月刊Hanadaプラスで梶原麻衣子さんが拙著書評
月刊Hanadaプラスの「読書亡羊」というコーナーで、梶原麻衣子さんに拙著『外国人労働政策』を書評していただいております。
https://hanada-plus.jp/articles/1865
この月刊Hanadaプラスというのは、月刊WILLと並ぶあの「右翼雑誌」の月刊HanadaのWEB版で、書評されている梶原麻衣子さんというのは、まさにそのWILLやHanadaで編集者を務め、その舞台裏を『右翼雑誌の舞台裏』という本に赤裸々に描き出したその梶原さんであります。
というわけで、どんな風に書評されているのか恐る恐る覗いてみましたが、おおむね本書の趣旨を好意的に読んでいただいたようでほっとしております。
なぜ外国人労働者を受け入れる制度が「研修」を前面に出し、当人たちを「実習生」などと呼んできたのか。右に「事実上の『移民』であることをごまかすためではないか」という人がいれば、左には「『研修』名目、『実習生』であるという建前で外国人を安く使い倒し、搾取するためだろう」という人もいる。
実際のところ、なぜこんな制度になってしまったのか。
その謎を解き明かすのが濱口桂一郎『外国人労働政策――霞が関の権限争いと日本型雇用慣行が招いた混迷の30年史』(中央公論新社)だ。
「なぜ」の答えは、この副題にある。
つまるところ、外国人労働政策の迷走の理由は二つあり、一つは労働政策を担う労働省(後に厚生労働省)と、外国人の入管業務を担う法務省の間での縄張り争い。もう一つは、「真っ白な新人を採用して一から育てる」という雇用慣行と外国人受け入れ時のミスマッチにあったという。
著者の濱口氏は労働省出身の元霞が関官僚。となると「労働省びいきで、縄張り争いを展開した法務省を悪玉にしているのではないか」と心配されるところだが、そんなことはないフェアな筆致で、当時の経緯を謎解きのように紐解いている。
そして最後のところもわたくしの問題意識を的確にとらえていただいており、嬉しく思いました。
だが本書は〈混迷の三〇年は終わりを告げました、とこの話を終えるわけには行きません。実はまだ問題が残っていました〉と述べる。
それは、省益争いに端を発して「サイドドア」的な仕組みから始まってしまった外国人労働政策が、それゆえに「労働ではない」から始まって「あくまでも研修」「国際貢献の一環」などとされてきた問題を払拭しきれていなかったことである。
このズレは省益争いのみならず、本書が指摘する「日本型雇用環境と外国人労働・在留資格のミスマッチ」から生じたものでもある。
詳しくは本書をお読みいただきたいが、つまるところ「労働市場では、ある程度の技能を持っている人間を能力に応じて雇用する」という海外で主流のジョブ型と、「大学卒業時点では真っ白な白紙で、丁稚宜しく雑巾がけから始める」という日本型雇用のミスマッチにより、外国人を雇用する際に「その技能に合わせて相応の待遇で迎え入れる」という発想が抜けていたことに帰結するのだ。
移民や外国人労働者の問題はこうした議論から実に40年近く経った現在に至って、ようやく多くの国民が関心を抱くイシューになってきた面もある。結論ありきの賛否を唱える前に、まずは本書で議論の過程を抑えておきたい。
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