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2026年7月

2026年7月20日 (月)

労働判例研究 労働組合の役員選出総会決議の不存在確認-プレカリアートユニオン事件@『ジュリスト』2026年8月号の予告

最高裁の判例検索を見ていたら、つい先日の7月16日の最高裁判決

https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-96798.pdf

令和6年(オ)第720号、第721号 損害賠償請求本訴、同反訴事件 令和8年7月16日 第一小法廷判決

というのが掲載されていて、これは例のプレカリアートユニオンに係る事件なんですね。

1 職権をもって調査すると、記録によれば、本件の経緯は次のとおりである。
⑴ 第1審本訴被告は、労働組合法11条の登記がされた法人である労働組合であって、その規約においては、代表者は同法上の総会によって選任される旨が定められている。
⑵ 第1審本訴原告は、令和2年6月、第1審本訴被告の代表者を、令和元年6月に代表者に重任された旨登記されていたAとして、本件本訴を提起し、Aは、第1審本訴被告の代表者として、令和3年1月、本件反訴を提起した。第1審が、令和5年4月、本件本訴、本件反訴のそれぞれについて請求を一部認容し、その余の請求を棄却したところ、双方から控訴が提起され、原審は、令和6年1月、各控訴を棄却した。本件訴訟の第1審本訴被告に係る訴訟追行は、その代表者をAとして行われたものであった。
⑶ 第1審本訴被告の組合員が第1審本訴被告に対して提起した別件訴訟において、令和6年2月、Aを代表者に選任する旨の平成27年から令和5年までの間における各総会決議がいずれも不存在であることを確認する旨の判決がされ、同判決は、令和7年7月、確定した。
2 上記1の経緯によれば、本件訴訟は、第1審本訴被告について、代表権を欠く者を代表者として提起・追行されたものというべきである。
したがって、原判決には、民訴法312条2項4号に該当する事由がある。原判決は、破棄を免れない。

この第1審本訴被告というのがプレカリアートユニオンで、第1審本訴原告はテイケイという会社ですが、最高裁への上告の段階で例の総会決議不存在確認判決を持ち出してきたということのようで、それを受けて最高裁は高裁に差し戻したというわけです。

3 ところで、第1審本訴被告は、当審に令和8年4月27日付け及び同年5月18日付けの各書面を提出し、令和6年5月及び令和7年9月に開催された各総会において、改めてAを代表者に選任する旨の各決議がされ、同人によってこれまでの訴訟行為が追認された旨を主張している。これに対し、第1審本訴原告は、当審に令和8年5月19日付け書面を提出し、第1審本訴被告の上記の主張を争うことを明らかにしている。そこで、上記各決議の存否や効力の有無など、第1審本訴被告の上記主張の当否について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。なお、代表権の有無は職権探知事項であるから、本件において原判決を破棄するについては、必ずしも口頭弁論を経ることを要しないと解するのが相当である(最高裁昭和62年(オ)第685号平成19年3月27日第三小法廷判決・民集61巻2号711頁参照)。

815tn4fpl_sy522_ ここで上告理由となっている総会決議不存在確認判決については、実は今年の4月に東大の労働判例研究会で報告し、5日後に刊行される『ジュリスト』2026年8月号に掲載される予定です。

https://www.yuhikaku.co.jp/jurist/next

労働判例研究
130 労働組合の役員選出総会決議の不存在確認――プレカリアートユニオン事件(東京高判令和6・11・13)●濱口桂一郎
134 通勤災害における複数居所の「住居」該当性――土浦労基署長(通勤災害)事件(東京地判令和6・3・14)●中益陽子

 

 

2026年7月17日 (金)

ドイツ:「連邦協約遵守法」の概説と邦語訳

JILPTのHPに、山本陽大さんと木内大登さん(同志社大学の博士課程)によるドイツの「連邦協約遵守法」の概説と邦語訳が掲載されています。

https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2026/07/germany.html

https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2026/07/germany_01.html

今般の連邦協約遵守法は、いわゆる公共調達に際し受注企業の労働者に一定水準以上の労働条件を保障し、当該企業に対してその遵守を義務付ける点で、機能的には、わが国における公契約条例に相当する。ドイツにおいても、これまでに州レベルの公共調達に関しては各州法による同様の規制が存在したが、連邦協約遵守法は、その名の通り、連邦レベルでの公共調達に関して連邦法の形式をもって規制を行うものとなっている。・・・

産別協約による労働条件規制のモデル国とも思われているドイツですが、足下では組織率低下による空洞化が進んできており、それを何とか支えようという試みが2014年の協約自治強化法だったわけですが、今回のはそれを公契約というルートで行おうというもののようです。

労働条件規制を単なる個別労働問題としてだけではなく、集団的労使関係システムの強化という観点から進めようというこの動きは、もちろん企業別組合主体の日本とは全く文脈は異なるとはいえ、その問題意識は共有する値打ちはあるはずでしょう。

 

 

2026年7月16日 (木)

小熊英二さんとの対話@『公研』7月号

20260716134000724x1024 公益産業研究調査会の雑誌『公研』の7月号に、小熊英二さんとの対話「人手不足の正体 雇用と労働から見えた日本のかたち」が載っています。

https://koken-publication.com/%E6%9C%80%E6%96%B0%E5%8F%B7

◆対話
人手不足の正体 雇用と労働から見えた日本のかたち
労働政策研究・研修機構 労働政策研究所長 /濱口桂一郎
慶應義塾大学総合政策学部 教授/小熊英二

人手不足を切り口に、人口減少、専門職、新卒者の流動化、日本型雇用の限界、なぜ日本がこうなったか、日本型雇用の適用範囲、改革の方向性と可能性、職業教育への価値観、といったトピックについて語り合っています。おおむね、小熊さんがツッコミ役で、わたしがボケ役です。

 

 

『日本の労働経済事情 2026年版』

07131402_6a5471677495c 日本経済団体連合会事務局著『日本経済団体連合会事務局著』(経団連出版)をお送りいただきました。

https://www.keidanren-jigyoservice.or.jp/pub/cat2/efb229a9b1a611368ec886574cc6ab4dd8b81ebf.html

人事・労務全般に関する基本的な事項や、重要な労働法制の概要と改正の動向、わが国労働市場の動向などについて、1テーマ・1頁を基本に、図表を用いてわかりやすく簡潔に解説します。2026年版では、パートタイム・有期雇用労働法、男女雇用機会均等法、労働安全衛生法等の法令改正のほか、カスタマーハラスメント防止対策、若年社員の活躍推進、労働移動の積極的な推進に向けた施策等、最新の動向を解説しています。人事・労務部門の初任担当者がはじめに学習する際に役立つことはもちろん、新任管理職など、業務等を通じて人事・労務に関心を持たれた方が基本的な事項を理解・確認する手引きとしてもご活用いただけます。

 

 

 

2026年7月14日 (火)

「能力」の正体@WEB労政時報

WEB労政時報に「「能力」の正体」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers/article/91139

近年、日本政府は「リ・スキリング」を大々的に唱道しています。安倍政権時の日本再興戦略から始まり、近年も岸田政権時の「三位一体の労働市場改革」から、現・高市政権下の「人材育成システム改革ビジョン」に至るまで、スキル、つまり具体的な職務(ジョブ)を遂行する技能(スキル)を身に付け、向上することが政策の中心課題として掲げられています。ところが、政府が鉦(かね)鉦(かね)や太鼓でリ・スキリングをあおり立てても、・・・・・

 

 

『管理職の戦後史』がHRアワード書籍部門に入賞したようです

Asahishinsho2_20260714092201 日本の人事部というところが毎年やっているHRアワードという催しがあって、2022年には拙著『ジョブ型雇用社会とは何か』(岩波新書)が入賞したことがありますが、その2026年の書籍部門に、『管理職の戦後史』(朝日新書)が入賞したようです。

https://jinjibu.jp/hr-award/prize.php#prize2

いや正直言って、『ジョブ型雇用社会とは何か』はかなり評判になったし、週刊東洋経済や日経新聞のベスト経済書とか中央公論の新書大賞にも入賞したので、まあそういうものかなと思いましたが、今回の『管理職の戦後史』は悲しいかなあんまり評判にもなっていないし、書評も少なく、新書大賞でも小熊英二さんがちらりと触れてくれただけで、いささか忘れられている感があったので、入賞というのは思いがけないものでした。

これで少しでも売れてくれればいいんですが。

 

 

2026年7月13日 (月)

古屋星斗『あの若手はどうして辞めないのか』

Cover_image_26085_a53b0b6ed9 リクルートワークス研究所の古屋星斗さんの新著『あの若手はどうして辞めないのか』(朝日新書)をお送りいただきました。

https://publications.asahi.com/product/26085.html

「どんな仕事をしたいか」と尋ねるなど、若手と丁寧に接する職場が増える一方で、「やる気のない若者」をイメージさせる「静かな退職」という言葉が注目されている。なぜか? そのような現実をふまえた若手の育成問題への解決策を提示する。

はじめにいきなり「離職に不思議の離職あり」と、なにやら野村監督のセリフみたいな言葉が出てきます。

古屋監督の台詞は、

離職に不思議の離職あり、定着に不思議の定着なし

さてはて、これはどういう意味なんでしょうか。

答は本書をどうぞ

 

 

 

2026年7月12日 (日)

(サザエさんをさがして)給料袋 開けて初めて知った評価@朝日新聞

本日の朝日新聞の「be」の「サザエさんをさがして」というコーナーで、昔のサザエさんの四コマ漫画を題材に日本の給料についてあれこれ書かれている中で、わたくしのコメントも使われています。

https://www.asahi.com/articles/DA3S16502004.html

 ボーナスが入った給料袋を、マスオがトイレの個室に持ち込もうとしている。何のために?
 漫画は1955年6月の掲載作だ。マスオの心理は「金額を確認したいが、人前でお札を数えたくないし、同僚に知られたくない」といったところか? 

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・・・給料袋の厚みを左右する「査定」はどうだったのだろう。

「賃金とは何か」(朝日新書)などの著書がある、労働研究者の濱口桂一郎さんによれば、「この漫画が載った55年は、終戦直後のゴタゴタが終わり、戦後型の雇用体系が確立した時期だった」という。・・・・・・

 

2026年7月10日 (金)

水町勇一郎『「同一労働同一賃金」のすべて 第3版』

L24410 水町勇一郎『「同一労働同一賃金」のすべて 第3版』(有斐閣)をお送りいただきました。初版が働き方改革関連法成立前の2018年2月、新版がその翌年の2019年9月だったのに対し、第3版は7年後、いわゆる同一労働同一賃金ガイドラインが改定されたのを受けての刊行です。

https://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641244108

初版、新版の時と基本的には同じ感想になってしまうのですが、鳴り物入り(安倍元首相曰く「同一労働同一賃金に踏み込む!」)で改正した割には、従前のパート法と労契法の有期規定を合わせて若干のおまけをつけた程度のものに、政治的に「同一労働同一賃金」という(少なくとも学問的にはミスリーディングな)ラベルを張って進めてきたこの政策を、その最大のイデオローグとして活躍した著者が、客観的な第三者の如き淡々たる筆致で描き出していくのです。

実は、ちょうど昨日、中央大学ビジネススクールの講義(日本の労働法政策)で、このテーマを取り上げたのですが、そもそも職務給を前提とした欧米の同一労働同一賃金と全く異なり、職務内容や配置が変更されることが前提の「通常の労働者」を中心に置いた均等・均衡処遇の理屈がかくも奇妙なものになるのかという話に、「ずっと謎だったことがようやくわかった」という感想が来たように、依然として多くの人々は何が同一労働同一賃金なのか、腑に落ちないまま今日に至ってきているように思われます。

 

 

日本型雇用システムと定年制のゆくえ@『中央公論』8月号

81yirqw8pzl_sl1500__20260710093601 本日発売の『中央公論』8月号が「老いの流儀――働く、お金、引き際」という特集を組んでいまして、そこにわたくしも「「70歳就業」が当たり前の時代も遠くない 日本型雇用システムと定年制のゆくえ」という小論を寄稿しております。

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なんと、少年時代に夢中になって読み耽った筒井康隆さんと、同じ雑誌の同じ特集に並ぶことができるとは、うれしくてたまりませんわ。

 

2026年7月 3日 (金)

『スキルとデキル 「能力」から見る近現代労働史』@角川新書

Kadokawa だいぶ先ですが、今年の9月に、角川新書から『スキルとデキル 「能力」から見る近現代労働史』を上梓いたします。

https://www.kadokawa.co.jp/product/322511000924/

日本に蔓延する、デキル(潜在能力)重視の淵源

日本において近代的なスキル重視の発想がなかなか根付かず、
デキル重視の思想が依然として根強いのはなぜか。
“ジョブに対応したスキル”を唱導する政策がうまくいかないのはなぜか。
徒弟制から、技能者養成、公共職業訓練、企業内教育訓練、OJT、そしてリ・スキリング……
労働政策研究の第一人者が「能力」の歴史をたどり、日本に蔓延するデキル重視の淵源を探る。
ちなみに内容は以下の通りです。
はじめに

第1章 産業革命期の職業教育訓練――徒弟制から技能者養成へ
 1 徒弟制の展開
 2 徒弟制の法規制
 3 実業教育の展開
 4 技能者養成の展開
 5 職業補導の始まり
第2章 戦時・改革期の職業教育訓練――企業で技能者を養成せよ!
 1 技能者養成の法規制
 2 職業補導の展開
 3 実業教育から職業教育へ
 4 技能評価制度
第3章 近代主義の時代の職業教育訓練――技能は今や国政課題に
 1 職業訓練法による統一
 2 企業内技能教育訓練体制の確立
 3 職業教育の展開
 4 国政課題としての職業教育訓練
第4章 企業主義の時代の職業教育訓練――技能よりも「能力」が大事!
 1 政策の大転換
 2 企業中心の職業能力開発政策
 3 公共職業訓練と技能検定
 4 職業教育の低迷
第5章 市場主義の時代の職業教育訓練――自己啓発からリ・スキリングへ
 1 政策の再転換
 2 「自己啓発」の時代
 3 職業教育の復活
 4 公共職業訓練の諸相
 5 キャリア形成支援と教育訓練助成金
 6 職業能力評価制度の紆余曲折
 7 今さらながらのリ・スキリング
補 章 諸外国の職業教育訓練
 1 イギリス――ギルド徒弟制から現代徒弟制へ
 2 フランス――企業研修の光と影
 3 ドイツ――世界に冠たるデュアルシステム
 4 アメリカ――コミュニティカレッジとプロフェッショナルスクール
終 章 日本社会を支配する「能力」概念

おわりに

労働組合がGHQから天皇制を守った@逢見直人

H1_20260703120001 昨日、拙著への書評で紹介した『改革者』2026年7月号ですが、その号には、逢見直人さんの「皇室を戴く労働組合─ 日本占領体制下で、皇室の危機を守った労働組合の先人の態度 ─ 」という文章が載っていて、占領下の労働運動秘話として大変興味深いので紹介しておきます。

https://www.seiken-forum.jp/publications-top/reformer/

GHQの初代労働課長に任命されたカルピンスキー大尉は、9月に着任してすぐに松岡駒吉、西尾末広、加藤勘十、浅沼稲次郎、徳田球一、志賀義雄ら労働組合関係者を呼び出して、意見を聴きました。

その時通訳をしたのは村山有という人で、彼が松岡、西尾、加藤が呼び出されたときに通訳をしており、その会談の様子を著書の中で克明に記載しているのだそうです。

それによると、カルピンスキーは、GHQの占領方針として、

(3)日本を共和国とする

(4)天皇を追放するために、その世論を起こしてほしい

と述べたそうです。

それに対し、松岡駒吉は、

「私は労働運動をして、日本の労働者の幸福のために戦ってきました。しかし、労働者の幸福のために戦ってきたことは、決して日本を共和国にするためではありません。日本は天皇を必要とします。

 もしGHQが天皇追放の世論を指導するようなことになると、日本は大混乱に陥ります。アメリカが日本を真に理解せずして、天皇追放を指導するとき、日本の労働者の不幸の日が来るでしょう。アメリカ人には天皇制の性格がわからないから、感情的に天皇追放を叫ぶのだと思いますが、日本から天皇制を失う日は、日本に悲劇がもたらされる日です」

と、堂々と答えたとのことです。

GHQ内部でその後どういう議論があったのかはわかりませんが、ある意味で、労働組合がGHQから天皇制を守ったと言ってもいいのではないかと思われます。

現憲法第1条には、「この地位は主権の存する日本国民の総意に基づく」と書かれていますが、その「総意」というのは、まさに労働組合に代表される勤労国民の総意でもあったのでしょう。

 

2026年7月 2日 (木)

『中央公論』2026年8月号

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 恐らく来週末に発売される予定の『中央公論』2026年8月号が「老いの流儀――働く、お金、引き際」という特集を組んでいて、その中にわたくしも一本寄稿しております。

== 特集 ==老いの流儀――働く、お金、引き際

◆死ぬまで、書き続けます 91歳、今も探求する筒井文学の新境地▼筒井康隆

◆大切なのは「切り換える力」 定年後も楽しく働くための8ヵ条▼楠木 新

◆〔ルポ〕第二の人生で失敗しないための心構えとは 働くシニア男性の「プライドと孤独」▼若月澪子

◆「70歳就業」が当たり前の時代も遠くない 日本型雇用システムと定年制のゆくえ▼濱口桂一郎

◆心理学で読み解く「だまし」のメカニズム あなたも被害者に!? 特殊詐欺に備えよ▼西田公昭

◆「ココイチ」経営者から「寄付の人」へ 執着しない、未練もない、私の引き際▼宗次德二

◆2000人を看取った緩和ケア医が語る 棺桶まで歩き、死と向き合う思考法▼萬田緑平

なんと筒井康隆さんと同じ特集で並ぶとは・・・。

 

 

梅崎修さんが拙著『管理職の戦後史』を書評

H1 先日、神林龍さんが『改革者』5月号で拙著『外国人労働政策』を書評していただいたのですが、同じ雑誌の7月号で、今度は梅崎修さんがやはり拙著の『管理職の戦後史』を書評していただいております。まことに丁寧な書評で、有り難い限りです。

https://www.seiken-forum.jp/publications-top/reformer/

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梅崎さんは、こう語ります。

 本書は、管理職に焦点を当てながら、戦後日本における雇用システムと労働法政策の間に生じた摩擦を描き出した歴史書である。
 管理職という観点を導入したことで、日本の雇用システムに内在する、変わらない「構造」が浮かび上がる。そして、その「構造」に対して労働法政策がいかに対応を迫られたのかがわかる。・・・

この「構造」とは、

・・・入社時点での区分がなく、多くの従業員に昇進可能性が開かれていることは、日本の男性労働者に広く支持されてきた。しかしその反面、管理職という存在を曖昧なものにした。著者は、この昇進競争の特徴について、「ヒラ社員から係長、課長、部長、経営陣と切れ目のない連続体をなしている日本の労働社会の特徴であったのです」(71頁)と表現している。この「上へ上へと続く連続性」は、多くの従業員を動機づけてきた一方で、管理職の定義を多元化してさまざまな混乱を生み出した。本書で描かれる混乱の例をいくつか挙げてみよう。・・・

と、本書で取り上げる各章のさまざまな出来事を簡潔に紹介していきます。

最後のこの評は、正直言ってそこまでのつもりで書いたわけではなかったのですが、まあでも内容がそうなってしまっているということなのでしょうか。

・・・我々が目指すべきは、「構造」の変更可能性を前提とした人事改革なのか、それとも宿命のような「構造」を前提とした人事改革なのか。本書は、その選択を読者に突きつける力を持っている。

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https://publications.asahi.com/product/25686.html

 

 

 

2026年7月 1日 (水)

「65歳定年」と「定年廃止」の割合 34.9%@『労務事情』7月1日号

0699860e56b44465be2486d5526f80fa 『労務事情』7月1日号に、「「65歳定年」と「定年廃止」の割合 34.9%」を寄稿しました。

https://www.sanro.co.jp/book/b10172085.html

 昨年12月に公表された「令和7年高年齢者雇用状況等報告の集計結果」によると、ここ数年来65歳までの雇用確保措置の内訳において、65歳定年が着実に増加してきており、これまで圧倒的に多数派であった65歳までの継続雇用制度は少しずつ減少してきているようです。・・・・・・

 

日本成長戦略(案)

昨日、日本成長戦略会議で日本成長戦略(案)が示されました。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/kaigi/dai6/shiryou1.pdf

これまでの日本再興戦略とか新しい資本主義とかと異なるのは、ごく簡単な総論の次に、人材育成とか労働市場改革とかの前に、「17の戦略分野」と称して、詳細な産業政策がずらずらと書き並べられ、62もの「主要な製品・技術等」が戦略的に特定されていることです。そこにはそれぞれごとに「勝ち筋」と称する方向性が示されているのですが、さて、政治家や役人にそんな予言能力があるのでしょうか、と皮肉な人なら思うでしょうね。なんだか高度成長期の通産官僚の鼻息を半世紀以上ぶりに耳元で聞かされたような感じもします。『官僚たちの夏』再びって?

いずれにしても、これら分野がどうこうと言うだけの見識もないので、そこを飛ばして「8つの分野横断的課題の解決」に行くと、4.人材育成、5.労働市場改革、6.家事等の負担軽減、7.賃上げ環境整備、が労働政策に関わるところです。

新聞では最賃1500円目標の時期が注目されていますが、ここでは、上記17戦略分野との関連で、こんな記述に注目しておきたいと思います。

ⅰ)処遇向上に向けたリ・スキリング支援や労働生産性向上
 17の戦略分野や、建設や医療・介護・障害福祉を始めとした社会インフラ関連分野等の業所管省庁と厚生労働省、経済産業省、文部科学省が、業界団体や大学等と連携して、スキルの標準化・可視化から、教育訓練体系の整備、教育訓練プログラムの開発・提供まで、一気通貫でリ・スキリング支援を行う。人材開発支援助成金も含め、効果的にプログラムの開発が進むような支援の充実について検討するとともに、各分野の所管大臣がプログラム認定制度を創設した場合、その適切性を所管省庁と厚生労働省が連携して精査した上で、専門実践・特定一般教育訓練給付金の対象とすることを検討する。

ただでさえ、雇用保険の教育訓練給付の給付率の高い専門実践や特定一般は、文科省の高等教育課程や経産省のIT関連課程に使われていますが、それをこの17の戦略分野全体にわたって、その業所管官庁が作った課程にどどんと雇用保険のお金をつぎ込もうという算段のようです。

雇用保険は元々失業者のための失業給付だけだったのが、いろいろと給付が増えてきて、その趣旨に疑問が呈されることもあります。一昨年の雇用保険改正に向けた研究会や労政審の議事録を見ても、「育児休業給付はもともと育児のために退職せざるを得ない女性のためだったのに、男性の育児休業促進のためになってしまっている」とか、「教育訓練給付もエリート向けの高度なものにシフトしていて、元の失業対策から離れている」云々といった批判が労使双方から繰り返されていたようです。

とはいえ、官邸から産業政策推進のための財源として目をつけられてしまっている以上、こういう方向にならざるを得ないのかも知れません。

Senryaku

 

 

 

 

 

 

 

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