森戸英幸・長沼建一郎『ややわかりやすい社会保障(法?)』
森戸英幸・長沼建一郎『ややわかりやすい社会保障(法?)』(弘文堂)をお送りいただきました。
https://www.koubundou.co.jp/book/b10089843.html
まずもって、なんやこのややふざけてみたようなタイトルは?と思う人も多いでしょうが、いやいや中身を読み進めていくと、それこそ森戸節全開のややどころじゃないおふざけ名調子で、気がつくと最後まで読んでしまっているという、実にふざけた本です。
本書は実に奥ゆかしい社会保障法の入門書(解説書)である。「誰でもわかる」「すぐわかる」などとは謳わず、「やや」わかりやすいと謙虚に書名で表明している。
実際社会保障法は今や手に負えないほど複雑に入り組んでいて、それをひと言で「とてもわかりやすく」説明するには無理がある。そこを逆手にとって「やや」わかりやすいをコンセプトに著した、難解な社会保障法が「やや?」、いや結構楽しみながらわかってしまう新たな傑作!
そのおふざけ調の背後からちらちらとものごとの本質が覗き見えるあたりがさすがという感じではあります。
たとえば、下手にふざけるとかなりまずいことになりかねない生活保護のところで、いきなりこんな問答から始めます。
若い女性「どんなに探しても仕事が全然見つからなくて、もう食べていけません。生活保護受けたいんですけど・・・」
市役所担当者「水商売はどうなの?あなた若いしまあまあキレイだからいくらでも雇ってくれるところあるんじゃない?」
これを読んで激怒した読者もいるかもしれない。・・・・・
でもここからコロナ禍での助成金における風俗関連営業への支給対象からの除外の話につなげていくんですね。
あと、「物好きなアナタにー文献ガイド」で、拙著『ジョブ型雇用社会とは何か』も取り上げていただいているんですが、その目の付け所が、
・・・小見出しからして「上級国民はハローワークを使わない」「リカレント教育が暇つぶし教室になるわけ」等々、なかなか挑発的。
ということでした。
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