マシナリさんの拙著評
以前から拙著を丁寧に書評してきていただいているマシナリさんが、ひさしぶりにブログを大幅に更新されています。
新たに4件エントリを書かれていて、うち3件は海老原嗣生さんの本ですが(『静かな退職』『就職氷河期世代論のウソ』『外国人急増、日本はどうなる』)、残りの1本は拙著『外国人労働政策』でした。
まさしく拙著の狙いである「日本型雇用システムとの葛藤によって」外国人雇用政策の混迷の30年を「説明する」という試みを真正面から論じてくださっています。
そして、労働者本人ではなく労働者を雇用する企業への助成ばかり志向する考え方は今日においても厚労省では変わっていないのではないかという深刻な問いかけもされています。
私が東日本大震災後の雇用対策に奔走していた15年前の話ですが、某省から被災地の自治体に出向していた中央省庁(厚労省ではない)の官僚から「厚労省に被災者の雇用支援をお願いに行ったら、直接労働者に支援することはできないが雇用した企業への支援なら可能だと言われたので、ふざけるなとけんかしてきた」という話を聞いたことがあります。
が、マシナリさんが読みながら思わずニヤリとしたのは、一見枝葉末節に見えるこの一節だったようです。
官邸主導が確立して久しい今日の霞が関とは異なり、当時の霞が関は省庁間の権限争いが日常茶飯事でした。とりわけ、当時の通商産業省(現経済産業省)に典型的ですが、他省庁の所管分野に口出しをし、あわよくば権限を奪ってしまおうという行動様式が他の省庁にも広まりつつありました。長年入管行政に携わってきた法務省の官僚たちにとって、外国人労働問題が急に話題になったからといって、新参者の労働省がしゃしゃり出てきて権限を奪おうとしているように見えたのは当然のことかもしれません。
濱口『同』p.36権限争いの筆頭格として突然の通産省disが繰り出されていて、それが「熱い風評被害」とか「なんでや!阪神関係ないやろ!」ではないところに微笑みを禁じ得ません。
ここは、20世紀の霞が関を経験した中高年齢者だけが分るニヤリの素が振りかけてありますので。
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コメント
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早速捕捉していただきありがとうございます。感想のアップに時間がかかってしまい、さらに余計なところに反応してしまい恐縮です。といいつつ、20世紀の霞が関の空気というか作法みたいなものを通算(経産)省をイメージしながら読むと政策過程に携わる方々の理不尽な思いを追体験できますので、それも本書の醍醐味ではないかと。本書でもちらっと触れられているとおり現在の官邸主導の下では消極的権限争いのほうが目につくような気もしますが、多元的な意味での正当な省庁間の権限争いは一概に否定されるものでもなく難しい問題ではありますね。
派遣村やリーマンショックの際に厚労省のワンストップサービスや求職者支援は拡充されていますし、アクティベーションなど難しい問題もあると思いますが、本書の視点を踏まえた労働者個人への積極的な支援も期待したいところです。
投稿: マシナリ | 2026年8月27日 (木) 16時51分
いつも丁寧な書評ありがとうございます。
もうすぐ『スキルとデキル』という変な本も出ますので、その節にはまたよろしくお願いします。
投稿: hamachan | 2026年8月27日 (木) 20時08分