勤労者財産形成の法政策@『季刊労働法』2026年秋号
『季刊労働法』2026年秋号に「勤労者財産形成の法政策」を寄稿しました。
https://www.roudou-kk.co.jp/books/quarterly/21615/
厚生労働省が所管する労働法規の中に「勤労者財産形成促進法」という法律があります。この制度は「財形」という略称で知られています。ところが、主な労働法の教科書でこの法律に言及しているものは見たことがありません。個別労働関係法、集団的労働関係法、労働市場法といった労働法のどの分野にもうまく収まらないからでしょう。現在厚生労働省で本法を所管しているのは雇用環境・均等局勤労者生活課ですが、この課は2017年までは労働基準局にありました。さらに2000年以前は旧労働省の労政局勤労者福祉部企画課が担当し、1984年までは労働基準局賃金福祉部企画課が担当していました。行政自身がその位置づけに迷っているようです。そもそも勤労者福祉とか勤労者生活というのは、極めて広範な領域を指し示しうる言葉ですが、この法律の中身はそのうちのごく一部に過ぎません。福祉とか生活というのであれば、社会保障法の一環ではないかという気もしますが、そちらでも本法に言及するものはないようです。つまり、労働に関する学術的な言説においてはすっぽりと抜け落ちている分野なのですが、そのこと自体もあまり認識されているとはいい難いように思われます。今回は、このアカデミズムから忘れられたような法律の制定から今日までの推移を概観してみたいと思います。1 勤労者財産形成政策の出発
2 勤労者財産形成促進法の制定
3 1975年改正
4 1978年改正
5 1982年改正
6 1987年改正
7 その後の改正
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