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2025年1月20日 (月)

八代充史・梅崎修・倉重公太朗・吉川克彦編著『問いから考える人材マネジメントQ&A』

9784502516610_430 八代充史・梅崎修・倉重公太朗・吉川克彦編著『問いから考える人材マネジメントQ&A』(中央経済社)をお送りいただきました。ありがとうございます。

https://www.biz-book.jp/isbn/978-4-502-51661-0

Part1では人材に関する基本から応用的論点、気になる最新トピックスまでを55のQ&Aで解説。Part2では経営学、経済学、労働法からみた人材マネジメントを解説。

この本は目次を見ればどういう本であるかが分かります。Q&Aは大きく「基本的問い」と「実践的問い」に分けられていますが、内容的にはむしろ、日本型雇用システムに関わる深い構造論的な問いと、近年の政策の動きに対応した問いとに分かれるように思います。

どんな「問い」か?

最初の十数件を見てください。

Q01 なぜ新規学卒採用と定年制が雇用の入口と出口なのか?
Q02 なぜ配置転換が広く行われているのか?
Q03 なぜ年次別昇進昇格管理がなくならないのか?
Q04 なぜ役職の階層とは別に職能資格制度を設けている企業が多いのか?
Q05 なぜ定期昇給とベースアップが行われるのか?
Q06 なぜ賃金制度を変更するのは難しいのか?
Q07 なぜ正規従業員だけでなく,非正規従業員が必要とされるのか?
Q08 なぜ非正規従業員だけに同一労働同一賃金が求められているのか?
Q09 なぜ人材マネジメントに関する業務が人事部門に集約されているのか?
Q10 なぜコア人材が必要とされるのか?
Q11 なぜ企業横断的な職業資格や職種別労働市場が根付かないのか?
Q12 なぜ結果だけではなくプロセスや姿勢が人事評価の対象になるのか?

まさに、日本型雇用システムは何でそうなっているのか?という問いを各断面ごとに問いかけ答えているのです。その後に並ぶのは、

Q14 なぜ労働時間を短縮しなければならないのか?
Q15 なぜ女性の年齢別労働力率はM字型だったのか?
Q16 なぜ男女間には賃金格差が存在するのか?
Q17 なぜダイバーシティ・マネジメントに取り組む企業が増えているのか?

といった政策対応型の問いです。

前者の問いは、究極的には、実践的問いの中のこれに帰着するのですが。

Q28 ジョブ型人事制度とメンバーシップ型人事制度は何が異なるのか?

ちなみに、一番面白かったのは、野間幹子さんの

Q30 職能資格制度は従業員の「能力」を向上させているのか?

でした。

「協調性と一体感から生み出される落とし穴」という一節は、日本のビジネスパースンが何も学んでいない人の割合が圧倒的に多い理由として次のように絵解きします。

・・・従業員は職能資格制度を通じ、職能要件の充足に励み、示されたキャリアパスに従ってキャリアを開発している実感があるため、学ぶ必要性や学ばないことによる影響を感じづらい環境にあることも一因だろう。目の前の業務遂行に力を注ぎ職責を果たすことは、学びに代替する充実感や達成感を得られるからとも言えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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