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2024年6月19日 (水)

労働組合の「未来」を創る@連合総研

20240515 連合総研のホームページに『労働組合の「未来」を創る』という膨大な報告書がアップされたようです。

https://www.rengo-soken.or.jp/info/union/

錚々たる面々が広範な領域にわたってさまざまな議論を繰り広げているようで、まだパラパラ眺めただけで、ほとんど読めていませんが、そのうち新谷信幸さんが書いている「「労働者代表制」と労働組合法の狭間を埋める―職場の民主主義を守り続けるために―」という章は、集団的労使関係法制の根幹部分に関わる問題を取り扱っており、私が長年論じてきた問題とも重なり合っているので、その結論部分を引用して若干コメントしておきたいと思います。

https://www.rengo-soken.or.jp/plan/06.pdf

この論文で新谷さんが踏み込んでいるのは、労働組合が従業員代表制に消極的にならざるを得ないこの問題です。

労働組合組織率の現状や過半数代表者の課題を鑑みれば、労働者代表制は、過半数労働組合のない職場で、過半数代表者に代わって集団的な労使関係を構築し、すべての労働者の意見を民主的に集約し、労働者の多様な利害調整を担いうる可能性を秘めていると思う。一方で、労働者代表に就業時間中の活動時間・賃金支給が容認されると、それを禁止している労働組合法の現行枠組みとの対比において、根強い懸念が労働界にはあり、労働者代表制の法制化に向けて、労働界を挙げた機運醸成の妨げとなっていることも事実である。

そこで、新谷さんは

職場の民主主義を守り続けるために、労働者代表制の議論を妨げている就業時間中の組合活動に対する賃金控除について、世界の動向を踏まえて、労働者代表制と労働組合法の狭間を埋める方策を考える。

そう、労働組合も従業員代表として活動する以上、就業時間中の活動に賃金を払ってもいいじゃないか、経費援助の不当労働行為だと責めなくてもいいじゃないか、という問題提起です。

・・・労働者代表制の便宜供与ではなぜ容認され、労働組合はなぜ容認されないのか、「就業時間中の組合活動時間=全て賃金控除」の「常識」を疑い、見直す必要がある。

・・・このように就業時間中の組合活動に対する厳格な賃金控除は、必ずしも世界標準のルールでもないことに労働組合関係者は刮目する必要があるのではなかろうか。 

そして新谷さんはこう論じます。

 労働組合は使用者から独立した組織として、使用者からの直接的な経済的援助を受けることなく自主性を確保し続けることは不変の原則である。
 しかし、過半数労働組合が労働者代表としての機能を発揮するためには、特に企業内組合を基盤とする日本の労働組合にとって、使用者の提案等に対して組合役員が組合員の意見を聴取し、民意をまとめていくために就業時間中に活動を行うことは、労働者代表制の便宜供与の活動時間と同様に必要不可欠である。労働組合に対する直接的・経済的な経費援助(積極的経費援助)は今後もあり得ないが、労働者代表機能を果たす過半数労働組合に対し、賃金控除をしない一定の組合活動時間を認めること(消極的経費援助)を検討すべきであると考える。しかし、労働組合の活動の中で、労働者代表としての活動とそれ以外を峻別することは困難である。労働者代表制の立法化のタイミングを合わせて、日本の現行の不当労働行為法制については、フランスの事例や韓国の立法内容のような、一定時間の消極的経費援助の創設に向けて、労働組合法の見直しの検討を始めるべきと考える。それが労働組合を補完し、職場の民主主義を守り続ける可能性のある労働者代表制の立法化に向けて、労働界の喉に刺さった骨を抜くことにつながる。
労働組合はこれからも未組織職場の集団的労使関係の再構築に向け、組織拡大を通じてすべての働く労働者に労働組合のカバーを広げるための努力を行っていかなければならない。それが職場の連帯の基盤であり、未組織労働者に対する組織労働者の義務である。過半数労働組合も過半数であることに安住せず、非正規雇用で働く労働者等を含む全ての労働者の代表として、適切に聴取・把握し、労働者代表としての活動をすることが強く求められる。
 今、すべての労働運動関係者の知恵と度量が問われているのである。

この問題、今から15年前に出した『新しい労働社会』での問題意識でありましたし、3年前の『ジョブ型雇用社会とは何か』でも、企業別組合の内部的機能分離論として提起しています。残念ながら「ジョブ型」は(私の意図を遙かに超えて)流行する一方、こちらの集団的労使関係の議論は全然誰からも論じてもらえていないのですが、この新谷さんの論文は、ある意味でこれに対するレスポンスのように思われます。

従業員代表制の問題は、ここにも書かれているように、2001年の連合法案、2013年のJILPT報告書、そして今年1月の経団連提言と、牛歩の歩みとは言いながら、少しづつ議論が進んできています。しかし、現に労働組合法の適用下にある企業別組合が、事実上西欧諸国に於ける従業員代表機能を果たしているという状況下では、従業員代表制の議論を進めるためには不磨の大典扱いされている労働組合法自体に対しても、見直しの目を向けていかなければならないでしょう。

是非、労働界で議論されて欲しいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

東洋経済オンラインの記事です。

https://toyokeizai.net/articles/-/764552

これ、日本がジョブ型雇用社会でなく、メンバーシップ雇用社会であるために起こった悲劇ですね。
ジョブ型雇用社会で必要な専門性を磨くための工業科の授業がないがしろにされてしまう。
ジョブ型雇用社会への道のり険し。

僕の場合は周囲に少数派組合が少なからず存在しているため、過半数組合を大前提とする労働者代表制度はなかなか納得しがたいものがあります。労働組合とは関係なく労働者代表委員を職場で選挙により選出すれば、とは思うのですが。

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