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2025年11月

2025年11月16日 (日)

遠藤公嗣「ILO100号条約第3条第3項の不審な政府公定訳(1967年)と劣化する解釈」(『労働法律旬報』2091号)への政策過程論的コメント

Rojun2091670059 『労働法律旬報』2091号に、遠藤公嗣さんの「ILO100号条約第3条第3項の不審な政府公定訳(1967年)と劣化する解釈」というたいへん長い論文が載っています。

https://www.junposha.com/book/b670059.html

その趣旨は、ILO100号条約が批准される間際に、それまでのまともな邦訳が、意味不明の悪訳に差し替えられ、そのためにその後の労働法学者は全く間違った解釈を繰り広げてきている、というもので、浜田富士郎、浅倉むつ子、木村愛子といった研究者に対する舌鋒は極めて激烈ですが、それは研究者同士の論戦としては当然とも言えます。

ただ、前半部で、邦訳改悪の下手人として当時の高橋展子婦人少年局長を名指しして批判しているところについては、当時の婦人少年局の置かれていた状況についての認識が薄いのではないかという感想を持ちました。

目次
一 課題
二 労働省による和訳作業
 1 三つのILO公式報告書の和訳
 2 一〇〇号条約の労働省仮訳
 3 一〇〇号条約の労働省定訳とその普及
 4 一〇〇号条約の批准案件と政府公定訳
三 第三条第三項の政府公定訳
 1 悪訳への改変:
   労働省定訳との比較考察
 2 政府公定訳でなく労働省定訳を国会答弁で引用する労働省幹部
 3 労働省幹部の国会答弁における第三条第三項の回避
 4 高橋展子と早川崇の国会審議外における「宣言」見解
 5 経緯の仮説
四 第三条第三項の解釈史⑴:労働省定訳のもとでの過去
 1 四つの文献
 2 石松亮二﹇一九六八﹈による高橋展子﹇一九六七a﹈の批判
五 第三条第三項の解釈史⑵:
  政府公定訳のもとでの現在
 1 浜田富士郎﹇一九八八﹈の五つの誤り
 2 浜田富士郎﹇一九八八﹈の時代背景
 3 浅倉むつ子﹇二〇〇四﹈への三つの疑問
 4 木村愛子﹇二〇一一﹈の荒唐無稽
六 結語

これは本論文にも書かれていることですが、この1967年という時点でILO100号条約が急に批准されることになったのは、外部からの圧力、すなわちILOから国際人権年に併せてILO条約を批准するように求められて、国内法を改正する必要がないからという理由で、この条約が選ばれたという経緯があります。労働省婦人少年局が、男女平等のためにぜひ批准してくれと言い出したわけではありません。

しかし、国内法を改正する必要がないからというのは、正確には正しくありません。これも本論文に書かれていますし、拙著でも繰り返し書いてきたことですが、労基法第4条は、労務法制審議会に出された原案では「男女同一価値労働同一賃金」であったのが、労働側の西尾末広委員の「労働の価値によつて賃金を払ふといふよりは、その労働者の家族が多ければその家族に手当を与へる、いはゆる生活賃金、生活をし得る程度の賃金を与へるといふ考へ方と、男女同一価値労働に対する同一賃金といふ観念とには矛盾がある」という批判を受けて、吉武労政局長から「まあ女だからといつて当分低くしてはいかんぞ、といふくらゐに解釈して貰はなければならんか」と答え、これを受けて「同一価値労働」が削除されて、現行のただの「男女同一賃金」になったという経緯があります。

もちろん、1947年に労基法ができた時には、ILO100号条約はまだできていないので、この「同一価値労働」の中身は厳密な意味でILO100号条約と同一であるわけではありませんが、とはいえ、そもそも職務給を否定して生活給を認めるために修文された規定なのですから、その規定があるからILO100号条約が批准できるというのは、かなりインチキな議論であったことは確かです。

率直に言えば、ILOの人権関係条約はどれもこれも難しい問題がてんこ盛りで、簡単に国内法を改正できるような代物はほとんどない中で、例外的に婦人少年局が所管している労基法第4条だけが関わる100号条約は、ILOへの「おみやげ」に差し出すにはちょうど手ごろなものだと、官房国際労働課を中心とした労働省幹部たちは考えたのでしょう。

それまで細々と勉強を続けてきたこの条約を、瓢箪から駒で急に批准することになったからよろしくといわれた婦人少年局はどう思ったか。もちろん、厳密には労基法第4条では不十分であり、せめてそれを「男女同一価値労働同一賃金」に改正しなければ、条約と不整合が生じます。なにしろ、「男女同一賃金」とは「まあ女だからといつて当分低くしてはいかんぞ」という程度の規範なのですから。

とはいえ、ほかの条約は法改正が必要だから難しいので、それなしでちゃちゃっと批准できる100号条約にしようというのに、やはり法改正が必要だから無理です、なんて婦人少年局が言えるかといえば、そんなこと言えるわけはありません。当時の婦人少年局は、労基法のごく一部を所管するだけで、自前の法律一本もなく、毎回のようにその存在意義に疑義を呈され続けていた弱小部局で、せっかく飛び込んできたILO条約批准の機会を自分から蹴飛ばすなんてことは不可能です。

とないえ、100号条約を批准してしまうと、そこに書かれていることをちゃんとやっているのかと問われることになります。労基法第4条があるから大丈夫という理屈で批准しても、国内法の労基法第4条は上記の通りであって、同一価値労働なんて発想はそもそも削除されていて、いまさら法改正もなしに急にでっち上げられるわけにもいきません。

つまり、婦人少年局は、批准せざるを得ないILO100号条約と改正できない労基法第4条の矛盾を引き受けなければならないのです。それが当時、高橋展子婦人少年局長が置かれていた立場だったのです。

本論文で、高橋展子局長がこの条約は宣言に過ぎないと強調していたことが批判的に引用されていますが、いやそれは、そう言わなければ、100号条約の細かな規定の一つ一つがいちいち労基法第4条との関係でどうなのかとギリギリ詰められては、とてももたないから、もたないことが予測できたから、わざとそういう細かな議論に陥ることのないように、宣言に過ぎないと言っていたのでしょう。

この経緯を見てくると、なんだか労働省の官房と他局がぐるになって、弱小の婦人少年局をいじめているようにも見えます。立場上批准を拒むことはできないし、法改正を打ち出すこともできないという足元を見透かして、「ほれほれ条約を批准できるぞ」と恩に着せながら、矛盾はお前の局で始末しろ、といわんばかりです。

もうひとつ、これはおそらく遠藤さんは気づいていないのではないかと思いますが、ちょうどこの時期、佐藤内閣の一省庁一局削減という行革の嵐が労働省にも押し寄せ、どの局を廃止するかで大揉めに揉めていたのです。率直に業務量でみれば、男女均等法や育児介護休業法等々ができる以前の婦人少年局というのは、普及啓発活動が主で、実体的な権利義務に関わる行政機能は極めて乏しく、20年にわたって繰り返し廃止論が唱えられ続けてきたのを、婦人団体などの外部の応援団や、その象徴的意義から辛うじて維持してきていたのですが、ここにきて再度婦人少年局廃止論がクローズアップされてきました、結局紆余曲折の末、新設されたばかりの安全衛生局をもとの安全衛生部に戻すということで決着したのですが、この時期の婦人少年局の行動を考えるうえで、この状況は念頭に置かれる必要があります。

遠藤さんの筆致にかかると、この高橋展子婦人少年局長というのは誠実性に欠けたいい加減な役人であったかのように見えますが、彼女がそのように行動せざるを得なかった状況も踏まえて見ていく必要があるのではないかと、感想を抱いた次第です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『管理職の戦後史』発売開始

Asahi2_20251116090901 木曜から土曜まで、ソウルで北東アジア労働フォーラムに出席し、昨晩ようやく帰ってきましたが、その間に拙著『管理職の戦後史』が書店の店頭に並び、すでに読まれて感想を書かれた方も出てきています。

そのうちyamachanさんは、

帰宅すればhamachan先生の「管理職の戦後史」が届いているのだが、ひと足先に書店でパラ読み。 ワイが十数年前に書いたレポートで引用した金融業の管理監督者通達に関するあれこれや、大昔の労働法学者松岡三郎も出てくるっぽいな。

そういえば、yamachanさんは2013年度の法政大学公共政策大学院で雇用労働政策研究の授業に出ていたのですね。実はその時のyamachanさんの期末レポート「労働行政からみる労基法上の管理監督者〜通達を中心に〜」がパソコンのハードディスクの奥にあったので、読み返してみたら、想像していた以上に今回拙著とターゲットが重なっていたんですね。

ちなみに、これが分かる人はかなりの「通」です。

hamachan先生は、情け容赦なく、M氏の素性を新著でバラしてましたwww

 

 

2025年11月15日 (土)

『外国人労働政策 霞が関の権限争いと日本型雇用慣行が招いた混迷の30年史』(中央公論新社)

Chukogaikoku

◆労働省vs法務省の権限闘争と、
特殊な日本型雇用システムにあった!
労働政策研究の第一人者が解き明かす、驚きの真実

「開国論」vs「鎖国論」という知識人たちの浅薄な議論の陰で
起きていたこととは……

日本は外国人労働者に極めて差別的、技能実習制度は「現代版奴隷制度」など、国内外から批判されてき日本の外国人労働政策。80年代には、「開国論」対「鎖国論」が論壇を賑わせたが、日本の制度が歪んだのは、排外主義的な政治家や狭量な国民のせいとは言い難い。本当の原因は、霞が関の権限争いと、日本型雇用慣行の特殊性にあった。労働政策研究の第一人者で、元労働省職員でもあった濱口桂一郎が、驚きの史実を解き明かす。

 

2025年11月12日 (水)

そんな本は書いてない!が続々

書いた覚えのない本が続々と出てくるんですが、一体何が起っているんですか?

ケアテック(介護ロボット)と在宅利用者の心理

ロボットが動作を助ける瞬間に、
「人の存在」が感じられるように設計されること。
それこそが、人と機械のあいだに“倫理”という温度を保つ条件なのでなないだろうか。

ほとんど私の書いてきた領域と重ならないような話が続いた挙げ句、「参考文献・引用元(考察の裏づけ)」として、こんな著者のこんな本が明記されているんですが、

  • 濱口桂一郎(2022)『ケアの倫理と労働の未来』岩波新書

いやいやいやいや、わてはそんな本出しておまへんがな。どこでどう混線して、こんなでっち上げが生み出されたのか不明ですが、かくしてネット上には私の著書と称する実在しない本が積み重ねられていくことになるようです。

 

2025年11月11日 (火)

EU最低賃金指令はOK@EU司法裁判所

今年1月に法務官がEU最低賃金指令は条約違反で無効だという意見を発表して大騒ぎになっていたことについては、その時に本ブログで紹介しており、

EU最低賃金指令は条約違反で無効@欧州司法裁法務官意見

その後『労基旬報』にやや詳しい解説を書きましたが、

EU最低賃金指令は条約違反で無効!?@『労基旬報』2025年2月25日号

その行方を関係者がかたずをのんで見守って10か月経って、ようやくEU司法裁判所の判決が出されたようです

なぜかまだ裁判所のHPにはアップされていないのですが、欧州委員会のHPに、最低賃金指令の有効性を認めた判決を喜ぶ旨の記事が載っています。

Commission welcomes the judgment of the EU Court largely confirming the validity of the Directive on adequate minimum wages

In its judgment, the EU Court of Justice dismissed the request to annul in its entirety the Directive on adequate minimum wages. The Court confirmed the validity of the provisions of the directive relating to collective bargaing on wage-setting.

その判決において、EU司法裁判所は十分な最低賃金に関する指令を全面的に無効とすることを求める請求を棄却した。裁判所は賃金決定に関する団体交渉に関する指令の規定の有効性を確認した。

そのうち裁判所のHPに判決文がアップされると思いますので、詳細はその上で。

 

 

 

 

 

2025年11月10日 (月)

そんな本は書いてないし、そんなことは言ってない

最近、ネット上のあちこちで、「そんな本は書いてないし、そんなことは言ってない」現象が頻発しているようです。AIの嘘こき(ハルシネーションというユーフェミズムが頻用されますが)のせいなんでしょうが、嘘こかれた方はたまらんですわ。

「【速報】高市早苗総理午前3時勉強会と労働時間規制緩和」といういかにも人目を引くことを狙ったげなタイトルのこの記事の中に、

【速報】高市早苗総理午前3時勉強会と労働時間規制緩和

深掘り: 労働経済学者の濱口桂一郎氏は、著書『日本の雇用と労働』(岩波新書)の中で、労働時間規制の緩和が労働者の権利を侵害し、格差を拡大する可能性を指摘しています。特に、非正規雇用労働者や、交渉力の弱い労働者にとっては、労働時間規制の緩和は、長時間労働や低賃金労働を強いるリスクが高まります。

まず、おいらは労働経済学者じゃねえし、岩波新書から本を2冊出してるけれども、こんなタイトルじゃない。このタイトルにギリギリ近いのは、『日本の雇用と労働法』(日経文庫)だけれども、これは法政大学の授業用に作ったテキストであって、こんな主張はこれっぽっちもしていない。つまりこのたった3行のなかはことごとく嘘っぱちだらけなんだが、いかにもちゃんと調べてきましたかのような平然たる風情で淡々と書いているものだから、知らん人はコロリと騙されるだろうな。

ちなみに、そのすぐ後ろには、

一方で、経営学者の楠木建氏は、著書『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)の中で・・・

と、中身はともかく、現存する著者の現存する著書を引用して見せてるだけに、たちが悪いわ。

 

 

 

 

「辞令一本」今は昔? 企業vs社員の軌跡 「常識」覆す法令改正も@『毎日新聞』デジタル

9_20251110092101 本日の毎日新聞デジタル版に、「「辞令一本」今は昔? 企業vs社員の軌跡 「常識」覆す法令改正も」という記事がアップされており、その中にわたくしのインタビューも出てきます。

https://mainichi.jp/articles/20251108/k00/00m/020/234000c

 転勤は時に会社と社員による法廷闘争に発展してきた。約40年前に企業側の裁量を幅広く認める判例が示され、現在も「正社員なら転勤して当たり前」という考えは根強いが、そうした「常識」を転換し得る法令改正も近年された。専門家は「働く人の意識の変化に合わせて、社会通念や司法判断も変化していくだろう」とみる。

 日本企業は終身雇用や年功序列の昇給・昇進と引き換えに、社員を「辞令一本でいつでもどこにでも」配置転換させてきた。会社が転勤を命じることができると就業規則に明記している企業も多く、業種によっては内示もなく、1週間前など直前に辞令を言い渡されることもあった。

日本型正社員モデルの中心的存在

 労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎研究所長は「時間、空間、職務が無限定の日本型正社員モデルの中心的存在として、高度経済成長期以降に作られた」と指摘する。・・・

 

 

2025年11月 9日 (日)

「全員が猛烈に働く」文化、脱する道は ワーク・ライフ・バランスの現在地 濱口桂一郎氏に聞く@『朝日新聞』(紙版)

去る10月20日にデジタル版に載ったわたくしのインタビュー記事が、今日の紙版の『朝日新聞』に載っています。第21面の「Reライフ」というページです。

「全員が猛烈に働く」文化、脱する道は ワーク・ライフ・バランスの現在地 濱口桂一郎氏に聞く

「ワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てます」。自民党総裁選での高市早苗氏の発言に対し、様々な意見が出ました。中には「ワーク・ライフ・バランス」を重視する社会へのいらだちが垣間見える声も。労働政策研究・研修機構労働政策研究所長の濱口桂一郎さんに、日本の「ワーク・ライフ・バランス」の現在地について聞きました。(田中聡子)

 ――高市氏の発言をきっかけに「ワーク・ライフ・バランス」に注目が集まりました。

 「ワーク・ライフ・バランス」って、実は変な言葉ですよね。この言葉は「ワーク」と「ライフ」が対立を起こしているというイメージを与えます。

 でも家事や育児が「アンペイドワーク(無償労働)」と言われるように、「ライフ」は「ワーク」でもあります。同時に、「ワーク」とされるものは「職業生活」という「ライフ」でもある。

 ――明確に境界線があるわけではないのですね。

 一般的には、ワークは「マスト(やらねばならない)」の世界、ライフは「ウィル(やりたい)」の世界であると考えられています。でも実際は、家事・育児を誰かが「やらなければならない」ように、仕事も面白さややりがいなど「やりたい」からやるということもあります。

 「ワーク‧ライフ‧バランス」という⾔葉は、複雑な現実を単純化してしまいました。そして「ワーク=マスト」「ライフ=ウィル」と考えるから、ライフのためにマストを制限すると「やるべきことをおろそかにしてライフを満喫している」と⾒られてしまう。・・・・・

 

 

2025年11月 5日 (水)

大庭伸介『歴史の暗に埋もれた朝鮮戦争下の清水港・山猫スト』

Gsrocmramackutq 服部一郎さん(ハンドルネーム:kiryuno)から、大庭伸介『歴史の暗に埋もれた朝鮮戦争下の清水港・山猫スト』(梁山泊出版部)をお送りいただきました。占領下で行われた港湾山猫ストの記録です。エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)のHPに詳しい紹介が載っているので、関心のある方はそちらをご覧下さい。

https://l-library.hatenablog.com/entry/2025/08/25/194558

本書の主題である「朝鮮戦争下の清水港・山猫スト」は、1951年4月末の米軍用物資積載船の出港日に、丸一日清水港の荷役業務が完全にストップした史実であり、「山猫スト」の実施主体は「清水一般自由労働組合」である。そして、その史実の掘り起こしは同労組の浅野書記長へのヒアリングに基づいている。

 

 

 

 

転勤制度のこれまでとこれから@WEB労政時報

WEB労政時報に「転勤制度のこれまでとこれから」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers/article/89897

最近、転勤をめぐって議論が盛んになっています。私自身も、2025年7月25日付の『日本経済新聞』経済教室で、「転勤制度を考える」という小論を書いています。ただ、そこでは紙面の関係でごく限られた情報しか書けなかったので、本稿ではかつての裁判例の動向など、今ではあまり記憶されていないことも含めてやや詳しく解説しておきたいと思います。・・・・・

 

2025年11月 4日 (火)

『管理職の戦後史』が届きました!

今月13日発売予定の『管理職の戦後史 栄光と受難の80年』(朝日新書)がわたくしの手元に届きました。

少なくとも外見はよい仕上がりになっていると思います。

あとは、読者の皆さまにどのようにご評価いただけるかです。

Asahi2_20251104164801

はじめに
 
序章 雇用システムと管理職
 1 管理職とは何か
  (1) 職業分類における管理職
  (2) アメリカのO*NETにおける管理職、専門職、事務職
  (3) 日本のjob-tagにおける課長と事務員
 2 日本社会における「管理職」
  (1) 「部長ならできます」
  (2) 戦後経営秩序における管理職
 
第1章 労働組合のリーダーから経営側の尖兵へ
 1 終戦直後の労働運動と管理職
  (1) 管理職がリードした労働運動
  (2) 旧労働組合法における「使用者の利益代表者」
  (3) 1949年改正労働組合法
 2 経営権の確立と職場闘争
  (1) 経営側の尖兵としての「職制」
  (2) 職場闘争の時代
 
第2章 管理監督者と管理職の間
 1 労働基準法の「管理監督者」
  (1) 労働基準法制定以前の状況
  (2) 労働基準法の制定過程
  (3) 管理監督者と深夜業
 2 金融機関管理監督者通達
  (1) 金融機関の管理職昇進事情
  (2) 地銀連の申告闘争
  (3) 1977年金融機関管理監督者通達
  (4) 1988年通達
 
第3章 管理職問題の時代
 1 経営側の管理職論
  (1) 『管理職の職務給』
  (2) 『管理職-活用と処遇-』
  (3) 『新時代の管理職処遇』
 2 学者とメディアの管理職論
  (1) 役職者割合の推移
  (2) 岩田龍子の管理職論
  (3) 週刊誌に見る「管理職受難」
  (4) 松岡三郎の管理職組合結成論
 
第4章 管理職組合の挑戦
 1 企業内管理職組合
  (1) 東洋交通管理職組合
  (2) 青森銀行管理職組合
  (3) セメダインCSUフォーラム
 2 管理職ユニオン
  (1) 管理職リストラの時代
  (2) 管理職ユニオンの活動
  (3) 個別労働紛争解決制度における管理職
 
第5章 年俸制と企画業務型裁量労働制
 1 年俸制
  (1) 年俸制の流行
  (2) 年俸制の状況
 2 企画業務型裁量労働制
  (1) 専門業務型裁量労働制の出発
  (2) ホワイトカラーの労働時間制度をめぐる議論
  (3) 裁量労働制をめぐる諸見解
  (4) 裁量労働制研究会
  (5) 企画業務型裁量労働制の創設
  (6) 2003年改正
 
第6章 名ばかり管理職とホワイトカラーエグゼンプション
 1 名ばかり管理職問題
  (1) 日本マクドナルド事件判決と名ばかり管理職問題
  (2) 2008年適正化通達とチェーン店通達
 2 ホワイトカラーエグゼンプション
  (1) ホワイトカラーエグゼンプションを求める声
  (2) 労働時間制度研究会
  (3) 労政審答申
  (4) ホワイトカラーエグゼンプションの蹉跌
 
第7章 女性活躍と高度プロフェッショナル制度
 1 女性管理職の時代
  (1) 戦後経営秩序における女性
  (2) 男女雇用機会均等法
  (3) 労働基準法女子保護規定の指揮命令者
  (4) 女性活躍推進法の管理職
 2 高度プロフェッショナル制度
  (1) ホワイトカラーエグゼンプションの再提起
  (2) 高度プロフェッショナル制度という帰結
 
第8章 管理職はつらいよ
 1 働き方改革の忘れ物
  (1) 時間外・休日労働の上限規制
  (2) 放置された管理監督者
  (3) 管理職のための間接的労働時間規制
  (4) 管理監督者の労働時間規制へ?
 2 パワハラに気をつけろ
  (1) パワーハラスメントの問題化
  (2) 何でもハラスメント時代の管理職
 3 管理職の代表機関を
  (1) 過半数代表者と管理監督者
  (2) 管理職の過半数代表者?
 
おわりに

男性の育児休業給付初回受給者数 18万100人@『労務事情』11月1日号

B20251101 『労務事情』11月1日号に「男性の育児休業給付初回受給者数 18万100人」を寄稿しました。

https://www.e-sanro.net/magazine_jinji/romujijo/b20251101.html

1991年に育児休業法が成立したときにはノーワーク・ノーペイの原則で給付はありませんでしたが、1994年の雇用保険法改正により育児休業給付が設けられました。・・・・・

 

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