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2024年4月10日 (水)

スキルはヒトの属性かジョブの属性か

依然としてリスキリングが流行っていますが、世間の言説を見る限り、依然として圧倒的に多くの日本人はスキルをヒトの属性だと考えているみたいです。いや日本社会では現実にそうなんだからそうとしか考えようがないのですが、海の向こうからのはやり言葉として流れ込んできているリスキリングという言葉の語幹であるスキルってのは、海の向こうのジョブ型社会では当然の常識として、ジョブの属性以外の何ものでもない。

そもそもスキルってのは、世の中にあまたあるジョブってものを、これはスキルド(熟練)なジョブ、これはアンスキルド(非熟練)なジョブ、これはセミスキルド(半熟練)なジョブと振り分け、それぞれにふさわしい値札を貼るための概念であり、それがどの程度実体を有するものなのか、それとも社会的に構築されたフィクションに過ぎないのか、といった議論が、とりわけ同一価値労働同一賃金という、異なるジョブの間の賃金格差を問題とする議論の中で提起されてきているわけですが、ごく一部のジェンダーな方々を除くと、ジョブって概念の欠落した圧倒的に多くの日本人には何のことやら全然わからんちんという状態のままなわけです。

今のリスキリングの流行も、これまでのスキルドなジョブに安住していたらだめだぞ、そんなのは早晩廃れるぞ、デジタル社会の新たなスキルドジョブに就くべくスキルを身につけろといういう脅しなんだが、曖昧模糊たる知的熟練を情意評価されてきていると、なんのことやらわからんちんになるのも仕方がないのだが、騒いでいる人々もそこの一番肝心なところが曖昧模糊なままでリスキリング、リスキリングとむやみに騒いでいるだけに見える。

 

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コメント

そりゃそうでしょ。そもそもリスキルとは、今とは違う新しい仕事に就くためにそのジョブに求められるスキルを身につけることですから。新しいジョブのイメージないままに人材育成と称して中高年社員対象にスキル教育するのはチャートなきままオール操舵技術だけで大海原に漕ぎ出すボートのようなもの、壮大な時間とお金の無駄遣いになりかねません。ジョブ変えないままスキル向上させるアップスキルと、本来ジョブチェンジのためのリスキルとがごっちゃに議論されているかと。

数少ないジョブ採用職種でも認識が甘く、その人々にこれは読んでほしいなと思い使わせていただきました

さてはて、先日の週末、某国内大手就職媒体が主催するエンジニア職種向けの転職ジョブフェアに採用企業の一角として参加させて頂きました。国内外の大手企業からスタートアップや優良中企業まで「技術者のキャリア採用」を仕掛ける数十社が終日盛んに不特定多数の年代層も分厚い雑多な候補者集団に対してわが社のブースで(新NISAの売り込みさながら)積極的に採用PRをしている光景は、改めて新卒採用もさることながら第二新卒含む中途キャリア採用の熱気と浸透度を体感させて頂きました〜

リスキルとの関連で敷衍しますと、思うに、いわゆる文系の従事する営業職や事務系バックオフィス職の人たちの転職とは異なり、様々な専門分野で働く「技術者のキャリアチェンジ」には多かれ少なかれリスキルが求められる、なぜなら会社が変わればエンジニアとして自分が担当する製品も技術も顧客も相応にチェンジしますから。当たり前といえばそうなのですが、一般的に技術者の転職が営業職や事務職に比べて少なく難しい理由も大きくはそこにポイントがあるのではないかと思います。

第二新卒の転職という枠組みは、その点、これまで数年の最初の会社で身につけた職種スキルをいったんチャラにして、新たに自分のキャリアアンカーを探索して会社の提供する研修プログラムでリスキルすることが出来るという意味で意味あるカテゴリだと感じます。

> 会社が変わればエンジニアとして自分が担当する製品も技術も顧客も相応にチェンジします

会社が変われば、ジョブも変わる度合いが高いほどジョブ型でないということなのでしょう。

> 日本の労働者の初任給が低く、賃金が勤続年数とともにあがっていくのは、学校で得られた知識が評価されておらず、企業を替えたら通用しない蓄積が評価されているからだともいえる。
https://gendai.media/articles/-/111791

>逆にいうと、日本の労働者の初任給が低く、賃金が勤続年数とともにあがっていくのは、学校で得られた知識が評価されておらず、企業を替えたら通用しない蓄積が評価されているからだともいえる。

 そう、これが日本の官庁や大企業で当たり前のように横行しているメンバーシップ型雇用ですね。
 このメンバーシップ型雇用は勤務先が業績好調ならいいのですが、業績が悪化すると勤続年数を重ねた中高年は逆にコスト高要因になり、リストラ対象にされてしまう。
 私の前の前の勤め先は官庁から法人になった時に中高年層の職員を数年後に雇い止めするリストラ予備軍としつつ、ほぼ同じ数の新規採用者を募るという一見ちぐはぐな事をしていました。
 これは勤続年数を重ねて高い給料をもらう中高年がコスト高要因になっていたのでクビにして給与の低い層に置き換えてコスト削減を図る経営者的には合理的な行動だったのですね。
 この時の新規採用者の中には長年非正規雇用として働いていたり任期付き公務員として働いていた職員を出来るだけ採用するようにはしていました。
 それでも人員不足で大量の非正規雇用に頼っています。

 …かくして私はメンバーシップ型雇用に幻滅し、ジョブ型雇用を支持するようになったのです。

どんな事象にも光と影すなわち長所と短所があるように、上でご指摘されているような日本型メンバーシップ型組織に散見される中高年層における典型的な人員削減の事例は、確かに同システムのわかりやすい負の側面です。が、日本の雇用社会においてはそのデメリットを補って余りある「明確な社会経済的なメリット」があるとずっと感じられていたからこそ、戦後より長期期にわたって日本社会において独自のメンバーシップ型雇用制度がサステナブルでいたれたのではないかと。

その大いなるメリットとは、繰り返しになりますが、やはりメンバーシップ型雇用の最大の特徴たる「新卒一括採用」という独自の雇用慣行です。すなわちスキルも経験もない100万人の新規学卒者が失業せずに学校卒業後の翌日たる4月1日に一斉に相応の職を得ることが出来るという意味での大いなる美点でした。これは会社にとっての利点であると同時に、社会全体の利点でもあると概ね捉えられていたと想像します。

もちろんグローバル外資系企業でも「キャンパス採用」と呼ばれる新卒採用は一部に存在します。しかしながらあくまでもそれは職種限定のオープンポジションありきの個別採用(労働条件もポジションで異なるもの)ですので、日本企業のような同世代構成員全体を網羅するスケールでの雇用慣行〜いわゆる「総合職」(事務系であれ技術系であれ)という配属ガチャがあるもの〜とは全く異なります。また、ある時期から日本企業が導入した「職種別採用」は外見上はこれに似ていますが実態はどんなものでしょうか…。

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