労働組合がGHQから天皇制を守った@逢見直人
昨日、拙著への書評で紹介した『改革者』2026年7月号ですが、その号には、逢見直人さんの「皇室を戴く労働組合─ 日本占領体制下で、皇室の危機を守った労働組合の先人の態度 ─ 」という文章が載っていて、占領下の労働運動秘話として大変興味深いので紹介しておきます。
https://www.seiken-forum.jp/publications-top/reformer/
GHQの初代労働課長に任命されたカルピンスキー大尉は、9月に着任してすぐに松岡駒吉、西尾末広、加藤勘十、浅沼稲次郎、徳田球一、志賀義雄ら労働組合関係者を呼び出して、意見を聴きました。
その時通訳をしたのは村山有という人で、彼が松岡、西尾、加藤が呼び出されたときに通訳をしており、その会談の様子を著書の中で克明に記載しているのだそうです。
それによると、カルピンスキーは、GHQの占領方針として、
(3)日本を共和国とする
(4)天皇を追放するために、その世論を起こしてほしい
と述べたそうです。
それに対し、松岡駒吉は、
「私は労働運動をして、日本の労働者の幸福のために戦ってきました。しかし、労働者の幸福のために戦ってきたことは、決して日本を共和国にするためではありません。日本は天皇を必要とします。
もしGHQが天皇追放の世論を指導するようなことになると、日本は大混乱に陥ります。アメリカが日本を真に理解せずして、天皇追放を指導するとき、日本の労働者の不幸の日が来るでしょう。アメリカ人には天皇制の性格がわからないから、感情的に天皇追放を叫ぶのだと思いますが、日本から天皇制を失う日は、日本に悲劇がもたらされる日です」
と、堂々と答えたとのことです。
GHQ内部でその後どういう議論があったのかはわかりませんが、ある意味で、労働組合がGHQから天皇制を守ったと言ってもいいのではないかと思われます。
現憲法第1条には、「この地位は主権の存する日本国民の総意に基づく」と書かれていますが、その「総意」というのは、まさに労働組合に代表される勤労国民の総意でもあったのでしょう。
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賀川豊彦が日本社会党の結党大会でいきなり「天皇陛下万歳」とやった、と言う話を思い出しました。大日本帝国憲法の日本社会党が発表した改正案では天皇機関説に基づく天皇主権を主張していたそうですね。
GHQも戦後改革では日本の実情を知らないまま実施して後世エライ迷惑したものもありますからね。社会保険の運営主体は都道府県にしろ!なんて無理を言ったために、60年以上もおかしなことが続いた、なんてどのくらい理解されているでしょうか。
投稿: balthazar | 2026年7月 3日 (金) 19時00分
松岡 駒吉(1888年~1958年):戦前からの労働運動家、政治家。全繊同盟(現在のUAゼンセン)初代会長。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/松岡駒吉)
https://www.rengo-soken.or.jp/dio/dio346-2.pdf
友愛会から総同盟へ −鈴木文治と松岡駒吉の軌跡
「団体協約の円滑なる進行には、 労使ともに権利と義務を果たす必要がある。 然るに左翼組合の侵入、その無責任な扇動、 妨害は、団体協約そのものを半身不随とする」「資本家の意思に左右される御用組合では、組合に対する組合員の関心と興味は 失われ、あらゆる自主的訓練の動力たる組合員の情熱も努力も呼びおこすことは困難である」「御用組合では『産業人としての労働者』の訓練は不可能であり、結局、国民 生活の向上につながる産業の発展を期すことはできない」
100%正しいとしか言いようがありませんが、さて現在の労働組合関係者や政治家で、どれだけ松岡のことを記憶している人間が残っているのでしょうか、たいへん疑問である、と言わなければなりませんね。
投稿: SATO | 2026年7月 6日 (月) 10時46分