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2025年3月13日 (木)

永野仁美・長谷川珠子・富永晃一・石﨑由希子『詳説 障害者雇用促進法・障害者総合支援法』

77eb6295d62848159a62ae07c8e7b766 永野仁美・長谷川珠子・富永晃一・石﨑由希子『詳説 障害者雇用促進法・障害者総合支援法 多様性社会の就労ルールをひもとく』(弘文堂)をお送りいただきました。ありがとうございます。

https://www.koubundou.co.jp/book/b10108037.html

平成25年の大改正以降、〈障害者差別禁止〉と〈合理的配慮提供義務〉を軸として事業者に対して実効的な対応を義務づけ、障害者雇用の一層の前進を図っている障害者雇用促進法。そして、障害のある人が基本的人権のある個人としての尊厳にふさわしい日常生活や社会生活を営むことができるよう、必要となる福祉サービスにかかわる給付・地域生活支援事業などの支援を定める障害者総合支援法――。障害のある人の社会参画にとって「はたらく」ということは大きな位置を占めるものです。そこで本書は、まさに多様性社会の基本法をなすと言っても過言ではないこの2法の条文に則した解説を両輪としつつ、障害者権利条約、障害者基本法、障害者差別解消法といった関連諸法をも含めて体系的に整理・解説。当分野第一線の研究者らによる決定版です。

この四人のうち永野、長谷川、富永の3人は、以前に『詳説 障害者雇用促進法』を同じ版元から出していますが、

永野仁美・長谷川珠子・富永晃一編著『詳説 障害者雇用促進法』

永野・長谷川・富永編『詳説 障害者雇用促進法 <増補補正版>』

今回は、同じくらいの厚さの本の中で障害者雇用促進法は全体の約4割ほどに縮められていて、残りは主として福祉就労系の法令の解説になっています。

確かに、障害者の「はたらく」は、雇用労働と福祉就労にまたがっていて、両方を睨みながらでないと全体像が見えてこないところがあるので、本書のようなアプローチは重要だと思います。

一方で、雇用労働のところが縮んだために、いささかそそくさと簡述されている感が強まり、せっかく広い観点から書いているんだから、もちっと突っ込んでよ、という感想も持ちました。たとえば、2019年改正のもとになった国、地方自治体等の障害者雇用水増し問題も、単にけしからんというだけではなく、障害者の範囲が変わったきたことなど、制度の複雑な絡まり合いが背景にあるわけです。でも、そういうことを言い出すとどんどん膨れ上がってきて,本が分厚くなって売れるものでなくなるのでしょうね。

障害者雇用法制のすぐ先の延長線上にありながらあまり労働法界隈で注目されない障害者虐待防止法や障害者優先調達推進法がちゃんと詳しく紹介されているのは,本書の大きなメリットの一つだと思います。

第1部 障害者に関する法制度のあゆみ
 第1章 第2次世界大戦~1950年代:傷痍軍人から身体障害者へ
 第2章 1960年代:身体障害者雇用促進法と精神薄弱者福祉法の制定
 第3章 1970年代:雇用義務制度の確立と福祉工場の設立
 第4章 1980年代:対象となる障害者の拡大
 第5章 1990年代:障害者基本法の制定
 第6章 2000年代:多様な働き方への対応・障害者自立支援法の制定
 第7章 2010年代:障害者差別禁止・合理的配慮規定の導入
 第8章 2020年代:雇用と福祉のさらなる連携強化
第2部 障害者雇用促進法
 第1章 総則
 第2章 職業リハビリテーション
 第3章 差別禁止と合理的配慮
 第4章 雇用義務制度
第3部 障害者総合支援法
 第1章 総則
 第2章 支給決定の仕組み
 第3章 給付内容:訓練等給付を中心に
 第4章 障害福祉サービスの適切な提供
第4部 その他の関連諸法
 第1章 障害者権利条約
 第2章 障害者基本法
 第3章 障害者差別解消法
 第4章 障害者虐待防止法
 第5章 障害者優先調達推進法
第5部 その他の関連諸法
 第1章 就労支援法制
 第2章 労働関係法制
 第3章 所得保障法制

 

 

 

 

 

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