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2024年1月18日 (木)

経団連『2024年版経労委報告』 on メンバーシップ型雇用

01161439_65a616882fbab毎年恒例の春闘の時期が迫るとともに、経団連から毎年恒例の『経営労働政策特別委員会報告』2024年版が送られてきました。

https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/004.html

はじめに
第Ⅰ部 「構造的な賃金引上げ」の実現に不可欠な生産性の改善・向上
「働き方改革」と「DE&I」のさらなる推進による生産性の改善・向上
「円滑な労働移動」の推進による生産性の改善・向上
人口減少下における労働力問題への対応
生産性の改善・向上による地方経済の活性化
法定最低賃金に関する考え方

■ TOPICS
中小企業における生産性の改善・向上の事例
障害者雇用の現状と今後の動向
就業調整(年収の壁)に関する動向
人材投資額・OJT実施率の国際比較
採用活動に関する日程ルールの歴史と現状
日本型雇用システム(メンバーシップ型雇用)に関する考察
ジョブ型雇用の現状と検討のポイント
雇用保険財政
労働力問題の現状
AIの活用状況と課題
フリーランスの現状と保護に関する動向
職場における安全衛生対策

第Ⅱ部 2024年春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンス
2023年春季労使交渉・協議の総括
わが国企業を取り巻く経営環境
連合「2024春季生活闘争方針」への見解
2024年春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンス

■ TOPICS
物価上昇局面における賃金引上げの動向
実質賃金に関する考察
中小企業の賃金引上げに関する現状と課題
労働分配率の動向
内部留保のあり方
配偶者手当の現状と課題
同一労働同一賃金法制と有期雇用等労働者の待遇改善
日本の労使関係

当然世間の関心は「構造的な賃上げ」に集中するわけですが、一方で4年前の2020年経労委報告で打ち出され、その後世間に「ジョブ型」という言葉があふれかえったことを考えると、ジョブ型、メンバーシップ型について今年の経労委報告が何を言っているかというのも興味を惹かれるところです。

今年はなんと、TOPICSにおいて「ジョブ型雇用」の話の前にわざわざ「日本型雇用システム(メンバーシップ型雇用)に関する考察」というのが差し込まれています。そこでは、まず最初のパラグラフで「日本型雇用システムの特徴とメリット」と題して、メンバーシップ型の良さが縷々書かれていて、4年前の経労委報告が火をつけたジョブ型礼賛論に水をぶっかけようという気持ちが伝わってきます。

・・・「新卒一括採用」は、高校や大学等を新たに卒業する生徒・学生を企業に属するメンバー(社員)として一定時期にまとめて採用する手法である。企業にとっては、計画的で安定的な採用が実施しやすいほか、企業が学生等に毎年多くの就職機会を提供していることは、日本の若年者の失業率が国際的に低い要因の一つと考えられる。

 新卒一括採用した新入社員に対し、企業は、OJTを中心とする「企業内人材育成」の下、職務を限定せずに移動等を通じて自社内の様々な職務を経験させ、中長期的な視点で自社に適した社員への育成している。この結果、多くの社員が多様な職能を習得するとともに、自社の事業活動に対する多面的な理解が進み、業務改善や新技術導入時の協力が得られやすいことなどが、日本企業の強みや競争力の源泉の一因とされる。

 また、定年までの勤続を前提とした「長期・終身雇用」の下で、年齢や勤続年数の上昇に伴い職務遂行能力(職能)も向上するとの考えに基づいて毎年上昇する「年功型賃金」により、社員は人生設計を立てやすく、雇用と経済面での一定の安心感となって、社員の高い定着率とロイヤリティの実現に寄与している面がある。・・・・

これはほとんどテキスト的な記述ではありますが、まずは前提としてメンバーシップ型雇用にはメリットがあるんだよということを確認したうえで、その顕在化してきた問題点を解決するために「ジョブ型」を持ち出しているんであって、日本型雇用の全面否定ではないんだよということを、噛んで含めるような調子で縷々述べていますね。

 

 

 

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コメント

メンバーシップ型雇用にどっぷりつかっている大企業中心の経団連らしいですね。
 しかし、さすがにメンバーシップ型雇用の強みを発揮するOJTなどの「企業内人材育成」にそれほど金を掛けたくないのが今の日本の大企業の本音だと思います。

 しかしジョブ型雇用社会に移行するのであれば、人材育成を外部に委ねて上手く行くのか、そして企業外人材育成システム構築のために法人税増税などの新たな負担を求められないだろうか、その辺の情勢を見極めようとしているのかな、と感じました。

メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用、これら双方をうまく利用したい、という発想は結局のところ昔日経連が提案した『新時代の日本的経営』の枠組みに収まってしまうような主張に見えて仕方ありません。使用者からすると日本的雇用慣行、メンバーシップ型雇用というのはそれだけメリットもある雇用形態なのでしょう。

>メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用、これら双方をうまく利用したい、という発想は結局のところ昔日経連が提案した『新時代の日本的経営』の枠組みに収まってしまうような主張に見えて仕方ありません。

 そう言えば旧日経連は「新時代の日本的経営」の提言の後経団連と統合しましたね。
 日経連と経団連の加入企業がほとんど重なるからと言う事で統合。
 加入企業の雇用形態に対する意識はその頃とほとんど変わっていないのでしょうね。

労働側は現状メンバーシップ型雇用、日本的雇用慣行そのものには左右問わずあまり否定的でもないように感じられます。運動的には欧米志向、産業別組合重視でありながら、雇用慣行については欧米流のジョブ型雇用を目指そうとする発想には至っていません。balthazarさんは労働側の目指すべき先についてどうお考えですか。

希流様

 私は日本のメンバーシップ型雇用はジョブ型に変えた方が良いと考えています。
 そしてメンバーシップ型雇用になおしがみつこうとしている労働運動にも変革が必要だと考えております。

 これは私自身の経験に基づくものです。
 私は健康保険・年金保険を所管する官庁に勤務していました。
 社会保険は本来であれば全国一体・中央集権で運営されるべきものですが、第二次世界大戦後、GHQの担当者がその事を良く知らないまま「社会保険は都道府県主体で運営しろ」と言う無茶な指令を出してしまい、やむを得ず日本側は「分かりました。その代わり当面の間は国家公務員とさせてください」と妥協して地方事務官と言う制度を作り、中央で人事を管理することで何とか中央集権で社会保険を運営できる余地を残しました。

 ところがこの地方事務官は国家公務員であるにもかかわらず、地方公務員の職員組合に加入できる規定がありました。
 そのために私の勤務していた官庁には自治労の支部が出来ることになりました。
 そしてこの支部が中央集権化に強く抵抗。
 私の勤務先は報道されたように酷い事になってしまいました。

 なお、私は全労連系の国公労連加盟組合に加入していました。
 しかしその組合の大会では本部運動方針案に質問一切なし、原案に反対ゼロ、全会一致で可決されるという某政党の組織原理を引き継いだかのような運営がされておりました。
 勤務先では人員不足での長時間労働は当たり前。
 組織再編でリストラが行われた時も成果を挙げる事はほとんどありませんでした。

 と言う事情で私はメンバーシップ型雇用にも、今の日本の労働運動にも否定的になってしまいました。
 ただし、労働運動の意義は今も認めています。
 アメリカで最近労働運動が活発化しているのを見ると羨ましく感じます。

> 「社会保険は都道府県主体で運営しろ」と言う無茶な指令
> 自治労の支部が出来ることになりました。そしてこの支部が中央集権化に強く抵抗
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2024/01/post-88c579.html#comment-121485594

民間の保険なら色々、あって良いと思いますが、公的な保険なら

> 中央集権で運営されるべきもの

ですよね。この話は、「公的であるから税金で支援すべきと言いながら、自治が侵害されている」と叫ぶあの連中たちが思い起こされます。自治が大事なら、「自分達」の力で立つという(スウェーデンの労働組合のような)意思を持つべきでしょう。

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