フォト
2026年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ

« 2026年7月 | トップページ

2026年8月

2026年8月13日 (木)

人手不足の正体 雇用と労働から見えた日本のかたち【濱口桂一郎】【小熊英二】

20260716134000724x1024_20260813193901 雑誌『公研』7月号に、小熊英二さんとわたくしの対談が載ったということは、先月本ブログで告知いたしましたが、

小熊英二さんとの対話@『公研』7月号

その対談記事が、公研のホームページに全文掲載されました。

https://koken-publication.com/archives/4423

20260813153903

人手不足その1:人口減少

 小熊 私は、いまの日本がどうしてこういうかたちになっているのかをいろいろなテーマで研究してきました。近年はその一つとして、雇用システムの研究を続けています。

 今回は人手不足に紐付けて、濱口先生とお話ができる機会を大変光栄に思っています。

 濱口 私は厚生労働省の外郭団体である労働政策研究・研修機構で研究をしています。以前は厚生労働省の役人でしたが、労働に関わる政策研究という観点で研究、執筆活動をするようになり、そのうち政策自体がいわゆる左右のイデオロギーとは違う観点で変化していると感じ、そこを掘り下げていくうちに雇用システムのあり方についての研究に行きつきました。もちろん今も政策研究という観点からもアプローチをしており、気がつくと20年ぐらい労働研究をしています。

 小熊 国によって雇用システムが違えば、労働問題の現れ方も違う。濱口先生は3年間ベルギーにいらして、ヨーロッパと日本の労働法を比べる視点から、日本の雇用システムの特徴をずっと考えてこられました。今日は日本の働き方の仕組みがどのようなものか、そこでどんな問題が現れているのかを、人手不足という問題を通じてお話ししていきたいと思っています。

 まず私の見解を述べたいと思います。現代日本の人手不足には、三つの現れ方があると思っています。

人手不足その2:専門職

人手不足その3:新卒者の流動化

日本型雇用の限界

なぜ日本がこうなったのか

日本型雇用の適用範囲

改革の方向性と可能性

職業教育への価値観

(追記)

さすがにネット上に載ると多くの方が読みに来られるようです。

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/koken-publication.com/archives/4423

 

 

こんな本書いたっけ?

最近書いた覚えのない本のタイトルが私の著書として出てくることが少なくないのですが、

【未来予想シリーズ】「正社員」という幻想の終焉〜メンバーシップ型雇用の崩壊と個の未来を予想しよう〜

最後の「参考文献・主要出展(?)データ」というのを見ると、

6.濱口桂一郎 (2009), 『日本の「労働」をなにで測るか』岩波書店.
7.濱口桂一郎 (2013), 『若者と労働』中公新書.

ううむ、確かに2009年に岩波新書から『新しい労働社会』という本を出した覚えはありますが、『日本の「労働」をなにで測るか』なんて本は全く記憶にございませんが、どんな内容なんでしょうか?そもそも「労働」を測るってどういう意味なんだろう。自分が書いたことになっているだけに、やたらに興味をそそられますね。

なお、確かに2013年に中央公論社から『若者と労働』を出しておりますが、残念ながらあの深緑色の重厚な中公新書ではなく、薄い浅緑色の軽薄っぽい中公新書ラクレの方なんですね。まあ、これは誤差の範囲内かも知れませんが。

2026年8月12日 (水)

EUクオリティ・ジョブ法に向けて労使への第2次協議@WEB労政時報

WEB労政時報に「EUクオリティ・ジョブ法に向けて労使への第2次協議」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers/web_limited_edition/list?genre[]=1100

去る7月20日、労働条件、労働安全衛生および労働者の権利の行使を改善するための「EUクオリティ・ジョブ法」の制定に向けて、欧州委員会はEU運営条約154条に基づく労使団体への第2次協議を開始しました。第1次協議は、昨2025年12月4日に行われています。第1次協議が「EUの行動の可能な方向に関する」労使への協議であるのに対し、第2次協議は「想定される提案の内容に関する」労使への協議であり、より具体的なものとなっています。・・・・・・

 

2026年8月10日 (月)

梅崎修『つむぐキャリア』

9784502589317_430 梅崎修・マイナビキャリアリサーチLab『つむぐキャリア―選択過剰時代のキャリアの考えかた』(中央経済社)をお送りいただきました。

https://www.biz-book.jp/isbn/978-4-502-58931-7

選択肢が多いほどキャリア選択への不安はつのる。「正しいキャリア」の追求ではなく、さまざまな選択肢を調整・調和させる(つむぐ)視点から専門家たちとキャリアを考える。

オビにも出ているように、梅崎さんと対談しているのは、飯田泰之さん、石山恒貴さんら5人の方々ですが、飯田さんのこの台詞はまことにその通りという感じです。

飯田:会社が一方的にキャリアを与えていた時代は窮屈でしたが、「すべて自分で選べ」と言われても、実際には選べなくなってしまいます。そこで、その中間となるちょうどいいやり方を考えたくなります。

そのベースになり得るのが、会社ほどしっかりした組織ではないが、完全にフリーでもないコミュニティが存在していて、その中で仕事を紹介しあえたりできる環境があるといいと思います。

人間って、集団主義・組織主義を押しつけられると窮屈で嫌になっちゃうけれど、個人主義・自由主義を押しつけられると不安で寂しくて怖くなっちゃう生き物なんでしょうね。

 

 

 

 

2026年8月 9日 (日)

「外国人労働政策と日本型雇用システム」及び古賀玖美さんの書評@『季刊労働者の権利』366号

20260725_rensai4724x1024 日本労働弁護団の『季刊労働者の権利』366号が「排外主義と外国人労働」という特集を組んでおり、そこにわたくしも「外国人労働政策と日本型雇用システム」を寄稿しております。

https://roudou-bengodan.com/quarterly_newspaper/365%e5%8f%b7%ef%bc%882026%e5%b9%b47%e6%9c%88%e7%99%ba%e8%a1%8c%ef%bc%89/

特集1  排外主義と外国人労働

2 ILO専門委員会の育成就労制度における募集・斡旋手数料を移民労働者に課すことを撤廃する提言 香川 孝三
11 外国人労働政策と日本型雇用システム 濱口 桂一郞
19 三重県職員国籍要件事件 金 銘愛

わたくしの論は、『外国人労働政策』のダイジェストですが、ちょうどこの号に古賀玖美さんによるこの拙著の書評が載っているので、その参考にも使えるかと思います。

1 はじめに
 日本の外国人労働政策は長らくフロントドア型ではなくサイドドア型であった。本音では人手不足を補うために外国人労働力を導入したいのに、建前上はそうではなく、労働者ではなく身分として在留を認める日系人が、入国後は労働者として自由に働けるという仕組みと、労働者ではなく学生のような立場である研修生として在留を認め、実際には労働者と同じ作業をさせるという仕組みが、1989年の出入国管理及び難民認定法(入管法)改正で設けられた。前者はほぼそのまま維持されたが、後者は後述のような経緯で少しずつ労働者性を認め、労働者として在留を認める方向にシフトしてきた。

2 霞が関の権限争いと日本型雇用イデオロギーの影響
3 日系南米人というサイドドア
4 非就労在留資格としての研修
5 研修と技能実習の無原則的結合
6 技能実習の確立
7 特定技能というフロントドア
8 特定技能の前段階としての育成就労へ
9 労働力需給調整システムの問題
10 技人国と日本型雇用システムの矛盾
11 高度専門職の虚実
12 留学生のアルバイト

Chukogaikoku_20260809141401 そして、この号の後ろの方の書評コーナーでは、古賀玖美さんによるこの本の書評が載っています。

濱口桂一郞 著 中央公論新社
『外国人労働政策-霞が関の権限争いと日本型雇用慣行が招いた混迷の30年史』 古賀 玖美

丁寧な紹介で、「新鮮かつ刺激的な一冊」と評価いただいております。

・・・・・政策の形成過程に焦点を当て、客観的な史料とともにその根本的なねじれの原因を解き明かす。歴史書でありながら外国人労働政策を巡る議論に新たなアプローチを試みるもので、新鮮かつ刺激的な一冊である。

 本書は、外国人労働者政策が政治主導で行われ、労働政策からの観点を欠落させてしまっていたことを「混迷の30年」の教訓とする。育成就労制度の開始も控え、外国人労働者政策がなにかと注目を浴びる昨今、混迷の歴史と教訓を伝える本書の果たす役割はますます重要であると思われる。 

 

 

 

 

 

 

 

2026年8月 1日 (土)

朝ドラの派出看護婦会は労務供給事業

F9fmcqd_400x400_20260801104401 焦げすーもさんの疑問に答えると

朝ドラを全然追えてないけど、 これって看護師(婦)の労働者供給事業の話なの??

その通り。鈴木雅(ドラマでは大家直美)が始めた派出看護婦会は、後に大和俊子が始めた派出婦会と争いながら、1938年の改正職業紹介法によって労務供給事業と位置付けられ、戦後は1947年職業安定法によって労働者供給事業としてほぼ全面的に禁止され、その後有料職業紹介事業という形をとって、街のあちこちにある(あった)看護婦家政婦紹介所として生き伸びていったのです。その波瀾万丈の歴史の出発点。

とりあえず、学習指定文献(笑)として、『労働新聞』で書評した山下麻衣『「看護婦」の近代社会史』(朝日選書)を挙げておきます。

山下麻衣『「看護婦」の近代社会史』書評@『労働新聞』

81wewqv6xpl_sl1500_266x400 月イチの『労働新聞』書評。今回は山下麻衣『「看護婦」の近代社会史』(朝日選書)です。

https://www.rodo.co.jp/column/219552/

 4月から、NHKの朝の連続テレビ小説で『風、薫る』が放送されている。主人公の一ノ瀬りんと大家直美のモデルは大関和(おおぜきちか)と鈴木雅(すずきまさ)だ。
 ドラマにおける設定は歴史的事実とはかなりかけ離れているようだが、実在の2人は看護婦養成所を出て帝国大学医科大学附属医院に勤めた後、派出看護婦会を設立して、日本の看護婦の歴史を切り開いていった。本書はこの2人を中心に据えながら、明治初期から今日に至るまでの看護婦の歴史を描き出している。
 ただ筆者にとって、本書が描く派出看護婦会の誕生、発展、衰退、そして消滅と復活に至る有為転変の歴史は、人ごとは思えないところがある。というのも、派出看護婦会からすると資格のない女性たちによる商売敵に当たるのが、拙著『家政婦の歴史』で描きだした派出婦会であったからだ。
 大関和や鈴木雅に倣って続々と派出看護婦会が設立され、やがて大関の直訴によって東京府看護婦規則が制定され、遂に内務省令で看護婦規則が公布され、試験による免許制により質の悪い看護婦を排除することをめざした。しかし、派出看護婦に対する世間の目は冷たく、「社会の暗部」とまで見られていたという。資格のない見習看護婦を女中代わりに派出するという実態もあったようだ。そこで東京府は看護婦会取締規則を制定し、経営者に5年以上の看護婦経験を要求し、等級査定制度と見習看護婦の派出禁止が規定された。
 そういう中で、女中代わりの家事・介護労働力を臨時に派遣するニュービジネスとして派出婦会を立ち上げたのが、大和俊子(おおわとしこ)であった。彼女のビジネス・ヒストリーは拙著で詳しく書いたのでここでは省略するが、派出看護婦会の立場から見れば、これは自分たちが禁止しようとしている看護婦の資格なき付添婦の派出事業そのものであった。拙著では大和俊子は颯爽たる女性ヒーローだが、商売敵からは悪役(ヒール)に見えたであろう。
 本書はそこから戦後の職業安定法により派出看護婦会が解散に追い込まれ、その後看護婦家政婦紹介所として復活する姿を描いていくが、労働史の観点からすると若干注文をつけたいところがある。拙著で述べたように、戦前の派出婦会と派出看護婦会はいずれも1938年改正職業紹介法により労務供給事業と位置づけられ、それゆえに1947年職業安定法により労働者供給事業として禁止された。拙著で紹介した地方労働委員会でのいざこざも、派出看護婦会が中心であった。そして本書のいう「復活」も、本来のビジネスモデルたる労働者供給事業ではなく、派出先が使用者責任を負う職業紹介事業という「仮面」をかぶらざるを得なかったために、今日まで労働法上の問題を引きずっている。
 医療史の一部としての看護婦の歴史としては、労働法上の位置づけ如何というのは枝葉末節に属するのかもしれないが、筆者からすると、そこはもう少し緻密に論じてほしかったという思いが残る。

ちなみに、労務供給事業時代の看護婦派出の状況は以下の通り。

図表1 1940年の労務供給事業の供給業者数と所属労務者数

職種 供給業者数 所属労務者数
人夫 842 39,717
家政婦 700 24,643
雑役 504 24,780
職夫 265 28,770
仲仕 189 5,858
附添婦 146 7,443
看護婦 64 2,360
土工 60 5,235
大工 29 616
自動車運転手       27 1,810
湯屋従業人         23 3,401
妓夫妓女           13 3,392
料理人 8 405
店員 8 68
メッセンヂャー     4 516
左官 3 34
其の他 141 2,758
計   3,026 151,806

 

 

« 2026年7月 | トップページ