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2026年5月29日 (金)

日本成長戦略会議労働市場改革分科会とりまとめ

昨日、日本成長戦略会議労働市場改革分科会の「とりまとめ」という文書が一応取りまとめられました。

https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/001704959.pdf

「一応」というのは、最大の注目事項であった労働時間規制緩和問題が各論併記で先送りされておいるからですが、

(1)柔軟で多様な働き方の実現に向けた労働時間法制等

○ 柔軟で多様な働き方の実現に向けた労働時間法制等の在り方の検討については、本分科会の第2回においては、運用の見直しについて、第3回においては、労働力供給制約が強まる中で、労働参加の促進や労働生産性の向上を図る観点から、労働時間規制の在り方について集中的な議論が行われた。

○ 時間外労働の上限規制については、業種・業態や規模によっては対応が厳しい、月45 時間・年6回までの上限規制の一部例外措置が必要であるとの意見があった。また、ヒアリングでは、もっと働きたいのに働けない従業員がいる、都市と地方で温度差がある、労使協議の機会設定や労働時間管理の負担が大きいとの意見があった。

○ 他方で、労働者の健康確保や生活時間保障を基本とすべきであり、長時間労働が助長されるような働き方は結果的に多様な人材の労働参加の妨げになる、無限定・無制約な働き方を選択できる労働者は減少している、より長く働きたいとする一般労働者の割合は限定的で上限近傍で働いている労働者も少ない等の観点から、上限規制を緩和すべきでないとの多くの意見があった。

○ また、長時間労働の原因となっている業界慣行の見直しも必要、労働者の健康確保の実効性を高める等の観点から、集団的労使関係の基盤を整える必要があるとの意見があった。

○ 裁量労働制は、柔軟で自律的な働き方を可能にする、ワーク・ライフ・バランスに資する面もある等の観点から、適正に運用されれば労使双方にとってよい制度であるとして、制度の濫用防止策とセットで拡充の議論を進めるべき、実際の裁量の程度や業務量によって長時間労働となる確率等に影響があり、まずは 2024 年度改正後の状況把握が必要、適正に運用されるためにどうあるべきか労働政策審議会で慎重に議論を深めるべきとの意見があった。

○ 他方で、長時間労働になりやすく、裁量や適切な処遇が必ずしも確保されていない実態がある中で、制度拡充を行うべきではなく、2024 年度改正を踏まえた厳格な導入手続や定期的なモニタリングなどの適正運用を徹底すべき、柔軟で多様な働き方はフレックスタイム制度など現行制度の活用によっても可能であるとの意見があった。

○ 変形労働時間制は繁閑に応じて労働時間の配分を可能にする制度であり、労使の話合いにより労働時間短縮や法定労働時間枠の有効活用につながりうるが、天候の変化や取引先との関係等によって繁忙が大きく左右されることに十分対応できず、「30 日前」要件の短縮や特定後の勤務日変更を認める等の見直しを検討すべき、現場の実情に合わせた柔軟な設計の検討が必要であるが、労働者の予見可能性や健康確保が最優先であり、その客観的要件を明確化するなど限定的であることを前提に議論すべきとの意見があった。

○ 他方、原則の法定労働時間を超過することも可能となる例外的な制度であり、労働者保護の観点から様々な要件が課されている趣旨を踏まえれば、長時間労働の常態化や労働者のリカレント教育、リ・スキリングを含む生活時間設計を損なう要件緩和などは行うべきでないとの意見があった。

○ 勤務間インターバル制度や連続勤務規制は、労働者の休息や生活時間を確保するために重要な制度であるが、現行の努力義務の下や現行の変形週休制の下では労働者の健康確保の観点から限界があり、勤務間インターバル制度の義務化や長期の連続勤務の制限などについて、例外措置や代償措置も含め検討を進めるべき、つながらない権利の導入も検討すべきとの意見があった。

○ 勤務間インターバル制度について、年・月単位の対応に加えて更に日単位での規制を課すことは業務への柔軟性を欠く、各社の実態に応じた柔軟な制度設計が可能となる方向で検討することが重要であるとの意見があった。

○ 副業・兼業は、自己の判断で行うものであり、割増賃金の通算管理を見直すべきとの意見があった。

○ 実態として非正規雇用で働く者が生計維持や収入増を目的として副業・兼業を行っている割合が高いことを踏まえれば、割増賃金規制も含めた労働時間の通算規定の堅持が必要、健康確保の点から一定の配慮が必要であるとの意見があった。

○ フレックスタイム制は、働き手の働きやすさや働きがいを高めるために有用であり、フレックスタイム制と通常勤務日の組み合わせを可能とするべきとの意見があった。

○ 事業主や労働者が置かれている個別の事情に合った支援を、労働基準監督署と働き方改革推進支援センターが連携して実施することについては、

・ よろず支援拠点や商工会議所を含めて連携することで、中小企業の経営の視点も含めた労務支援というものが期待され、有効な方策であると考える

・ 時間外労働の上限規制の範囲内であっても、時間外労働を推奨する方向での制度・運用の見直しを行うべきではない

といった意見があった。

○ 労働基準監督署における指導については、
・ 指導が画一的・硬直的なものとなっているとの声もある
・ 時間外労働時間が 45 時間を超えた場合には適法の範囲内でも指導がなされていると承知しているが、法制度の違反という観点での指導とすべき
・ 労働者の命と健康を守るための最低基準である労働基準法の趣旨を踏まえた厳格な対応を堅持するべき
といった意見があった。

● 労働時間法制等に係る政策対応の在り方については、労働政策審議会でも議論されてきたとおり、柔軟で多様な働き方の推進の観点や労働者の一層の健康確保の観点から様々な論点が存在している。

● 本分科会の議論では、いずれも簡単に結論が得られるものではないが、日本成長戦略会議で取り上げた趣旨も踏まえ、労働参加率や労働生産性向上の必要性に鑑み、労働者の健康維持やワーク・ライフ・バランスを前提とするとの認識を共有しつつ、柔軟で多様な働き方を含む労働時間法制等に係る政策対応については、夏以降の労働政策審議会において、議論を行う必要がある。

・ 時間外労働の実態との間に「隙間」がある中で、上限規制は過労死認定ラインであり、上限規制を維持し、労働者の健康確保やワーク・ライフ・バランスの確保の観点から長時間労働の是正を図るとともに、労働生産性向上を促し、併せて多様な人材の労働参加を可能とすることが重要である。

・ 裁量労働制については、適正に運用されれば労働者にとっても良い制度であるが、長時間労働になる、裁量や適切な処遇が確保されない実態があることが指摘されている。 現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に、裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う必要がある。また、変形労働時間制については、他律的な要因に十分対応できていない現場の実態や、労働者の生活時間や予見可能性の確保にも留意しつつ検討を進める必要がある。

・ 労働者の健康確保や生活時間の確保が重要であり、これらは多様な人材の労働参加に当たっても重要であることから、連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置付け、「つながらない権利」の在り方、副業・兼業に当たっての健康確保、テレワークの活用促進などについて、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、検討を進める必要がある。

● また、運用については、時間外労働の実態を踏まえた、36 協定の締結や柔軟な労働時間制の活用について、よろず支援拠点等との連携を強化しつつ、「働き方改革推進支援センター」や労働基準監督署による相談支援の充実を速やかに実施するとともに、必要な体制整備については 2027 年度以降も着実に実施を図る必要がある。労働基準監督署において、重大・悪質な事案に対しては厳正に対応しつつ、労働時間や労働者の健康確保措置に関する労使の合意に則った指導が行われるよう速やかに見直す必要がある。

● さらに、運輸業における荷主対策、建設業における適正な工期の確保など、業種・業態の特性に応じた働き方改革推進の取組について、業所管官庁との連携を着実に進める必要がある。

夏以降の労政審に先送りではあるのですが、さりげなく変形労働時間制の見直しの話が顔を出していたり、労働基準監督署の「相談」とかソフト面の対応が出てきていたり、頭に留めておくべき事項がそれなりにありそうです。

ちなみに最後の項目の運輸業の荷主対策などといった話は、本日午後の労働政策フォーラムのテーマでもあります。

 

 

 

 

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