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2025年8月 2日 (土)

大内伸哉・坂井岳夫・土岐将仁・山本陽大『フリーランス法制を考える』

07301710_6889d393c5b1a 大内伸哉・坂井岳夫・土岐将仁・山本陽大『フリーランス法制を考える デジタル時代の働き方と法』(弘文堂)をお送りいただきました。

https://www.koubundou.co.jp/book/b10137089.html

2024年に施行された待望のフリーランス法(通称)。新法の創設には大きな意義があるものの、それでもなお残る政策課題とは? デジタル化、プラットフォームの巨大化が加速するなかで、今後の安心・安全な働き方を考えるための重要な視点とは?
本書は、フリーランスをめぐる問題状況や法的地位、これまでの法政策を緻密に分析したうえで、DXが進展した未来を見据えた労働・社会保障分野からの改革提言を行います。

タイトルからすると、最近類書がたくさん出ているフリーランス法の解説書かと思われるかもしれませんが、そうではありません。

いわゆるフリーランス法自体の解説は第8章の20ページほどの中の、厳密には第2節の10ページ足らずに過ぎません。

本書の大部分は、フリーランス法で一応の部分的・中間的決着をしたに過ぎないこの問題の広がりを、時間的、空間的に追跡していくことに充てられ、そして第8章と第9章という本書の最後の部分は、フリーランス法やその他の個別的なフリーランス対策にとらわれずに、著者らの言い方を借りれば、現行制度の延長線上に規制の構築を目指すフォアキャスティングなアプローチではなく、第4次産業革命のインパクトを受けた将来の社会像からいわば白地に絵を描こうとするバックキャスティングなアプローチを展開しているからです。

それはまことに意欲的というか、野心的であり、とりわけ第9章第3節の新たなセーフティネットの話は、今までの仕組みを全部ガラガラポンにしようという話なので、現在の社会保障制度の微修正ですら政治的に大騒ぎになり、手が付けられない状況であることを考えると、正直やや夢想的に思えます。

ただ、その直前の第9章第2節の仲介型プラットフォーム事業者に対する規制の在り方については、それが今まで空白地であり、必要性が感じられてきていることからも、近年のプラットフォームの発展を旗印に、諸外国の例も引き合いに出しつつ、やる気になれば十分可能な法政策であると思われました。

なお、本書のうち、日本のフリーランス法政策の流れや、EUの法政策については、私自身が結構突っ込んで勉強してきたテーマでもあり、読みながら懐かしさを覚えていました。

序 章 フリーランス法を越えて

第Ⅰ部 フリーランスとは何か
 第1章 いまなぜフリーランスなのか
 第2章 フリーランスの法的地位
  第1節 はじめに
  第2節 労働法による法的規律
  第3節 労働法以外の法的規律とフリーランス
  第4節 小括――課題のまとめ
 第3章 フリーランスをめぐる法政策の形成と展開
  第1節 はじめに
  第2節 フリーランスをめぐる法政策前史
  第3節 「働き方改革」以降の政策形成過程
  第4節 フリーランスをめぐる法政策の展開
  第5節 小  括
 第4章 フリーランスとセーフティネット
  第1節 社会保障の概要
  第2節 社会保険の適用
  第3節 セーフティネットの内容
  第4節 セーフティネットの特徴と課題
 第5章 プラットフォーム就労とは何か
  第1節 デジタルレイバープラットフォーム(DLPF)とは何か
  第2節 DLPFをめぐる法的課題

第Ⅱ部 海外のDLPFに関する立法・議論
 第6章 労働法編
  第1節 ドイツ
  第2節 アメリカ
  第3節 EU法 
  第4節 その他の国(イギリス・フランス)
 第7章 社会保障編
  第1節 ドイツ
  第2節 フランス
  第3節 アメリカ
  第4節 小  括

第Ⅲ部 新たな法制度の構築に向けて
 第8章 第Ⅰ部の考察を受けて
  第1節 フリーランス政策の課題――フリーランス法前の状況
  第2節 フリーランス法
  第3節 フリーランス法後の政策課題
  第4節 労働者性の判断基準の問題
 第9章 PF就労に対する法制度はどうあるべきか
  第1節 フリーランス法後の政策課題の分析視角
  第2節 PF事業者に対する規制のあり方――仲介型を念頭に
  第3節 新たなセーフティネットの構築に向けて

 

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