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2025年12月24日 (水)

『外国人労働政策 霞が関の権限争いと日本型雇用慣行が招いた混迷の30年史』

本屋さんに並ぶのは来年早々の1月8日の予定ですが、拙著『外国人労働政策 霞が関の権限争いと日本型雇用慣行が招いた混迷の30年史』(中央公論新社)の見本がわたくしの手元に届きました。

Gaikokujin

https://www.chuko.co.jp/tanko/2026/01/005983.html

日本は外国人労働者に極めて差別的、技能実習制度は「現代版奴隷制度」など、国内外から批判されてきた日本の外国人労働政策。80年代には、「開国論」対「鎖国論」が論壇を賑わせたが、日本の制度が歪んだのは、排外主義的な政治家や狭量な国民のせいとは言い難い。本当の原因は、霞が関の権限争いと、日本型雇用慣行の特殊性にあった。労働政策研究の第一人者で、元労働省職員でもあった濱口桂一郎が、驚きの史実を解き明かす。

今までこの手の一般向けの本はだいたい新書の形で出しておりましたが、今回の本はハードカバーの単行本です。定価は2,400円+税とやや高めですが、これまでの外国人労働者モノ、移民モノとはかなり異なる角度からの史的分析になっているのではないかと思っております。この副題を見て、「どういう意味なんだ!?」と思われた方は、是非本屋さんの店頭でパラパラとめくっていただければと思います。

はじめに
序章 混迷の三〇年の原点
一 「開国論」対「鎖国論」の虚妄
二 外国人労働問題をめぐる労使の非対称性
三 日本の外国人労働政策のねじれた構造
 
【第一部】 ブルーカラー外国人労働政策――混迷の源泉
 
第一章 労働省と法務省の戦い
一 法務省は正面からの受入れを検討していた
二 労働省の労働ビザ構想
三 雇用許可制という特殊日本型モデルの提起
四 法務省の猛反発
五 在日韓国民団の批判と労働省の撤退
 
第二章 日本の雇用政策の紆余曲折
一 近代的労働市場を目指していた六〇年代
二 石油危機と企業主義の時代
 
第三章 日本の入管政策の紆余曲折
一 戦前の外国人政策
二 戦後の出入国管理法制と在日韓国・朝鮮人問題
 
第四章 「研修」というサイドドア政策の形成
一 法務省の完全勝利
二 「研修」は非就労活動という苦しい建前
三 労働者性を否定された「実務研修」の拡大
四 日系南米人という「血の論理」
五 ブローカーが暗躍する素地が生まれる
 
第五章 日本の教育訓練政策の紆余曲折
一 「見よう見まね」の教育訓練の否定
二 企業内訓練万能主義の時代
 
第六章 研修・技能実習制度の創設
一 労働者性を否定する「研修」と労働者性を前提とする「技能実習」
二 「研修」をめぐる省庁間のせめぎ合い
三 「研修」と「実務経験活動」の綱引き
四 研修・技能実習制度の創設
五 技能検定の紆余曲折
六 研修・技能実習制度の展開と矛盾の露呈
 
【第二部】 ブルーカラー外国人労働政策――混迷解消への長い道
 
第一章 「技能実習」の確立と技能実習法
一 規制改革関係会議による問題の指摘
二 ようやくできた「技能実習」在留資格
三 技能実習法の制定
 
第二章 フロントドア政策の再提起と部分的実現
一 正面から受け入れようとする機運
二 規制改革関係会議の正論
三 政治家サイドからの提起
四 ミニ版フロントドア創設の試み
 
第三章 「特定技能」というフロントドア
一 「単純労働者」とは何者か
二 官邸主導による大転換
三 特定技能一号と二号
四 対象分野の拡大と外国人労働者の生活支援
 
第四章 「国際貢献」という美辞麗句から「育成就労」へ
一 「国際貢献」という建前と実態の乖離
二 「技能実習」改め「育成就労」
三 定住者の拡大
 
【第三部】 ホワイトカラー外国人労働政策
第一章 増え続ける「技人国」
一 「技人国」はジョブ型の在留資格
二 教育と職業の密接な無関係
三 「技人国」在留資格の変遷
四 ホワイトカラー外国人にも日本的雑巾がけを求める
 
第二章 「高度専門職」の虚実
一 高度人材を求める声
二 高度人材ポイント制の創設
三 「高度専門職」在留資格の創設
四 日本に高度専門職なんているのか?
 
第三章 留学生のアルバイト就労
一 留学生のアルバイト就労の解禁
二 留学生・就学生のアルバイト拡大
三 「留学生」への統一
四 日本型雇用社会における学生アルバイト
 
終章 混迷の三〇年の教訓と将来像
 
あとがき

 

 

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コメント

ついに刊行されるのですな。先生の書かれるこうした本は大体新書でしたが今回はハードカバーとは本格的です。僕らが日ごろ何度も聞いている移住連など左派・リベラル系関係者の主張を念頭に置いたうえでぜひとも読んでみたいと思います。主張が重なる点もあれば切り口が異なる部分もあるはずなので楽しみです。

この本は、そもそも「かくあるべし」を声高に主張しようとしている本ではありません。
もちろん、私には私なりの考えはありますが、それを主張したくて書いた本ではありません。
日本の外国人労働政策は、なぜフロントドアではなくサイドドアになってしまったのかを、史料に基づき明らかにしようとした本です。

「はじめに」から、その趣旨の部分を引用しておきます。

>なぜ日本政府の外国人労働政策は、当初提起されていたフロントドアではなく、もっぱらサイドドアに頼る形になってしまったのでしょうか。外国人労働問題をめぐっては過去三〇年以上にわたって「ああすべきだ」「こうすべきだ」とさまざまな立場から熱っぽく議論が交わされてきたにもかかわらず、この「なぜ」という問いに対して実証的に論じた文献はほとんどありません。
 おそらく多くの方々は、外国人労働者を入れたがらない保守派の政治家におもんぱかってフロントドア政策を忌避したのだろうとか、外国人を労働者でないことにして働かせた方が搾取しやすいからわざとそういう悪辣な仕組みにしたのだろうと思っているのではないでしょうか。本書の編集者(中西恵子さん)もそう感じていたそうです。しかし、外国人労働をめぐる政策過程を緻密に見ていくと、そういう単純な話ではなかったことが分かってきます。三〇年間も続いたサイドドア型の外国人労働力導入政策は、必ずしもはじめから意図されて作られたものではなく、第一義的には法務省官僚と労働省官僚との権限争いの故に創り出されたものであり、第二義的には当時の労働政策を支配していた日本型雇用システム偏重イデオロギーの無意識的な副産物として生み出されたものであったのです。
 と言っても、多くの読者には何のことやらよく分からないでしょう。本書はその意図せざる政策形成のメカニズムを、新聞記事を中心とした当時の史料を駆使しつつできるだけ詳細に解き明かすことを目指しています。外国人労働政策として実施されたさまざまな制度については、本書は何ら新たな情報を提供するものではありません。またそうした政策によって振り回された外国人労働者たちの実態についても、既に山のようなルポルタージュが書かれています。本書が目指すのは、なぜそんなことになってしまったのか、なぜ日本の外国人労働政策は三〇年もの回り道をしなければならなかったのかについて、「そうだったのか!」という驚きを伴う答えを示すことにあります。

こちらって、Kindle版って出そうでしょうか?

中央公論新社電子書籍のアカウントが「1/8 #単行本 配信予定」と言っているので、たぶん同日に電子版も出るようですね。詳細は知りませんが。

https://x.com/chuko_denshi/status/2008003014901072114

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