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2024年7月11日 (木)

石川茉莉「日本における職業能力開発政策の変遷」@『雇用・就業関係の変化と労働法システムの再構築』

Research 労働問題リサーチセンターの報告書『雇用・就業関係の変化と労働法システムの再構築』をお送りいただきました。中身は石崎由希子さん、長谷川珠子さん、神吉知郁子さん、笠木映里さんはじめ東大系の研究者の方々がそれぞれに論文を書かれていますが、いずれもどっしりと重い論文でもあり、お送りいただいたのは連合総研の石川茉莉さんなので、ここでは彼女の「日本における職業能力開発政策の変遷」についてだけコメントしておきます。

これは前半で日本の職業能力開発政策の変遷を概観し、後半では今日の諸課題を検討しています。前半の歴史編はおおむね一般的な認識に沿った歴史叙述だと思うのですが、一点指摘しておきたいことがあります。

それは、1958年職業訓練法、1966年雇用対策法、1969年新職業訓練法までを企業横断的職種別外部労働市場を目指す(いわゆる「ジョブ型」の)法政策であるとした後、項目としてはいきなり1985年の職業能力開発促進法に飛んでいるんですが、実は1978年の職業訓練法改正こそが公共から企業へ、外部から内部へというイデオロギー転換の節目であり、エポックメーキングな改正であったことの指摘がやや希薄なのではないかという気がしました。1985年改正は確かに法律の名前が変わっていますが、それは前年に労働省の内部部局の名前が行革の関連で職業訓練局から職業能力開発局に変わっていたことに平仄を合わせただけであり、政策思想自体は既に転換していた内部指向がより強められただけであって、あまり大きな節目ではないように思われます。

この1978年改正時の役人による解説書(岩崎隆造『これからの職業訓練の課題 職業訓練法の改正の考え方』労働基準調査会(1979年))では、「従来の職業訓練制度は公共職業訓練を中心に考えられてき」たが、「この公共職業訓練優先の考えは、逆に職業訓練制度の社会的評価を矮小化することとな」った。「一方で高度経済成長期において事業主等の行う職業訓練及び民間教育訓練機関の行う教育訓練の発展は著しいものがあり」、「公共職業訓練を主体とする職業訓練施策は、全体の技能労働者の要請のうちわずかの部分においてしか役割を果たすことができない」状況だという認識を述べ、そこでこの改正では、「職業訓練制度は公共職業訓練を基本とするという意識を払拭し、公共職業訓練と事業主等の行う職業訓練とを対等に位置づけ」た。したがって「いやしくも公共職業訓練が職業訓練の本流であるとかの認識があってはなら」ないと、まさにほんの9年前の1969年改正時の公共訓練中心主義イデオロギーをほとんど全面否定するような激烈な企業内訓練優先主義を唱えているのです。

これが1990年代に徐々に自発的職業能力開発にシフトしていくわけですが、企業主義への転換の節目は1970年代後半なのであって、1980年代はもう完全に内部市場以外は目に入らないくらいにどっぷりつかっていたのです。

 

 

 

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