新しい労働社会

2017年4月29日 (土)

拙著評いくつか

最近もいくつか拙著への短評がネット上に載りましたのでご紹介。

131039145988913400963 まず、2009年刊行の『新しい労働社会』ですが、読書メーターでイケダアイさん。

https://bookmeter.com/reviews/63856872

「国際比較の観点」と「歴史的なパースペクティブ」で労働問題をまとめた一大叙事詩。著者の圧倒的な知識量と、どこかウィットに富んだ文章で、内容は決して簡単ではないけれどつい後を引くように読んでしまった。2009年初版だが、話題の同一労働同一賃金についてもかなりの頁が割かれていて、既に答えが書かれている気がする。雇用問題を勉強している人や、会社の労務管理、給与制度の設計に関わる人は絶対に読んでおいたほうがいい。

もう8年前の本ですが、当時よりもむしろいまの議論を先取りしていた本になっていると、本人は思っております。

Chuko 次は『若者と労働』について連続ツイート。

https://twitter.com/Takechi60439696/status/857249290455982080

濱口氏の"若者と労働「入社」の仕組みから解きほぐす"読了。数時間でさーと読んだが、少ないキーコンセプトを用いてすっきりとした議論がされいた印象。

本書を通して、現代日本のメンバーシップ型正社員から直ちにジョブ型正社員へ移行することは難しい印象を受けた。若年層をジョブ型正社員として採用することは難しくないように思うが、やはり中高年の正社員の処遇をどうするかはもめに揉める…または時間が解決する…後者だろうなぁ。

ドイツの某制度への言及も面白かった。僕は文系大学生への教育には知識が全くないのでコメントできないが、理系大学院生の教育にも関わる。大手企業へのインターンだけでなく、ベンチャー企業へのインターンがもっと盛んになればいいなぁと思ったり。

ブラック企業にも言及されていた。単なる倫理的な観点からの批判ではなかった点が新鮮、というか労働に関する仕組み作りをしている人はこう考えるのかぁ、と思える内容で本当に面白かった。 ネタバレは控えつつの感想…難しいなぁ。とにかくおすすめの本です

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2016年10月 3日 (月)

「弁護士堀の随想」で拙著書評

131039145988913400963 元サラリーマンの弁護士の堀さんが雑多な事柄についての意見や感想を書かれているブログ「人と法と世の中:弁護士堀の随想」で、昨日今日と拙著『新しい労働社会』が取り上げられ、かなり詳しく書評をしていただいております。

http://arminius.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-a2f8.html

http://arminius.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-ed42.html

興味深いのは。本書への感想として次のようなことを綴られていることです。

とりとめがないかも知れないが、まずは本書の内容そのものについてのコメントというより、本書を読んで勝手に思い浮かべたこと等を少々。

まず、著者が指摘するような日本の「メンバーシップ型」とされる労働契約の特性を、うまく実情に即して法律の中で位置付けるロジックが、肝心の現代の日本の法制度・法理論においては乏しいようである。日本の労働問題については、法理論・法制度が実態をうまく反映しておらず、それゆえに判例で個別事案を解決する際に苦心しているというべきだろうか。既に雇用関係が破綻してしまって紛争化した段階になってから持ち込まれる司法での判断と、雇用関係が一応維持されて運用されている段階についての分析と、建前として抽象的に存在している法制度・法理論とが、それぞれ異なってくるのはやむを得ないのかも知れない。

労働契約は、民法上の契約理論をまず出発点としたうえで、これに社会政策的見地から修正を加えた労働法制によって規律されていることになっている。しかしこのような労働法制と、「団体加入」「組織への取り込み」という側面を持つ日本の「メンバーシップ型」労働契約の実情とが必ずしもうまく対応しているとは言い難い。

日本の「メンバーシップ型」労働契約から発生する紛争について、司法界や労働法学者は、紛争の性質に応じて、ある時は「自律的な個人間の契約」という側面を強調し、また別な時は社会政策的な修正の必要性を強調して、解決を図ってきたように思われるが、「メンバーシップ」的性質を正面から法制度としてとらえた立法的解決ができないものだろうかと思った。

いずれにしても、法理論・法制度と、現場での運用の実態(「生きた法」)との乖離については、著者は非常に強く意識しているものと思われる。(★注)

お気づきの通り、これはその後の拙著『日本の雇用と労働法』で中心的な論点として論じた点です。

そのことが、このエントリに追記されています。

(★(10月3日追記:同じ著者の「日本の雇用と労働法 」(P36-42)に、上記の私の感想に噛み合うような記載があった。同書についても後日感想を書く予定。)

この部分を読んで、この弁護士堀さんのセンスに脱帽しました。そう、法律学の素養を持って雇用システム論を読んでいくと、こういうところに思考が及んでいくのです。

ただ残念ながら法律学の素養のある人はあんまり雇用システム論に関心を持たないし、雇用システム論に関心を持つ人の多くは法律学のセンスが乏しいことが多いので、なかなかそういう議論が広がらないのですが。

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2016年9月28日 (水)

heartbeatさんの拙著書評

131039145988913400963_2heartbeatさんの「Just read it !」というブログが、安倍総理の働き方改革に引っかけて、拙著『新しい労働社会』を詳しく紹介、書評していただいています。

http://just-read-it.book-lovers.net/better-society/hatarakikata-01/

・・・最初にご紹介するのは、濱口桂一郎著、「新しい労働社会 ― 雇用システムの再構築へ」(岩波新書)です。この本を、まず始めに読んでいただきたい。一度読んだ方でも、ときどき原点を振り返る必要ができたとき、また、さまざまな論点の関係性を整理したいときなどに、リファレンスとして再度目を通していただくと、そのたびに理解を深めてくれる教科書のような本です。新書というボリュームも座右に置いて負担になりません。

・・・本書は、これらのさまざまな労働問題の論点を、読みやすい簡潔な文章ですっきりと整理しています。どのように整理するかというと、現在の日本型雇用システムについて、それができあがった歴史的な背景をひもとき、また、欧米型の雇用との国際比較を試みます。濱口氏は労働官僚ですが、日本型雇用システムの問題点に気づき、独自の労働政策論を掲げ、とにかくきまじめに課題解決に取り組んでこられた。そのような印象を行間から感じます。・・・

そして私の議論を丁寧に一つ一つ取り上げて紹介していくのですが、とりわけ有り難いと感じたのは、人によっては異端扱いされかねない第4章の議論を、正面から受け止めていただいていることです。

・・・濱口氏は、この正規・非正規という労働者間の利害調整と合意形成に向け、「さまざまな困難があるにしても、現在の企業別組合をベースに正社員も非正規労働者もすべての労働者が加入する代表組織を構築していくことが唯一の可能性である」とうったえます。濱口氏のこの方法論に対し、リアリティがないと一蹴することはかんたんですが、混迷する雇用論議に一石を投じていることは確かです。

いったいだれが濱口氏の主張を嗤うことができるでしょうか。安倍総理の呼びかけを本気で受け止められない与党政治家、ミクロの対立構図に埋没しがちな野党、総論賛成でも各論ではおよび腰の企業経営者、組織率の退潮著しい労働組合、体系的議論が苦手なマスメディア、そして最大の既得権者である正規社員ひとりひとり・・・。それぞれが、日本型雇用システムの問題点について、見て見ぬふりをし、議論から逃げているようにさえ見えます。

もう7年前の本ですが、集団的労使関係こそが問題解決への王道だという考えがいまほど重要になっている時期はないのではないかと思っています。

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2016年7月31日 (日)

7月の拙著短評あれこれ

7月に目に付いた拙著への短評をまとめてご紹介しておきます。

131039145988913400963 まず2009年に出した『新しい労働社会』(岩波新書)について、歴代作家書店店長による『憲法』と『日本のいま・これから』推薦書というコーナーで、小熊英二店長がこういうコメントを。

http://honto.jp/store/news/detail_041000019379.html

日本と西欧の雇用原理の違いから、未来の雇用原理を展望する。

112483 次に2011年の『日本の雇用と労働法』(日経文庫)について、神奈川建一(ケンザン中の人)がこうツイート。

https://twitter.com/KanagawaKenichi/status/752848017238036480

濱口桂一郎「日本の雇用と労働法」熟読中。日本の労働契約は、仕事に対する報酬ではなく、組織に属することに対する報酬を取り決めた契約であると解説する本。社会人になって数年経ったらぜひ読んで欲しい。どれだけ歴史の積み重ねが重いかわかるよ。

また、読書メーターでも、YTさんが、

http://bookmeter.com/cmt/57518200

『タテ社会の人間関係』や『どうして若者は3年目で辞めるのか』で述べられる日本型雇用システムが歴史的にどうやって形成されていったのかを歴史と裁判例から追って行くもの。所謂日本の大企業に勤める方は読むと日々の疑問が幾らか解ける。

Img_752f5d874047328e26f434ce08fbda5 昨年末の『働く女子の運命』には、かなり多くの短評が。先月末ですが「2016年参院選特別企画−有名教授陣が民主主義を再考する本を選書しました」というコーナーで、京都大学の国際法の教授である濱本正太郎さんに、「問題解明の見事なお手本」と褒めていただきました。

http://i-vote.jp/selection4election/2016/06/27/%E3%80%90%E6%BF%B1%E6%9C%AC%E6%AD%A3%E5%A4%AA%E9%83%8E%E6%95%99%E6%8E%88%E3%80%91%E6%BF%B1%E5%8F%A3%E6%A1%82%E4%B8%80%E9%83%8E%E3%80%8E%E5%83%8D%E3%81%8F%E5%A5%B3%E5%AD%90%E3%81%AE%E9%81%8B%E5%91%BD/

社会にある困った問題を解決しようとする場合、何よりもまず問題を理解しなければならない。それは、その問題を作り出している「悪者」を見つけることではない。では、どういうことか。「なぜ、女性は日本社会において働きづらいのか」という問題を徹底的に読者に理解させようとする本書は、問題解明の見事なお手本である。

その他、

http://scbookinfo.seesaa.net/article/439871165.html

今なおなぜ”女子”が働きづらいのか、明治期からの女子の働き方、日本の雇用(男性の)の歴史を概観することで、今の”女子”の置かれた状況をあぶりだす。

http://blog.goo.ne.jp/yuki_523/e/c2b8e1b5b359721ecb97e0b885140f09

タイトルに「女子」と書かれていますが男性の労働についても取り上げられていますし、男性にも読んでほしい1冊。

http://maiumy.exblog.jp/25493457/

これは労作、且つ重要作。

「(失われた20年は)それまでの日本型雇用システムを否定することなく、むしろその中核をより純粋に少数精鋭化しながら維持しつつ、もっぱらその周辺部を狙って規制緩和をしてきた」という流れの中で、いかに働く女性が虐げられてきたかの考察。

フェミニストならずとも、その分析の鋭さが面白い。

http://www2.hplibra.pref.hiroshima.jp/?page_id=1195

男女雇用機会均等法施行以後も,日本の企業等での女性の活躍はまだまだです。日本の女性はなぜ「活躍」できないのか。データや当事者の肉声を交え,「働きにくさ」の真相を解説しています。女性と比べると家事や育児負担が(少)ない男性にも,読んで考えてほしい一冊です。

http://ameblo.jp/fuyugare/entry-12185606384.html

メンバーシップ型とジョブ型の切り口で日本の労働問題を綺麗に整理する仕事の一環。男女雇用機会均等法の理念が目指してきた何かと、現実の落差を埋めるピースを提供する。端的に言えば、メンバーシップ型→職能給へ変換され、ジョブ型→職務給と翻訳して理解するというもの。この捻れを温存したままに、男女平等に取り扱うということを企業がどのように受け止めたか、そして男女ともに等しく劣悪な労働環境に貶める方向で理念が達成されうるのかという疑問符をつきつけるところで幕引き。 労働「諸」問題を考えるにワークライフバランスを取り戻すには、メンバーシップ型の有益性を残しつついかにしてジョブ型へ転換できるかを慎重に考えていかないといけない。

読書メーターでも、

http://bookmeter.com/b/4166610627

7/11 :inu , 難しい。どうすれば良いのか悩ましい。

7/13 :yurari , 昔よりはだいぶマシになってると思う。

7/17 :たろさん , 働く女子を巡る法規の変容や社会の変容について書かれた本。著者によれば第一次ワークライフバランス、すなわち労働時間の削減やマミートラックの解消が空洞化している中で、第二次ワークライフバランス、すなわち、時短勤務や育休だけが充実している問題点をあげている。ホワイトカラーエグゼプションにおいてもアメリカでの意味とは違い、少子化対策の改善と考えられている。日本の就業問題をとらえた本。

7/20 :Murakami, 現代まで続く女性労働者差別の歴史が良く分かった。

7/20 :cino , 欧米のジョブ型と日本のメンバーシップ型について書いてあったが日本以外のアジア他国はどうなのかなー

7/26 :Munedori , 労働の提供ではなく、労働力の提供。マミートラックがある理由がよく分かった。働く親(特に母)は会社にすべての時間を捧げられないから。でも、子供がいない人だって、親はいる。介護は育児以上に男性にも降りかかってくるだろう。どちらにしても、高度成長期時代に構築されたシステムは崩壊の道を辿ってるかと。

7/27 :じゅりあ , ゼミの文献として再読。

またブクログレビューでも、

http://booklog.jp/item/1/4166610627

7/9 : bukurose, 今なおなぜ”女子”が働きづらいのか、明治期からの女子の働き方、日本の雇用(男性の)の歴史を概観することで、今の”女子”の置かれた状況をあぶりだす。 欧米では日本より女性が働きやすくなっており、M字型も台形型になっているが、それはそう昔のことではなく60年代になってからだという。その源泉は賃金に対する考え方で、欧米では企業の中の労働をその種類ごとに職務(ジョブ)として切り出し、その各職務を遂行する技能(スキル)のある労働者をはめこみ、それに対して賃金を払う。経理のできる人、旋盤のできる人といったように。なので女性の労働問題は、女性の多い職種はおおむね賃金が安く、男性の多い職種(管理職とか)に女性も進出する、ということであったという。 それに対し日本は、会社のメンバーを募りメンバーはどんな職務内容でもやるというやり方。しかも賃金は労働者の生活を保障するべきものである、という生活給思想が根本にある。それは大正11年に呉海軍工廠の伍堂卓雄の発表した「職工給与標準の要」であるという。それは第二次大戦中、戦後の労働運動の中でも継承された。扶養手当の思想はここから始まっていたのだ。 そして85年に均等法ができるが、それは世界的に男女平等が進められた時代で、欧米はジョブ型に立脚して女性の雇用を進めたのに対し、日本は生活給という日本型雇用・会社のメンバーとして一丸で働くという立脚点で進められた点にねじれがある、というのだ。 日本型の女性労働の平等化は会社のためなら深夜でも外国でもいとわず、どんな仕事でもやります、という男性の土俵に女性も乗せるもの。均等法から30年、ワークライフバランスという言葉がむなしく響く。

7/20 : shiitake, 良い本。ハイパー知的刺激あった。

Chuko なお、『若者と労働』も含めて3冊まとめてのついーとがこちら。

https://twitter.com/ripplemirror/status/758651573740253184

メンバーシップ型社会(日本)とジョブ型社会(欧米)という切り口で新卒一括採用に批判的な内容だったが、この議論の主提唱者たる濱口桂一郎氏の議論を参照しているのか疑問符。若者にとってジョブ型社会の方が厳しいことは若者の失業率を一瞥すれば明々白々。

https://twitter.com/ripplemirror/status/758653249289269248

メンバーシップ型だからこそ白紙の若者でも企業が一定数採用し「OJT」を施している。この手の隣の芝生は青い的つまみ喰いこそ日本の労働問題を深刻化させている―というところまで「新しい労働社会」「若者と労働」「働く女性の運命」などを読めばわかるだろうに。

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2016年5月26日 (木)

『新しい労働社会』第10刷

131039145988913400963 『新しい労働社会』第10刷が届きました。

2009年の刊行以来、ロングセラーとして読み継がれていることに、改めて感謝申し上げます。

中身は古びていないと確信していますが、修正しなければならない部分があったことを失念しておりました。

巻末の「参考書」の中で、

 本書の素材となった論文は、現在発売中の書籍雑誌に収録されたものを除き、原則としてすべてわたしのホームページ(http://homepage3.nifty.com/hamachan/)に収録してあります。各項目について、本書では軽く触れるだけにとどめた歴史的な経緯やEUの状況を詳しく説明していますので、いわばエグゼクティブサマリーに対する詳細版としてお読みいただくことができるでしょう。

と、ホームページを紹介していたのですが、ニフティがホームページサービスをやめたため、同系列のラ・クーカンに移転していたのですね。

本書に対する書評その他全てのコメントを集めたこのページも、

http://hamachan.on.coocan.jp/bookreviewlist.html

やはり移っておりますので、このURLだけは直しておかなくてはいけなかったのです。しまった。

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2016年5月 7日 (土)

「日本型雇用、賃金システムの本質をつく、名著」@amazonレビュー

131039145988913400963 久しぶりに、amazonレビューで『新しい労働社会』(岩波新書)が取り上げられました。評者は「沙風琴」さんです。

http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4004311942/ref=cm_cr_dp_synop?ie=UTF8&showViewpoints=0&sortBy=recent#R21M9RK9ZNOJK9

年功序列、終身(長期)雇用、企業別組合が、日本型雇用制度の三種の神器といわれていることは、誰でも知っている。

この日本型雇用システムの本質は、職務に基づいて採用し、評価する、職務給制度ではなく、職務遂行能力を資格化した「職能給制度」にあると喝破している。

この本質をベースに、今まで、バラバラに頭に入っていた色々な事象が、根は一つなのだということが理解できる。

取り扱っている社会事象は非常に幅広く、かつ一つ一つの事象についての考察はとても深い。

そういった意味で、レベルとしては啓蒙書の域を凌駕しているが、説明は平易。  名著です。

そしていくつか具体的なテーマを取り上げて解説していただいたあと、

このように、取り扱うテーマは非常に幅広く、かつ掘り下げは非常に深い名著です。

日本型の雇用制度の本質を理解されたいかたに、お勧めの一冊です。 

繰り返し「名著」と評していただきました。ありがとうございます。

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2016年5月 4日 (水)

『新しい労働社会』に2回目の書評

131039145988913400963 今まで本ブログで拙著に対するネット上の書評をできるだけ拾って紹介してきました。同じ方が、拙著が出るたびに素晴らしい書評を書いていただいていることにも感謝ですが、既に書評をいただいていた『新しい労働社会』(岩波新書)に、2回目の書評をアップしていただいた方もいます。塩川太嘉朗さんです。

本が出たのは2009年ですが、塩川さんの第1回目の書評は2011年でした。

http://shiokawatakao.blogspot.jp/2011/07/2009.html

それから5年近く経って、再びこの拙著を取り上げていただきました。

http://shiokawatakao.blogspot.jp/2016/05/57122010.html

法律を法律の視点からだけで捉えると無味乾燥なものになってしまう。しかし、現実に起こっている事象と法律との関連が述べられると、そこに切実なストーリーを見出せることがある。本書はまさにそうした書籍であり、労働法が企業やそこで働く人々にとってどのような影響を与えてきたのかに思いを巡らせてくれる。・・・

そして自らの経験を踏まえて、拙著のスタンスをこう評されます。

日本企業における企業と働く個人との関係性をメンバーシップに置いている点が、本書を通底する主張である。日系の企業でキャリアを始め、現在外資系企業に勤めている身として、日系の企業がメンバーシップを雇用の根幹に置いているという点は納得的であり、身をもって理解できる・・・

ちなみに、塩川さんは他にも、『日本の雇用と労働法』『若者と労働』の書評も書いていただいております。

http://shiokawatakao.blogspot.jp/2011/10/2011.html

http://shiokawatakao.blogspot.jp/2014/01/2013_18.html

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2016年3月31日 (木)

『新しい労働社会』第10刷

131039145988913400963 本日、岩波書店より、拙著『新しい労働社会』の第10刷を発行するとの連絡をいただきました。

2009年の7月に刊行してから約7年弱ですが、この間、ずっと心ある人々に読み継がれてきたことを、著者として心より感謝申し上げます。 第1刷から中身はまったく変わっておりません。ひと言も変える必要なく、そのまま現在の状況下でもお読みいただけると思います。

たとえば、現在言われている労働時間規制の議論にしても、非正規の均等待遇の問題しても、この7年前の本で述べたことに付け加えることはほとんどないことを、むしろ、そこで強調したことをさらに繰り返し強調しなければならないことを、喜ぶというよりもむしろ悲しみたい思いもあります。

いや、新書本というのは本来そういうもの、むしろ10年、20年読み継がれるのが当たり前の本のはずですが、昨今そうとばかりも言えないような出たらそれで終わりの名ばかり新書本が溢れていますからね。

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2016年3月27日 (日)

リフォーム

669_04 『日本労働研究雑誌』4月号は「労働研究のターニング・ポイントとなった本・論文」が特集で、

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/new/index.html

その中で注目は、ゴードンの『日本労使関係史』に対する金子良事さんによる二度目の書評です。

ゴードン『日本労使関係史』

金子 良事(法政大学大原社会問題研究所兼任研究員)

0242930

一度目は『大原社会問題研究所雑誌』で、

http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/oz/650/650-07.pdf

これに対して私がコメントしたところ、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-c4a4.html (金子良事さんのゴードン『日本労使関係史』書評について)

本書については、本ブログでも何回もしつこいくらいにエントリをあげてきていますので、ここでは金子さんの書評スタンスについて一言だけ。

金子さんが反論され、

http://ryojikaneko.blog78.fc2.com/blog-entry-247.html (メンバーシップ論から企業別組合を説くのには屈せない)

さあさあ御立合い、御用とお急ぎでない方は聞いておいで、見ておいで、濱口金子劇場、始まるよ。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-657e.html (金子劇場が始まった!)

http://ryojikaneko.blog78.fc2.com/blog-entry-248.html (メンバーシップ論と企業別組合)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-b666.html (労使関係の「近代化」の二重性)

http://ryojikaneko.blog78.fc2.com/blog-entry-249.html (問われるべきは企業別組合強化よりも労働戦線統一)

このやりとりの中では、「はっきり言って、メンバーシップの問題で労使関係を切っていく視点は二村、ゴードン、禹に至るまでみんなダメだと私は思っているんです。だから、ほとんど無視した。それだけのことです。」とまで断言されていた金子さんですが、今回の特集は紹介という趣旨から、そこまでの激しい言葉は見られません。

131039145988913400963 その代わり、と言っては何ですが、私の著書を引っ張り出してきて、メンバーシップ論が従来の常識であり、その言葉のもとがゴードンであることに注意喚起しています。

・・・近年、濱口桂一郎が『新しい労働社会』(岩波新書)で従来の労働研究において常識とされてきたことをリフォームして、メンバーシップ型雇用社会という概念を提出した。本書(=ゴードン著)は「メンバーシップ」という概念によって本格的に取り組んだもっとも初期の研究であり、このトピックに関心のある現代の読者は、様々な示唆を受け取ることができるだろう濱口自身もこの議論が。自分の発想の元であることを認めている。・・・・・

いやそれは、労働研究をちょっとでもかじっていれば、メンバーシップ論が「従来の常識」にちょっと変わったカタカナのラベルを貼っただけであり、そのラベルもゴードンさんの本から持ってきたに過ぎないことは、それこそ常識の範囲内のはずなんですが、そういういう常識がかけらもないような人になると、「俺様の発見」(!?)を勝手に使うな、というわけのわからない話に堕してしまうようであります。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-5545.html

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2016年3月22日 (火)

Solomonさんの拙著評

Solomonさんの「ソロモンの書棚」というブログで、拙著『新しい労働社会-雇用システムの再構築へ』(岩波新書)への書評が書かれています。もう7年近く前の本ですが、こうして読み継がれているのは嬉しいことです。内容的にも、個々の法制度の細かいところは別として本筋の議論としては全然古びていないと思います。

http://blogs.yahoo.co.jp/solomon12726/13877571.html

著者の専門が労働法ということもあり、近年の労働法分野における最高裁判例を踏まえた上で、従来の日本型雇用の典型と問題点を指摘し、労働組合の新たな在り方を模索するのが本書の骨子と言えるでしょうか。

理想論・空中論にならないよう、地に足を付けて議論すべく著者が随所に意を払っていることがうかがわれます。

とはいえ、真に実行力のある解決策が提示されているのかには留保が付されてよいかと思います。

「真に実行力のある解決策」とは何か、というのは、ある意味で哲学的な問いですが、少なくとも現実を見据えていないものや現実にただ流されているものはその名に値しないと思っています。

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