その他の労働法政策

OECD『バック・トゥ・ワーク』韓国編

812013031mOECDのサイトに、「Back to Work Korea: Improving the Re-employment Prospects of Displaced Workers 」がアップされました。

これは「バック・トゥ・ワーク」という国別調査研究プロジェクトの第一冊目と言うことのようです。

http://www.oecd.org/els/emp/backtoworktheoecdreviewondisplacedworker.htm

「バック・トゥ・ワーク」って、どう見ても「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を意識してますけど、まあ文字通り、失業状態から仕事に戻そうという政策課題を言い表した言葉でしょうね。

Workers who are involuntarily displaced from their jobs can face long periods of unemployment. Wages also tend to be lower once they find a new job, especially when they are unable to find a new job in the same occupation as their pre-displacement job or in occupations using similar skills. Helping displaced workers back into work quickly and minimising the income losses they face is therefore an important challenge for employment policy. This series of reports provides new empirical evidence from a comparative perspective on the incidence of displacement and the risk displaced workers subsequently face of a long spell of unemployment and large wage losses when re-employed. It also identifies the main labour market programmes providing help to these workers and assesses how adequate and effective they are. Policy recommendations for further action are presented.

不本意にその職から離職した労働者は長期の失業に直面する。新たな仕事を見つけても、とりわけ離職前の職や同じようなスキルを用いる仕事を見つけられなければ、賃金は低くなりがちだ。離職労働者が早急に仕事に復帰し、直面する収入減を最小限にすることは、それゆえ雇用政策にとって重要な課題である。この報告シリーズは、離職の発生と長期間の失業と再就職時の大幅な賃金減少二関する比較的なパースペクティブからの新たな経験的な証拠を提供する。それはまた、これら労働者に援助を与える労働市場プログラムを明らかにし、それらが以下に十分で効果的であるかを評価する。さらなる行動への政策勧告が示される。

と言うことで、このレビューに参加しているのは9か国のようです。

Nine countries will participate in the review: Australia, Canada, Denmark, Finland, Japan, Korea, New Zealand, Sweden and the United States. Once the country reviews are completed, a synthesis report will be prepared highlighting the main issues and policy recommendations emerging from the review.

9か国がこのレビューに参加している。オーストラリア、カナダ、デンマーク、フィンランド、日本、韓国、ニュージーランド、スウェーデン、米国。各国レビューが完了したら、レビューから生ずる主な問題と政策勧告を明らかにする統合報告書が準備される。

これから、日本版も含めて各国報告書が出されていき、その後統合報告書が刊行されるという段取りですね。


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OECD『男女賃金格差解消へ-今こそ行動』

Gender20gap20cover150 昨日、経済協力開発機構(OECD)が「Closing the Gender Gap: Act Now」(男女格差解消へ-今こそ行動)を公表しました。

http://www.oecd.org/gender/closingthegap.htm

いろいろと興味深いデータが載っていますが、ここでは日本に関する日本語版のプレスリリースを。

http://www.oecd.org/gender/Closing%20the%20Gender%20Gap%20-%20Japan%20FINAL.pdf

日本女性は教育では大きな進歩をとげました。今日では、女性の方が男性より高学歴になり、25-34歳では、52%の男性に対して59%の女性が大学を卒業しています。45-54歳では32%の男性に対して23%しか女性の学士保持者はいないことからも、時代を経た変化が窺えるでしょう。しかし、学科選択という点では依然として明確な男女差が見られます。保健・教育等の専攻は、60%が女性である一方、コンピューターやエンジニアリングを専攻する女性は10%に満たないのです。さらに、若い女性は、短大や有名でない大学に入学するケースが多く、結果企業での早い昇進の流にのる確率も低くなっています。

男女間の給与格差は、40歳以上では40%もあり、若い世代でも15%程見られます。日本女性にとっては昇進も難しく、日本の上場企業の役員の内女性はわずか5%で、OECD加盟国間で最も低いレベルに入ります。

日本女性が労働市場で困難に直面している原因としてあげられるのが、ワークライフバランスの難しさです。育児休暇や子育て支援等の社会政策があるにもかかわらず、日本女性の多くは出産後に退職することが多く、たとえ常勤として復帰を望んでも困難なことが多いのが現状です。その結果、日本の労働市場では、女性が低賃金で非常勤の職に追いやられてしまうことが多いのです。さらに、日本の税及び福利厚生の制度が被扶養者である妻から仕事へのモチベーションを削ぎ、所得税免除の範囲内での収入にとどめようと思わせてしまうことも原因です。日本の男性も、育児休暇をとることには消極的で、さらに長時間勤務という日本の文化もあり、夫が(無給の)家事を分担することは依然希です。今日、夫が家事に費やす時間は、1日平均で59分です。

職場の環境も日本におけるワークライフバランスを困難にさせる一因です。その結果、役員クラスの女性の割合が少ないだけでなく、彼女らの出産率も低くなっています。このまま、2011年現在の労働市場参加率の男女格差(女性の63%、男性の84%)が継続されれば、今後20年で日本の労働人口は10%以上減少すると予測されます。日本は、教育においても経済活動においても、一人一人の能力をより効率的に活用することが必要です。経済成長には男女平等が鍵となります。労働市場における男女平等が実現すれば、今後20年で日本のGDPは20%近く増加することが予測されます。

最近、国際機関からのこういう忠告というか叱咤も繰り返されすぎて、いい加減飽きが来ているかも知れませんが、いや言われていることがなんら解決していないから言われ続けているわけで。

あと一つ、「長時間勤務という日本の文化もあり」というもう数十年言われている話も、確かに「ある社会の成員によって共通して持たれている思考と行動のパターン」という文化人類学的意味では「文化」なんだけど、「文化」といってしまうことでどうしようもないというインプリケーションが言われている日本人の側にもたらされてしまうという問題点もあり、やはりなぜ長時間労働になってしまうのかというそのメカニズムをきちんと分析して、解決策を探っていくのでないと、百年河清を待つ話になってしまうわけです。

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OECDの「Learning for Jobs」今秋翻訳刊行予定

上西充子さんがぽろりと、

http://twitter.com/mu0283/status/231673676129501184

↓ これ、行きたかったんだけれど、8日午前中までに終わらせるべき翻訳チェックが終わらないので、断念。清水さん、平塚さん、河添さん、いずれの方もナマでお話を伺ったことがないので、行ってみたかったのだが・・。

http://twitter.com/mu0283/status/231675033775374336

翻訳って、自分の言葉じゃないので、訳語がぶれたり、見直すごとに「なんでこんな訳し方したんだろう」と思うような箇所があったり、慣れていないので結構神経を使います。共訳だし(岩田先生と)。OECDのLearning for Jobs。秋ごろには出る・・はず・・。

上西さんが全国進路指導研究大会を断念して翻訳しているOECDの「Learning for Jobs」、拙監訳の『世界の若者と雇用』のあとがきでももうすぐ出るみたいなことを書きましたが、いよいよ今秋刊行のようです。

職業教育訓練についての先進国標準の考え方が、いかに日本の俗流の発想と違うか、是非読んで堪能していただければ、と。

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人事院年次報告書に諸外国の公務労使関係の概要

人事院が先日公表した年次報告書に、第2部として公務員給与の決定過程 ~諸外国の実態と我が国の課題~が載っています。諸外国の公務労使関係の概要が分かりやすくまとめられています。

この分野、とかく思いこみばかりで語られがちな領域であるだけに、頭を冷やして冷静に議論する素材として、あらかじめ頭の向きが決まっている人以外の方に、一読をおすすめしておきます。

これは別に誰かを当てこすっているわけではありませんので念のため。

http://ssl.jinji.go.jp/hakusho/hakusho23/23_1-2.pdf

以下、各国の各節ごとの要約の部分をコピペ。

第1節 アメリカ

● 団結権は認められているが、連邦法規で定められる給与等は労使交渉の対象から除外されている。
● 争議行為は禁止されている。

(2)給与決定の仕組み及び基本原則
● 給与のうち、基本的な部分は、俸給と地域均衡給から成る。
● 給与改定について労使交渉は行われない。
● 俸給については改定率が法定されている。地域均衡給については大統領給与エージェントが大統領に勧告する。実際にはほとんどの場合、大統領が代替案を提出している。
● 過去数十年間、給与が引き下げられたことはない

2 連邦公務員の労使交渉の実態
● 勤務条件の内容はほとんど労使交渉の対象にならず、休暇の申請手続など手続的な事項が対象。予算・定員も対象外。
● 労使交渉は、各省の交渉単位ごとに行われる。投票により多数労働者の支持を得た労働組合が排他的な団体交渉権を得て交渉の席に着く。
● 給与等については労使交渉をしていない連邦政府でも、労使交渉や労働組合との関係の維持には相当の時間と労力をかけている。
● 労使交渉には高い専門性が必要であることから、各省では交渉担当者の人材育成に取り組んでいる。

参考 州政府における労使交渉の実態(ニューヨーク州の例)

● 給与、勤務時間など、主な勤務条件は全て交渉対象(年金を除く。)。予算、定員については交渉対象外。
● 全ての交渉単位について、担当の知事部局が労使交渉を行う。
● 使用者側にとって勤務条件の引下げを行うのは難しいが、レイオフの可能性を交渉材料にして給与凍結の合意を引き出したことがある。これまで給与の引下げ改定が行われたことはない。
● 合意に至った後、組合員の投票で承認が得られなければ再度交渉が必要。

第2節 イギリス

● 軍人及び警察官等を除いた国家公務員は、慣行として、団結権、協約締結権を含む団体交渉権及び争議権は認められている。刑務官については、個別法により争議権が否定されている。
● 国家公務員の給与決定過程は、上級公務員と一般職員とで異なっている。

(2)上級公務員の給与決定の仕組み及び基本原則
● 上級公務員については、労使交渉による給与決定は行われておらず、上級公務員給与審議会の勧告を経て決定している。
● 上級公務員給与審議会が上級公務員の給与について首相に勧告を行うに当たり、労働組合から意見や資料の提出を受けるほか、財務省は労働組合と意見交換を行う。
● 上級公務員の給与は、法律に定めはない。勧告を受けて、首相が決定。議会が関与することはない。
● 予算面においては、政府が人件費の枠を4か年の支出計画で決定している。
● 過去数十年間、給与の引下げが勧告されたことはない。

(3)一般職員の給与決定の仕組み及び基本原則
● 一般職員については、給与に関する権限が大幅に各省等に委譲され、各省等が独自にそれぞれの人件費予算に応じて給与制度を決定している。
● 一般職員の給与は、財務省の指示した方法に従って承認された給与歳出枠の範囲内で、各省等は、労働組合と等級ごとの俸給額の改定などの配分について交渉する。
● 合意した時には労働協約が締結され、その内容を各省等が通知・実施する。
● 労働組合と合意に至らない場合は、使用者側(各省等)が自らの案で決定し通知・実施する。
● 決定された事項は、同意に至らない労働組合の組合員及び非組合員にも同様に適用される。
● 一般職員の給与について、議会が関与することはない。
● 過去数十年間、給与が引き下げられたことはない。

2 一般職員の給与をめぐる労使交渉の実態
● 総人件費(予算)及び定員枠は交渉の対象ではない。
● 給与制度が各省等別に全国単位で決められているため、交渉も各省等別に中央で行われる。
● 給与交渉において、使用者側では部長~副部長クラスが、労働組合側では交渉担当役員を代表とする交渉担当者が交渉に当たる。大臣級が交渉に当たることはほとんどない。
● 各省等には複数の労働組合があるのが一般的である。交渉に当たっては、複数の労働組合が、同時に交渉の席に着く。
● 使用者側が、労働組合との合意なしに自ら給与改定を決定・実施する場合、労働組合側はストライキで対抗することもある。

第3節 ドイツ

● ドイツの公務員は、主として公権力の行使に携わる「官吏」と私法上の雇用関係にある「公務被用者」とに分けられる。
● 「官吏」は、団結権は保障されているものの、給与等は法定されるため協約締結権はなく、争議権も認められていない。
● 団体交渉を通じて賃金等を決定する「公務被用者」は、民間労働者と同様に、三権ともに保障されている。
● 職員代表制により、官吏・公務被用者共同で、法令及び賃金協約の定める勤務条件の官署における具体的な適用や、個別の人事処遇に関する使用者の意思決定過程に参画する。

(2)官吏の給与決定の仕組み及び基本原則
● 憲法の規定に基づき、忠誠義務を負う官吏の勤務条件は、官吏に対し扶養義務を負う使用者の責務として法令により一方的に定めるものとされており、官吏には協約締結権も争議権も認められていない。
● 連邦給与法改正に当たっては、労働組合がその法案作成段階で関与することが法定されている(連邦官吏法)。

(3)公務被用者の給与決定の仕組み及び基本原則
● 公務被用者は、団結権、協約締結権を含む団体交渉権、争議権を全て有しており、その賃金は、労使交渉を経て締結される労働協約により決定される。
● 連邦の公務被用者については、市町村の公務被用者と共同で、連邦内務大臣及び市町村代表(連邦財務大臣が同席)と労働組合との間で賃金交渉が行われる。

2 公務被用者の給与をめぐる労使交渉の実態
● 連邦公務被用者の賃金交渉は、市町村のそれと共同で、労働組合側代表:統一サービス産業労働組合委員長及びドイツ官吏同盟協約部門代表、使用者側代表:連邦内務大臣及び市町村使用者団体連合会議長が、当事者として出席して行われる。
● 労働協約は、給与のほか、勤務時間、休暇、雇用期間の設定・解雇等の勤務条件の枠組みについて定めているが、毎回の労使交渉の主たる対象事項は、手当を含む賃金の引上げ率である。
● 予算、定員は、労使交渉の対象ではない。
● 労働協約の効力は予算措置の有無に左右されないが、トップ会談の場を含め、財源に関する権限を持つ連邦財務大臣又は次官が労使交渉に同席することで、労働協約と予算との調整が図られている。
● 交渉不調の場合には、調停の手続に移行する。実際に調停手続に進む場合が多く、拘束力のない調停案を基に更なる交渉が重ねられることとなる。
● 少なくとも1990年代以降、賃金交渉の結果、連邦公務被用者の賃金水準が引き下げられたことはない。
● 近年、公務被用者の賃金交渉に際しては、大規模な警告ストライキが行われることが多くなっており、特に市町村公務被用者によるストライキのために、病院、ゴミ収集等の行
政サービスに関して、国民生活に直接的な影響が及んでいる。

3 職員代表制
● 職員代表制は、各官署における官吏・公務被用者共同の仕組み。
● 勤務条件の枠組みの中で各官署における具体的な勤務条件や人事処遇に関する事項を決定する際に勤務者の利益を代表する仕組みとして職員代表制が法定されている。
● 職員代表制における協議会の参画態様として、協議会の同意を必要とする「共同決定」と協議会の理解を求める手続を経るべき「協力」とが定められている。

第4節 フランス

● 団結権及び争議権が認められている。実際の争議は、抵抗権や表現の自由に関わる権利として、労使交渉と無関係に行われることも多い。
● 給与改定など一定の事項に係る労使交渉は認められているが、当局側に応諾義務はなく、協約締結権は認められていない。
● 労使交渉とは別に、個別の昇進や手当配分等に関する管理当局との協議に職員が参加する仕組みとして、職場協議会制度が設けられている。

(2)給与決定の仕組み及び基本原則
● 公務員給与は政令等により定められている。議会の関与はない。
● 予算面では、人件費は予算に計上され、給与に係る労使交渉には予算局の幹部が同席し、予算の枠内で労使交渉が行われている。

2 給与をめぐる労使交渉の実態
● 政府が給与改定を決定し、政令等の改正により実施する。
● 改定に先立つ労使交渉は認められているが、交渉で取り上げる事項や開始するか否かを決定する権限は当局が有する。数年にわたり給与改定の交渉自体が開始されず、政府の責任において改定決定が行われたこともある。
● 合意に達した場合は政府が作成した議定書に労働組合が署名する。ここ10年以上、給与水準について労使が合意に至った例はない。
● 労使交渉への参加及び合意(議定書署名)においては、2010年の法律改正により、各労働組合が職場を実質的にどれだけ代表しているかが問われる形に変更され、職場協議会とのつながりが制度上も一層強められた。
● 非組合員も含んだ職場協議会における投票で、多数の職員から支持を得た複数の労働組合が代表性を獲得し、同時に交渉の席に着く。
● 過去数十年間、給与の引下げは行われていない。

4 職場協議会制度
● 職場協議会制度を通じ、労働組合は、昇進や手当配分にまで関与する。
● 実際の運用において、「労使交渉」と「労使協議」の線引きは曖昧である。

で、以上をさらにこう要約しています。

● 4か国では、国家公務員の給与決定過程を国家公務員全体で一律に扱う国(アメリカ及びフランス)と国家公務員を二つに区分して扱う国(イギリス及びドイツ)がある。したがって、アメリカ、フランス、イギリスの上級公務員、イギリスの一般職員、ドイツの官吏及びドイツの公務被用者の6ケースに類型化できる。
● これらの国家公務員を給与決定過程の中で労使交渉が行われているか否かによって整理すると、①労使交渉によらず国が給与を決定しているアメリカ、イギリスの上級公務員及びドイツの官吏と、②給与決定に当たり争議権を前提に労使交渉を行っているイギリスの一般職員、ドイツの公務被用者及びフランスとに整理できる。
● ①の中でアメリカ及びドイツの官吏については、給与決定に関する事項を法定しており、協約締結権及び争議権が否定されている。他方、②の3ケースでは全てに争議権が付与されている。
● ドイツの公務被用者については、労使の合意がなければ給与改定を行うことできず、かつ、労働協約によりその水準も決定している。労使が交渉で合意することにより、労働協約は議会の同意を要することなく効力を持つ。
● イギリスの一般職員については、給与水準について政府が責任を持って決めるため労使交渉が行われず、その配分についても労使が交渉で合意しない場合には使用者側が自らの案で決定し、実施する。なお、合意した場合に締結する労働協約に法的拘束力はないのが一般的である。
● フランスについては、協約締結権が認められていない。労使が交渉で合意しない場合には使用者側が自らの案で決定し、実施する(合意した場合には法的拘束力のない議定書を結ぶが、合意に至ることはまれである。)。
● 各国ごとに労使交渉を行う勤務条件の内容、協約締結の範囲等が異なる。なお、4か国とも予算や定員は労使交渉の対象としていない。
● アメリカ及びフランスでは、労使交渉の当事者となる労働組合を職員の投票により決定している。
● 上記②の3ケースでは、複数の労働組合と交渉を行う際には、同一の場で行っている。
● ドイツ(官吏、公務被用者)及びフランスにおいては、使用者側と職員側が職場ごとに人事施策等について話し合う協議会が設けられ、労使交渉以外の方法によっても職員の関与が認められている。
● 4か国において過去数十年間、国家公務員の給与水準が引き下げられた例はない(注)。

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「緊縮の罠」から抜け出せるのか?ILO世界労働レポート

Ilo_2国際労働機構(ILO)が本日、「World of Work Report 2012」を公表しました。

本体は

http://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---dgreports/---dcomm/documents/publication/wcms_179453.pdf

要約は

http://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---dgreports/---dcomm/documents/publication/wcms_179450.pdf

です。

今回の報告のタイトルはは「Better jobs for a better economy」(より良い経済のためのより良い仕事)ですが、それよりむしろ、冒頭のタイトル

How to move out of the austerity trap?

緊縮の罠からいかにして抜け出せるのか?

が、現在の世界経済が陥った「罠」を良く言い表しているように感じられました。

Since 2010, and despite the job-friendly statements in successive G20 meetings and other global forums, the policy strategy has shifted its focus away from job creation and improvement and concentrated instead on cutting fiscal deficits at all costs. In European countries, cutting fiscal deficits has been deemed essential for calming financial markets. But even in countries which have not suffered from the effects of the crisis this remedy is being applied for pre-emptive reasons – fiscal deficits are being reduced to avert any negative reactions from financial markets. This approach was intended to pave the way for greater investment and growth, along with lower fiscal deficits.

2010年以来、雇用にやさしい宣言が繰り返されたにもかかわらず、政策戦略の焦点は雇用創出と改善から離れ、いかなるコストを払っても財政赤字をカットする方向にシフトした。ヨーロッパ諸国では財政赤字削減が金融市場をなだめるために必須とみなされた。しかしながら、危機の影響を受けなかった諸国ですらこの処方箋は予防的見地から取られている。このアプローチは財政赤字を縮小しつつ投資と成長を拡大することを意図している。

In addition, as part of the policy shift, the majority of advanced economies have relaxed employment regulations and weakened labour market institutions (Chapter 2), and more deregulation measures have been announced. These steps are being taken in the hope that financial markets will react positively, thereby boosting confidence, growth and job creation.

加えて、政策シフトの一環として、先進諸国の多数は雇用規制を緩和し、労働市場機構を弱体化させ、さらなる規制緩和が公表されている。これらのステップは金融市場がポジティブに反応し、信任と成長と雇用創出を産み出してくれるという希望に基づいている。

However, these expectations have not been met. In countries that have pursued austerity and deregulation to the greatest extent, principally those in Southern Europe, economic and employment growth have continued to deteriorate. The measures also failed to stabilize fiscal positions in many instances. The fundamental reason for these failures is that these policies – implemented in a context of limited demand prospects and with the added complication of a banking system in the throes of its “deleveraging” process – are unable to stimulate private investment. The austerity trap has sprung. Austerity has, in fact, resulted in weaker economic growth, increased volatility and a worsening of banks’ balance sheets leading to a further contraction of credit, lower investment and, consequently, more job losses. Ironically, this has adversely affected government budgets, thus increasing the demands for further austerity. It is a fact that there has been little improvement in fiscal deficits in countries actively pursuing austerity policies (Chapter 3).

しかしながら、こういった期待は満たされることはなかった。緊縮と規制緩和を最大限に追及した諸国、とりわけ南欧諸国では、経済と雇用情勢は悪化し続けた。財政状況を安定化させようとする措置はことごとく失敗した。こうした失敗の根本的理由は、これら政策が民間投資を刺激できなかったことにある。緊縮の罠はひび割れた。緊縮政策は、現実には、経済成長の劣化、不安定さ、銀行のバランスシートの悪化をもたらし、さらなる信用収縮、投資の減少を導き、結果としてさらなる失業の増加をもたらした。皮肉なことに、これは政府の財政に悪影響を及ぼし、そのためさらなる緊縮政策への要請を増大させる。つまるところ、緊縮政策を一生懸命追及した諸国において財政赤字はほとんど改善していないのだ。

等々と、縷々述べた後で、

It is possible to move away from the austerity trap.・・・

緊縮の罠から抜け出すことは可能だ。・・・

と論じていきます。さて、読者諸氏はどう考えるでしょうか。

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『よいスタートを切れる? OECD若者雇用統合報告書』

46665570coverenglish20812010231m130 ようやく、OECDの若者雇用に関する統合報告書が刊行されました。

Off to a good start? Jobs for Youth」という標題です。"(get) off to a good start"は「よいスタートを切る」というイディオムですが、それに「?」がついているのが意味深長ですね。

http://www.oecd.org/document/31/0,3746,en_2649_37457_46328479_1_1_1_37457,00.html

>More jobs opportunities and better skills needed to ensure that young people benefit from the ongoing recovery

The initial experience in the labour market has a profound influence on later working life. Getting off to a good start facilitates youth integration into the world of work and lays the foundation for a good career, while it can be difficult to catch up after an initial failure. This publication analyses the situation of youth employment and unemployment in the context of the jobs crisis and beyond and identifies successful policy measures in OECD countries.

若者が景気回復から利益を得るためには、より多くの雇用機会とより高い技能が必要だ。

労働市場における初期の経験はその後の職業生活に深い影響を及ぼす。いいスタートを切ることは、若者が仕事の世界に統合することを促進し、よいキャリアのための基盤を作るが、最初に失敗すると後に追いつくのは難しい。本報告書は若者の雇用と失業を、雇用危機とそれ以後の文脈で分析し、OECD諸国における成功した政策措置を明らかにする

Youth いうまでもなく、今年初めに中島ゆりさんの訳、私の監訳で明石書店から出版した『日本の若者と雇用 OECD若年者雇用レビュー:日本』など各国報告書を踏まえた統合報告書であり、世界の先進主要国の若者雇用政策が立体的に分かる素晴らしい報告書です。

裏表紙の宣伝文句をコピペしておきます。

>Promoting a smooth transition from school to work, and ensuring that youth are given the opportunities to move on in their careers and lives, have long been issues of fundamental importance for our economies and societies. Today, they are even more pressing challenges as the global economy emerges from the worst crisis of the past 50 years. Indeed, young people have borne much of the brunt of the recent jobs crisis. The youth unemployment rate is approaching 20% in the OECD area, with nearly 4 million more youth among the unemployed than at the end of 2007.

The initial experience in the labour market has a profound influence on later working life. Getting off to a good start facilitates youth integration into the world of work and lays the foundation for a good career, while it can be difficult to catch up after an initial failure. In particular, the jobs crisis is likely to leave long-lasting "scarring" effects on some of the current generation of school-leavers, particularly if they face multiple disadvantages, such as having low skills and also coming from a disadvantaged background.

Tackling the youth jobs crisis requires a strong commitment from all: the youth themselves, the government through well-targeted and effective policy measures, social partners though their participation in the dialogue, and other key actors – such as teachers, practitioners and parents – who can really make a difference to investing in youth.

This report makes an important contribution to a new agenda of youth-friendly employment policies and practices. It analyses the situation of youth employment and unemployment in the context of the jobs crisis and identifies successful policy measures in OECD countries. But it also discusses structural reforms in education and in the labour market that can facilitate the transition from school to work. The report draws on both recent data and the main lessons that emerged from the 16 country reviews conducted as part of the OECD Jobs for Youth/Des emplois pour les jeunes programme.

我々の訳した日本版にせよ、今回の統合報告書にせよ、こうしたOECDの報告書を読みもせずに、知った風に若者雇用問題を語る者がいれば、まずインチキ評論家の手合いと見て間違いはないでしょう。

これが、世界標準の若者雇用の論じ方なのですから。

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欧米における非正規雇用の現状と課題―独仏英米をとりあげて―

JILPTの資料シリーズとして、『欧米における非正規雇用の現状と課題―独仏英米をとりあげて―』が刊行されました。

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2010/10-079.htm

>EUの均等待遇原則は、フルタイムであれパートタイムであれ、常用雇用であれ有期雇用であれ、派遣先企業の労働者であれ派遣労働者であれ、同一の職場で同一の仕事をする労働者は基本的労働条件について差別されてはならないというものである。日本にはまだこの「同一労働同一賃金原則」が確立されていないために、正規、非正規間における労働条件の格差が基本的問題としてしばしば議論される。その場合比較されるのが欧州の非正規雇用であるわけだが、前提となる欧州の均等待遇の実態を検証しておく必要がある。

そこで、ドイツ、イギリス、フランス、アメリカの欧米主要4カ国を対象に、非正規雇用をめぐる全体的な状況と、これを背景として、企業がどのように非正規雇用を活用しているか、そこには処遇や雇用の安定などの側面でどのような問題が生じているか、といった状況を把握することを目的として実態調査を行った。調査は、各国の労働研究者に調査研究の実施と報告論文の執筆を依頼し、各国から提出された報告論文をとりまとめるという手法を用いた。

というわけで、日本の問題意識を踏まえた現地の研究者自身による各国の状況報告という点で、この問題に関心を持つ方々にとって役に立つ面が多いのではないかと思います。

>・非正規雇用増加の理由

非正規労働者の増加について、各国で共通する理由を拾ってみるといくつかの傾向が浮かび上がる。まず第一に、労働市場の変化。グローバリゼーションによる市場競争の激化が労働市場の構造変化を促したという理由である。厳しい解雇規制や規範の拘束力の回避、技術革新・市場競争の激化や価格競争、経済成長の不振などが主な原因として挙げられている。第二に、女性の就業参加。ほとんどの国で、女性の就業率の上昇は非正規雇用が拡大することを意味する。第三に、規制緩和の推進が挙げられる。柔軟化路線は1980年代末以降欧州の各国政府によって推進され、結果非正規雇用の拡大を生んだ。

四に、政府による最低生活保障的な色彩の強い雇用政策が非正規雇用を拡大させた。ドイツにおいてはハルツ改革によって導入された僅少雇用がこれに当たる。またフランスも、失業対策の一環として生み出された「支援付き雇用」(若年の労働市場参入を支援)が、助成を受けたい企業が多く利用し非正規雇用の増加につながったと指摘している。

第五が移民の増加。移民として受け入れられた労働者は非正規雇用に就く率が高いことは欧米諸国に共通して見られる現象である。アメリカは、非正規雇用者の多くが移民、マイノリティー、女性であり、その多くがコンティンジェント雇用の一形態である日雇い雇用もしくはインフォーマル雇用として働いていると報告している。

・均等処遇の実態

法律上の均等待遇原則にもかかわらず、ドイツ、イギリスは正規・非正規間の賃金や訓練機会における格差をデータ分析により確認している。ドイツでは、派遣労働者に関して法律上の均等待遇原則とは別に労働協約で規定された労働条件があり、これが企業を均等待遇原則の遵守義務から解放しているという。またフランスは、むしろ雇用形態による職務の差が賃金水準の格差に大きく影響していると指摘している。一方、アメリカはヒアリング調査の結果から、「同等の資格を持つ労働者であっても、派遣社員の場合、管理者がいうところの『家族』とはみなされない」ことを、処遇における格差を正当化する理由に挙げていたと報告している。

・雇用の安定、経済危機下の非正規雇用

各国とも、非正規労働者の不安定さを報告している。ドイツは、「景気の影響を受けやすい形態は派遣労働と有期雇用」で、「解雇コストが小さいため調整弁として使われやすいと考えられる」としている。フランスは、有期雇用に関する雇用保護の弱さを強調、今般の不況でも甚大な影響を受けたと述べた上で、さらに常用雇用にも雇用不安が拡がっているとしている。アメリカでも、ほとんどの業種が不況の影響に見舞われた結果、非正規雇用で人員の調整・削減が行われた。一方、イギリスでは、テンポラリー雇用者数は2007年半ばから2008年末まで減少したものの、2009年には絶対数、雇用全体に占める比率とも上昇に転じた。また自営業者は一貫して増加、パートタイム労働者も景気後退期に増加したという。

執筆者は以下の通りです。

天瀬光二
労働政策研究・研修機構 主任調査員
樋口英夫
労働政策研究・研修機構 主任調査員補佐
浅尾裕
労働政策研究・研修機構 研究所長
ハルトムート・ザイフェルト
ハンスベックラー財団経済社会研究所顧問
フランソワ・ミション
国立科学研究センター上席研究員
ギャリー・スレイター
ブラッドフォード大学上級講師
クリス・フォード
リーズ大学上級講師
アーベル・ヴァレンズエラJr.
カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授
平田周一
労働政策研究・研修機構 主任研究員

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台湾の労働尊厳教育

亞洲社会論壇(ソーシャルアジアフォーラム)では、各国からの報告討議に先立って、ホスト側の台湾の行政院労工委員会副主任(労働副大臣に相当)である潘世偉さんが基調講演をされました。潘さんは労働法の先生から政府に入った方ですが、自ら携わっておられる最近の労働法、労働政策の動きについて包括的に語られました。

その中で一つ、最後の方で述べられた労働尊厳教育の話が興味深いものでした。ディーセントワークの考え方を教育段階から国民に浸透させていこうというものですが、ご多分に漏れず台湾でも教育部はきわめて消極的なんだそうですが、それでも中学校段階から労働尊厳教育を実施しつつあるということでした。

そもそも今回の工会法改正でも、教師の労働基本権には大変否定的で抵抗したそうで、韓国でもそうですし、教師は聖職にして労働者に非ずというのは東アジアに共通の感覚なのでしょうかね。

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中国も「希望は戦争」?

サンケイ・ビズの記事ですが、これと例の尖閣騒ぎを重ね合わせつつ、赤木智弘氏の本と高基彰氏の本を横目で睨みながら、日中戦争期の歴史書などをひもとくと、なかなかに背筋の冷えるところがあります。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/101020/mcb1010200506017-n1.htm中国、就職氷河期に直面 大卒の60%「単純労働も選択」

>「大卒者が卒業証明書を燃やす」。就職先が見つからず、その腹いせに卒業証明書に火を付ける映像を中国の複数大手ウェブサイトが流し、中国社会に衝撃を与えている。

 この大卒者は、卒業して5年が過ぎても安定した就職先が見つからず、露天商になったり、ホームレスを経験するなどの辛酸をなめた。

 しかし、いまなお就職先は見つからず、面接を受けては門前払いを食らう日々が続いているという。

 「大卒証明書は自分に何の幸運ももたらしてくれなかった」。こう言ってため息をつくこの大卒者は、鬱憤(うっぷん)を晴らそうと証明書を燃やしてしまったのだ。

 中国では今、大学生の就職難が深刻な社会問題になっており、厳しい現状に直面した大卒者はやむをえず、「高給民工(出稼ぎ農民)」を選択して、単純労働に従事する民工たちと職を奪い合わざるを得ない

>中国のインターネットサイト「前途無憂網」によると、民工を選択するという大卒者は60%、選択も視野に入れたいと答えた人は21%に達したのに対し、再就職への影響や差別を恐れて民工を選ばない人は19%にとどまった。

・・・・・

>中華英材網の職業アドバイザー、欧陽氏は「大卒者らは就職難に直面し経験を積む機会が少ない。かつてエリートともてはやされた大卒者だが、昔の専門学校生たちの職に就けば幸運で、(それも見つからなければ)“高給民工”に甘んじざるを得ないのが中国の現状だ」と話す。(広州日報=中国新聞社)

今や大卒は「高給民工」。しかも、「希望は革命」などとは口が裂けても言えないのですから、「希望は戦争」となるわけです。

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トッププライオリティはもちろん雇用創出です@OECD

いうまでもなく、日本の一部のローカルな議論ではなく、OECDという世界的な議論のアリーナにおいては、トッププライオリティが雇用の創出にあることは常識です。

http://www.oecd.org/document/9/0,3343,en_21571361_44315115_45602953_1_1_1_1,00.html

>Employment: Job creation must be a top priority in months ahead, says OECD’s Gurria

これは去る7月7日とちょっと前の記事ですが、今必要な政策がいかなるものであるかについての、先進国の共通認識を示すものとして、猛暑でぼけた頭を冷やすのにちょうどいいと思われます。グリア事務局長の発言から。

>“Creating jobs has to be a top priority for governments,” said OECD Secretary-General Angel Gurría, launching the report in Paris

「雇用の創出が政府にとってのトッププライオリティであるべきだ」

>“A strong case can be made to ensure that labour market policies remain adequately funded,” the report argues.

「労働市場政策に十分な資金をつぎ込むべきだという主張には十分な根拠がある」

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