水島治郎編『アウトサイダー・ポリティクス』
水島治郎編『アウトサイダー・ポリティクス ポピュリズム時代の民主主義』(岩波書店)をお送りいただきました。ありがとうございます。
https://www.iwanami.co.jp/book/b10134164.html
トランプ再選、欧州右翼政党の主流化、「れいわ」躍進……。既成政治を批判し、その周縁から躍進するアウトサイダーの政治家たち。日米欧にとどまらず、ラテンアメリカ、東南アジアにも視野を広げ、世界を揺るがすアウトサイダー政治の「見取り図」を、各国政治研究の第一人者たちが描く、現代政治を理解するための必読書。
ポピュリズムの比較政治ですが、本書の特徴はヨーロッパ諸国に加えてアメリカ、中南米、フィリピン、日本まで視野を広げて分析しているところです。
はじめに アウトサイダーの時代なのか……………水島治郎
第Ⅰ部 現代政治をどう見るか
第一章 欧州ポピュリスト政党の多様性――概念設定と比較分析
……………古賀光生
第二章 西ヨーロッパにおける自由化・市場化の進展と
反移民急進右翼政党の「主流化」
――世紀転換期の民衆層急進化の政治史に向けて
……………中山洋平
第三章 「アウトサイダー」時代のメディアと政治
――脱正統化される「二〇世紀の主流派連合」
……………水島治郎
第Ⅱ部 転回するヨーロッパ政治――既成政治の融解
第四章 英国における左右のポピュリズムの明暗
――問われる統治力と応答力
……………今井貴子
第五章 右翼政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の「主流化」
――若者と旧東ドイツにおける支持とその背景
…………… 野田 昌吾
第六章 アウトサイダーのジレンマ
――イタリアにおける五つ星運動の政治路線
……………伊藤 武
第七章 フランスから見た
「ヨーロッパの極右・ポピュリスト政党」
……………土倉莞爾
第八章 鼎立するベルギーのポピュリズム
……………柴田拓海
第九章 福祉の代替か、アートの拠点か、犯罪か
――オランダにおける空き家占拠運動の六〇年
……………作内由子
第Ⅲ部 環太平洋世界はいま――交錯する新旧の政治
第一〇章 トランプ派の「メインストリーム化」と民主党の「過激化」?
――二〇二四年アメリカ大統領選挙の分析
……………西山隆行
第一一章 なぜラテンアメリカの人びとは「異端者」を選ぶのか?
……………上谷直克
第一二章 フィリピン――食いものにされる「変革」への希望
……………日下 渉
第一三章 れいわ新選組を阻む壁
――日本の左派ポピュリズム政党の限界
……………中北浩爾
第一四章 ポピュリズムへの防波堤としての参議院
――郵政民営化・日本維新の会・希望の党と第二院
……………高宮秀典
おわりに……………水島治郎
各国編の中では、やはりかつて暮らしたベルギーの章が面白かったですね。ワロンとフランデレンの対立図式の中でポピュリズムの三つ巴が生み出されるというのは、なるほどと思います。
最後に二つ並んでいる日本の考察が結構面白いです。特に、参議院がポピュリズムの防波堤になる例として、旧民主党系における労組系議員の集まる参議院の役割が提示されているのもなるほどという感じでした。
本日ちょうど韓国で大統領選が行われているからというわけでもないですが、この第Ⅲ部の諸国に入っていてもおかしくないのが、韓国だったようにも思います。
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