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2026年2月10日 (火)

あなたもわたしもみんな高度人材

Phpthumbphp_400x400 拙著『外国人労働政策』(中央公論新社)を読まれた神行太保さんが、

高度人材のポイント計算、自分にはめてみると80点なんやけど合ってるのか不安になるし、同僚の中国人女子が65点はええんか?と思わなくもない 彼女、別にそこまで高度な人材ちゃうぞ

と呟いているのですが、いやまさにそれが狙い目。

ブルーカラー外国人労働者を「単純労働者」と見下して建前上受け入れないと言い続けてきたその一方で、単に大学や専門学校卒業レベルのホワイトカラー労働者を「専門・技術的労働者」と誇大広告して導入してきた結果、いまや「技人国」は技能実習よりも特定技能よりもいわんや定住者よりも多数を占めるに至っているわけですが、それ以上に超誇大広告な在留資格が、鳴り物入りで導入されてきた「高度専門職」であって、その中身がいかに怪しいものであるかをよく分かっていただくために、拙著252~253ページには、その高度人材のポイント計算表を載せて、自分だったら何点取れるかをその場ですぐに計算して頂けるようにしておいたのです。

これでいけば、あなたもわたしもみんな高度人材になっちゃうよ、という話です。

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 まず、ごく普通の大学を卒業していればそれで一〇点。大学卒業後五年以上経っていればそれで一〇点。年齢が二九歳以下で年収が四〇〇万円あればそれで一〇点。この年齢二九歳以下というのがそれだけで一五点。そして(これは日本人なので当たり前ですが)本邦の高等教育機関において学位を取得しているので一〇点。ここまででもう五五点になります。これに、日本人なので当然その能力があるはずの日本語能力試験N1合格者以上の一五点を加えると、それだけで合格点の七〇点に到達してしまいます。

 もちろん、外国人は最後の日本語能力のところにハードルがありますが、高度な専門能力を証明するはずの部分に関する限り、日本人であればそんじょそこらのごく普通の若手ホワイトカラー労働者でも「高度専門職」になれてしまうような要件設定になっていることは確かなようです。しかしながら、これは入管法の欠陥というよりは、入管法が作動する場としての日本の雇用社会そのものの性格がもたらしているというべきでしょう。つまり、日本社会においては、ホワイトカラー労働者はエリート層とノンエリート層に明確に区別されていないという特徴です。

 アメリカであればビジネススクールをはじめとした大学院レベルを卒業したエリート層ホワイトカラーがはじめから管理職や専門職として就職し、はじめから労働時間規制の適用除外(エグゼンプト)として高給で処遇されますし、フランスでもグランゼコールと呼ばれる高等専門教育機関の卒業生がはじめから高給の管理職、専門職(カードル)として、普通の大卒ホワイトカラーとは隔絶したキャリアを歩んでいきます。ところが日本では、戦前には民間分野でもホワイトカラーが大卒のエリート層と実業学校卒のノンエリート層の二層制でしたが、戦後その区分はなくなってしまい、ホワイトカラーはすべてトップに上り詰める可能性のあるエリート候補生として、しかし若いうちはみんなノンエリート的な雑巾がけの仕事をやらされるという平等主義的な社会になってしまいました。私はこれを「みんながエリートを夢見る社会」と呼んだことがありますが、その価値判断は措くとして、それが欧米の制度を見習って作られた「高度専門職」という在留資格との間に矛盾をはらんだものであることは間違いありません。

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