フォト
2026年4月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ

« 『中央公論』5月号に「「働きたい改革」の本丸、裁量労働制拡大は可能か」を寄稿します | トップページ | 日経新聞に拙著短評 »

2026年4月 3日 (金)

前田正子『子どもの消えゆく国で』

7ce4445b11e84a25929d8b767f8d9cc8 前田正子さんの『子どもの消えゆく国で 「無子高齢化」と地域の子育て』(岩波書店)をお送りいただきました。

https://www.iwanami.co.jp/book/b10155818.html

二〇二四年ОECD報告書によれば世界で最も女性が子どもを産まない国は日本である。出生数は六八万となり、地方では若者が流出、税収減による上下水道などインフラ維持の困難、産業の担い手不足と、人口減の影響は深刻だ。その逆風の中で、子育てを中心に置いて地域を再生・創造する青森、福島、埼玉の保育園の挑戦を追う。

前田さんの本は、2018年に『無子高齢化』を頂いたときにも紹介していますが、

前田正子『無子高齢化』

その時に書いた

実は、目新しいことは何も書いてありません。前田さんをはじめとして、多くの心ある人々が口が酸っぱくなるほど繰り返し語り続けながら、きちんと対応されることなくいままでずるずると来てしまったこの国の姿を、改めてこれでもかと見せつけてくるような本です。

の繰り返しが前半。後半は、地方で取り組む人々の姿を描き出す部分です。

ここでは、前著で常見陽平さんとの対談部分を引用したように、その繰り返しになる前半部分から、第3章の香取照幸さんとの対談で、香取さんがいかにこの問題が難しいかと嘆息気味に語っている部分を。

--さらに新たな財源確保は可能でしょうか?

 今日本の人々の関心が向かっているのは、生産性を上げていかに賃金を引上げるかよりも、税と社会保険料の負担を下げる方です。日々の生活が大変すぎて、他人のための政策は考えられない時代ではないでしょうか。子どもを持つ人が減り、子どもを持たない人にとっては子育て支援をする意味を見いだせなくなっているのです。本当は、自分の子どもがいない人も、将来的には「誰かの子ども」、つまり次世代の世話になるのですが、そのことが理解されていません。そういう人たちにとっては、「異次元の少子化対策」の優先順位は高くないのです。しかも、少子化対策は、本当に政策に効果が出て世の中が変わるのは20年後になります。それまでは、今いる人間たちで乗り越えていくしかないので、本当に厳しい時代が来ると思います。・・・・

まことに、目先の「手取りを増やす」しか目に入らず、日本社会の将来への責任などこれぽっちも考えていないような議論ばかりが横行しましたね。

目次は以下の通りです。

はじめに 想定を超える少子化の中で

第1章 子どもを産まない女性が世界一多い国
 1 無子女性と就職氷河期
  日本の女性が世界でいちばん子どもを産んでいない
  上がる日本の未婚率
  九割の女性が結婚を望んでいた
  子どもを望まないのではなく「望めない」
  氷河期世代――若者を犠牲にした社会は未来を失う
  打撃を受けたのは女性たち
  変化の狭間にいた氷河期世代
  女性間の格差が広がった
 2 急速に変化した日本女性のライフコース
  子どもを持ちたいが持てないだろう――予言の自己成就
  女性のライフコースの変化――アメリカの大卒女性
  短期間に急激に変化した日本社会
  無子比率は一九六〇年代生まれから上がり出していた
  なぜまだ子育てが苦しいままなのか――母の壁
  負担は女性だけに
  男性の育児休業
 3 OECD報告書から見える社会不安と少子化
  OECD諸国での少子化はどうなっているのか
  結婚・出産の「先延ばし」と楽観視
  ドイツ――政策を変えれば出生率が変わる
  何が少子化を促進させるのか――OECD報告書の分析と提案
  社会の将来が不安だと、若者は子どもを産まない
  子どもを持たず結婚もしないと予測する日本の若者

第2章 人口が減ると起こること――進む東京一極集中と社会インフラの危機
  日本は老いた国
  生産年齢人口が半減する地方、吸い上げる東京
  南関東ばかりに人が住む
  都会は地方の実情を知らない
  鉄道は維持できるか
  人がいないと上下水道事業も成り立たない
  予想される水道料金の値上げ
  コメ不足が示したもの――減る農業従事者と農地
  誰が高齢者を支えるのか
  全就業者の四%を超える介護者が必要?
  医療ニーズも増える
  次世代が生まれなければセーフティネットも成り立たない

第3章 人口減少の影響に気づかなかった日本社会
 1 難しかった「子育ての社会化」 香取照幸氏に聞く
  大きな社会的な支持が生んだ介護保険制度
  移り変わる子育てのニーズ、拡がらなかった社会の支援
  子育て支援策の財源論は後回しだった
  子育て支援に意味を見出せなくなっている
 2 常に小出しで細切れ 日本の子育て支援策の欠点
  子育て世代は日本社会のマイノリティ
  次世代が高齢者を支える社会構造
  初の包括的子育て支援策「エンゼルプラン」
  「失われた二〇年」の始まり
  チャンスを逃した二〇〇〇年代
  二〇一〇年代――団塊ジュニアが四〇代に
  そしてコロナが来た 結婚する人が激減
  「異次元の少子化対策」
  「若者支援」が弱い

第4章 そして地域に何が起こっているのか
 1 函館市――観光客があふれる街での人口減少
  夫の転勤は働く女性の鬼門
  道南に二つだけの保育士養成校
  喫緊の課題は保育士不足
  函館が負けていると思っていたら、日本が負けていた
 2 秋田県三種町――手厚い子育て支援と就労の壁
  世田谷区の四つ分の広さにスーパーマーケットは三軒
  町で子育てする人を応援したい――大型子育て交流施設「みっしゅ」
 3 能代市――かつての木都は
  シャッター通りになりつつある中心街
  「寛容な故郷」に若者は戻る
 4 広島県――人口流出五年連続日本最多の県で
  人口ダム機能はどこに
  若者たちはどこにいくのか
  どうして広島を出るのか――広島の産業と学生の希望業界のずれ
  消えた製鉄所――変わる重厚長大産業
  広島の製造業の姿は日本の縮図
  風待ち・潮待ちの港町御手洗
  ひろしま子供の未来みんなで応援プラン
  迫りくる危機
 5 鹿児島県奄美市――若者を還らせる島育ちの誇り
  離島面積全国二位の奄美大島
  M字カーブのない奄美 働き続ける女性たち
  民間の自主事業を市が応援
  室内遊び場付きカフェ aruco
  増える移住者とUターン
  「しまっちゅ」への差別と誇り

第5章 認定こども園・子育て支援施設が地域を変える
 1 青森県八戸市 学校法人鳳明学園・社会福祉法人みつは会
  地域と一体になる園づくり
  認定こども園「みどりのかぜエデュカーレ」
  認定こども園「高館幼稚園」――SLの走る芝生の園庭と工業団地の新設園
  八戸市の保育士事情――東京に取られる若い働き手
  地域交流の拠点「フォレストガーデン みんなの森オアゾ」
 2 福島県二本松市 学校法人まゆみ学園
  お寺の本堂で始まった幼児園
  親と保育園と地域の三者による共同養育
  多様な子どもを包摂するインクルーシブ保育
  いつでも誰でも好きな時に
 3 埼玉県久喜市 学校法人柿沼学園 認定こども園こどもむら
  つぶれそうな幼稚園だった
  子育てしやすい地域にしようとしたら
  地域の実家 「にじいろのおうち」
  小学生への支援も必要――必要な支援に気がついたら
  子育てのワンストップサービスを目指して

 おわりに 子どもと地域のために奮闘する人たちとの出会い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

« 『中央公論』5月号に「「働きたい改革」の本丸、裁量労働制拡大は可能か」を寄稿します | トップページ | 日経新聞に拙著短評 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 『中央公論』5月号に「「働きたい改革」の本丸、裁量労働制拡大は可能か」を寄稿します | トップページ | 日経新聞に拙著短評 »