フォト
2024年7月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ

« 経団連の『労使協創協議制』構想は従業員代表制への途を開くか?@WEB労政時報 | トップページ | 石川茉莉「日本における職業能力開発政策の変遷」@『雇用・就業関係の変化と労働法システムの再構築』 »

2024年7月10日 (水)

労働政策研究報告書No.231『地方の若者のキャリアの変化と職業意識』

231 労働政策研究報告書No.231『地方の若者のキャリアの変化と職業意識―北海道・長野調査および東京都調査との比較から―』が公表されました。

https://www.jil.go.jp/institute/reports/2024/0231.html

これはタイトルからもわかるように、15年前に行われた地方版若者ワークスタイル調査の最新版です。

2001年より東京都において「若者のワークスタイル調査」を5年ごとに実施するとともに、2008年に地方調査も実施してきたが、本報告書では2022年に約15年ぶりに実施した地方調査も踏まえて分析を行った。なお調査地域の選択に当たっては、求人状況と産業構造により3つの類型にわけ、【類型1】求人状況がよく労働力が流入してくる地域として東京都、【類型2】求人状況がよく、製造業が中心の地域として長野、【類型3】求人状況が悪くサービス業中心の地域として北海道、に位置づけた。さらにその地域の中でも特徴を持つ地域として、長野市・諏訪地域、札幌市・釧路市を選択して調査を実施した。

労働政策研究報告書No.108 地方の若者の就業行動と移行過程

この15年前の調査については、本ブログでこのように紹介しておりました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-79c4.html

今回調査の発見は、

離学直後の正社員比率の変化を見ると、2008年調査においてはいずれの調査地域とも東京都のような学歴による格差は小さく、女性においてはむしろ大学・大学院卒の方がより正社員比率は低かった。しかし今回の2022年調査においては、離学直後の高卒者の正社員比率は東京都よりも高く、東京都ほど学歴の格差は大きいわけではないものの、男性ではより学歴による格差が見えるようになり、女性では明確になった。この背景には、医療、保健、福祉、教育関連分野を専攻した高等教育卒業者が増加し、正社員として地域に定着していることがあると推測される。

もう少し砕いて説明すると、2008年調査では、学校から職業への円滑な移行という面において、東京は学歴が高く親が豊かであれば正社員になりやすいというふうに学歴格差が大きいけれども、長野は高卒も職業への移行が順調であり、北海道は大卒も職業への移行が不調というふうに、地域による若者の就業状況の違いが鮮烈に示されていたのですが、今回の調査結果からは、そうした地域による違いが、少なくとも3都道県の違いでは縮小し、長野や北海道がなんというか「東京化」してきていることが示されています。その背景にあるのは産業構造や教育システムの変化により、女性を中心に医療、保健、福祉、教育関連分野を専攻した高等教育卒業者が増加し、正社員として地域に定着するようになったということです。とはいえ、今回調査では長野県も長野市と諏訪地域、北海道も札幌と釧路というよりミクロな地域レベルの違いも検出しており、長野市や札幌が東京化する一方で、そうした地域との差が開いていることもわかります。

その他、最近の東京の若者はできれば仕事はしたくないという「仕事離れ」が高まり、「堅実性」が弱まっていたのですが、今回調査では、東京都の若者よりも地方の若者の方が「仕事離れ」志向が高く(ただし男性は有意ではない)、「堅実性」も弱く、「自分に向いている仕事がわからない」は地方で高かったという結果も出ています。

読んでいくと色々と発見があると思いますので、ぜひリンク先で目を通していただければと思います。

執筆担当者
堀 有喜衣労働政策研究・研修機構 統括研究員

小黒 恵労働政策研究・研修機構 研究員

小杉 礼子労働政策研究・研修機構 元統括研究員

柳煌碩日本大学 非常勤講師

上山浩次郎北海道大学大学院教育学研究院 講師

中島ゆり長崎大学 准教授 

 

 

 

 

 

 

 

« 経団連の『労使協創協議制』構想は従業員代表制への途を開くか?@WEB労政時報 | トップページ | 石川茉莉「日本における職業能力開発政策の変遷」@『雇用・就業関係の変化と労働法システムの再構築』 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 経団連の『労使協創協議制』構想は従業員代表制への途を開くか?@WEB労政時報 | トップページ | 石川茉莉「日本における職業能力開発政策の変遷」@『雇用・就業関係の変化と労働法システムの再構築』 »