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2026年4月29日 (水)

吉弘健介さんが拙論を挙げる@朝日論壇時評

本日の朝日新聞の論壇時評で、吉弘健介さんが『中央公論』5月号に寄稿した拙論「日本型雇用システムと労働時間規制、40年の相克「働きたい改革」の本丸、裁量労働制拡大は実現するか」を挙げていただいています。

https://x.com/tenten368631212/status/2049300156567404912

これ、現在進行形の高市首相の労働時間規制緩和策の謎解きというだけではなく、そもそも裁量労働制、ホワイトカラーエグゼンプション、高度プロフェッショナル制度と繰り返される労働時間規制緩和政策がなぜ繰り返し提起され、なぜ繰り返しうまくいかないのかを、雇用システム論的に解きほぐして説明しております。

あまりにも表層的な議論ばかりが空中を飛び交う傾向にあるトピックであるだけに、物事をきちんと日本の労働の現実に根差して議論する上で有用なのではないかと思います。

 
裁量労働制か上限規制か、経団連と日商で異なる「緩和」策
 
・・・・・・・これに対し、裁量労働制については、働き方改革の議論の中で野党や一部マスコミから「定額働かせ放題」等との批判を受けて提出予定の法案から削除した経緯があるものの、上級ホワイトカラーの働き方として世界共通の性格を有しており、その対象業務拡大は政策としての正当性がある。もっとも、その理路が素直に通らないのには理由がある。日本のホワイトカラーのありようは、欧米や他のアジア諸国とは異なる特徴があり、日本社会で労働時間規制の問題が繰り返し議論されながらいつも袋小路に陥ってしまうのは、日本独特の雇用システムにその原因があるからだ。
 
管理職兼専門職兼事務職の日本型サラリーマン
・・・・・・・一言でいえば、日本のホワイトカラー職場には、管理職兼専門職兼事務職の総合職サラリーマンという一種類の職種しか存在せず、上から下までマネージャー的、スペシャリスト的、アシスタント的なタスクがその割合を少しずつ変えながら連続的に分布しているのである。これは戦時体制と戦後改革によって作り上げられた戦後日本独自の雇用システムであって、戦前に存在した「入社時から管理職」というエリート層はいなくなり、みんなヒラ社員として入社し同期で猛烈に競争して管理職に出世していくという仕組みである。専門職とは多くの場合、管理職になれない者の処遇のためのポストの名称であった。この競争的平等主義システムは、猛烈サラリーマンを生み出し、日本の高度成長に貢献した一方で、過労死を始めとする様々な社会問題の要因ともなった。しかしここでは、それが欧米型の労働時間規制との間にどのような矛盾を生むかについて見ていこう。
 
管理職とスタッフ管理職
日本型サラリーマンは裁量的であり裁量的でない
 なぜ、裁量労働制をめぐる議論は40年近くにわたって続けられているのか、それは、職務の性質に基づいて労働時間規制の適用のあり方を変えるべきだという労働基準法の基本的考え方(それは世界共通の発想なのだが)と、日本の、とりわけ総合職サラリーマンの働き方の間に大きな乖離があるからである。
 世界中どこでも、管理職や専門職のような裁量性の高い働き方をしている労働者は労働時間規制が適用除外され、事務職、販売職、生産職等の裁量性の低い働き方をしている労働者は労働時間規制が厳格に適用される。日本の法制も、建前上は世界共通のこの考え方に立脚している。したがって、専門業務型裁量制は専門職ゆえの裁量性の存在が根拠となる。では企画業務型裁量労働制はどうか? そもそも専門職と並ぶような「企画職」など存在するのか? 少なくともそのような職種は形式的にすら存在しない。そのかわりに、「企画業務」という概念が持ち出される。・・・・・・・・
 

ホワイトカラーエグゼンプションと高度プロフェッショナル制度
 しかし、彼らは実際にはマネージャー的、スペシャリスト的業務ばかりをやっているわけではない。むしろその相当部分はアシスタント的業務であり、そこに裁量性はほとんどない。「業務」で企画業務のみを切り出すというやり方は、そもそも日本企業の現実と全く対応していなかったのである。

健康確保のための「上限規制付き裁量労働制」という選択肢

 

 

 

 

 

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