かつては職業紹介業と貸金業は兼業禁止だった
スキマバイトのタイミーが金融業に進出するというニュースを聞いて、
https://corp.timee.co.jp/news/detail-6659/
当社は、「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」というミッションのもと、スキマバイトサービス「タイミー」を提供してまいりました。2018年のサービス開始以来、時間や場所に制約されず、その人らしい「はたらく」に手を伸ばせる社会の実現を目指し、現在では1,420万人(2026年4月末時点)を超える働き手の方にご利用いただくサービスへと成長しています。
その一方で、スポットワーク事業を通じて給与の即時振込サービスなどの提供を行う中で、働き手の方の短期的な金融ニーズの高さを実感するとともに、働き手の方が抱える将来における経済的な不安や、スキルアップへの意欲があっても経済的な制約によって一歩踏み出すことができないなどの課題にも触れる機会が多くありました。私たちは、働く機会そのものを広げるだけでなく、そうした働き手の方の日常の利便性や未来の選択肢にも、まだ貢献できる余地があると感じています。働き手の方々がより自分らしい選択を重ねていけるようにすることも、私たちが果たすべき役割の一つだと考えています。こうした考えのもと、当社は既存のスポットワーク事業から領域を広げ、新たな事業領域として、銀行サービスを含む金融プラットフォームの提供を検討することといたしました。
これにこういうコメントを呟いている人がいましたが、
https://x.com/dakaravaz/status/2065064691190370337
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今から20年ちょっと前までは、有料職業紹介事業と貸金業等とは兼業禁止だったんですが、そのことを覚えている人もほとんどいなくなったということなのでしょうね。
これは戦前の職業紹介法時代から存在し、戦後職業安定法でも明記されていたのですが、2003年の改正で削除されたのです。
職業安定法
(兼業の禁止)
第三十三条の四 料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業その他これらに類する営業を行う者は、職業紹介事業を行うことができない。
この改正時に、当時社民党の議員だった阿部知子さんがこんな質疑をしていました。『季刊労働法』2015年冬号(251号)に載せた「雇用仲介事業の法政策」から当該部分を引用しておきましょう。
・・・・・・なお2003年改正では、1949年に設けられた兼業禁止規定が全部削除されました。これは1LO第42号勧告に基づくとともに、戦前の営利職業紹介事業取締規則以来の規定でもあり、1985年に兼業を禁止する範囲を風俗営業やサラ金に限定することが検討されながら、業所管官庁との関係でそのままになっていたものです。これは国会審議において、特に貸金業及び風俗営業等について全面解禁に疑念が呈され、許可要件において対応することとされました。ややトリビア的ですが興味深い質疑がされていますので、国会の議事録から一部引用しておきましょう。2003年5月16日の衆議院厚生労働委員会です。○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。・・・職業安定法の三十三条の四というのがございまして、今回の法改正でこれの削除の問題が出てきております。・・・「料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業その他これらに類する営業を行う者は、職業紹介事業を行うことができない。」という法律が今回削除されます。大臣にお伺いいたしたいのですが、逆に、そもそもなぜこういう法律があったとお考えでありましょうか。この法律のあった意味は何でございましょうか。現在もありますが、そこは大臣のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。○坂口国務大臣 私も、古着屋ですとか質屋の話まで十分に存じませんので、今初めて聞く話でございますから、満足にお答えができるかどうかわかりませんけれども、職業安定法三十三条の四でございますか、兼業の禁止規定というのがございまして、一九三三年に採択をされましたILO勧告におきまして、「個人及企業にして、直接に又は仲介者を通じて飲食店、旅館、古着店、質店又は両替店の経営の如き業務より利益を得るものは、職業紹介に従事することを禁止せらるべし。」こういうことになっているわけでございます。これは、昨年のILO総会におきまして撤回されたところでございますが、我が国の社会状況の変化も踏まえまして、今回、この兼業禁止規定というものを削除することにいたしました。職業紹介事業の許可基準におきましては、申請者が事業を適正に遂行することができる能力を担保するということがあるわけでありまして、そうしたことを中心にして、「不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。」というような要件が入れられている。そうしたことを考慮に入れて、今回この決定がなされたということではないかというふうに思います。○阿部委員 私も、数ある法改正を一つ一つ勉強しながら、この法律はこういう意味でできていたのかということを改めて知るということが、国会に来て、当然、立法府ですから多いわけですが、この法律、先ほど、旅館業、飲食店業、古物商、質屋さん、金貸し業、両替業等が職業紹介事業を行うことができないということの理由といいますか意味づけは、東京高裁の昭和二十九年の九月十五日判決に書いてございまして、実はこれらの職種では、人身売買的事態の発生等、社会的、一般的弊害があることがあると。ですから、昔は、旅館で人身売買、売買春が行われたり、あるいは料理店もそのようなこともあったということにかんがみて、職業紹介事業を併設しない方がよろしかろう、それが社会的、一般的弊害があるおそれということで設けられた一項なんだと思うんです。私が先ほど申しましたように、労働市場とそれから経済動向は動くことがありますが、働くことということについての社会規範というものは、ある程度共通認識を持っていかないと非常に問題が多いということで、午前中、我が党の金子議員が、現時点において、特に金貸し業といいますかサラ金業者の方が、一方で職業紹介事業を併設されますと、ここにお金を貸した相手がいて、その方からお金を返していただくために、あなたにこの仕事を紹介しましょう、あなたはここで働いてください、そして私にお金を返してくださいという形で、その方の労働力を担保にとって仕事を紹介したという形態をとって、実はぐるぐる回すということも生じ得る。今、金子議員が例に引いたかどうかわかりませんが、サラ金でお金を借りると、目の玉を売れとか腎臓を売れとか、そういう脅迫まがいのことも実に起こっておりまして、私は、現下の社会情勢で、この金貸し業とそれから職業紹介業というのが並立する図を考えると、ちょっとぞっとするのであります。午前中にいただいた戸苅局長の御答弁では、ちょっと抽象的でどうするのかなと思ったけれども、この紹介業を許可する際に基準を厳しくするという御答弁でしたが、許可をする際に基準を厳しくするとは、例えば、一方でお金を貸しているような業者の方には、紹介業をその方が申請していらしたら、他と違うダブルスタンダードあるいは隠れたスタンダードを使うということなのか。何か、この基準を厳しくするとお答えになった中身について、今度は局長にお願いします。○戸苅政府参考人 おっしゃるとおり、人身売買、中間搾取、強制労働というのが戦前に、職業安定法が制定される前に、今議論になっております飲食店、旅館、質屋、両替、そういったところでとかく行われていたということで、ILOの勧告もありということでやったところでありますが、時代も変化し、ILOの勧告も撤回されたということで、今回の法改正の一環として、兼業禁止規定を解除したということであります。ただ、正直言って、私個人的にも、貸金業を他の業種と同じような扱いでやって、本当に求職者の方の安全が確保できるのかというのは、かなり懸念をしていると言わざるを得ないわけでありまして、そういった意味で、一つは、許可する際に、許可基準として、これは所管の省庁あるいは都道府県知事の登録ということがありますので、まず、登録せずに貸金業をやっているような業者には許可を与えない。それからもう一つは、今おっしゃったように、恐らく、許可を与えるときの附帯的条件みたいなものを場合によったら検討できるんじゃないかとも思っていまして、今おっしゃったことも一つの検討材料になるかなと思います。確かに、貸金業の事業主が職業紹介をやって、それを回収のための手段にするというのも、一歩間違うと非常に危ない面もないわけでもないと思いますので、場合によったら許可の際の附帯要件として、労働者の安全が図られないというかそれが損なわれるような行為、例えば、金を貸している人に職業紹介し、それをピンはねは当然できないわけであります。基準法二十四条で直接払いになっていますから、そういうことはないとは思いますが、何か問題が起きそうなことがあるかどうか少し研究してみて、場合によったら附帯的な要件をつけた上で許可するとか、いずれにしても、求職者の方の安全が、保護がきちんと図れるような工夫は必ずしてまいりたい、こう考えております。○阿部委員 我が国の金融の現状と申しますのは、銀行がうまく機能しない、そのかわり駅前はサラ金、やみ金ばかりと異様な国になっているわけですから、この一条、一項を、この三十三条の四を抜く前に、今戸苅さんがおっしゃったようなことも本当に真剣に検討していただきたいと思います。それくらい、働くということは、きちんと社会がその方の労働権を守っていくという覚悟がないと、現代はやれない時代だと私は思います。さらにもう一点つけ加えさせていただければ、今は一応許可制という形をとるものでも、将来、届け出制にだんだん規制緩和されていきますから、そうすると手もつけようもなくなりますから、一つ一つ慎重に臨んでいただきたいと思います。
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