものとして通用させるために一定の「態度」が必要であるという現実の職場の事実についても、価値判断はさまざまであれ、銘記しておく必要があると思われる。

(参考)雇用終了以外の有休取得関連事案

 以上は、雇用終了事案の中の有休・育休取得関連事案であるが、それ以外にも有休・育休取得に関係する事案は結構多い。全事案のうち、有休取得関連事案は28件あり、そのうち雇用終了事案は3件である。なお、育休取得関連事案は2件であり、いずれも雇用終了事案である。

 雇用終了以外の有休取得関連事案の大部分はかなり定型的な紛争であり、いちいち取り上げることはしないが、ここではそのうち典型的な事例を一件紹介しておく。

・30645(非女)その他の労働条件(15万円で解決)(500名、無)

 在職中に何度も請求したが、直属上司から「うちの会社には有給休暇はない」と言われ、取得できないまま、上司から働き方が悪いと言われたので退社した。

 会社側は、アルバイトは休みたい人の希望を入れてシフトを組んでいるので、有休を取得する人も申請する人もいないと主張している。

 だからといって、アルバイトに法律上の有休の権利がなくなるわけではないが、会社側からすればそもそも労働時間について裁量性の高いアルバイトに有休の権利があること自体がおかしいという意識なのであろうか。

 本件は、企業規模が従業員500人規模と、立派な大企業であるが、「うちの会社には有給休暇はない」という管理者の発言は中小企業並みであるという印象である。

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『日本の雇用終了』につぶやきいくつか

112050118 『日本の雇用終了』につぶやきがいくつかされていました。

まずは。「真面目(ちょい良)」と「はやっと」さんのやりとりで、合いの手的に。

https://twitter.com/al_hayat/status/655752284471586816

みんな小さな正義が巨悪を倒す話好きだよね。下町ロケットがそんな話かは知らんけど。小さい会社の方がよっぽど労基なりコンプライアンスなり悪そうなんだけど。

同感です。『日本の雇用終了』という本にはその辺の事例が細かく記述されてます

オススメ?

専門家以外が読んでもとくに参考になることはないかと。。理不尽な解雇事例に気持ちが暗くなります

というわけで、「気持ちが暗くな」るので、お薦めはされません。

次には、「新宿一般労働組合」さん。

https://twitter.com/ShinjukuUnion/status/658885004496277504

とんでもないです!労使自治への不当な介入となりかねないと懸念します。さらに働く皆さんにとってもプラスにはならないことは明確。労働紛争、解決金に基準 水準上げへ厚労省導入検討  :日本経済新聞

10月25日日経報道では、解決金の水準は15,6万円(中央値)として引き上げを目指すとなっているが、一ヶ月分の賃金にも満たない。解雇された人々は、“金”でなく、理由の不当性に納得しないから立ち上がるのだ。立ち上がる人々は普段から勇ましいという人々ではなく、“フツウに働く人”

だちだ。ブラック企業の無法な振る舞いに涙を流しながら、ぼろぼろになりながらも闘う姿は、人間としての尊厳をかけた闘いだ。それが労使の現場であり、国家が基準を定めるべきとは思わない。さらに労働局の斡旋は解決水準が低い。濱口桂一郎氏らによる『日本の雇用終了』に詳しく述べられている。

経済科学の総合雑誌の『経済科学通信』(2015.9№138)に、濱口氏の発言が記載されている。「労働局のあっせん事案・・・・解決しているのは3割ほど・・・解決金の中央値は約17万円と極めて低い。労働審判は約100万円であり、裁判上の和解は約300万円である。」さらに

「中小零細企業・・・、あるいは非正規になればなるほど裁判はできない。」とも指摘。だれも解雇なんてされたくない。解雇は社会通念上合理的な理由がなければできないことは法律で明記されている。厚労省は解雇規制がきちんと機能するよう、労働法を“生きる法”にするにはどうしたらいいか考えるべき

この問題を論じる人は最低限中小零細企業でどんなことが行われているかを『日本の雇用終了』で知った上でいろいろと発言して欲しいと思います。その上での結論がいかにあれ。

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倉重公太朗さんの『日本の雇用終了』書評

112050118経営法曹会議の『経営法曹』185号に、倉重公太朗さんが拙著『日本の雇用終了』の書評を書かれています。
倉重さんといえば、『なぜ景気が回復しても給料は上がらないのか』(労働調査会)などで有名な若手経営法曹のホープですが、ちょうどタイミングを図ったように、この本を取り上げていただきました。

・・・・われわれ経営法曹としても、解雇規制改革に対する考え方についてはさまざまな意見があるところであり、本稿ではその是非について論じるところではないが、少なくとも、近時解雇規制改革をめぐる議論が俄に活況を呈する中、その前提認識として、現実に紛争となっている雇用終了の事案としてはどのようなものがあるかという前提認識を共通にする意味で、本書は類い希な価値を有するものである。特に、弁護士の一人一人が主観的な「経験」として持っている事案は多種多様であろうが、これを可視化・共有化するところにこそ本書の意義があるのである。

今後の解雇規制をめぐる議論の進展を見守る際には、是非本書を参照されたい。

一部の表層的な議論をもてあそぶ人々とは違い、さすが経営法曹としての見識に裏打ちされた評であり、こういう評価を頂くことを心からうれしく感じるところです。

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『JIL雑誌』2/3月号「労働法理論の現在」

New『日本労働研究雑誌』2/3月号は恒例の学界展望、今年は「労働法理論の現在」で、評者は緒方桂子、竹内(奥野)寿、土田道夫、水島郁子の4人です。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/new/

取り上げているテーマは、債権法改正と労働法、雇用平等・差別禁止・労働契約法20条、個別合意による労働条件変更、解雇、再建・倒産と労働法、労組法上の労働者、使用者、その他個別文献で、たいへん多岐にわたっています。

112050118 このうち、「解雇」に関する文献の一つとして、『日本の雇用終了』が取り上げられています。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/20140226152305550.pdf

竹内寿さんが一通り説明と評価をして、他の3人の方がコメントしていますが、そのうち水島郁子さんがこう言われているのは、ご自分自身あっせん員として携わられた経験から来ているのだろうな、と感じました。

水島 ただ、あっせんの場合、労働審判や訴訟では解雇無効とはいえないような事案であっても、使用者の説明が不十分であったとか、使用者に配慮が足りなかったなどの理由で、低額の解決金の支払いで決着することがあります。あっせんによる金銭解決の水準が低いことは事実ですが、解決事案にはこのような事案も含まれていると思います。

確かに、『日本の雇用終了』にもいくつも出てきますが、使用者も使用者だけど、労働者も労働者だよな、というケースは結構あります。

 

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佐々木亮さん on 『日本の雇用終了』

112050118日本労働弁護団の出している『季刊・労働者の権利』2013年7月号(300号)で、労働弁護士のssk_ryoこと佐々木亮さんに『日本の雇用終了』を紹介していただいておりました。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/20130827135945408.pdf

最後の一節から:

・・・本書は、法律や判例などどこ吹く風という現状や実態の存在を、圧倒的な数の事例により不気味な説得力を持って迫ってくる希有な書物である。本物の法をいかに現場に通わせることができるのか、「フォーク・レイバー・ロー」をどうすれば「改正」できるのか(つまり、雇用の現場における労働者の権利の向上)、ついつい考えさせられる。是非、一読をお勧めしたい。

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