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2026年1月26日 (月)

脊髄反射9割とはいえ、ちゃんと読んでくれる人もそれなりに

Chukogaikoku_20260126091901 拙著『外国人労働政策』(中央公論新社)のごく一部を切り取ってダイヤモンドオンライン上に載せたこの記事に、

https://president.jp/articles/-/107576

421件という大量のブックマークコメントがついたのですが、

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/president.jp/articles/-/107576

なんというか、やはりというか、本文をちゃんと読まずに、このテーマだからこうというあらかじめ決め打ちのコメントばかりが連なっている様は壮観ではあります。とはいえ、よく見ていくと、ちゃんと読んでくれている方も結構それなりにいることが分かり、ほっとする面もあります。

まあ、昨年から急激に外国人問題が政治的イシューとして取り上げられるようになり、そういうのばかり見ている脳みそで、拙著自体からすると極めて限られた部分しか切り取っていないこの記事を流し読みして、ちゃんと読んでくれという方が無理筋で、既に脳内に確固としてある文脈で以てとりあえずこの記事の中身はともかくとして自分の言いたいことだけを書き殴るというのは、思考経済的には合理的な行動パターンなのでありましょう。

とはいえ、なかにはそういう趣旨のコメントもあったりして、層の深みも感じますね。

KKElichika さすがhamachan先生。(労働)政策の歴史的背景の整理にかけては右に出るものなし。にも関わらず、前提の話が難解すぎて内容に無関係な頓珍漢お気持ちブコメが只管並んでいる現実がこの問題の難しさを物語っている。

ちなみに、本書の「はじめに」において、わたくしはこう書いておりました。

・・・なぜ日本政府の外国人労働政策は、当初提起されていたフロントドアではなく、もっぱらサイドドアに頼る形になってしまったのでしょうか。外国人労働問題をめぐっては過去三〇年以上にわたって「ああすべきだ」「こうすべきだ」とさまざまな立場から熱っぽく議論が交わされてきたにもかかわらず、この「なぜ」という問いに対して実証的に論じた文献はほとんどありません。

 おそらく多くの方々は、外国人労働者を入れたがらない保守派の政治家におもんぱかってフロントドア政策を忌避したのだろうとか、外国人を労働者でないことにして働かせた方が搾取しやすいからわざとそういう悪辣な仕組みにしたのだろうと思っているのではないでしょうか。本書の編集者(中西恵子さん)もそう感じていたそうです。しかし、外国人労働をめぐる政策過程を緻密に見ていくと、そういう単純な話ではなかったことが分かってきます。三〇年間も続いたサイドドア型の外国人労働力導入政策は、必ずしもはじめから意図されて作られたものではなく、第一義的には法務省官僚と労働省官僚との権限争いの故に創り出されたものであり、第二義的には当時の労働政策を支配していた日本型雇用システム偏重イデオロギーの無意識的な副産物として生み出されたものであったのです。

 と言っても、多くの読者には何のことやらよく分からないでしょう。本書はその意図せざる政策形成のメカニズムを、新聞記事を中心とした当時の史料を駆使しつつできるだけ詳細に解き明かすことを目指しています。外国人労働政策として実施されたさまざまな制度については、本書は何ら新たな情報を提供するものではありません。またそうした政策によって振り回された外国人労働者たちの実態についても、既に山のようなルポルタージュが書かれています。本書が目指すのは、なぜそんなことになってしまったのか、なぜ日本の外国人労働政策は三〇年もの回り道をしなければならなかったのかについて、「そうだったのか!」という驚きを伴う答えを示すことにあります。

頭に血が上って「ああすべきだ」「こうすべきだ」と声高に論じ合っている人々からすると何を迂遠な話をしているのか、と思われるかも知れませんが、そういうときこそ心を静めて、「なぜそんなことになってしまったのか」という歴史的な謎解きをじっくりと試みる必要があるはずだ、と、私は信じております。

 

 

 

 

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