『管理職の戦後史』にぼつぼつネット書評が
11日前に発売された『管理職の戦後史』ですが、ぼつぼつネット書評サイトでも取り上げられてきています。
読書メーターでは、本ブログでもおなじみのFrancisさんが、ご自分の職業人生とも重ねながらぼやき気味の感想を書かれています。
https://bookmeter.com/reviews/131702303
「ジョブ型」「メンバーシップ型」なる雇用形態の名称を定着させた労働省出身の労働法研究者濱口桂一郎先生の新著です。第4章2「管理職ユニオン」以降で展開される議論は同時代を生きた私にとって既視感ありまくりです。私も最初の公務員時代○○専門官なる係長待遇のスタッフ職をあてがわれ、長時間残業に勤しむも年功給故にコスト削減のためリストラ要員となり法人化して8年後退職に追い込まれた経験があります(^^;今の職場も管理職は部下の残業時間管理など本当に大変そうです。管理職は日本的雇用問題の極北であると言えましょう(^^;
この本は「新卒一括採用」「年功給」「新卒一括採用された正社員であれば(一応は)誰でも役員まで出世できる(はず)」と言うガラパゴス的な日本的「メンバーシップ型雇用」の馬鹿馬鹿しさがこれでもか、これでもかとばかり活写されておりまする。私もいわばその「メンバーシップ型雇用」の被害者…(^^;なので「ジョブ型雇用」への改革を強く願っているのですが、その改革への道のりもこれまた真に険しいと尊敬する濱口先生の本を読んで思うのであります(^^;
ブクログでは、テクノグリーンさんが、「読み応えは十分ある反面、一般読者には難解すぎるかもしれない」と懸念をされています。
https://booklog.jp/users/1890vincentgogh/archives/1/4022953454
管理監督者や企画業務型裁量労働時間制、ホワイトカラーエグゼンプションなどの法制度の変遷、政策決定の舞台裏について、行政文書などを引用しつつ、丁寧に解説している。
読み応えは十分ある反面、一般読者には難解すぎるかもしれない。
ヒラ社員から中間管理職、上級管理職、経営陣に至るまで、連続的に管理職的性格が強まっていくのが日本の雇用システムの特徴であるがゆえに、管理監督者とそうでない者の線引きが曖昧になっているというのが筆者の主張である。
そうであるにも関わらず、労基法の建前がジョブ型雇用であるがゆえに、管理監督者とそうでない者との間に大きな溝があり、これが様々な問題を生んできた。
管理職一歩手前の者への適用を想定した企画業務型裁量労働時間制や高度プロフェッショナル制度が厳格な手続きを敷いているのに対して、管理監督者は何らの行政官庁の認可も届出もなく、使用者の胸三寸で決まってしまう。
わざわざ要件も手続も複雑な裁量労働制や高度プロフェッショナル制を利用しなくても、管理監督者扱いにしてしまった方がはるかに楽である。
管理監督者の定義に関する記載は法文上存在せず、行政通達で「経営者と一体の立場にある者」と語られているだけである。
労基法には罰則規定があり、労基法に違反した場合には送検されるおそれもあるのだが、こと管理監督者に関しては、罪刑法定主義に反しているのではなないかと思う。
また、最後のパラグラフにあるパワハラ問題については身につまされる思いがした。近年、何でもかんでもパワハラだと言ってくる労働者が増加しており、上司が必要な権限の行使をおそれてしまい、職場秩序が崩壊寸前に陥っている。その結果、モンスター社員と何もしない上司だけが残り、真面目な労働者は会社を辞めていくという悪循環が起きている。
果たして、日本の雇用社会はどうなっていくのか。
« 「育児時間」は本来「哺育時間」であった@『労基旬報』2025年11月25日号 | トップページ | 朝日新聞の枝葉末節症候群 »
コメント
« 「育児時間」は本来「哺育時間」であった@『労基旬報』2025年11月25日号 | トップページ | 朝日新聞の枝葉末節症候群 »

Francis名義の私の拙い書評を早速取り上げていただきありがとうございます。
今回のご著書は管理職を経験していない私には関係ないだろうなあ、と思いつつ読んでいたのですが、「名ばかり管理職」「スタッフ職」を論じる辺りから「ああ!やっぱり来たか!」と思いながら読み進めておりました。
最初の職場では管理職になりたくないなあ~と思いながら働き続けていました。年功給で30代後半以降はそれなりの給与をもらっていましたが、正直なところこんなに貰って良いのだろうか、と罪悪感を抱きながら働いていました。
だから退職した時はむしろほっとした気分になったのも事実です。
一方で元の職場に残る事の出来た同期、あるいは同僚職員はほとんどが管理職になって大変だろうなあ、と思います。一部は霞が関の合同庁舎で補佐クラスまで行った者もいるはずで、彼ら彼女たちが無事に定年を迎えられるよう願う日々です。
投稿: balthazar | 2025年11月24日 (月) 18時32分
本書は、タイトルは「管理職」ですが、そして中身のかなりの部分も管理職ですが、実はお読みなった方々はお分かりのように、管理職未満の人々の問題も同様に重要なテーマなんです。
そして、そこがきちんと管理職との関係で議論されないから、今日の朝日新聞の記事のような、妙に法学部的にいきり立っているけれども肝心のことから遠く離れてしまったような記事ばかりが書かれてしまうのです。
そういう労働問題の議論のされ方に一石を投じるという意味も、本書にはありました。
投稿: hamachan | 2025年11月25日 (火) 11時51分