岩堀佳菜「フランスにおける労働者のリスキリング法制」
JILPTのホームページに、リサーチアイとして、岩堀佳菜さんの「フランスにおける労働者のリスキリング法制」がアップされました。
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/092_260603.html
岩堀さんは先日、『フランスにおける自営業者の職業能力開発法制』というディスカッションペーパーをまとめたところですが、その前提になる雇用される労働者の方はどうなっているのかをごく簡単にまとめたものです。
近年、労働者のリスキリングに対する実務的・学術的関心が高まりをみせている。その背景には、働き方の多様化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展といった構造的変化があり、こうした傾向は諸外国においても広く共通している。このような中で、日本においては、人材開発支援助成金制度や教育訓練給付金制度など、労働者のスキル向上およびキャリア形成を支援する既存の制度の充実が図られてきた。
他方で、諸外国に目を向けると、それぞれの雇用システムや労働市場の状況に応じた多様なリスキリング(継続職業訓練)制度が設けられている。中でもフランスは、労使代表による協議を基礎としつつ、国家が主導的な役割を果たしながら職業訓練[注1]政策を展開してきた国として位置づけられる。また、同国においては職業訓練が一種の「市場」を形成している点にも特徴があり、その制度的・実務的意義は極めて大きいものと評価できる。
このような問題意識のもと、筆者はこれまでフランスにおけるリスキリング制度に関する検討を進めてきたところであり、このたびJILPTから、ディスカッションペーパー26-03「フランスにおける自営業者の職業能力開発法制」(以下、DP26-03という。)を取りまとめ、公表した。DP26-03では、フランスにおいて、自営業者が職業能力を維持・向上させるための法制度としていかなる制度が設けられており、各制度が対象とする自営業者層およびその政策的意義がいかなるものであるかについて明らかにした。
しかしながら、自営業者を対象とした当該制度は、いわばリスキリング制度における「応用問題」といえる。すなわち、雇用労働者を対象とする制度の仕組みを理解することで、自営業者に関する制度も把握しやすくなるものと思われる。
そこで本稿は、フランスにおけるリスキリング制度のうち、DP26-03の理解に資すべく、雇用労働者を対象とする法制度について、その概要と特徴を示すこととしたい[注2]。
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