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2025年9月15日 (月)

入学金問題の雇用システム的根拠

大学入試を受験して合格して入学を辞退しても高額な入学金を払わされるのは日本だけだ、という批判の声があるようです。

日本だけが異常すぎる大学入学金制度

まことにもっともではありますが、でもなぜそんなことになっているかといえば、そもそも圧倒的に多くの日本人が、すなわちその大学受験生もその親も、なにより彼らが将来就職するであろう会社の人々も、そしてそれを当然の前提としている大学の経営者たちも、みんな揃って、大学に関して意味があるのは入学した後で学んで身につける個別分野の具体的な知識技能などではなく、入学試験に合格することによって証明されるところの一般的な「能力」(頑張れるチカラ)であると考えているからでしょう。

大学という産業の最大の売り物が何であるかというと、ジョブ型雇用社会においては、個別分野の具体的な知識技能を付与すること、より正確にいえば卒業証書という形で「こいつにはこれこれのスキルがあります」と証明してやることであり、大学が学生から徴収する金は、究極的にはその証明書を発行することの対価なので、その入口に入りかけただけの奴から金をとる筋合いはない。

それに対して、日本のメンバーシップ型雇用社会においては。個別分野の具体的な知識技能などというのは会社に入ってから上司や先輩がビシバシ鍛えて教えてくれるのだから、大事なのはどれくらい難しい入学試験に合格したかしてないかということなので、そもそも大学の最大の存在意義が入試に合格した頭のいい奴であるという証明書を出すことに尽きていて、それ故、そのもっとも重大無比な証明書の対価をとることが最大の売り物なのであってみれば、入学辞退したからと言って入学金をとらない筋合いはないということになるんでしょう。

入学しようが入学辞退しようが、入学後の勉強なんてどうせ会社に入ったら上司や先輩から「全部忘れてきていい」と言われてしまうようなものなのだから、関係ないというのは、それはそれなりに筋が通っています。その証拠に、かつて明治大学法学部で、法学部で最も重要な必修科目である民法で大量に不可を出したために、内定していた学生が大量に留年したために大騒ぎになったことがあります。なぜ大騒ぎになるかといえば、。法学部の中では一番大事な科目かも知らんが、会社に入ったら別に要りもしないたかが民法如きの単位のせいで内定した学生が入社できずに留年せざるを得ないなどというのが、一番ふざけた話だと、新聞記者を始めとした社会のほぼ全員がそう思っていたからでしょう。

そういうメンバーシップ型社会に最もうまく適応した大学の行動様式が、入学しようがしまいが合格したことをことを証明してやることの対価をとることなんであってみれば、それを批判するのは日本社会の在り方そのものを批判する覚悟が要るはずですが、さてそこまでの覚悟があっていってるのでしょうか。

 

 

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コメント

払う方からすれば「いつまでに」払わなければいけないかの方が重要です。
A大学の入学金払込締切がB大学の合格発表より前であり、進学希望がB>Aで、A大学の合格通知があるとき、A大学の入学金を払い込むかどうか、ですよ。

>そもそも圧倒的に多くの日本人が、すなわちその大学受験生もその親も、なにより彼らが将来就職するであろう会社の人々も、そしてそれを当然の前提としている大学の経営者たちも、みんな揃って、大学に関して意味があるのは入学した後で学んで身につける個別分野の具体的な知識技能などではなく、入学試験に合格することによって証明されるところの一般的な「能力」(頑張れるチカラ)であると考えているからでしょう。

大学を卒業ではなく除籍ではないか という疑問への対応が不適切だとして不信任案を可決した議会を解散した伊豆の某市長も同じように
  大学の入学試験はきちんと合格しているのだから、卒業ではなく除籍だとか
  そういう重箱の隅をほじくりかえすような揚げ足取りはやめてほしい
と思っているのかもしれません
これに対して
  大学の入学だけを重視するのはメンバーシップ型雇用の場合であって
  ジョブ型雇用では入学した後で学んで身につける個別分野の具体的な知識技能を重視すべきだ
という意見があるかもしれません。しかし前任の市長は高卒だったそうなので、この市の市長というジョブでは大学を入学した後で学んで身につける個別分野の具体的な知識技能は必要ないようです。

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