日本成長戦略会議における二つの労働時間規制緩和論
昨日、官邸で第2回日本成長戦略会議が開催されました。注目すべきは、大企業を代表する経団連と中小企業を代表する日本商工会議所から、それぞれ全くベクトルの異なる二つの労働時間規制緩和論が示されていることです。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/kaigi/dai2/gijisidai.html
経団連の筒井会長は、従前繰り返し求めているように、裁量労働制のさらなる拡充を求めています。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/kaigi/dai2/shiryou3-6.pdf


一方、日本商工会議所の小林会頭は、働き方改革で導入された時間外休日労働の上限規制の緩和を求めています。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/kaigi/dai2/shiryou3-3.pdf
(2) 【労働市場改革】と【家事等の負担軽減】 ~ 実態に即した柔軟な働き方、両立支援
・ 時間外労働の上限規制については、運輸、宿泊・飲食、建設等の特定業種で、特に人手不足を理由に対応困難な状況。業種毎の実情を踏まえ、実態にそぐわない上限規制の見直し、労働者の健康管理を前提としたより柔軟な働き方を可能とする法制度が必要
昨年5年の猶予が切れた運輸と建設に加え、宿泊・飲食も人手不足と上限規制の板挟みで大変なんだということのようです。
これに対して、連合の芳野会長は、次のように反論していますが、政治の勢いは規制緩和の方向に流れていきそうです。
○「働き方改革」から約 6 年が経過し、長時間労働是正にかかる労使の取り組みが進められてきたものの、依然として一般労働者の総労働時間は 2,000 時間前後で高止まりするとともに、過労死等による労災認定件数も過去最高を記録している。
こうした「働き方改革」の達成には程遠い現況を踏まえれば、時間外・休日労働に係る上限時間の段階的・計画的縮減などの方策こそが必要である。
○他方、一部では、「成長」の観点から上限規制の緩和や裁量労働制の安易な拡大などの労働時間規制の緩和を求める声があるが、これらは「働き方改革」に逆行するものと言わざるを得ない。そもそも現行の上限規制は過労死認定ラインと同水準であり、「心身の健康維持」の観点で最低限の基準である。また、労働時間法制が果たす役割は、「心身の健康維持」だけではなく、家庭・社会生活を営むための「生活時間の保障」という機能を持つ。この機能は育児や介護も含め、様々な事情を抱えながら働く者も含めた多様な労働参加を確保する観点でも極めて重要である。さらに、「従業者の選択」という点についても、労使の力関係の差が厳然と存在することを直視すべきである。
○なお、裁量労働に関しては、業務の内容・量が過大なものであった場合には、「みなし労働時間制」の下で長時間労働を助長しかねない。こうした課題の改善に向けて2024年に適正化に向けた制度改正が行われたばかりであることからすれば、今必要なことは新制度の下での適正運用であって安易な拡大や要件緩和ではない。
○今後の検討においては、上記の点を踏まえた議論が行われることを強く求める。
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