上林陽治・立教大学上林ゼミナール編著『大学生が伝えたい 非正規公務員の真実』
上林陽治・立教大学上林ゼミナール編著『大学生が伝えたい 非正規公務員の真実』(明石書店)をお送りいただきました。ありがとうございます。
https://www.akashi.co.jp/book/b658633.html
教員・図書館職員・相談員など、日本の市区町村の非正規公務員割合が4割を超え、ワーキングプア化する中、この問題の第一人者である著者が、所属大学のゼミ生とともに現場取材を重ね、問題の解決に向けて考える。第一線のジャーナリストによる寄稿も収載。
非正規公務員問題を世に問い続けてきた上林陽治さんが、立教大学でゼミ生を募集する際に
「非正規公務員問題は日本の抱える問題の中でも最重要のものの一つと言われています。ゼミ生は『報道記者』担ったつもりで、この非正規公務員問題を調査し、当事者にインタビューし,報道するという過程を経験していただきます」
と募集し、これに応じて参加した20歳そこそこの大学二年生たちが、児童相談所、教育現場、公共図書館、ハローワークの現場に出向いて非正規公務員の人達から話を聞き、そして区役所の相談コーナーの非正規相談員で自殺した方の関係者を取材するなどしてまとめ上げた本です。ゼミの活動記録であるとともに、現代日本の断面図を若者たちが協力して描きだした記録になっています。
プロローグ:「書くという行為」について
はじめに
第1章 児童相談所――児童虐待に挑む現場第一線は非正規公務員[守田優也]
非正規公務員に支えられる公共サービス
児童相談所のリアル
ジョブ・ローテーションと非正規依存の児童相談所
虐待のおそれのある家庭を見守るという現場
今後の日本を支える福祉に求めるもの
指導教員から一言
第2章 教員の質が担保されない教育現場[櫻井晴菜]
臨時的任用教員の実態
初任者研修
襲来する教員不足時代
教育現場がブラックな背景
おわりに:『「教員不足」への対応等について』の考察
指導教員から一言
第3章 公共図書館の非正規公務員[佐藤千花]
脅かされる非正規図書館員の雇用
選ばれて非正規化した図書館
見過ごされるやりがい搾取
図書館は民主主義の砦
現場の生の声から学ぶ
指導教員から一言
第4章 女性を支える女性の非正規公務員──女性相談支援員、男女共同参画センターコーディネーター[上林陽治]
困難を抱える人をおいて、逃げない
女性相談支援員の置かれた状況
PSMと処遇のアンバランス
男女共同参画センターコーディネーターの場合
軽んじられる男女共同参画事業
専門性を蔑ろにする男女共同参画行政/寅子の叫びはいまも響く
コラム1 スクールカウンセラー大量雇止めから考える公共サービスの崩落[藤田和恵]
第5章 ハローワーク相談員 声をあげる非正規公務員当事者たち──雇止めされる恐怖に抗して[秋田谷和哉]
ハローワークの中の人の試練
雇止めハラスメント
現状変化を求め市民運動団体を創設
指導教員から一言
第6章 ある相談支援員の自死から考える[山田優月]
非正規公務員であった1人の女性の生涯
裁判では聞き入れられなかった両親の主張
非正規公務員のハラスメントの実態
専門職として働く非正規公務員が有期雇用であることの弊害
人権侵害
指導教員から一言
コラム2 非正規公務員問題とマスコミ[畑間香織]
特別寄稿 地方紙で非正規公務員問題を追いかける[竹次稔]
結びに代えて
エピローグ:「世間」ではなく「社会」にむけて発信する
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