家政婦過労死事件で東京高裁が逆転判決
拙著『家政婦の歴史』を書くに至る史料渉猟の出発点となった訴訟(国・渋谷労基署長(山本サービス)事件)の控訴審の判決が、本日東京高裁から出されたようです。
家政婦兼介護ヘルパーとして住み込みで働いた後に急死した女性(当時68)の労災を認めなかったのは不当として、遺族が国に処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が19日、東京高裁であった。水野有子裁判長は遺族側の請求を退けた一審・東京地裁判決を取り消し、労災にあたるとの判断を示した。
一審判決などによると、女性は家政婦あっせんや訪問介護を手がける会社に登録。2015年5月、寝たきりの要介護者の利用者宅で7日間住み込みで働いた後に倒れ、翌日に死亡した。
女性の夫は労働基準監督署に労災申請し、遺族補償の給付を求めた。労基署は家庭に直接雇われた家政婦は「家事使用人」として労働基準法が適用されないとする同法の規定を根拠に、労災と認めない処分をした。
この日の判決は、女性が会社の指示の下で家事と介護の業務を一体的に行っていたとして、会社との間で家事業務も含めた雇用契約を結んだと認めた。家事使用人には該当しないと判断し、不支給処分は「(規定の)適用を誤った違法なものと言わざるを得ない」と断じた。
判決文を見ないと、この記事だけではどういうロジックなのか必ずしも明確ではありませんが、原告側が主張していた家事と介護の一体説に立っているように見えます。家政婦はそもそも労基法上の家事使用人ではなかった、という私だけが主張している歴史的経緯に立った節を採用したわけではなさそうです。
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家政婦について厚労省は労働基準法を適用する方向で改正を検討しているようですね。
https://digital.asahi.com/articles/ASS6W35W6S6WULFA01SM.html
投稿: balthazar | 2024年9月20日 (金) 07時05分