フォト
2025年11月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ

« EUがつながらない権利に関する労使への第2次協議 | トップページ | 今年の『厚生労働白書』は労働法教育を特集している »

2025年7月29日 (火)

排外主義と階級

思いつきのメモ

欧米で数十年前からはびこってきている極右政党の社会的基盤として、外国人労働者に職を奪われ(ると思い込んでい)る労働者階級や、貧しい外国人に福祉を奪われ(ると思いこんでい)る貧困層が、自分たちを裏切った(と思い込んでいる)社会民主主義政党から離れたからだとよく言われる。もちろんそれで説明できないところはいっぱいあるけれども、全体的にはそういう説明が了解されているように思われる。

そういう労働ショービニズムや福祉ショービニズムの傾向は、もちろん日本にもちらちらとは存在しているけれども、今回の参議院選挙で一気に噴出した排外主義は、それに加えて、というよりもむしろそれ以上に、中流サラリーマン層の被剥奪感が大きいのではなかろうか。印象論だが、日本人ファーストというときに想定されているのは、決して技能実習生が就いている製造業、建設業、農業の3K労働なんかではなく、自分がお金を貯めて、ローンで買えるはずだったマンションが富裕な外国人に買い占められて価格が暴騰して手が出なくなったことのように思われる。

過去数十年間着実に増加してきた技能系の在留資格ではなく、これまで外国人論議ではほとんど取り上げられることのなかった経営管理在留資格がここにきて急激に話題になっていることからしても、どうもこれは欧米型の労働ショービニズムや福祉ショービニズムではなく、日本的中間層たるサラリーマンショービニズムの気配が感じられる。

 

 

« EUがつながらない権利に関する労使への第2次協議 | トップページ | 今年の『厚生労働白書』は労働法教育を特集している »

コメント

既成左翼政党から票が剥れたわけではない(ちょっと剥れはしたけど自然減+れいわ新撰組への移行でほぼ説明可)が自民党から剥れた層は排外主義政党の参政党と日本保守党に移行している、というのはこの理屈でほとんど説明できそうですよね。

でも投票率が上がった分(500万人ぐらいか?)が国民、参政にほとんどきた、というのは別の現象のようにも思えます。小泉郵政選挙や民主党勝利とかの感じに近い(流行ってるので勝ち馬にとりあえず乗りたい)のかな、と。

(リンクは貼りませんが)パートとして何年も雇用されていても正社員にはなれないが、未経験の外国人労働者が正社員として採用されるのは、外国人を雇用すると助成金がもらえるから、という意見がありました。
補助金をもらえる・もらえないで行動が変わるのは、例えば住宅の太陽光発電設備、例えばEVなど、いくらでもあります。社会を科学するのであれば、そういった「行動を促す」制度の影響も考える必要があるのではないでしょうか。

わたくしの知る限り、日本人ではなく外国人を雇用したことを理由として助成金が支給されるというような制度は存在しないはずですが、こういうふうに、いつの間にかデマが流通していくのでしょうね。

ちなみに、雇用助成金は外国人だからといって排除していないので、日本人と同様に一定の要件に該当する外国人を雇用すれば助成金の対象になりますが、それは当然のことです。

なおまた、外国人を雇用している事業主向けに言語対応など外国人向けの就労環境整備をすることに対する助成金というのはありますが、雇用助成金ではありません。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/gaikokujin.html

なるほど、そうでしたか。町で偶然耳にした情報は信用してしまう、典型的な例に陥ったようです、お恥ずかしい限りです。
「そういった制度はない」と言い切るのはかなり知識がないとできないので放置され、デマが浸透していくわけですね。

それに類するようなことが局所的に散見されるということがあると、都市伝説としては全体にあるように変換されるのは有り勝ちかも。
価値観のアップデートレベルでは、管理職などについては、女性比率に次いで外国人比率も高くなければならないとされているのでは?
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu11/siryo/__icsFiles/afieldfile/2013/04/16/1333620_007.pdf

リンク先の文書は、科学技術・学術審議会の「多様な研究者の活躍促進」というもののようですね。
女性と外国人が並列されているので紛らわしくなっていますが、前者はいわゆるダイバーシティで女性活躍推進の一環でしょうが、後者はそもそも優秀な外国人を日本に引っ張ってこようという誘致作戦の話であって、全然位相が異なる話です。
そういうのをわざわざごっちゃにしたような文書を作るから、鬼の首を取ったかのようにもてあそぶ輩がいくらでも出てくるんでしょうけど。

(コメントツリーが伸びるようなら、掲載しなくてかまわないです)
ネットでたまたま目にしたものは、Xの投稿で、食関係(弁当製造っぽい)の当事者からと思われるものでした。関連情報は、hamachan様が指摘されたように、人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コース が挙げられており、雇用したらもらえる雇用助成金ではありませんね。助成率も2/3ですから、丸丸入るものではない。それでも条件は外国人の(正社員)雇用なので、いつまでもパートのままの方からすればたまったものではないのかもしれません。

町で偶然耳にした情報レベルや生半可な知識を、よく調べもせず全世界に公開されているWebに簡単に書き込んでしまいデマの拡散に加担する。
デマの被害者にとってはたまったもんではありません。デマによる被害者が生まれる行為に対し、自らの責任を軽く考えすぎです。

「ニッポンの人権派」とかは、「憲法9条で日本が守られている」ってデマに踊らされて、自衛官を平然と差別しまくってきた歴史があるわけなので、参政党を批判できるほど綺麗な体でもないんだよな。

「昔のことじゃん」って逃げる人権派も多いが、当時は生まれてすらいない日本人の若者に、毎年8月15日に「戦争を反省せよ」って強要してる以上、「昔のこと」で逃げるのは恥知らずにも程がある。

ttps://note.com/nathankirinoha/n/nb964d55aa8f0

hamachan先生

JBpress 2025/07/30【参院選対談】躍進した国民民主党と参政党の共通点は「反石破・親安倍・反民主」、主要政党の勝因・敗因を徹底解説 という記事は非常に参考になります。
   ( https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/89728 )
4ページ目で「参政党支持層は、自らの生活水準を「下」とする人が5割近くと、各党で最も多い水準」という記述があり、「日本版トランプ現象」と言っても良い、とまとめられています。

基本的に参政党の台頭は反グローバリズム、反ネオリベ的な保守、右派という政治的ニッチにうまくはまったというのが本質で、排外主義が現在の日本でそこまで支持を広げているというのは疑問の余地がありますね。

グローバリズムの効果は、自由貿易の影響と移民のそれを区別する必要がある。

欧米における製造業の衰退は、自由貿易による国際分業の進展がもたらした産業構造の変動であって、移民は直接には関係ない。トランプの関税政策は一つの解決策とはいえるが、アメリカの製造業を復活させるには相当高い関税率が必要となる。なぜなら、貿易理論上、大国はある程度までの関税率であれば他国に転嫁できるため、むしろ関税は大国の(消費者の)利益となるからである。結局トランプ関税は15~25%程度となるようだが、この程度だとおそらく他国に転嫁できるであろう。しかし、逆に言えば、この程度の関税率では製造業の復活は望めない。そこで日本やEUに投資しろという話になるのだろうが、国際分業の進展をそれだけでは止められない。結局米中対立による国際秩序の再編というのが根本的な問題となるだろう。

一方、製造業の衰退により排出された労働者は主に都市部のサービス労働に従事することになるが、ここで移民労働と競合するのは事実である。これまで接触のなかった白人労働者と移民との間で文化的社会的軋轢も生じるであろうから、このあたりがアメリカにおける反移民感情の背景にあるのだろう。


以上のようなアメリカに典型的にみられる排外主義の背景的事情は、日本にはまったく当てはまらない。

日本はなおまだ製造業をそれなりの規模で維持できているし、外国人労働者が主に従事する3k労働はそもそも日本人の忌避するものなので、日本人との接触も限定的だろう。

ちなみにサービス労働で人手不足がいわれているが、そもそも長く続いた需要不足を放置した結果の余剰労働力をサービス産業は浪費して投資を怠ってきたツケが来たというにすぎない。政府は安易にサービス労働に外国人労働者を受け入れるべきではなく、機械化・省力化投資を促すべきである。その流れについてこれない産業や企業は淘汰されるべきである。


日本の排外主義の要因になるものとして、濱口さんのいうマンションを買えない不満などからくるサラリーマンショービニズムというのも、都会のエリートサラリーマン限定の話であって広がりに欠けるのではないか。もちろんマスコミ関係者はこの層なので、影響力という点では無視できないが、投票行動への影響は限定的だろう。インバウンド公害も言われるが、局地的なものだろう。

参政党の台頭はやはり反新自由主義の右派という政治的ニッチを開拓し、また自民党が左にウィングを広げた結果逃げた保守票を獲得したというのが原因だろう。参政党の政策は、まあデタラメで、反新自由主義の右派という政治的ニッチにひっかかりそうなイシューを適当に並べただけであろうし、日本人ファーストとか排外主義的な主張もその一つのすぎないのだろう。投票行動への影響は限定的ではないのか。

まあ、現状の参政党は半分お笑いだが、まともなブレーンとカリスマ性のある指導者が出てくれば侮れないものとなる。そこに国際情勢の厳しさが増していく状況が重なれば、日本における排外主義も無視できないものとなるだろう。そしてそのときには、濱口さんのいうように、欧米型の労働ショービニズムや福祉ショービニズムではなく、日本的中間層たるサラリーマンショービニズムというのが本格化するのかもしれない。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« EUがつながらない権利に関する労使への第2次協議 | トップページ | 今年の『厚生労働白書』は労働法教育を特集している »