時間外休日労働削減の一律指導の見直し
去る8月19日に、厚生労働省が時間外休日労働について、1か月45時間以内への削減を求める一律の指導を見直すと発表したことについて、メディア上で批判が続いています。
連合も、翌日の記者会見で批判しています。
ただね、労働組合は他人事みたいに批判して済ませられないんじゃないかという気もします。
釈迦に説法ですが、時間外休日労働協定を締結するのは過半数組合又は過半数代表者です。
労働組合じゃない過半数代表者の場合、その時に協定を結んで労基署に提出するだけで、そのあと特別条項に基づいて月45時間を超えるような長時間労働が本当に特別の例外的な状況でのみ行われることを担保するような権限がそもそもありません。協定と言いながら、締結当事者の一方にそれを守らせるような能力がそもそも法律上存在しないのですから、その代わりに労基署がややパターナリズム的にしゃしゃり出て、原則はここまでなんだから、と一律の指導をするのにも、それなりの理由があったのだと思います。
もちろん、使用者側から見れば法律上許されていることに四の五の文句をつけてきてうざいというのはよく理解できますが、とはいえ、恒常的に社内の時間外休日労働を見張ることができるはずの労働組合が存在せず、必要な時に協定にサインさせたらそれで好きにできるようなところには、原則と例外ということを外側から思い出させる仕組みが必要であるのも確かでしょう。
この問題は、労使協定を締結した瞬間に御用済みになってしまい、その協定の趣旨をちゃんと見張り続けることができない労働組合ではない過半数代表者という存在の問題点を露わにする問題でもあり、そこから従業員代表制の議論につながっていく話でもあるんですが、それはひとまず置いておいて。
で、問題は、自ら結んだ労使協定を、組織的に恒常的に見張り続けることができ、その趣旨に反した会社の運用に対してちゃんと文句をつけることができるはずの労働組合が、今回の一律指導をやめる話に対してあんまり人ごとみたいな批判をするのは、いかがなものか、いやそれをやるべきは、まずは労働組合でしょ、という話にならないの?ということなんですね。
なんだかそういう観点からの論評が見当たらないのは、そもそも労働組合がそんなことをやるなんて期待されていないからなのか、いずれにしても、なんだか割り切れない感が残ります。
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コメント
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久しぶりに顔を出したと思ったら連荘ですが。
今、労働組合自体が組合員が減少、なくなった、そもそもない、職場、多いですよね。
そして、そうか、労働組合が「労働組合とは何か」をわかっていないんだ・・・、連合、って労働組合というより、経団連が大企業の経営者団体なのに対して大企業の従業員団体といった圧力団体ですしね。連合に所属していない組合のもと委員長の私ですから、これくらい言わせてもらっていいでしょうけれど、でも、それにしても、出るのはため息ばかりなり、秋の暮れ…
投稿: もとぶらり庵 | 2026年9月 5日 (土) 03時51分
言われてみればその通りで、労働組合が使用者側に「労働時間を守れ!残業させるな!」と交渉すべきですね。
私がかつて所属した国家公務員の職員組合、そして今の国家公務員職員組合も超過勤務時間が長すぎる、次の異動ではもっと人を増やしてほしい、など当局に申し入れをした、としばしば機関誌に書いています。
もっともこれは国家公務員法でまがりなりにも交渉権は保障されているからですが。
民間企業の場合も一応権利は法律上保障はされていたけど、組合側はそれをまともに行使していなかった、と言う事ですね。
これも日本はまだ本当の意味で近代化されていないからなのでしょうね。
そういう具合だから国際人権NGOの日本本部であるはずのアムネスティ・インターナショナル日本で事務局長のパワーハラスメントが起こり、今もくすぶっているんですね。
笑えないですよ。
国家公務員としてはパワハラ事務局長を止められなかった理事たちに「あのさあ、あんたたちが批判している日本国政府の職員でも上司がパワハラやったら、その上司は調べられて処分されているんだよ?」と言いたいです。
投稿: balthazar | 2026年9月 5日 (土) 06時44分
前述のアムネスティ・インターナショナルそのものが労働組合に近い、と言えなくもないです。元々アムネスティは英国の弁護士だったピーター・ベネンソンさんが当時サラザール独裁下のポルトガルで「自由のために乾杯」とやっただけで投獄された人たちのために手紙を書こう、と呼びかけたのが始まりです。
手紙の内容は抗議の形式ではなくてあくまで当局に対して敬意を持って丁寧に、紳士的に釈放を求めるもので、その手紙を世界中から沢山出して当局側の担当者宛てのポストに集中させ、行政活動を停滞させることで圧力を掛け、釈放を実現するためのものです。
この手紙書きは立場の弱い労働者が団結して数の力で交渉し、場合によってはストライキをする労働組合の活動に近いといえます。
10数年前には労働組合の役員から外交官、国会議員になられた若林秀樹さんが事務局長を務められましたし、その頃から連合に対する協力のお願いも強化されたようです。
しかし以前からの会員にはそういう路線に対する反発があり、労働三権に対する理解の欠如を生み、理事会がパワハラ事務局長を野放しにした、と言う事態の背景にあるように感じております。
投稿: balthazar | 2026年9月 5日 (土) 06時59分
hamachan先生
アムネスティ・インターナショナル日本の問題ですが、色々漏れ伝わってくるところを聞いて多少のことが分かりました。
分かりやすく申し上げますと、「すき家」と似たようなものであるという事です。
この団体に所属するものは会員であれ、職員であれ、世界人権宣言の理念を実現する崇高な使命を持った戦士であり、労働者ではないから戦士たちを指揮する司令官閣下である理事閣下たちで構成される理事会は労働者がまともに働ける環境を整えなくても良いのである、と考えられていたらしいのです。
さすがに最近はそう言う考えは時代に合わなくなり、新しい感覚の持ち主が事務局長として加入し、まともな労働環境を整えている課程だったのですが、守旧派の理事閣下たちにより追放され、結局元の木阿弥になったのでした。
私もボランティアやったことありますが、そんな崇高な使命を持った戦士であるという自覚と言う名前の思い上がりは抱いたことがございませぬ(^^;
ボランティアと言うのも、実は国際人権団体と言う美名のもとで横行していた非熟練の休日返上で行われる無償労働が実態だったのであります(^^;
私もやっているうちに、段々あほらしくなってやりがい搾取に陥りました(^^;
かくしてグループは辞めてしまい、今は個人会員ですが、モチベーションは大幅に低下。
当然です。
先生の次のご著書でぜひ現代日本のNGOの労働、あるいはボランティアと言う美名のブラック労働の実態を取り上げていただきたいと思うのであります。
投稿: balthazar | 2026年9月 5日 (土) 22時45分
「あのさあ、あんたたちが批判している日本国政府の職員でも上司がパワハラやったら、その上司は調べられて処分されているんだよ?」と言いたい、とbalthazarさんが、書かれていましたが、そもそも、NGO/NPOと政府の関係が、日本と欧米では全く違います。
欧米では、と「出羽守」やっちゃいますけど、NPO/NGO、って、日本のように政府の政策をほぼ批判する立場の有志の善意のみで成り立つ機関ではなくて、むしろ、政府のめざす本来の政策を国内で幅広く支援する組織、みたいな感じで、会員も多く、財政基盤もしっかりしているし、役員級では政府と行ったり来たりもある。厚生労働分野では、デンマークのエルドラセイエンaeldrasagenとか、イギリスのAGE、更にEUレベルでのAGE platform Europe など日本人の考えるNPO/NGOと、全く違います。
日本のNPO/NGOは労働組合でいえば「地域ユニオン」のような感じかなあ。本来の労働組合のする労働活動を現在、担っているのが地域ユニオンですが、これって、欧米の労働組合とは似て非なるものですよね。
こういう小さくて、個人の善意のみで成り立っている組織では、「もっとがんばらないと」的ハラスメントが起きやすいのは不可避とさえ言えます。
だったら、どうしたらいいのか、それがわかればいいのですが、この「だったら、どうしたらいいのか」という疑問にたどりつきさえしないのが、日本の現状ですね。むしろ、「だったら、どうしたらいいのか」というところに、たどり着く人が増えれば、問題は解決に近づくと言えます。
それには、教育しかありません。「自分で考える」「広い知識・視野を持つ」市民になるための教育。とりわけ、ヨーロッパで教育が無償なのは、このような市民を育てる義務が国にあるからで、日本のような、救貧政策・少子化対策ではないんですけどね…。
投稿: もとぶらり庵 | 2026年9月 6日 (日) 08時28分