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2024年6月27日 (木)

労働者性の判断基準の見直し?

1月から開催されている労働基準関係法制研究会に、昨日事務局から「労働基準法における「労働者」について」という資料が出されており、その大部分は今までの議論のまとめですが、最後のページに「これまでの議論を踏まえた考え方(案)」というのが載っています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001268134.pdf

その中で「労働基準法の「労働者」の判断基準(昭和60年労働基準法研究会報告)等について」が、やや踏み込んでみようかなどうしようかな、という感じの文章になっています。

労働基準法の「労働者」の判断基準(昭和60年労働基準法研究会報告)等について

昭和60年の研究会による判断基準は、職種や雇用形態にかかわらず、労働者であると判断するために必要な要件を、抽象的に一般化して示されたものである。
また、これまでも個別の職種等に関連して、判断基準への当てはめが難しい事情が生じた場合には、当てはめについての具体的考え方を通達の形で示してきている。(例:建設業手間請け労働者に係る判断基準)
他方、欧米でのプラットフォームワーカーの労働者性の検討においては、「経済的従属性」を考慮しているが、昭和60年の判断基準には含まれていない。「経済的従属性」をどのように扱うかは、労働基準法が刑罰法規であることから、罪刑法定主義の観点で適当かどうかも踏まえ、丁寧に検討する必要がある。
また、プラットフォームワーカーについては、プラットフォームを介するという契約関係の特徴があり、役務の提供の実態を踏まえた検討が求められる。
これらのことを踏まえ、
①昭和60年判断基準に盛りこむことが適当な要素があるか、
②プラットフォームワーカーなど個別の職種に関するより具体化した判断基準を作成することが可能かどうかについて、
裁判例などを通じて、国際動向も踏まえながら、検討する必要があるのではないか。そのうえで、契約関係や役務の提供の実態を踏まえ、労働基準法の「労働者」に当たらないプラットフォームワーカーであっても、労働基準関係法令などにおける特別の取扱いの必要性についてどう考えるか。

ちょっと気になったのは、「欧米でのプラットフォームワーカーの労働者性の検討においては、「経済的従属性」を考慮している」と言っているんですが、必ずしもそうとも言えないではないかと思います。むしろ、労働者性の判断基準については指揮命令関係という基本枠組みは維持しつつ、プラットフォーム労働の場合であれば生身の人間ではない機械的なアルゴリズムによるものも指揮命令に含めようという方向性のように思います。

競争法の方で団体交渉を認めるかという文脈(日本で言う労組法上の労働者性類似の問題)では確かに経済的従属性が重視されていると言えるでしょうが、労働保護法の問題で経済的従属性が正面から認められる方向性とは思えないので、ちょっと語弊があるように感じます。

ついでにもう一つの問題にも一言。

3 家事使用人について
家事使用人については、労働基準法制定当初からの状況変化や、家事使用人の働き方の変化を踏まえ、労働基準法を適用する方
向で具体的施策を検討すべきではないか。
検討に当たっては、私家庭に労働基準法上の使用者義務や災害補償責任をどこまで負わせることができるか、また、労働基準
法の労働者の定義を引用している関係法令の適用をどうするか、検討が必要ではないか。

家事使用人は労働基準法上れっきとした労働者であって、「労働者性」を議論すること自体が実は間違いです。労働者であるにもかかわらず労働基準法を適用しないと規定されているだけです。

さらにいえば、本来の意味での家事使用人(「住み込みの雇い人」として雇用主の世帯の一員である者)は、今の日本にはおそらくごくわずかしかいないはずです。

 

 

 

 

 

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コメント

>3 家事使用人について
>家事使用人については、労働基準法制定当初からの状況変化や、家事使用人の働き方の変化を踏まえ、労働基準法を適用する方向で具体的施策を検討すべきではないか。

労働基準法を適用する方向で動き出したようです。

「家政婦」に労働基準法を適用へ 労働者として保護 厚労省が調整
     https://www.asahi.com/articles/ASS6W35W6S6WULFA01SM.html
家庭に直接雇われて働く家政婦(夫)の「家事使用人」について、厚生労働省は、労働基準法を
適用して「労働者」として保護するため、同法を改正する調整に入った。
労働条件が不明確で労災の対象外といった問題点の是正を図る。

資本を持たないから、指揮命令下に入ることで賃金を得て生活すると
いうことがよくあることだとしても、強制や指揮命令下にあることに
関する保護と経済的な脆弱性に関する保護をごっちゃにして、色々、
ヤベーものが結構、まかり通った、というのが先進国を中心に将来の
黒歴史になりそうな気はしています。公的住宅政策が貧弱であれば、
借家人の多くは経済的に脆弱ですが、かと言って、通常、そこに指揮
命令は認められないでしょう、と同じような理屈を無視してしまう。
一方、これと方向は逆ですが、従業員が貧乏なのは指揮命令している
会社の責任であり、会社が何とか、すべきだ、みたいなのは日本では
馴染み深い話ですが、似たようなことが色々な場面で言われるように
なっている気がします

> 社員の子どもに大学に行かせる給与を出せない会社は、応募資格に大卒って書くな
> 子供に医学部に行かせる給与を出せない病院は、応募資格に医学部卒って書くな
> 社員という社会的身分を付与するか否かの決定要因は親の給与
> スキルを身につけるために大学に行くんだから、そのコストは親だけに負わすのではなく、社会的に負担すべき
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/09/post-407f19.html

女性だろうが、男性だろうが、家事もしなければならない者に長時間
労働を命じることを禁止するのはいいとして、家事もしなければなら
ない者が余裕を持った生活ができるように会社は給与面で優遇をしろ
みたいなことを言う人たちが増えているような気がします

逆方向の例についても思うところがあるのですが、ある種の人たちの
反発を買いそうですので、ここでは自粛いたします

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