2025年のキーワード:家事使用人@『先見労務管理』2025年1月10日号
『先見労務管理』2025年1月10日号に「2025年のキーワード:家事使用人」を寄稿しました。
なお5つのキーワードは、わたくしの「家事使用人」のほか、原昌登さんの「カスタマーハラスメント」、永田幸江さんの「ジョブ型人事指針」、平田未緒さんの「年金制度改革」、岸健二さんの「スポットワーク」です。
なお、岸さんのスポットワーク論は、人材紹介業界からの興味深い視点が見られ、是非読まれることをお勧めします。
「家事使用人」などという古めかしい言葉が今年のキーワードであること自体に違和感を感じる人もいるかもしれない。しかし、現在厚生労働省の労働基準関係法制研究会で議論されているさまざまな論点のうち、この「家事使用人」への労働基準法適用問題については、既に一定の方向性が打ち出されている。なぜ今家事使用人なのか?そこには古い話と新しい話とが混じり合っている。さらに、筆者はこの問題について独自に研究した結果、他の誰も論じていない歴史に埋もれた真実に到達している。本稿では、まず家事使用人をめぐる労働法問題について一般的な立場から概括的な説明を行った上で、政府も労使も裁判所も気がついていなかった側面について論じていきたい。1 労働基準法の適用除外とその推移2 労働基準法制見直しの中の家事使用人3 ILOとEUの動向4 家政婦は家事使用人ではなかった最後にちゃぶ台をひっくり返すような話をするが、最近家事使用人の適用除外の見直しの議論に火をつけた家政婦についていう限り、歴史的には適用除外されるべき家事使用人には当たらず、労基法が適用されることが予定されていた存在なのである。その証拠に、1947年、労働基準法と同時に施行された省令(労働基準法施行規則)の冒頭には、労働基準法の適用事業として「派出婦会の派出の事業」が明記されていた。その直前の国会審議でも、上記女中に関する答弁とは対照的に、派出婦については「この法律を適用するようにいたしたい」と答弁しており、その結果がこの省令規定であった。労働基準法の出発点においては、家事使用人とは住み込みの女中のことであり、派出婦会から派遣されてくる家政婦は家事使用人ではなかったのである。・・・・
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