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2023年12月23日 (土)

EUプラットフォーム労働指令の合意はひっくり返ったらしい

11319322800x450 先週、EUのプラットフォーム労働指令案に、両立法府である理事会と欧州議会が合意したというニュースが流れ、本ブログでも早速それを紹介したところですが、

EUのプラットフォーム労働指令に理事会と欧州議会が合意

Rights for platform workers: Council and Parliament strike deal

Platform work: deal on new rules on employment status

なにやらそれがひっくり返ったようです。

それを報じているのはEurActivのこの記事ですが、

Member states deal heavy blow to platform work deal

Member states’ ambassadors failed to find a majority over a platform work directive deal struck last week, dealing a heavy blow to the Spanish Presidency of the Council of the EU and raising concerns the file may not get through before the end of the mandate.

A provisional deal found last week at the outset of negotiations between the European Commission, the Spanish Presidency and MEPs – known as ‘trilogues’ – failed to secure a qualified majority in a Committee of Permanent Representatives (Coreper) on Friday (22 December).

どうも、理事会の議長国を努めていたスペインがちゃんと加盟国の同意を取り付けないまま、このくらいでよかんべと欧州議会側と合意に達してしまっていたらしく、昨日のコレペールでは、我が国はこんなの認めちゃいねえぞ、という苦情が多くの諸国の大使から吹き出して、まとまらなかったようです。

No formal vote was even held on the text, as it became clear there would be no majority. According to information obtained by Euractiv, 12 member states, including the Baltics, Bulgaria, Czech Republic, Finland, France, Greece, Hungary, Ireland, Italy, Sweden formally said no to a deal they believed was too far gone from the Council’s version of the directive.

バルト諸国、ブルガリア、チェコ、フィンランド、フランス、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、スウェーデンの計12カ国がノーと言ってるらしく、これでは多数決で押し切るわけには生きませんね。

結構な大失態のようですが、これってスペインの交渉担当者の見込み違いなのか、押し切れると見誤ったのか、何にせよ、来年早々にもプラットフォーム指令誕生かと思っていたのが、そうじゃなくなって気が抜けました。

別の記事によると、反対論の黒幕はフランスのマクロン大統領らしく、欧州議会の担当議員は、マクロンを社会的ヨーロッパの殺人者だと糾弾しているようです。

Macron may be ‘killer of Social Europe’, Platform Work Directive rapporteur warns

Member states must do everything to ensure the Platform Work Directive provisional deal is approved, Parliament file rapporteur Elisabetta Gualmini told Euractiv in an interview, warning that France’s refusal to vote on the text is “unacceptable”.

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

大きな言葉での糾弾は疚しさの裏返しですね。

初めてコメントさせていただきます。
年末に、元欧州委員会委員長のジャック・ドロール氏が亡くなりました。
今のEUの基本の型が出来上がったのは、彼の同委員長在任中(1985−1995)と言っても過言ではないと思います。
日本でのEU統合動向、そしてその社会政策といえば、まずは貴殿のお名前が上がります。
確か90年代にはブリュッセルの代表部にも赴任されていたと存じます。
貴殿からみての、ドロール委員長の業績についての評価や所見等あらば、ここにもご開示いただけると幸いです。

私がブリュッセルに在勤していたのは、ちょうどドロールが欧州委員会の委員長を退いて、後任のサンテールになったばかりの1995年から1998年まででしたので、ドロール時代とはすれ違っていますが、当時の欧州委員会にはまだまだ大変濃厚にドロールの匂いが充満していた感じがしました。
私の在勤中やその後もしばらくは、ドロール時代の遺産が次々に花開いているという感じでしたが、やがて違う音色が高まってきて、2004~2014年のバローゾ時代は新自由主義全開になりましたね。

コメント、ありがとうございます。
ちょうど世紀の変わり目に、ブリュッセルのEU本部のとあるDG(事務総局)でインターンをしておりました。
実はその2年ほど前に、ご人にも、彼が理事長をしていたベルギーのとある学校の入学式で、ご本人と2、3言葉を交わす機会がありました。
こちらを見た瞬間、「えっ?なんでここにアジア人が?」と少しびっくりした表情でしたが、こちらが、「数週間前、フランスの週刊誌のインタビューで、デフレが続く日本を批判(critiquer)してましたね。」と話を振ると、笑いながら、「いやいや、ただあなた達の不策を指摘(indiquer)しただけだよ」と返答されたことをよく覚えています。
上記インターン期間に、イギリス、スペイン、オランダ、イタリアおよびオランダ出身の同僚とランチを取る機会があったのですが、確かに委員長引退後も相当な影響力を持っていて、いくつか洒落にならないエピソードを聞かせてもらった記憶があります。
その直後、フランスの日本の組織で働く機会がありましたが、当時は娘のマルティーヌ・オブリ主導の週35時間労働制・ワークシェアリングの議論で国内が沸騰していました。あれから20年、フランスも大きく変わりましたね。
ここではあまり政治の話はなさらないようですが、各加盟国内の極右の動向に左右されて、欧州の社会政策がどう変容していくのか、またこちらでお教えいただけることを楽しみにしております。

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