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2024年7月25日 (木)

テスラ労使紛争の行方:ちきゅうにやさしいスト破り外人部隊

Teslastrike ソーシャル・ヨーロッパに「テスラ紛争:新たなフロンティア」(The Tesla dispute: a new frontier?)という記事が載っています。

https://www.socialeurope.eu/the-tesla-dispute-a-new-frontier

In the face of a prolonged strike for union recognition, Tesla has turned posted workers into strike-breakers.

組合承認をめぐる長引くストライキにもかかわらず、テスラは海外からの派遣労働者をスト破りに使い出した。

81tj1p4qhol_sy466__20240726093201   テスラの労使紛争については、今月刊行したばかりの『賃金とは何か』のあとがきで、日本の労働組合ヘの叱咤激励のネタとしてちらりと記述したところですが、

・・・その気概を示したのが、イーロン・マスク率いるテスラ社のスウェーデン工場で二〇二三年一一月、金属労組IFメタルが労働協約締結を拒否する同社に対して行ったストライキに、港湾労働者や郵便労働者などが同情スト(テスラ車だけ荷下ろし拒否、テスラ車のナンバープレートだけ配達拒否など)で協力したことです。この争議はまだ続いていますが、公共性とは国家権力への依存ではなく、産業横断的な連帯にあるという北欧労働者の心意気が示された事件です。

昨年11月からの産業横断的紛争に対して、イーロン・マスクはますます居丈高になり、海外からの労働力を使ってでも断固組合は認めないぞという姿勢を貫いているようですね。

Since February, using European Union rules on posted workers, Tesla has brought in workers from Belgium, Denmark, Finland, France, Ireland, Italy, Luxembourg, the Netherlands, Norway, Portugal and Switzerland. This is not only a new low for Sweden but also the EU.

テスラは2月から、海外派遣労働者に関するEU規則を使って、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポルトガル及びスイスから労働者を導入してきた。これはスウェーデンにとってのみならずEUにとっても新安値だ。

There is an onus on the commission and its re-elected president, Ursula von der Leyen, to ensure posted workers are not used to break strikes. Otherwise, capital becomes the only real bearer of rights under EU law. The new commission should instruct the European Labour Authority to investigate. And ‘green’ investment should be withheld from those companies unwilling to engage with independent collective representatives of workers and to sign agreements.

欧州委員会とその委員長に再選されたウルスラ・フォン・デア・ライエンには、海外派遣労働者がスト破りに使われないように確保する責任がある。さもなければ、資本はEU法の下で唯一真の権利者となってしまう。新欧州委員会は欧州労働監督局に対し本件を調査するよう指示すべきだ。そして、独立した集団的労働者代表と労働協約を締結しようとしないような会社からは、「グリーン」な投資は差し控えるべきだ。

そうなんですね。テスラの電気自動車、地球環境に優しいという触れ込みで、とりわけ欧州委員会の産業政策では持ち上げられる傾向にありますが、労働組合を拒否するような会社を、「ちきゅうにやさしい」とか言って褒めあげてるんじゃねえぞ、というわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

  イーロン・マスク、地元アメリカでも、反労組的態度で一貫していますね。

 UAW(全米自動車労組)、トランプ氏・マスク氏に苦情 「対談中に従業員を脅迫」
(ロイター  2024/08/14)
 ( https://jp.reuters.com/world/us/4XXR7VW5RFMYFNV3P3JFVRLNLU-2024-08-13/ )

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