専従職員は“職業革命家だから”月90時間残業しても残業代ゼロ@デイリー新潮
デイリー新潮に「「専従職員は“職業革命家だから”月90時間残業しても残業代ゼロ」日本共産党 の“違法残業”を暴いて除籍された30歳&26歳の元女性党員が実名告発」という興味深い記事が載っています。
「専従職員は“職業革命家だから”月90時間残業しても残業代ゼロ」日本共産党 の“違法残業”を暴いて除籍された30歳&26歳の元女性党員が実名告発
先日の記事で、福岡の共産党が就業規則と36協定を労基署に届け出たことの背景事情が書かれています。
・・・昨年まで福岡で、共産党の下部組織である日本民主青年同盟の県委員として活動に従事していた砂川絢音さん(30)と羽田野美優さん(26)。2人は県委員長A氏の「パワハラ言動」や専従職員の違法残業問題を中央に直訴しても取り上げてもらえなかったことに業を煮やし、実力行使に打って出る決意を固めた。・・・
・・・かくして決起は鎮圧されたのだが、砂川さんたちは諦めずに次の手に討って出た。昨年9月、組織内で横行していた専従職員の違法残業について、福岡中央労働基準監督署に告発したのである。
「もうこの組織に自浄作用は期待できないと考えたからです。私たちと行動を共にしていた福岡民青の元専従職員Bさんの月90時間以上の残業が常態化していました。厚労省が過労死ラインとして定めているのは月80時間で、大きく超えています。さらに調査を進めると、福岡共産党では就業規則がなかったばかりか、従業員を残業をさせる際に必要な『36協定』を締結していないこともわかった。明らかな労働基準法違反です」(羽田野さん)
羽田野さんはこのような違法残業は、福岡ばかりでなく全国の組織でも同じ状況ではないかと考えた。そこで、SNSで共産党の労働環境を調査したいと呼びかけると、32人の共産党と党関連団体の専従職員が協力してくれたと語る。
「回答者の47パーセントが80時間を超えた残業を強いられていると回答し、残業代不払いは100パーセントでした。共産党内部では『専従者論』という考え方があり、そこでは専従者は労働者ではなく『職業革命家』とされ、労働法令には縛られないとされていたのです。言うまでもなく、恣意的かつ時代錯誤的な考え方です。他の政党が専従職員をどう扱っているかについても電話するなどして調べましたが、日本の主要な8政党のうち、労基法を遵守せず、職員を労働者として扱っていないのは共産党だけでした」(羽田野さん)砂川さんたちの訴えで福岡中央労働基準監督署は動いた。昨秋、同署は日本共産党福岡県委員会に対して、労基法で義務付けられた就業規則の提出を怠り、労働安全衛生法で義務付けられた労働時間の管理もずさんだったとして、是正勧告を出したのである。
でも、「わしが法律じゃ」型中小零細企業ワンマン社長に逆らうと、あまりにもよくあるパターンが続きます。
だが、2人は告発の代償として、党と民青から除籍処分を受けることになった。
「1月に行った県委員長を決める役員選挙での落選運動について『民青県委員会を破壊し、乗っ取ることを狙った分派的活動』とされました。福岡県委員会で私たちと同じように党の方針に異を唱えただけで党職員を解雇されてしまった仲間の解雇撤回を訴える活動に加わったことについても除籍理由の一つにされました」(砂川さん)
除籍を通知する文書にはこう書かれていた。
〈党機関は教育的援助の努力をつづけてきましたが、あなたはそれを理解しようとせず、党規約に反する行為をつづけました。以上のことから、あなたは、党規約を守って活動する意思がなく、みずから党員の資格を失ったものと判断します〉
ちなみに、学校教師の給特法の関係で、さいたま地裁や東京高裁は「教員の自律的な判断による自主的、自発的な業務への取組みが期待されるという職務の特殊性」だの「教員には、一般労働者と同様の定量的な時間管理を前提とした割増賃金制度はなじまない」だのと屁理屈を並べていますが、それを言うなら、職業革命家(!?)なんてのは遥かに「自律的な判断による自主的、自発的な業務への取組みが期待されるという職務の特殊性」があり、「一般労働者と同様の定量的な時間管理を前提とした割増賃金制度はなじまない」はずですよね。
これは揶揄ではなく本心からの激励ですが、マルクス主義に基づくプロレタリア革命の実現に一生を賭ける職業革命家は、金融商品の開発業務だのアナリストの業務などという低俗な仕事よりも百万倍「高度にプロフェッショナルな業務」であるから、労働基準法の労働時間規制などと言う低俗な規制が及ぶべきものではないのだ、という高邁な主張を高々と掲げていただきたいものだと思います。多分、経団連も大いに賛成してくれることでしょう。
(追記)
中小零細企業のワンマン社長が労基やユニオンへの反論で(固有名詞だけ入れ替えればすぐに)使える見事なテンプレを熱烈な支持者の方が提供してくださったようです。
https://posfie.com/@OOEDO4/p/22G9F8K
私怨が勝つ人はこうして堕ちていく。
権力に使われるだけの存在になる。
残念だけど、さようなら、
砂川さん。労働環境の改善は当然必要。
だけど様々な制約の中で
権力からの攻撃の中で
理念を通すべく
政党助成金も企業団体献金も受け取らず
9時5時労働で社会を変えられるなら
そんなものとっくに社会は変えられてる。
変えられないから必死で闘っている。
それがわからない人間に
なにができようか。そもそもね、
残業代だって出したいし
専従だってもっと雇いたいけれども
反共攻撃の中で赤旗の拡大も厳しく、
亡くなる高齢党員も多く、
職員を減らしてでも
未来社会のために闘ってる組織なんですよ。
そんな必死で闘う同志を横目に
こういう行為が出来る神経が
人間として信じられない。
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痛烈な皮肉はさすがです。ただ左翼政党にかぎらっず労働運動などでも本来革命家や専従オルグといった人たちは自立して活動すべきですよね。それが建前のはずがいつの間にか、レーニン主義やスターリン主義のもとで、ということかもしれませんが党指導部の指揮命令下で忠実に活動することが義務のようになってしまった。その結果労働基準法が適用される雇用労働者となってしまったのは皮肉な結果です。現在でも地域ユニオンの専従、オルグが残業などと言っていては運動は成り立たないだろうし、連合であっても事務専従の初期などと違いオルグ職は労働時間に関してはルーズであるように聞いております。それもあってか新卒が全く定着しないという悩みも伝わりますが、さすがにこれは何とも言えません。批判も難しいです。
投稿: 希流 | 2025年6月 2日 (月) 10時05分