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2025年4月12日 (土)

スポットワークは雇用型プラットフォーム労働

最近スポットワーク(スキマバイト)が話題ですが、どうも日本の文脈では職業紹介なのか労働者供給なのかといった労働市場規制問題の枠組みでばかり議論されがちですが、世界的な労働問題の文脈でいえば、むしろプラットフォーム労働のアルゴリズム問題が表出している領域ではないかと思われます。

プラットフォーム労働というと、これまたウーバーやウーバーイーツが想起され、ほとんどもっぱら労働者なのか自営業者なのかという労働者性問題の文脈でのみ議論される傾向にありますが、昨年成立したEUプラットフォーム労働指令にせよ、この6月にILO総会で議論される条約勧告案にせよ、非常に大きな部分がアルゴリズムによる意思決定の問題に充てられていて、その問題はプラットフォーム労働者が法的に雇用労働者であるかそれとも自営業者であるかに関わりなく、共通の問題として提起されています。

残念ながら日本では、この問題をつなげて論じようという感覚が極めて弱く、そもそもスポットワークがプラットフォーム労働であるという認識もほとんど持たれていないようです。

この点については先日「WEB労政時報」に「スポットワークと日雇派遣」を書いたときに、その末尾にちょびっと書き記しておきましたが、

スポットワークと日雇派遣@WEB労政時報

・・・・さて、スポットワークについては、これとは別の観点から考察する必要もあります。スマートフォンアプリによる単発の就労といえば、近年世界的に拡大し、日本でもコロナ禍で急拡大したウーバーイーツのようなプラットフォーム労働が思い浮かびます。実を言えば、スポットワークも広い意味でのプラットフォーム労働の一種です。プラットフォーム労働には非雇用型と雇用型があり、前者の労働者性が世界的に大きな問題となっていますが、スポットワークはそもそも雇用型なのでその問題はクリアしています。しかし、プラットフォームのアルゴリズムによる諸問題は共通です。
 
 特に、2024年10月14日付の朝日新聞記事「スポットワーク、アプリに違法規則 マッチした仕事、『無断欠勤』したら無期限利用停止 厚労省が指導」で報じられた問題は、同省が職業安定法5条の7(求職受理原則)の趣旨に反するという指導を行ったとのことですが、これは2024年10月23日に成立したEUのプラットフォーム労働指令でいう「自動的な意思決定システム」のうちの「プラットフォーム労働遂行者のアカウントを制限、停止又は解除(中略)する意思決定」に当たると思われます。労働過程におけるAIの利用に関する問題は世界的に注目され始めていますが、スポットワークをそういう観点から考えていく必要は今後ますます高まっていくと思われます。

 

 

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