θさんの拙著評
amazonに、拙著『賃金とは何か』への2つめの書評がつきました。θ(シータ)さんの「賃金についての歴史を概説した本。長い引用が多めで、資料集の面も」という、こちらも大変長めの書評です。
賃金についての歴史を概説した本。長い引用が多めで、資料集の面も
本書は、日本の賃金制度の歴史をまとめた本である。
タイトルは「賃金とは何か」と一般的だが、基本的に日本の賃金制度の歴史(企業、労組、国がどういう施策や要求を出していたか。何が行われたか)しか出ておらず、諸外国との比較考察は最初少しだけだし、「どういう賃金体系が望ましいか」のような議論も弱めである点には注意が必要である。
まさにその通りで、意図的に「どういう賃金体系が望ましいか」のような議論を展開することは禁欲しています。小説ってのは気持ちを書くんじゃなくって行為を書くんだよという某作家さんの言葉じゃないけれども、日本の賃金の歴史を淡々と記述する中から読者の脳裏に自ずと浮かび上がってくる何かがあれば、それがメッセージになるのであって、著者が変にしゃしゃり出てこれがいい、あれは駄目みたいなことを言うのは、そういう指示されるのが好きな人は嬉しいかもしれないけれども、じぶんのあたまで考えたい人にとってはかえって邪魔でしょうから。
日本の賃金の歴史の簡便なまとめといったところであろう。
引用が長いわりにそれに対するまとめが短い(ただ引用しただけになっている)点、全体として整理より列挙の面がつよい点は気になるところであり、ここは改善してもらえるとよかった。
その意味では、本当に賃金については何も知らない人がはじめに読む本としてはやや不親切かも知れませんね。
ただね、想定する読者層の人々は、基本的には何かしら労働をしてその対価として賃金をもらっている人ないしその経験のある人なので、賃金論を読んだことはなくっても、自らの経験としては賃金ってものを知っているはずの人なんです。
そういう人が、いままであんまり深く考えたことのなかった自分のもらっている賃金について、「へぇ、そうだったのか」と思ってもらえるようなことが、一つでも二つでも盛り込まれていれば、本書の目的はそれなりに達成されたことになるのではないかと思っています。
X(旧twitter)では、いくつかそういう感想がアップされているようです。
中田:‖ さん曰く:
個人的には、いままでの本でもそうですが「目から鱗」という評語ほど嬉しいものはありません。
chikanabeさん曰く:
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