国家公務員は(形式上は)職務給なんだよ、なんだってぇ!?
焦げすーもさんがこういう素朴な疑問を提示し、らふろい燗さんとこういう会話をしているんですが、
国家公務員、ボーナス増へ 月給上げ幅、27年ぶり1%超も(共同通信) →hamachan先生の新著を読んだから気になったのだが、 これって定期昇給を含むの?含まない気がするのだが。教えて有識者。
人事院勧告は、定期昇給分を含まないよね。俸給表の書き換えなので、「ベースアップ」とも考え方が違うのでは?
ベアそのものかと思ってたんですけど、これ以外の考え方があるのですか? >「ベースアップ(ベア)」「ベースダウン」 >賃金表(略)の改定により賃金水準を引き上げる、又は引き下げることをいう。
なので、前掲ツイート “俸給表の書き換えなので、「ベースアップ」とも考え方が違う” というのは誤りですね💦
なるほど、「賃金表の書き換え⊂ベースアップ」であってイコールではない、という話ですかね。
ですです。 半端な理解のままなので、hamachan先生の新著を読み直さないとな・・
焦げ先生のツイートをみてhamachan先生の新著きになってました。 今度買います(思い出した
そもそも人事院自身が「ベースアップ」と呼んでいるので、それをベースアップではないとは言えませんが、しかし仕組みから言えばこれは平均賃金方式ではなく個別賃金方式ですね。しかも、俸給表のどこを見ても、年齢もなければ勤続年数も書かれていない。
そう、実は国家公務員の賃金は、現在でも70年以上前に作られたときと同様、形式上は職務給なんです。
『賃金とは何か』の71ページから75ページに書かれているように、国家公務員法の基本構造はいまでもジョブ型であり、その賃金制度は(極めて形式上のはなしですが)職務給なんですよ。
ただし、肝心の「職務」分類は、現在の俸給表で言えば、行政職、税務職、公安職、海事職、教育職、研究職、医療職、福祉職、専門スタッフ職という程度であって、多くの等級と、超絶的に多数の号俸(行政職だと125号俸まである)によって事細かに区分けされ、そしてこの号俸をほぼ勤続年数に応じて定期的に上がっていくことによって、まさに定期昇給と同じ効果をもたらしているわけです。
この俸給表を毎年書き換えるのを人事院自ら「ベースアップ」と呼んでいるのですが、少なくともこの言葉の語源である人件費総額の増分がまず先にありきという構造にはなっていませんので、肝心の職務がほとんど分類されていないという点を別にすれば、空疎な職務給というか、労働者個人個人の(何等級の何号俸という)「銘柄」を一律に書き換えて引き上げるという意味では個別賃金引き上げ方式と呼ぶべきでしょう。
いずれにしても、定期昇給に相当する部分は、人事院勧告による引き上げとは別に、各役所ごとに号俸の引上げの形で行われるわけですから、これは定期昇給を含まないベースアップにのみ対応する部分であることは間違いありません。
なので、この表の民間賃上げ率が「定昇込み」になっているのは紛らわしいというか、そもそも間違いであって、これを見ると民間労働者は毎年2%ずつ賃上げしているのに国家公務員は限りなくゼロに近いかのように見えますが、いや民間の定昇抜きの純ベア部分と比べればほぼ同じようなものです。
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