大庭伸介『レッド』
ネット上では「希流」と名乗っている服部一郎さんから、大庭伸介『レッド 先人たちの闘いの成功と失敗に学び現在(いま)に生かそう』(社会評論社)をいただきました。
https://www.shahyo.com/?p=13741
私たちの大先輩たちは、とりわけ戦前については、現在では想像もつかないような困難な状況下で、さまざまな闘いを展開してきました。ときに勝利することはあっても、ほとんどの場合は敗北に終わっています。しかし、その闘いを我が身に引き寄せてとらえかえせば、実に多くの教訓を引き出すことができる。・・・労働運動の歴史を総括し、私たちの共有財産として継承・発展させることが、今ほど求められているときはないのではないでしょうか。
昔は多くの本が出されていたけれども、昨今はほとんど見ることのない近代日本の労働争議の歴史です。著者の大庭さんが一冊本を書いている戦前の日本楽器争議がやや詳しく書かれていますが、あとはどちらかというと概説書です。
服部さんが本に挟んでいたメモによると、「在野の労働運動、社会運動研究史家としては日本でもっともすぐれた人物の一人」と絶賛していますが、確かに大変読みやすくいい本だとは思いますが、ここまで手放しで左翼労働運動を称賛できるのかなという疑問は、今日読む多くの人は感じるでしょうね。共産党が日和ったから失敗したんだとか、三鉱連が日和ったから負けたんだとか、そういう歴史観でいいのかな、と。
第Ⅰ部 先人たちの歴史を現在に生かそう【戦前篇】
⑴ 資本の横暴に抗う女性たち─「泣きの涙」から闘う主体ヘ
⑵ ストライキ時代が到来─日本経済の心臓部に闘いの炎
⑶ 左翼労働運動が登場─全戦線を牽引して大活躍
⑷ 在日朝鮮人労働者が奮闘─劣悪な環境、差別と虐待に抗して
⑸ 全国で米よこせ運動─「満州事変」下で左翼が柔軟に対応第Ⅱ部 先人たちの歴史を現在に生かそう【戦後篇】
⑴ 怒濤の如き労働者の進撃─悔やまれる〈革命の逸機〉
⑵ 延べ六〇〇万人がゼネストに決起 破防法の団体適用を実質不可能に
⑶「あれっ!? キャディーが消えた」─川奈ホテルのリレー式ストライキ
⑷「革命の子」をめぐる総労働と総資本の対決─戦後労働運動の分水嶺・三池争議第Ⅲ部 米騒動から百年、日本史上最大の民衆蜂起に学ぶ
⑴ 井戸端会議から全国一〇〇万人の内乱へ
⑵ 軍隊の鎮圧に抗する虐げられた人々
⑶ 内閣を倒した民衆の歴史的な大勝利
⑷ 民衆の力で〝冬の時代〟に終止符を打つ
⑸ 怒りを行動に組織した地域社会の連帯
第Ⅳ部 岸本健一著『日本型社会民主主義』についての覚書
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