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2024年4月18日 (木)

川口美貴『新版 労働者概念の再構成』

Isbn97848735477701 川口美貴『新版 労働者概念の再構成』(関西大学出版部)をお送りいただきました。ありがとうございます。

https://www.kansai-u.ac.jp/Syppan/2024/03/shinnpann-roudousyagainennnosaikousei.html

労働法における「労働者」概念の解釈を再構成する
労働法分野及び憲法28条・労基法・労契法・労組法の対象とする「勤労者・労働者」について、使用従属性等を判断基準とする従来の学説・判例等を批判的に検討し、労働力商品の特殊性と公正競争の視点から、自ら他人に有償で労務を供給する自然人であることと交渉の非対等性を基本的判断基準として、同概念を再構成する。

前著が2012年ですから、こちらは12年ぶりの改訂ということになります。

川口理論の独自性は誰もが知るところですが、本書の圧巻は「労務供給者の類型別検討」のところで、外勤、スポーツ・芸術・映像、対人サービス、運送、建設・土木・林業・造園・園芸、研究・開発・専門技術、家内労働・在宅勤務、プラットフォームワーカー、店舗・事務所・教室経営、役員等、企業組合の組合員、労働者協同組合の組合員、シルバー人材センターを介した就労者、研修・実習生、親族と、実にあらゆる類型ごとに細かく検討しています。

前著に比べて、目次のフォントがすごく小さくなっていて、いかにたくさんの項目が詰め込まれているかがよくわかります。

ただ、これは無い物ねだりなのですが、個人的には職業安定法(労働者派遣法)上の労働者概念にも検討の手を伸ばしていただきたいなと思っています。ほとんど誰も検討していない分野ではありますが、色々と興味深い点もあるので。



第1部 総論
 第1章 前提的考察

 第2章 労働法の対象とする労働者
  第1節 検討の必要性と論点
  第2節 学説
  第3節 批判的検討
  第4節 労働法の対象とする労働者の再構成

第2部 各論
 第3章 客観的基準と要件による契約締結交渉前の決定

 第4章 憲法28条の勤労者
  第1節 学説・判例
  第2節 勤労者概念の再構成

 第5章 労働基準法上の労働者
  第1節 前提的検討
  第2節 法制の沿革
  第3節 行政解釈・学説・判例
  第4節 労基法上の労働者概念の再構成

 第6章 労働契約法上の労働者
  第1節 前提的検討
  第2節 法制の沿革
  第3節 行政解釈・学説・裁判例
  第4節 労契法上の労働者概念の再構成

 第7章 労働組合法上の労働者
  第1節 前提的検討
  第2節 法制の沿革
  第3節 行政解釈・学説・命令・判例・裁判例
  第4節 労組法上の労働者概念の再構成

 第8章 労務供給者の類型別検討
  第1節 労働者性の判断基準
  第2節 外勤
  第3節 スポーツ・芸術・映像
  第4節 対人サービス
  第5節 運送
  第6節 建設・土木・林業・造園・園芸
  第7節 研究・開発・専門技術
  第8節 家内労働・在宅勤務
  第9節 プラットフォームワーカー
  第10節 店舗・事務所・教室経営
  第11節 役員等
  第12節 企業組合の組合員
  第13節 労働者協同組合の組合員
  第14節 シルバー人材センターを介した就労者
  第15節 研修・実習生
  第16節 親族

総括

資料編
 資料Ⅰ 労働基準法研究会報告
 資料Ⅱ 労基研専門部会報告
     (労働基準法研究会労働契約等法制部会
      労働者性検討専門部会報告)
 資料Ⅲ 労使関係法研究会報告

 

 

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コメント

職業安定法(労働者派遣法)上の労働者概念とは何ですか?

職業安定法違反被告事件(最一小判昭和29年3月11日刑集8巻3号240頁)は、旧遊郭地帯の待合業者に接待婦(売春婦)を紹介した事案について、「同法5条にいわゆる雇用関係とは、必ずしも厳格に民法623条の意義に解すべきものではなく、広く社会通念上被用者が有形無形の経済的利益を得て一定の条件の下に使用者に対し肉体的、精神的労務を供給する関係にあれば足りるものと解するを相当とする」と判示しています。

ちなみに、これは川口さんの云う労働者の定義「自ら他人に有償で労務を提供する自然人」とほとんど同じですね。

ありがとうございます!
職業安定法が私にはぴったりきます。
もっと勉強します。

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