稲上毅『近世イギリスの誕生』(上・下)
稲上毅先生からとてつもないご著書をお送りいただきました。稲上毅『近世イギリスの誕生』(上・下)(東信堂)ですが、上巻が736ページ、下巻が640ページ、上巻が9,500円、下巻が7,500円、上下合わせて17,000円です。
しかも、タイトルから窺われるように、これは歴史書です。ノルマン・コンケストから名誉革命までのイギリス近世史を描き出した大冊です。
実は最初手にしたとき、社会学者としての稲上先生とこの本との関係がよく分からなくて、しばし呆然としました、今も呆然としています。
稲上先生といえば、『英国労働事情』や『英国経営事情』はとても面白く、何回も読み返したものですが、これは20世紀後半のイギリスが舞台でした。今回の本は近世、というか日本史の感覚でいえば中世史に当たるような時代です。それが約1400ページにわたって書き綴られている。これは読むのにも相当に根気がいりそうなので、まだまったく読んでいない本日付で、私のような者にまで本書をお送りいただいたことへのお礼を書き付けておきます。
中世から近代への扉を開いた先駆者イギリス――その道程を辿った比類なき大著!
初期近代の精髄を問う、産業社会学の重鎮による多くの古典を踏まえたノルマンの征服から7世紀にわたるイングランド中近世史の書き下ろし。
封建制、農奴制、ローマ教皇主義からなる中世レジームのうち、黒死病を契機とする農奴制の崩壊、集権的封建制と制限君主制の確執を描写し、近世主権国家形成の足跡を追う。スチュアート朝の国王チャールズ1世の処刑、それに続くピューリタン革命の政治史的「失敗」の原因を探り、王政復古後の科学革命と「資本主義の精神」の生成プロセスを辿る。ウェーバーやマートンの古典的命題の経験的妥当性を問い、近代の核心が思想信条・言論出版・結社集会の自由にあることを浮き彫りにする。
はじめに─本書のテーマと中世レジームについて
第1章 複合国家と集権的封建制─制限君主制の生成
第2章 黒死病と農奴制の崩壊
第3章 中世プロテスタンティズムの盛衰
第4章 複合国家の解体と王権強化
第5章 テューダー朝前期の宗教改革
第6章 宗教改革の振り子
第7章 大内戦から共和制・護国卿時代、そして王政復古へ─宗教戦争・軍事独裁・宗教的寛容
第8章 イングランド啓蒙・科学革命・経済発展
結論と示唆
附 論─ウェーバー命題について
引用文献一覧/あとがき/王朝系統図/人名索引・事項索引
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